Укоренившиеся, словно проклятие, привычки, въевшиеся в самую плоть, не исчезают.
身体に呪いのように根付き染みついた慣習は治らない。
嫌になるほど早く目が覚めた。
未だに月が世界を照らしている。
少しお腹が減ったが見て見ぬふりをする。
────────戦場で空腹が満たされることなどない。
この時間だ。腑抜けた住民はきっともう皆寝ているだろう。
────森に行けば少しくらい食べられる物があるかもしれない。
そんな考えを思い浮かべた自分を少し甘いなと思いながら、森に歩を進めた。
夜の森は嫌なほど静かだった。
足元から聞こえる蝸牛を踏み潰すような音は大きく、目立つ。
夜はいい。
誰かの寝息が目立つほど静かで
私を染める朱色が隠れるくらい暗くて
夜はダメだ。
兵が近づくのに気づけるほど静かで
敵を隠す黒が闇に紛れるくらい暗くて
そんな夜の音を搔き消すように、木の葉を踏み潰すような音がする。
遠くから木と木とが擦れ合うような音がする。
警戒して遠くから音が鳴るほうを見るとそこには、朝の木人が蠢いていた。
こちらには気づいていない。今なら一方的に殺せる。
そう思うと同時に右手は
ライフルになっていた。
私の「殺意」を見透かすように。
私に「殺せ」と言わんばかりに。
────────しばらくたって自分でも覚えていないほどに木人を殺したことに気づいた。
「皮肉なものだな。近づいたら殺される、だが遠くからなら────────」
殺した木人の中には動きの遅い、まるで木と一体化したようなものまでいた。
だが、殺した数は覚えていなかった。
作業のようになっていた人殺し。
走馬灯では敵国の兵器を殺し。
馬鹿げているな、なんて言葉はとっくに押し殺していた。
殺すために生きて、殺されて死んで、走馬灯でさえ兵器を殺す。
私の人生なんてきっとそんなものだったのだろう。
本当はどうとでもよかった。
そんなものだったんだろう。
殺したとき、敵国の兵の印を切り取るように
木人から共通した部分を切り取り、ポケットにしまい込む。
「なんて、意味のない行動だろうな」
今、木人をどれだけ倒そうと国のためにはならない。
今、どれだけ木人を殺した印を集めても何の役にもたたない
胸ポケットがいっぱいになったころには、朝を迎えていた。
────────やることもなく、町に戻った。
民間人に声をかけられた。
いつの間にか私は挙動不審になっていたらしい。
「おねーさん!」
肩をびくつかせた。
いつもの癖で腰のあたりに右手が行く。
もう拳銃などないのに。
振り返り、見ると昨日パンを買っていた少女だった。
「私のことか?」
焦りは見せない。焦りという感情は教わっていないから。
「うん!」屈託のない笑みを浮かべる少女はそういった。
敵意も、得物も無さそうだ。
「おねーさん森にいたの?」
「……それがどうした」
「ううん、そのポケットに入っているの。気になっちゃって。」
「…これか」
いつもの癖で無意識に取っていたのだろう。
本国に帰りさえすれば勲章ものだ。
渡す相手はもういないが。
「売らないの?」
売る。売却する。お金にする。
「こんなものが売れると思うか?」
特段、お金のために殺したわけではない。
「おねーさん、冒険者、じゃないの?」
「違う、────────私は軍人だ。」
「ぐんじん?」
「あぁ。」
「ぐんじんってなーに?」
うまく言葉にできなかった。
軍人とは何なのだろう。
命令通り、人を殺し
命令通り、人を守り
命令通り、戦車を撃ち抜き
命令通り、国をも侵した。
それ以上のことを私は知らない。
「…Козёл Отпущения(汚れ役)…或いは」
英雄なんて口が裂けても言えなかった。
人殺しの英雄なんて長持ちするわけないんだから。
「…すまない、わからない。」
「ふーん、で、そうだ。おねーさん!」
「…なんだ?」
「ぎるどってとこで、そのポケットに入ってるの売れると思う!」
ぎるど。私の知らない言葉だ。町人組合みたいなものなのだろうか。
「ついてきて!」
無造作に右手を奪われた。
無意識に右手を払いかけた。
首を横に振り、少女の後に続いた。
軍靴が重々しく後に続いた。
何度も角を曲がったころ
目の前には「冒険者ギルド」と書かれた、石畳の建物が建っていた。
少なくとも私の知っている、補給基地や作戦室とは毛色が違うものだった。
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