いつも通りのつまらない毎日を過ごしていた俺はこの100年間1度も使うことのなかった権能によるもうひとつの能力がなんて事ないメールの通知のようにひっそりとだけど確実に僕の頭に流れ込んできた。
だけど俺はそれどころではなくて、例えるなら腕の動かし方を思い出したような、暗い部屋に一筋の光が差し込んだような、二度と忘れてはならない、居なくてはならない、どこか懐かしい安心感に包まれていた。
結論から言うとナツキスバルがついに来た。
スバルが来たことを感じ取った俺は嬉しさのあまりハーフ獣人のおっさんの頼み事を無視して、今まで使えなかったスバルワープを即使ってしまった、みんな心配してるだろう。
特にガーフィールはなんか俺のこと好きすぎて殺!みたいな感じだから大丈夫だろうか。
ちなみに俺は今よく分からん空間にいるどうやらスバルとの距離が離れすぎててタイムラグ的なのがあるようだ。
俺が普段使っていたテレポは100mしか無理だからこの要素は初体験である。
まあつまりこのテレポの先にみんな大好きナツキスバルがいるわけよ、テンション上がるなぁ!
そうして20秒ほど待っているとくらい部屋のような場所から場面は一瞬で移り変った。
目に見えるのはゴミのように流れ続ける人並み、石や木などで出来たとても高い建物群、屋台から香る美味しそうだが原材料が何かわからない謎の肉、前世が東京暮らしとはいえこの世界に来て100は立っている、もう既に俺は上京した田舎者同然だろう。
そんな中ひとりだけぽつんと懐かしさを感じる服装の青年がいた、と言ってもワープによってまどなりにいるのだが、特長だらけだがあえて言うなら目付きがとても悪い、だが安心するような優しい目ができることを俺は知っている。
その青年は小さすぎる俺に気づかず何かブツブツと独り言を言ったあとこう叫んだ
「ひょっとして...異世界召喚ってやつーー!?」
「うるさーい!街中では静かにしなさーい!」
「えっ?うおー!派手な髪色ロリキター!そんなメッシュ入れちゃうと生徒指導の先生に怒られちゃうぜー?」
「さっきから何言ってるんだ君はほんとに君が待ち人なのか疑わしくなってきた...
てゆうか僕はロリじゃないざっくり100年は生きてるんだからな敬いたまえ!」
「ロリババアだってー!?だったらのじゃはつけなきゃだめd」
異世界モードのスバルが会話不可の為鍛え続けたこの戦闘技術でスバルの顎に昇竜拳。
思った以上に召喚直後のスバルはうるさかった。
街中でぶっ倒れたスバルを見守るのも周りの目が痛いので仕方なくワープを使って路地裏まで運ぶ短距離転移の繰り返しならマナの消費は少ないのだ。
そうして偶然なのかトンチンカンでお馴染みの路地裏にたどり着いた、ルグニカの王都はこの路地裏しかないのか?
そう思いながらスバルの目覚めを待ち続ける
「はっ...この位置この感触は!ロリババアによる膝枕!?」
「君懲りないね...というかロリババアはやめてくれ、僕の名前はリューズ・リベルタ。呼びずらいならリタと呼んでくれ。これでも100年は生きてるおばあちゃんなんだぜ?」
「相手が名乗ったのならこちらも名乗るのが日本男児!改めて、俺の名前はナツキスバル天下不滅の無一文!」
そういうナツキスバルは幾度と見たあのディスコポーズを披露した、生で見れることが嬉しすぎてそれを表に出さないように必死で顔をしかめる。
「だっさ」
「辛辣!?というかさっき言ってた待ち人ってなんの事だ?」
「ああそれはね、僕の親みたいな人がいてね、僕の生まれてきた理由はいつか来る待ち人に一生仕えることだって教えてくれてね、僕は特殊な力があって色々と制限はあるけど転移が可能なんだ、それに待ち人が来ると反応するようになってる。だけどなんだかガッカリしたなぁ」
「なんかさっきから酷くね?」
「自分の胸に手を当ててみて?」
「すいません
てかじゃあリタが俺を召喚したヒロインじゃない訳だ」
「ヒロ?まあそうなるね」
「ていうか俺はこの国のこと知らないしこの街のことも知らないから教えてくれると助かるんだが?」
「ごめん僕も全然知らない」
実際は知っているのだがぶっちゃけ聖域暮しだと常識はあっても王都とか言ったことないしな残念ながら旅の案内役としては不適切だソシャゲのような解説キャラにはなれないのである(ここはまたあとに来ようぜ!)
「あれぇ!?こういうのってチュートリアルない感じー!?」
「僕ずっと引きこもってたからね」
「どっちかって言うとこっち側ー!」
しかしまあスバルはツッコミが上手すぎてボケるこっちも楽しくなってきた、曇らせの次に娯楽になりそうな予感がするぜ。
とその前に恐らくそろそろあいつらが来るかもしれないから俺は適当な理由で離れるとするか。
「スバル、僕はちょっと周りを見てくるからちょっと休んでなよ」
「そうか、悪いな俺の自業自得なのに」
「いつでも転移できるとはいえスバルのピンチは僕には分からないから大人しくしてるんだよ?」
そう言うと俺は裏路地を抜けスバルから見えなくなったところで屋根に転移して上からスバルを見下ろす。スバルはどうやらコンビニ袋を漁っているようだ。
しばらくするとするとガラの悪い3人組がこちらに大きな足音をたてどしどしと歩いてきた。
「おうおうおう兄ちゃん!命が惜しけりゃだすもんだしなぁ!」
「リベルタさぁぁぁぁんんん!!」
俺は無視を決め込んだ