軍人女は世界平和の夢を見るか。   作:窕木 芽衣

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2話:戦果報告。

 

殺して稼ぐのは殺し屋だ。殺しても稼げないのが軍人だ。

Убийца продаёт смерть. Солдат расплачивается собственной жизнью.

 

ギルドと呼ばれた建物は大袈裟にも大きかった。

本当にこんなところでこれを扱ってくれるのだろうかと訝しみながら軍靴が床をたたく。

 

少女に連れられるがまま、受付と書かれたカウンターに行く。

 

「おや、お嬢ちゃんどうしたんだい」

華奢で、動きにくそうな服を着た女が少女に目を向ける。

 

「このおねーさんが、困ってたから連れてきてあげたの!」

 

「そうかい、偉いね」

 

「じゃあね!」少女はとことこ去っていく

 

目線をこちらに変え

「で、あんたは誰だい?」

 

「私は、アーグメント・イグルーという。階級は少佐。」

教えられた通り所属と階級を名乗る。それが彼女にとって最低限で最大の礼儀だった。

「階級?じゃ、あんたは貴族か何かなのかい?」

 

「いや…私は────軍人だ。」

自分自身を落ち着かせるように、軍人と言う。

 

「そんなもの聞いたことはないが…」

 

軍隊を知らない。

その言葉は彼女の常識を叩き潰した。

「そんな馬鹿なことが────────」

息が浅く早くなる。

理由なんて考えもしなかった。

「────────すまない、取り乱した」

軍隊のない国があるはずがない。

私はそう教わった。

ましてや今は戦時中のはずだ。

────────本当に都合のいい夢を見てるかもしれない

 

「いや、あるならあるでいいんだが…軍人ってのはどういうのなんだい?」

 

「国のために戦うものだ。」

自信をもってこれだけは言える。こう言えと習ってきたから。

 

「衛兵とは違うのかい?」

 

「─────それは」

わからない。

教わってない以上のことは軍について知らない。

そんなことを知らなくても、生きていけたから

「すまない、わからない」

 

「まぁ…いいさ。で、あんたは何しに来たんだい?」

 

「討伐証明を換金できると聞いた」

ドサっと音を立てそこに置かれたのは気づいたら集まっていた木人や、木と一体化した個体の欠片だった。

 

「…全部ひとりで?」

 

「そうだ」

 

「……討伐数は?」

 

「数えていない」

 

「…普通は数えるものなんだが」

 

「戦場でそんなものを数える暇があるのか?」

 

気まずい沈黙が流れる。

 

「…まぁいいや。数え次第呼ぶから。そこで待ってて、軍人さん」

 

「わかった。」

 

 

 

待っている間にも、ギルドには冒険者たちが出入りを繰り返していた。

 

気づけば窓から差し込む陽は傾き始めている。

 

「軍人さーん、こっちこっち」

 

そう声をかけ、先ほど自分の相手をしていた、女は私を手招いた。

 

「ほら、これ」

手渡しされた袋の中には袋いっぱいの金貨が詰まっていた。

「3000Gだ。パペット換算100体くらい…だね」

 

「了解した。」

 

目を大きくして

「確認しないのかい?」

 

「支給品を疑ったことはない。」

 

女は目を丸くした。

 

「…だいたい1か月の食費くらいかな。一日にしては結構な額だ。ふつうは確認するものだと思うがね」

 

 

「そうか。」

 

 

「普通の冒険者なら…飛んで喜ぶんだがね」

 

 

「食事は全て配当だったからな。金は払ったことがない」

 

驚いたような顔を一瞬浮かべるがすぐに表情を元に戻す。

「まぁ…とりあえず寝どこでも探してみたらどうだい?」

 

「野宿じゃダメなのか?」

 

呆れたように

「あのねぇ…女の子が野宿なんて危ないに決まってるんだから、さっさと宿でも探しなさい。ほら、あっちにあるから」

 

「…そういうものなのか」

言われたとおりにぎるどを出て、宿屋と呼ばれた建物に入り、お金を払い部屋を借りる。

 

 

部屋に入ってまず脱出経路を確認した。

我に返って癖になってることに気が付いた。

 

気づいたら月が昇っていた。

 

布団では落ち着けず、椅子に腰かけた。

背を預け、扉が視界に入る位置で目を閉じる。

 

 

────────これが一番眠りやすかった。

 

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