たくさんのご応募お待ちしております!
特に遊撃手やら外野手やらはまだ決まってないのでよろしくお願いします!
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桜吹雪が春風に舞う4月。
入学式を1週間後に控えた今日この日。
まだ人気の少ない早朝から、黒と紺色のジャージに身を包んだ俺は、早くから野球用グラウンドに訪れていた。
雑草はひとつ生えていない、マウンドもネットもある正真正銘の野球部専用グラウンド。
早朝の平日ということもあり、周囲には人一人見当たらない。
ひとまず荷物をベンチに置き、ぐるりとグラウンドを歩いて回る。
今はまだ最低限のものしかないが、ここから部員を集めて部として成立させれば、色々なことができるようになる。
「よくやく……本当にようやく、この時が来たって感じだな」
この世に生を受けて15年。まるで高校野球をやり直すかのように転生した俺にとって本当の意味で始まる高校生活。
とはいえ部員集め以外にもやらなければならないことが沢山ある。
今できることは限られているため、今日も今日とて頑張ろうとしたところ、視界の端に人影を捉えた。
暖炉の火を彷彿とさせるような橙色の長髪をした、顔立ちの整った少女。その少女の姿には見覚えがあった。
「あら~?あらら~?…⋯驚きました~。こんな形で、また会えるなんて」
「そりゃこっちのセリフだ。まさかお前ほどの人物がここにいるなんてな」
シニア時代、俺のいた西東京武蔵シニアと何度も試合をしたこともある関東の強豪『江戸川シニア』の元正捕手、
俺のライバルの1人と言ってもいい、関東屈指の名捕手。
一から野球部を作る上で1人はいてくれないと今年の夏を戦えないから誰か来て欲しかったけど、予想外の大物が釣れた。
「俺も人の事言えたもんじゃないけど、どうしてここに?お前ならスカウトは結構来てただろ?」
「そうですね〜⋯…ここにいる理由は、ただ一つ。私は、かつての仲間達と競ってみたいのです。共に肩を並べた彼らと、今度は好敵手になりたい。そして一つでも多く、戦って、勝ちたいのです」
俺とは違う、確かな目標、目的を持ち、リスクを踏まえてしっかりと考えた上での選択。
精神的にも強いんだよな、こいつは。
「そういう葵桜くんはどうなんですか?」
「俺はまぁ、高校野球を余すことなく味わいたかったから⋯⋯かな。確実に甲子園を目指すなら強豪校に行くのが手っ取り早いけど、こっちなら人数さえ揃えれば確実に試合には出られる。勿論やるからには甲子園を目指すけどな」
それに対して、俺のは
けど、前世みたいに3年間ベンチ外ってのは死んでもゴメンだ。1回死んでるけど。
「さてと、せっかくの再会なんだ。俺のボール、受けてみない?」
「はい、喜んで」
火乃宮がプロテクターを付けている間、俺はマウンド上で足場を鳴らして準備を整える。
対戦したことはあるとはいえ、バッテリーを組むのはこれが初めて。とはいえ火乃宮の捕手としての実力はかなりのもの。
ボックス上で胸元に構えられたミットが不思議と大きく見える
とはいえ俺はまだ肩もできてないし、最初は軽めに。
キャッチボール感覚で投じられたボールは火乃宮が構えたミットに心地よい音を立てながら真っ直ぐと収まる。
ボールを捕ったは投げ返す。それを何度も繰り返す。
それにしてもキャッチボールとはいえ、良い音鳴らすな。やっぱキャッチングめちゃくちゃ上手え。
「火乃宮!そろそろペースあげるからな!」
「はい!遠慮なくぶつけてください」
ボックスに座り、ストライクゾーンのど真ん中に構えられたミットを見て投球動作に入る。
大きく振りかぶって投げられた俺のストレートは一直線に火乃宮のミットへ。
先程までとは球速も勢いも違うストレートだが、これも完璧に捕球して見せた。
「軽く投げてるはずなのに、このノビとキレ⋯⋯本当にキレイなストレートですね。ここまでキレイなバックスピンは初めてみました」
「俺としてはそこまで意識してる訳じゃねーけどな」
けどこのストレートは転生してフォームを変えた結果生まれた奇跡の代物。前世の時は打頃でよく痛打されてたのが、今では空振りを取れるストレートになってたのは正直驚いた。
「そろそろ変化球混ぜるからな!スライダー!」
中指を縫い目に引っ掛け、弾くような感覚でリリースされたそれは、右打者から見れば外に逃げるように、左打者から見れば内をエグるようにギュルンと大きく曲がる俺のスライダー。
だがそれも火乃宮はキッチリ反応。ミットに収める。
「流石の対応力。よく一発でアジャストできたな」
「試合で何度も見てなかったら危なかったですけどね〜」
「まぁ、お前に対しては結構投げたからな。それじゃあ次縦スラ行くからな!結構落ちるから気をつけろよ!」
一般的なジャイロ回転の落ちる縦スラではなく、縦回転で落としに行く自己流の縦スラ。数多くの強打者を空振り三振に討ち取った今や俺の代名詞とも言える
ワンバウンドする勢いで縦に鋭く落ちる縦スラは、バウンドする直前に下に構えたミットに収まった。
「これも1球で⋯⋯やっぱめちゃくちゃ上手えな」
「いえいえ。正直、危ないところでした。今日貴方のスライダーを見ていなければ恐らくは⋯⋯蒼君。もう1球お願いします」
「勿論⋯⋯と言いたいところだけど、そろそろ取り掛からないと入学式までにやっておきたい事が終わらないんだよな」
「やっておきたいこと?」
「知っての通り野球部を設立させるには最低9人部員を集める必要があるんだけど、そのためのチラシを作ってるんだよね。ただこれが結構難儀してて、俺には絶望的に美術センスがなくてね……というわけで手伝ってくださいお願いします何でもしますから*1」
「
「へぇー、近くに団子屋なんてあったんだ」
「寮の近くにありましたよ〜」
この後は雑談も交えながらめちゃくちゃチラシ作った。
入学式まであと1週間。当面の目標は入学式までにある程度の基盤を作ること。そしてどうにかして人数を揃え、今年の夏の大会に挑む。
「さーて。どんな奴らが入ってくんのかな」
この春、全国各地で新たな出会いを迎えている中、この広院学園でも奇跡的な出会いを迎えることとなる。
ちなみにだが火乃宮のいう巨大みたらし団子はしっかり奢った。
みたらし団子を美味しそうに頬張る彼女の姿は可愛かったです。まる。