仮面と変態と常識人と   作:あんころもっちー

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サブタイトルを全て失念してしてしまったので、これから全て無しという形になりますがご容赦いただけたら、幸いです……


第1話

 

 

 人生って言うのはまったく分らないもの。

 そう俺、否、私【斉藤 輝夜】は考える。

 

 今の私が通っている私立聖祥大付属小学校、そこの3年生である9歳の私、そう実は前世は男だが今は女の子となった転生者だったのだ!!

 

 うん、自分でモノローグしておいてなんだが、ないわ、これ。

 

 まあ思い出せる限りで思い出した前世の記憶にある自分の姿は、日本、今住んでいる世界とほぼ同じ時代の普通の家庭に生まれて成長し、高校を卒業して普通に就職したものの、数年後に会社が倒産、その後は安定所の援助を受けつつも職探しをするものの、その当時の不況という奴によって就職活動は難航、やむなくアルバイトを掛け持ちしながら安い給料を貰いつつ就職活動を続けるという生活をしていたようだ。

 その間は実家に住んで、両親の世話になっていたんだけどきちんと生活費を納めていたのは言うまでもない。

 

 それと自分の記憶にあるのはバイトしつつ就職先を探しながらも、所謂オタクとして日々を謳歌していた側面もあったのは、まあ、どうでもよい所だろう。

 

 

 だけど、その記憶も28歳になるかならないかという所で唐突に途切れている上に、ここに前世の記憶を持って俺ともいえて私とも言える自分がいるから、死んだのだろう。

 因みに、現在の性別は女である、将来はさぞかし別嬪さんになりそうな容姿を今からでも覗かせていたりする、付け加えておくが自画自賛じゃないぞ?

 

 

 前世のオタクといえる自分の記憶が幸いしたのか、それとも災いしたのかは分からいのだが、ここが恐らくだけど【とらいあんぐるハート】か、類似した世界であることも把握してしまった。

 既に大部分の記憶が磨耗してしまい、物語の主人公さえ忘れてしまったけど、海鳴市という街になんとか士郎の生存というファクターが魔法少女リリカルなのはの重要なキーワードだった…… はず…… 自信がない、何しろとらいあんぐるハート3をプレイした後、それから結構後に情報が明かされた魔法少女リリカルなのはの放送直前に唐突に記憶がなくなっているのだから、多めに見てもらうしかない。

 

 

 

「まあ、なるようにしかならない、か」

 

 

 

 そんなことを考えていた俺、もとい、私の口から出てくる女子特有のソプラノ調の高い声、この記憶と人格が蘇ってからはや9年近く、未だに慣れない己の萌え声といえるそれ。

 なんてことを考えながら、私は自分がどのクラスになったのかを確認する為に正面玄関に張り出されている掲示板へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだまだ始業式が始まるには早い時間に私が着いてしまったからか、生徒の数はまばらで確認しやすい状況が出来ていたので、遠慮なく自分の名前を探して小さく(というか幼く)なった体をちょろちょと動かしていく。

 ただ、去年から噂でしか聞いていないけれど同じクラスにはなりたくないな、と考えている人物たちがいたりする。

 

 浩太・D・ポーカーに霧島 和真と呼ばれる男子に、高町 なのはに月村 すずかとアリサ・バニングスと呼ばれる女子の計五人だ。

 

 去年から噂というか一昨年から浩太・D・ポーカーという名前の男子の名前は聞いていたんだけど、去年、唐突に名前が有名になったのだ。

 

 

 曰く、男子二人(ある噂ではポーカーのみという説もある)は、女子に勘違いフィルター全開で接してきて自分のことを好きだと勘違いしているという話だ、それはまるで前世でよく読んだことのある【踏み台転生者】の行いをやっていることと、その上に残りの女子達に蔑まされたり暴力を振るわれたりといった事を唯一の快楽としているのではないか、という事も人伝いに聞いたけどね。

 

 …… 常識的に考えたら眉唾物だけど、既にここに俺が【私】として生きて9年、ここで前世の常識が通じない事の方が多いという事を何度か思い知っている。

 何処の世界を見れば、喋る狐がいて更には忍者が国家資格になってい上に、唐突に動きが消えて斬撃を放っている鍛錬を行うような連中がいるというのだろうか、これらの光景は偶然というべきタイミングで見かけてしまったから、他意はない。

