グロキシニア転生者が行くHUNTER×HUNTER 作:霊槍って、良いよね
木々が生い茂る中で少しばかり開けた場所。
そこがどうやら二次試験会場のようだった。
そこには、ただ倉庫があるだけで、特段他にものは見つからない。
レオリオとクラピカは、木に背を預けるように座らせておいた。
あと少しで目覚めるだろう。
ゴンも2人に気付いたのか駆け寄っていたし。
倉庫には、正午から試験が始まる旨が書かれた看板があり、そして中から尋常ではない腹の音が聞こえて来る。
「お!早かったなグロキシニア!!!」
「そういうハンゾーくんもちゃんと着いてたようで安心したっス」
「ま、試験官に着いていくだけだしな。それより、次の試験はなんだと思う?」
「始まってみないことには分からないっスね」
実はここに着いた時点で思い出したのだが、まあ、言わないで良いだろう。
さて、時刻は正午。
倉庫のような建物の扉が開き、2人の人間が姿を現した。
1人はなんか際どい服装の女。
もう1人は人間にしては大きい…巨人族の赤ん坊ぐらいの大きさのデb…ふくよかな男だ。
男の方から先ほどから聞こえている腹の音が響いている。
そこから始まった試験の説明だが、先ほど思い出した原作の内容と同じ……つまりは料理で2人を満足させろという内容だった。
まずは男…ブハラの指定する料理を作り、それで合格した者のみが女…メンチが指定する料理を作ることを許され、それに合格することで二次試験を突破。
さて、最初のお題は豚の丸焼き、この森林に生息する豚なら種類は問わないというもの。
まあ、正直これは簡単。
この森林に生息する豚は肉食の凶暴なものなのだが……これを捕まえられないような奴はここまで残ることも出来ないだろう。
落ちるとすればそれはブハラが満腹になってそれ以上食えなくなった場合のみ。
というわけでここは割愛。
サクッと合格した。
さて、問題は次。
「あたしはブハラとは違ってカラ党。審査も厳しくいくわ!!!そして、あたしのお題は…スシよ!!!」
そう、問題となるのはこの寿司試験。
「この建物の中に最低限の道具と材料、そして必要不可欠なゴハンは用意してあるわ!!!そして最大のヒント、スシはスシでも握り寿司しか認めないわ!!!それじゃあ!始め!!!」
「おいおい勝ったなこの試験」
ハンゾーくんが小声で囁いて来る。
「そう簡単なら良いんスけどね……」
「何悩んでんのか知らないが、俺は早速合格を頂いて来るぜ!!!」
そう言うと共に、ハンゾーくんは真っ先に飛び出して行った。
さて、ここからは真面目に考えよう。
まず、この試験の審査項目は確かヒントを見逃さない観察眼……つまり、先ほどの握り寿司という料理名、そしてこの場にある道具一式に加えて米だ。
正直ここから何を推察しろってんだと尋ねたくなるが、それはまあ置いておいて……。
うーん、確かこの試験……ハンゾーくんが不合格になってたんだよな。
美味しくないからって。
というかここに来てようやくハンゾーくんが原作にいたことちゃんと思い出せたわ。
さっきまでいた気がするなーって感じだったしな。
さて、そんなハンゾーくんが不合格となった理由は美味しくないから。
これはどう考えても試験の趣旨から外れているだろう。
なのになぜハンゾーくんは不合格になった?
最初から知っていたから、ヒントから導き出したわけではない。
だから不合格?
それは流石にダメだろう。
となると別の……何かが足りなかった?
わさびか?
確かにわさびは寿司には欠かせない……とは言ってもサビ抜きの寿司もあるにはあるからなくても大丈夫だとは思うが、あった方が良いのではないだろうか?
いや、それ以前にだ。
そう、それ以前にこの森で獲れる魚は川魚だぞ?
川魚は寿司には向かない。
海の魚に比べて小骨が多く、なおかつ寄生虫の心配まであるのだから。
握り寿司にしなければならないということは、少なくともそれ相応の大きさの身を切り出さなければならない。
小骨が多い川魚からはそれが難しい。
そんなこと、美食ハンターのメンチが知らない訳がない。
寄生虫の方も問題だが、仮にこの問題をクリアしたとて、握り寿司にできなければ意味が……いや、握り寿司もヒントか!!!!!
