仮面と変態と常識人と   作:あんころもっちー

12 / 18
第12話

 

 

 先行した和真を追いかけて、私とユーノは走って強く気配を感じる方へと向かっている。

 だけど、唐突に感じた嫌な予感、これを感じたと同時に私は立ち止まっていた。

 

 

「輝夜、どうしたの?」

 

「ユーノ、アンタって転移魔法とか、それに近いことって出来る?」

 

「今の状態じゃ乱用は出来ない、だけど転移魔法は使えるよ、それが、どうかしたの?」

 

 

 真剣で険しい表情を浮かべて、立ち止まっている私の様子に、ユーノは疑問の声を投げかけてくる。

 だけど、戸惑っているユーノには可哀想だと思うけど、私の質問に答えたことをやってもらおうと思う。

 

 

「和真の所に先に行ってもらえる? 嫌な、本当に嫌な予感がするから」

 

「それなら転移魔法を使えば、輝夜も一緒に転移できるし、その方が「ダメよ!!」ど、どうして!?」

 

 

 どうしてユーノが提案してきたこと、これを私が強く制したのか。

 その答えはすぐに現れる。

 

 

「なっ!? ここにも暴走体が!?」

 

「そういうことよ」

 

 

 神社へと向かう道に現れた二体もいるジュエルシードの暴走体、形としては人間の手の形をしていて、ちょうど掌と指もあるしかもまともな人体の構造なら手首がある位置に、間が抜けているような表情をした顔があって、白い手袋をしているような指で歩いている変な格好の暴走体に、カラスの様な鳥の形をした姿に足にランプを持っている暴走体が現れたのだ。

 

 だけど、この二つからは神社の方から感じる力とは比べ物にならないくらいに弱い、これは私自身が感じるものでも分る。

 和真の方にユーノを向かわせても、まだ回復できてないユーノじゃ和真の足手まといになる可能性はある、でも、この場にいる暴走体を放置するなんていう選択肢は私にはない。

 

 

「それに私なら、時間も稼げるし隙を付いて倒せる手段がある、だから、先に和真の所に行って!!」

 

「…… 分った、でも、輝夜も無茶だけはしないで!和真と一緒に向こうを早めに終わらせて駆けつけるから!」

 

「ん、よろしく」

 

 

 フェレットの姿のままだけど、多分表情は険しいものを浮かべて私を安心させるように、ユーノはそう言うと彼自身の足元に二重に重なった五芒星の魔法陣を展開して姿が掻き消えていく。

 そうして私はポケットから拳銃を取り出すと頭に構える。

 

 

「ペルソナ!!」

 

 

 ガラスが割れるような一種独特の音を発して、現れるペルソナ、これを合図としていたように戦いが始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから始る戦い、先制攻撃を仕掛けようとした私だけど、空から急降下してこちらに迫る暴走体をみる。

 とりあえず迎撃しないと、そう考えた私はペルソナに命じる。

 

 

【迎撃か!アギ!!】

 

「よし!やった!」

 

 

 ペルソナが叫んだと同時にカラスは火炎に飲み込まれる。

 だけど、すぐに私は異変に気が付く。

 

 炎に飲み込まれたカラスは熱がる様子も見せていないからだ、まさか、まさかとは思うけど炎系統の属性を無効化する特性を持っているって言うの!? そこまでの結論に至ったと同時に私は横に飛んで弾丸のように突っ込んできたカラスを避ける。

 少し地面を転がる私は思考を停止させないように、冷静さを保とうとしていた。

 

 

[オォォォォオオ…… ブフ]

 

「ッ!」

 

 

 体勢を整えようとする私の隙を付いて、白い手のような暴走体から氷結の魔法が放たれた。

 ブフーラとかブフダインとかじゃないだけマシだけど、防御の体勢をとったっていうのに、かなりキツイ!でも、ブフの付加効果【氷結】が発動しなかっただけでも救いね。

 

 そう考えたと同時に反撃に移ろうと考えるけど、躊躇してしまう。

 白い手と言える胴体を持った暴走体に火炎属性のアギが効くのか? と、拳銃の引き金に手を当てたままで僅かな時間だけ迷っていたとき、ペルソナとも誰とも判断付かない声が響いた。

 

 

――――― あの白い手みたいな存在は【魔術師のアルカナ】のシャドウ、名前はマジックハンド、弱点は炎属性攻撃だよ―――――――

 

「ッ!誰!!?」

 

 

 脳内に直接響くように聞こえた声、前世でみたことのあるアニメガン○ムSE○Dのアス○ンボイスと言える声が響いたと同時に、私は思わず虚空を向いて叫んでいた。

 だけど、こんな隙を見せた私を見た白い手の胴体を持つ敵、脳内に響いた声が本当の事を言っているのなら、シャドウでありマジックハンドという名前の敵は、私に向けて一直線に進んでくる。

 

 

「もう考えてる時間なんてない、か!!オモイカネ!!」

 

【我が炎、その身にしかと受けよ!!アギ!】

 

 

 十m近くあったはずの距離を凄い勢いで急速につめてくるマジックハンドを見た私は、もう考えている時間なんてない、そう思ったと同時に引き金を引いてペルソナを呼び出していた。

 あの脳内に響いた声が本当の事を言っているかどうかなんてわからないし、私自身も判断できない!だけど、今は武器となるようなものも持っていない私じゃ、ペルソナの魔法以外で打ち合えるわけも無い。

 

 だから攻撃魔法を放っていた。

 

 

[ギィィィイイィィ!!]

