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俺がこの世界に生を受けてから15年が過ぎた。
まず俺の転生特典、ステータスオープンについて色々試していたら、いくつか分かったことがある。
このステータスオープン、自分とチームメイト以外には使えないのである。
まぁそりゃそうだよな。試合前に相手のステータスが分かってしまえば情報アドバンテージでこっちがかなり有利になる。
それはスポーツとしてフェアではない。俺もそれはどうかと思う。
とはいえステータスオープンの有用性は明らかだ。自分のステータスが分かるということは、己の弱点や武器が分かるということ。
チームメイトのステータスが分かるということはどこをどう伸ばし、何を補えばいいかアドバイスできるということ。
事実俺がいた西東京武蔵シニアは元々弱くは無いが強くもない普通のシニアチームだったが、俺が入ってからは去年は全国ベスト8、今年はベスト4と結果は出せた。満足はしてないが。
そして今は俺の未来への選択肢について考えなければならない時期。
チームメイトのほとんどは既に進路を決めており、レギュラー組で決まってないのは俺だけ。
勿論、全国大会で活躍しただけあってスカウトの話は来ている。
東京の名門、帝皇を始め、横浜淑学館(神奈川)、明神学園(兵庫)、仙台心愛(宮城)etc⋯⋯どこも全国に名を馳せる強豪校。
そりゃ、甲子園を目指すなら野球部の強い高校に行くのが手っ取り早い。
けど甲子園の舞台に選手として立てるのは『才能』と『運』に恵まれ、正しく『努力』をした選ばれし者達のみ。その全てを兼ね備えたとしても、必ずしも試合に出られるとは限らない。
中学、シニアの全国大会で活躍した奴らが当たり前のように3年間日の目も浴びずに埋もれていく。それが高校野球の世界。
前世で目の当たりにしたからこそ知っている残酷な現実。
勝負の世界だから当然ではあるが、俺としてはもう二度とごめんだ。
甲子園の舞台に立つ。それも誰かの影に隠れたり、控えに甘んじたりすることなく、俺自身の力で。
この世界で今度こそ成し遂げる俺の目標。
強豪校じゃダメ。かと言って、やる気のない弱小校じゃだめ。
設備が整ってて、1年目から試合に出られて甲子園を目指せる場所。
そんな都合の良い学校はそうそう見つからない。
だからこそこの学校を見つけられたのは本当に偶然、奇跡だった。
私立広院学園。
来年4月開校の新設私立高校。
野球部を一から作って甲子園を目指す。
正直馬鹿げた考えだとは思う。ここから甲子園を目指すなんて夢物語かもしれないが、それは俺が求めていた高校野球の全てを味わえる最高で最良の選択肢。
しかし現実の壁は厚い。部員を集め、グラウンドを確保し、監督を見つける……一人では到底不可能。
だが、メンバーに関しては今からでもスカウトはまだ間に合う。
その他に関してはどうにかする必要があるのだが、やってみる価値はある。だがそれは、果てしなく険しい茨の道。
強豪校への推薦状は依然として手元にある。確実な道を選ぶか、未知の可能性に賭けるか。
「実際に見てから考えるか⋯⋯」
幸いにも近いうちにオープンスクールが開催される予定だった。見学するだけなら自由だ。そこで現状を確かめてから判断しても遅くはない。
まずは現実を見極める。
まだ時間はある。俺の人生を占う選択なんだ。この選択肢だけは絶対に間違ってはいけない。
前世のような後悔を二度としないように。