神様の手違いで死んだ私。王道すぎて呆れるが、生きるためにクソ喰らえの精神で異世界を駆け抜ける。 作:飴御乱
走れ!走れ!
生きるがままに、走れ!!
ここで歩みを止めれば、死ぬ!嫌だ、そんなの嫌だってんだろ!
それでもスライムは後ろからぬるぬると這いずりながら迫ってくる。
早く、もっと早く…!!
しかし、いつまでも森は抜けず、ずっとこのままじゃないかという考えが頭をよぎり、冷や汗が垂れる。
嫌だ、絶対に嫌だ!!!なんで毎回こうなんだ!!
私には不運という文字しか降ってこない。神様はいつまでたってもクズでしかないんだなァア゙ア゙!?
息苦しさにより、涙があふれる。
転生?何が転生だ!!このまま死ぬなら変わらないじゃないか。転生した意味は?
来て早々モンスターにやられる?ははっそりゃあつまらないバッドエンドなライトノベルだなぁあ゙?!
私がこう思っても答えてくれる神様などはいない。
私の思いは誰も受け止めてくれやしない。
足がおぼつく。息が荒れる。喉が痛い、熱い、熱い熱い…!!!
「たすけっ、たすけでっ」
死ぬのは嫌だ、怖い、苦しい、痛い、
痛いのは嫌いだ。
嫌いだ、嫌だ、もうやめてほしい。
後ろにいるスライムをちらっと見る。
倒す?―倒せるわけがない…!?
私は何も持っていないんだ!!!?どう倒せばいい!?私はどうしたら生き残れる!?
目線をあちこちに向けるが、人影は見えない。
助けてくれる人もいない、じゃあ、どうしたらいい!?
ぁア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙、もう、なんなんだ!!!??
足が痛い、それよりも、体力がない、熱い、痛い…!
私は死ぬのか?死ぬ?死んじゃうのか?死にたくない、生きたい。でも死んじゃう?
嫌だ、どうして、どうして、なんで、どうして、なんで、どうして!!??
「だれか助け―――」
ドゴォオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ン゙ン゙ン゙ン゙ン゙
ものすごい音がした。
何が起こった…?
「カハァー!!!雑魚モンスターに襲われ、装備もつけていない、変なバアサン。
こりゃあ、何かの夢かな?」
スライムのほうを見る。
そこには、何もなかった。
ただ、その代わり一人の人影があった。
煙がはれると、その姿がはっきりと見えた。
黄色い角に、赤毛の髪。
体的に女性か、それと巨大な尻尾も見えていた。
異世界でいう
「竜人…?」
ライトノベルは面白くないからあまり見てはこなかったけど、
最近アニメのほとんどが王道過ぎて流石に知ってる。
または―――
「ドラゴンだ」
さっきはあまり気にしていなかったが、見た目よりも声が低い。
「手前、名前は?」
ドラゴンは、私に近づいてくる。
見た目は人間、そこに角と尻尾が付け足されているだけのドラゴン。
人の言葉が話せるなら話が通じるのか…?
助けてくれたし、悪いやつじゃなさそう。
こういうキャラは仲間になるのが、ライトノベルで定番だったし―――
「お名前は〜?」
目の前だ。
にこやかな笑顔で私を見てくる。
いつの間にか、目の前まで来てた。
「名前は…」
緊張によるものか、声が上ずる。
名前、名前、名前って"何だっけ"
気づかなかった、今まで気にしてなかった
そうだ、名前、名前――!
「答えてくんない?それとも、事情でもあんの?」
答えを問いかけてくる。
彼女の真っ直ぐな目線に少し寒気を覚える。
「え、あ…名前は、覚えてないです。」
言葉がところどころ詰まるが、なんとか声は出せたことに安心感を持てた。
「フーン、記憶喪失?それとも―――まァいいや、ところでオバサン。家は?」
今まで、彼女の雰囲気に流されていたが、私はまだまだ、おばさんの年じゃない。
「ナンパですか?それとオバサン呼びもやめて、ほしいです。」
「じゃあ、なンていったらいいンだよ?メンドクセーオバサンだなァ?」
「オバサン以外で呼んでくれたら…あ、あと、老いた名前はやめてください。」
「なるほドー、そっかそっか」
彼女はテキトーそうに答える。
そして、考える素振りを見せると、また顔をあげ、歩き始めた。
「俺の家に来いよ、お嬢さん?」
「お、お嬢さんって――」
「文句言うな。いいだろ。で、返事は?」
私は少し照れくささを感じながらも、彼女をまっすぐ見て答える。
「行きます」