 

「え……? いち、げき……?」

 

 

 マジックハンドがアギの炎に包まれたと同時に、私は呆然としてしまう。

 どうしてかって? 一撃、そう本当に一撃でマジックハンドがアギの炎の中で息絶えて燃え尽きたんだしね。

 

 やった!これで一体仕留めた!そう考えてマジックハンドがいた空間に浮かぶジュエルシードを見ていたけど、ペルソナのスキルが増えた、私に対して子の様な事を考えさせる感覚がしたため、急いで脳内に浮かべたステータスを確認すれば、疾風系魔法ガルーラが増えていた。

 ペルソナのランクが上がったってことかね? と、考えるけども私としてはジオとかの属性が良かったなぁ、なんて考える。

 

 どうしてかって? 今、私が見据えている存在、さっき脳内に響いた声を信じて言うけど鳥系の敵、シャドウに対してはシリーズの定番と言うべきステータスであれば、疾風系も効かないか強い耐性を持っている筈なのだ。

 だから攻撃を躊躇させられていた私だけど、また、あの声で頭の中に声が響いてくる。

 

 

――――― キミの考えている通りの耐性持つシャドウだけど打破する手段はあるよ、疾風の耐性を無効化できるものがあるはずだよ、良く考えてごらん―――――

 

「だから、アンタはなんなのよ!?」

 

 

 アドバイスをくれる声に本当に悪いとは考えるけど、思わず口からは悪態が出て来る。

 こっちだって初めて一人で命のやり取りをしていて余裕と言えるものがほとんどないのだ、許して欲しいな。

 なんて勝手なことを考えて私は、再び突撃といえる攻撃を仕掛けてくる鳥を回避してペルソナのスキルを洗っていく。

 

 その中に確かに存在していた。

 私自身効いた事もないスキルだし、効果も分らないもの、だけど名前から大体の予想は付く、そんなスキルを。

 

 

「正直これがどんな効果なのか、私自身はっきりとは分らないけど、でも!使ってみようじゃないの!!」

 

【貴様が持つ忌々しい疾風の守り、これを引き剥がしてやろう!疾風ガードキル!】

 

 

 疾風ガードキル。

 

 それがそのスキルの名前だけどこれが、そのままの効果を発揮するのであれば結構凶悪な補助魔法になる。

 何しろ、疾風系魔法が効かない敵に対しての防御を全て無効化して、攻撃が通るようにするというのだから。

 

 もしも他の属性の同じ補助魔法があるんなら、何時の間にペルソナシリーズは凶悪な魔法を揃えるようになったんだろうか、なんて言いたくもなる。

 降魔しているペルソナの面子的に対抗が出来なくても、今回みたいに対抗が可能な状況へと持っていけるのだしね。

 

 

[…… アギ!!]

 

「残念、私のペルソナは火炎属性に強いからね…… もしもだけど、あの声が本当なら通るはず!!ペルソナ!」

 

【貴様には最早、自身を守るものはなくなった!ガルーラ!!】

 

[ぴ、ピキュィィィ!!]

 

 

 疾風ガードキルを使った私の硬直時間を狙って、カラスはアギを放ってくるけど、それは悪手だと言うしかない。

 私のペルソナ、オモイカネは火炎属性に耐性を持っているのだしね。

 

 ただ、ゲームをやっていて思ったんだけど、ペルソナ使いの服って本当に不思議…… 何しろ、私が地面を転がってシャドウの攻撃を避けた時の土埃以外のダメージらしいものはなかったんだし。

 …… 今の所は服を素通りしてダメージが入っている感じだけど、防具とかを身に纏うとどうなるんだろうか、とも考えてしまう。

 

 

「元から一撃で仕留められるとは考えてないわ!もらったぁ!!」

 

――――― え、え、えええ!!だからといってそれを武器にするの!?―――――

 

「く・た・ば・れぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

――――― ちょ、ちょっと聞いてるの!? 女の子がこんなものを武器にしちゃだめだってばぁ!!―――――

 

 

 私は近くに有ったバス停を手に取ると、地面に這い蹲っているシャドウへと向けて重石の部分を力の限り叩きつける。

 脳内でなんか変な声が響いていたけど、無視して私はシャドウが変な黒い色のもやの様になって消え行く様を見ていた。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」