 

 

 それにそれっぽい人間ならば、去年見かけたことがある、銀髪に両目の色が違う虹彩異色の瞳、その上に整いすぎて気味悪さを感じる顔の造形、その顔を自分に暴力を振るっている人物からは見えない位置で、快楽に歪めて一人の少女にシバかれている一人の男子生徒と、端正な顔を烈火というか修羅と言える位の怒り顔になって男子生徒に暴力を振るっている金髪の少女…… 正直に言ってというか分りたくもなかった、彼が浩太・D・ポーカーとアリサ・バニングスだという事を。

 

 

 まあ、それは置いておくとしてようやく自分の名前を見つけた私は、体が勝手に地面に四つん這いになりそうに、具体的には土下座体勢に言って良い状態になるのを気合で防ぐのに精一杯だった。

 

 なんでかって?

 

 

 

「ま、まさか…… この連中と同じクラス……」

 

 

 

 そう、掲示板に張り出されていた名前の中には彼らの名前があったのだから。

 

 

 早速といって良いほど、これからの学校生活に多大な影を落とすのは間違いなかった。

 

 特に浩太・D・ポーカーは普通の容姿をしている人間とは普通に接して、普通に友人関係を気づけているらしいのに、美少女や美男子には踏み台転生者の態度を取っているんだし、恐らくは声を掛けてきて係わり合いにならざるをえなくなる。

 どうして私がこんな事を気にしているのかって? 前世がオタクといえる人間でも会った俺だからこそ分る、今の容姿は東方っていうゲームに出てきた【蓬莱山 輝夜】を幼くした感じといえば分るだろう。

 実際に小学生だというのに、既に同じ年齢の男の子から、中学生やら高校生に大人まで(中学生以上は流石に引いた)の男達が告白してきたのだから。

 

 

 まあ、今の所は母さんと父さんが追い払ってくれるから、心配要らないけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 それから私は教室へと入り、鞄から出した小説を読みながら時間が過ぎるのを待っていた。

 転生してから、女の子の体になって男子のバカな騒ぎと、この年頃の女子特有の精神状態について行けなくなった事、これらが災いして私は一人で学校生活を送っていたりする。

 

 まあ、前世じゃ友達なんてほとんどいなかったし、いても変人というか間違いなく一般的な常識を持った連中じゃなかったから、一人で過ごす事については何も問題なかった。

 自分と仲の良い人間以外と一緒にいる方が面倒だ、なんて考えていた節があったからね、前世の俺は。

 

 

 だからか、人が増えて騒がしくなりつつある教室の中も去年からの友達とお喋りをしている連中もほとんど気になってはいなかった。

 ただ、私に向けてチラチラと男子か女子か分らない視線を感じる事はあったけど、気にしてないというか、本当に気にしていない、気にしても無駄だって自分自身で思っていたし。

 

 

 それから少しして、教室の中がちょっとだけ静かになる。

 どうやら来た様だ。

 

 例の連中が。

 

 

「全く、和真!!アンタがそんな奴を相手にするから遅れるところだったじゃない!!」

 

「お、落ち着いてアリサちゃん!」

 

「そ、そうだよ!和真君は悪くないよ」

 

「いや、だったら俺を放置して先に行っててくれれば……」

 

「あんた一人に、あいつの相手なんてさせられるわけ、ないじゃない…… アンタの方が危険な目に合うかもしれないんだし、お尻の貞操が散るって意味で」

 

「そこはオブラートに包んで欲しかったというか、小声で言ってほしいっす!!」

 

 

 全く姦しい事で、といいたい所なんだが、因みに上から金髪の女子恐らくはアリサ・バニングス、続いての栗色の髪の女子が高町 なのは、紫色の長い髪を持つ女子が月村 すずかで、残りの男子が名前から判断して霧島 和真といったところだろう。

 一つだけ、一つだけ突っ込みたい……!どうして男子生徒の両手は血に染まっているメリケンサックが嵌められているのだ!!なにを、何をしていたんだ!?

 

 この様子を見た教室の中の様子というのは、真っ二つといえるものだった。

 あぁまたかといった具合に慣れた様子でスルーして友人との会話に興じる者達に、血がべっとりと付いたメリケンサックを見て恐怖に震えて先生を呼びに行こうとする者、呼びに行こうとした人たちはスルーしていた連中によって止められている。

 

 何故?

