勇者と魔王   作:三在江布

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やはり世界は理不尽である②

 

「俺が......勇者?」

 

???「そうよ。全く......寝ぼけているにも程があるでしょう。」

 

???「ほら!起きたでしょ!早く着替えて、朝食を食べなさい。」

 

 

なんだ...?

どういうことだ...?

 

しかし、

この見覚えのない?部屋、

見覚えのない?女性、

そして俺が勇者であるということ

 

つまり......

 

 

「異世界転生ってことか...???」

この間、0.2秒である。

 

???「寝ぼけているにもほどがあるでしょう...?」

 

???「いや、本当に体調が悪いんじゃ...」

 

「いや、大丈夫ですから...!」

 

「この通り、元気です!」

 

 

そう言うと、女性...おそらく母親であろう人は、納得したかしてないかのような微妙な顔をしながら部屋を後にした。

 

 

「さて、本当に異世界転生をしたのなら、まずは情報収集が基本!」

「まずは身の回りから調べよう!

そうだな...部屋を詳しく調べてみよう。」

 

 

────────────────────────

 

 

(あぁ...自分の思考に吐き気がする。

俺はこんなポジティブな人間じゃないんだ。)

 

 

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「さっきもしていたが、改めてこの部屋を観察しよう!」

 

 

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(俺は、現実から逃げたんだ。

そんな俺が、勇者になんてなっていいわけがない。)

 

 

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「まずは...ベッド。気づいたら寝ていたところだ。」

 

 

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(勇者なんて役割、俺には耐えられない。)

 

 

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「次に...クローゼット。」

「中にはどんな服が...っと、」

「おお...!いかにも『駆け出し冒険者』っぽい装備...と、スーツっぽいのと、『勇者の装備』、か...」

「俺、本当に勇者なのか...って、なんか埃被ってない!?この装備!?」

 

 

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(俺は...挑戦なんてしたくないんだ......)

 

(でも...せっかく異世界転生して、何もしないのは気が引ける。)

 

(この世界を怠惰に旅するのも、いいのかもしれない...)

 

(これは、挑戦じゃない。逃げだ。勇者という役割からの。

だから...怖がる必要なんてないんだよ...)

 

(もう...俺は俺じゃないんだ...こういうことを考えるとは良くないよな...)

 

 

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「最後に、全身鏡。」

(そういえば、自分の今の姿を見ていなかったな...)

と、考えながら、鏡に映った自分を見た。

 

そこには、金髪に紅い瞳の、所謂イケメンがいた。

 

 

「誰だ...?」

 

 

咄嗟にそう言ってしまったが、おそらくこのイケメンが俺なのだろう。

 

 

「さて、こうやって自分の姿を見ると今までの記憶を思い出したりするのがド定番だが...」

 

 

「・・・・・」

 

 

「ダァァァ!なんも思い出せねぇ!」

 

 

「なんだ...?思い出し方が悪いのか...?」

 

 

「なんか考えた方がいいか...う〜ん......」

 

 

 

(そういえば......自分の名前ってなんなんだろう?)

 

 

 

異変は、そう考えた瞬間に起こった。

 

 

「ぐあぁっ...!頭が...痛いっ...!」

 

 

とてつもない頭痛、そして流れ込んでくる”記憶”。

 

 

「これ...は...!」

 

 

ほとんど何もかもを持たなかった少年の記憶。

 

 

(少しずつだったが...見えた...!)

 

 

日常。恋愛。神託。訓練。崩壊。そして...

 

 

あの子を守るために受けた模擬戦。

 

 

怖いと思いながらも、屈さず立ち向かおうとするその姿は、まさに勇者だったと言えるだろう。

 

 

(なるほど...きっかけがあれば思い出せるのか...)

 

 

その記憶を見て、俺はそんなことを考えていた。

 

 

それぞれ1秒程度であっただろうが、その断片を見ることができた。

 

 

それらの記憶が頭の中をずっとループしている。

 

 

(てか...結局名前わからないままなんだけど...)

 

 

レイの記憶を見たが、名前は結局分からなかった。

 

 

(なんでだ...?)

 

 

そんなことを考えていた矢先、さらに異変が生じた。

 

 

 

「..っは...!?なんだ...これ...」

 

 

 

”もうひとつの記憶の奔流”が姿を現した。

 

 

それは、この男が自分を憎悪している頃の記憶であった。

 

 

しかし、様子がおかしい。

 

 

この男は、"その記憶を全く覚えていなかった"。

 

 

いや、たった今、"思い出したのだ"。

 

 

それは、ゲームをプレイしている記憶。

 

 

『引きこもり勇者と魔王』

 

 

それを、プレイしている自分がいた。

 

 

プレイ画面には...金髪に紅い瞳の...

 

 

 

「「レイ·ファイン·ファナブリア......」」

 

 

 

記憶の中の俺と同時に"主人公(自分)"の名前が部屋に静かに響く。

 

 

実際には自分ではない。だが...この俺の転生体となったこの身体がそのプレイ画面に映されていた。

 

 

部屋の間取りも全く同じ。

 

 

こんなの、信じない訳にはいかなかった。

 

 

「俺は...ゲームの中に転生したのか...」

 

 

(転生したのだって意味がわからないのに、ゲームの中に...)

 

(しかも、転生する前の俺の記憶はほぼ皆無だ。そうだと今わかった。)

 

(やはり世界は理不尽だ。勇者なんてさせられるなら、ちゃんとした異世界が良かった...)

 

 

そんな思考も、レイの記憶の中で母をしていた女性の、

 

「レイ!いつまで準備してるの!早くしなさいよ!」

 

という叫び声によって中断された。

 

 

いつの間にか、記憶の奔流も頭痛も止んでいた。

 

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名前:レイ·ファイン·ファナブリア(■■ ■■)

職業:勇者(無職)

年齢:15歳(26歳)

状態:自信喪失·困惑·決意

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お読みいただきありがとうございます!
察せてせていた方は分かっていたとは思いますが、彼はプレイしたゲームに転生してしまいました!さて、これからどんなことが起きるのでしょうか...
そういえば、何か大切なことを忘れているような気が...

感想、評価、誤字報告等して頂けたら幸いです。
私情で改行後のスペースを無くしております。読みにくい、違和感であったら言っていただけれと思います。
他にも何かありましたら、気軽に言ってください!
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