川魚では握り寿司ができない……ということは………あ、そうか…川に産卵のために戻ってくる鮭のような魚がいる!?!?!?
そう、思えばブハラの指定料理も対象となる豚の種類は1匹しか生息していなかった!!!
つまり、この試験も使用出来る魚は決まっているのかも知れない!!!!!
この場にないもの、必要なものはわさびと鮭のような川に戻って来ている海の魚!!!
この2つを…ハンゾーくんより先に取ってくる!!!
ハンゾーくんが下手なことを言った瞬間、この試験はヒントを見逃さない観察眼の試験から料理の腕の試験へと様変わりしてしまうから!!!
「善は急げっスね!」
この森全体を探知する。
よし!いた!!!
鮭と限りなく似た魚が川の上流に!!!そして、さらに上流、川の水が湧くその場所にわさび!!!
なるほど、生息域が近いのかこの2つ!!!
あとは全速力で駆け抜け、2つを採取し、早速戻ってきた。
どうやら他の受験生たちは原作と同じようにレオリオが大声で魚と叫んだのを聞き、各々が考えた寿司を作っているようだが、まあ無理だな。
ちなみに叫んでいたのは俺が考え込んでいた時だ。
さて、ここからまずはこの魚を刺身にしなければならないのだが、まあ出来る。
数千年生きた俺の手先の器用さならば簡単というもの。
わさびを擦りおろすのは刺身が完成してから。
作る直前の方が香りが際立つからな。
ちなみに米はすでに酢飯だった。
まあ、流石にこの環境下で酢はないからな。
後は握る工程のみ。
なんだけどよく見てみればこの刺身寄生虫だらけ。
ダメだなこりゃ。
そりゃそうか、海にいたとはいえ今棲んでいるのは川なのだ。
条件は他の川魚と変わらん。
いや、変わってはいるか。
ちゃんと刺身の大きさには切り出せるもんな。
寄生虫を殺せる手段はある。
焼けば良いのだ。
ただ、メンチがヒントとして出しているこの調理場にコンロなどの焼くための機器は存在していない。
……………もしかして寄生虫の恐ろしさを本当に知らない?
な訳ないよな。
美食ハンターともあろうものが。
いや、本当にどうしたら良いんだこれ。
無理だろ。
いや、そもそも寄生虫への対処はヒントにない可能性もあるのか。
当たり前のことだから。
ただ、焼くにしてもだ。
焼き魚を上に乗せたものは果たして寿司と呼べるのか?
寿司において焼きが許されるのはあくまで炙りだけなんじゃないのか?
炙りでは到底寄生虫は殺せないぞ?
いや……寄生虫の対処だけならまあ、俺なら出来るのだが、ここにいる受験生は出来ないだろう手段だ。
正規方法でないとダメなのだとしたら?
ま、考えても仕方ないか。
不合格だったらその時はその時だ。
ここはもう焼いてしまおう!!!
外で火を焚いて焼く。
もうこれで行こう。
不合格ならそうしやがれって。
もうどうにでもなれという奴だ。
なんならもう完全に創作寿司にしてしまおう!!!
そうしよう!!!
というわけで早速刺身を焼く。
そして、その中心部分に切れ目を入れる。
酢飯と握り合わせ、切れ目にわさびの茎を乗せる。
酢飯の握りは硬すぎず柔らかすぎないように注意して、それでいて素早く握る!
これで良いだろ。
焼き鮭寿司の茎わさび添えだ。
「審査お願いするっス」
「へぇ、貴方は焼いたのね」
「川に棲息している魚は寄生虫が怖いっスからね。いくら寿司は新鮮な生魚使うとは言っても、流石に川魚を生はダメだと思ったっス」
「うん、よし。ちゃんと寿司の形はしてるからここまではOKよ!!!さて問題の味は……」
さて、どうなる?
「うん、店に出せるレベルじゃないけど素人が作ったにしては美味しいわ!!!合格!!!」
川に棲息している魚を生で食べるとかどう考えてもダメですからね。
危険すぎる。
そういえば、漫画確認してみたんですが、焼くためのものは何一つ無いのビックリしました。