 

 

 そう思った私は、その二人の生徒の声に耳を傾ける。

 

 

 

『た、大変だよ!せ、せせ、先生呼んでこなきゃ!』

 

『あ~ お前ってあれ見るの初めてって言うか、去年は別のクラスだったっけ、先生呼ばんでもだいじょぶだいじょぶ』

 

『ど、どういうこと!?』

 

『そろそろ分る』

 

 

 

 何がそろそろ分るというのだろう。

 嫌な予感しかしない。

 

 そう思っていると、教室のドアが開く音が再び聞こえてきた。

 

 

 

「やぁ!和真にアリサにすすかとなのは!酷いじゃないか俺を置いていくなんてぇ!分ったぁぁ!!俺の事が好きで恥ずかしいから先に行ったんだろ?」

 

「チッ!ほとんど足止めにもなっていないか!?」

 

「え、えっと、さっきまでモザイクが掛かっていた姿、だったよね?」

 

「ど、どうして両手と両足が曲がっちゃいけない方向に曲がってたはずなのに、もう元通りになってるの?」

 

「そう、それはお前達を愛する俺の力「やかましぃ」ぶへぇっ!」

 

 

 

 最後に勘違い全開、といった台詞と共に登場したのが確実に浩太・D・ポーカーなのは間違いなかろう。

 何だろうあのウザったさ、というか、高町達女子と霧島に向ける目の質が一緒だったのは私の気のせいと思いたい、思いたいんだけど…… 次の言葉で私の思いは粉砕される。

 

 妙に腰の入ったパンチをポーカーの腹に打ち込むのだが、やつは何とか体勢を立て直して、顔を赤らめていた。

 

 キモッ、ウザッ。

 

 一瞬でそう思った私は悪くない、それどころか教室全体の雰囲気がこんな感じなのも仕方のないことだろう、だけど彼は、こんな感じの雰囲気になった教室を更に喜んでいる節があるのは気のせいだろうか。

 

 

 

「アリサのパンチもそうだが、和真の攻撃も重かったなぁー 俺を愛してくれてるお前達の愛が「死ねぇええ!!」イクっ!アァッ!ハァハァッ!ンンッ!!ンァァァァッ」

 

 

 

 再び勘違いフィルターを全開にしている言葉を言い始めた奴に、今度は霧島とバニングスの2人による協同攻撃が炸裂し、遂に奴は床に崩れ落ちた直後に担任であろう教師が入ってきたため、いそいそと彼女達は自分の席であろう場所へと向かうのだが、去年から同じクラスだった者達はともかく、本日同じクラスになった子供たちは怯えているのが良く分る。

 ただ慣れている人間達の目はアトラクションを見ているような感じの目なのは、本当に慣れてしまっているのだろうが、ああはなりたくないなぁと、思いたいが慣れたら似たような反応をしてしまうのだろうか。

 

 因みに、教師はというと、去年と同じ人物なのか、倒れている銀髪を見てもいつもの事かとはっきりと呟いてから、この学年最初のHRを開始していた。

 

 ただ、霧島が私の隣に座った時に私の顔を見て、一瞬だけ驚いた表情をした後、ボソッと呟いた言葉が私の耳に偶然届いてしまった。

 

 

 

「…… え、蓬莱山 輝夜のロリバージョン? でも、ちょっと雰囲気が違うというか、ここまで似ている奴がいるんだなぁ」

 

 

 

 という言葉を。

 因みに言って置くが、この世界に東方Projectと呼ばれる同人ゲームは存在しない、良く似た名前の人物による全く違う設定のSTGなら存在している。

 だが、霧島君よ人の事をロリと呼んだのなら、君はショタバージョンといえる(特に似ているゲームやアニメのキャラはいないけど)のではないのかね? なんていうツッコミは心の中でしておくとしてだ。

 

 だからこそ、この世界で私の容姿の元となっているであろう人物の名前を特定してきた霧島は、転生者、だという事を私は知ってしまった。

 

 初日から私の平穏な日常がぁ…… と考えて嘆いていた私は知らない、いつの間にか復活して私の事をロックオンしている銀髪と、何らかの決意を固めている高町、月村、バニングスの3人の事を。

 

 

 

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