 

 

 初めてのたった一人での命をかけた戦闘、これが想像していた以上に私自身のストレスとなっていた事、これが分る息を荒げている自分、これをどこか客観的に私は苦しさを感じながらも傍観する感じという、自分でも分からないような不思議な感覚で感じていた。

 少しして肩を荒げてしていた呼吸も落ち着いて、それから深呼吸をしてから私は顔を上げていた。

 

 

「神社の方で感じる力は衰えていないし…… まさか、ユーノや和真たちに何かあってるの!?」

 

 

 だけど、最初に感じた神社のほうから感じる力、これが健在な事と、私の直感が報せてくる。

 このまま、今のままで無様に疲労に身を任せていると、大変な事になるぞ、と。

 

 私は疲労感と倦怠感で凄い事になっている体に鞭を打つように立ち上がると、神社のほうへと今の自分が出来る速度で走って行くのだった。

 

 

――――― 今の自分に出来る事、これを精一杯に頑張ると良い、キミ達全員が―――――未来を、―――――、これを回避したいのならね―――――

 

 

 また脳裏に響いてきた、小声と言うか僅かしか聞き取れなかった声、肝心な部分は雑音みたいな音が入り込んで聞こえなかった声、これを私は出来る限り聞きながらも、中空に浮かんでいるジュエルシードをポケットの中に入れてバス停を持ったまま神社へと走って向かう。

 出来る事なら、手遅れにならないで欲しい。

 

 そんな思いを抱きながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前の力のヘカトンケイル、これは俺となのはに対して命を確実に奪える無常な攻撃を仕掛けてくる。

 せめてなのはだけでも逃がしてやりたい、そう考えるけど、油断してリミッターも解除せずにこの場に来て、良い一撃を貰って酷いダメージを負っている今の俺自身では何も出来ない事、これを歯痒く思いながらせめて、力のヘカトンケイルを睨み付ける事で、死んだ後の言い訳も用意しているようなそんな自分にも原を立てていた時、別の第三者の声が聞こえた。

 

 

「プロテクション!」

 

 

 それはユーノの声だった。

 俺が考えていたよりも早い到着、これに俺は希望を見出すけど、一緒に居るはずの輝夜の姿がない事、これに疑問を感じる。

 

 

「ユーノッ!ゲボッ!……ヅッヴゥ!!」

 

「喋っちゃダメだ和真!!輝夜はすぐに駆けつける、だけど!キミは重傷じゃないか!!」

 

 

 そのことをユーノに問いかけようとした瞬間、折れた肋骨から凄まじい痛みが走った上に開いた口から、僅かではあったけど、また血が出て来る。

 フェレットの姿のままで、俺達に近づいてくるユーノと力のヘカトンケイルの拳を受けて否な音を立てている障壁を交互に俺は見ながらも、体の痛みに苛まれつつではあったけど思考する事をやめてはいなかった。

 

 

「そ、んな、ことは良い……!とにかく、輝夜はどうしたんだ!?」

 

「今の状況が許してくれない、だから簡潔に言うよここに来る前に別の暴走体と遭遇したんだ!彼女がキミの所に先に行ってくれって指示を出してきたから従ったけど、正しかったみたいだね」

 

「な、な… に!!?」

 

 

 ユーノの言葉を聞いた俺は信じられないという、気持ちと感情で一杯になる。

 この神社に現れた暴走体を見ても、強力なジュエルシードの暴走体となっているシャドウが現れたのは明白なのに、それを輝夜一人に任せてきたというのだから、余計にユーノを問い詰めたい。

 

 そんな感情に囚われそうになるけど、俺が手を伸ばそうとしても体が動かない事に気が付く前に、ユーノは希薄を漲らせている姿を見せていた。

 

 

「今はとにかく和真は自分の体の回復に専念して!!こんな僕だけど、時間稼ぎくらいは出来る!」

 

「ま、まてゆグゥゥ!!」

 

「か、和真くん!?」

 

 

 ユーノが展開したプロテクションを破れないと判断した力のヘカトンケイルは、距離を取って俺達に大技を食らわそうとしている様子を見せている。

 これを見たユーノは早口で俺に対して言い切って力のヘカトンケイルに対して、魔力弾で攻撃を行い注意を向けると、すぐに走り出して力のヘカトンケイルを引き付けていた。

 

 俺は自分が骨折に加えて、軽く見ても打撲をかなりの箇所におっている事を忘れて、ユーノをとめようと体を動かした瞬間、激痛に襲われてその場に蹲るという、情けない醜態をさらす事になってしまう。

 くそっ!俺が油断何かしないでリミッターを完全に解除して輝夜も連れて来ていれば、こんな事にはならなかったのに!!そう考えて後悔先に立たず、という諺を思い出していた。

 

 

「…… ユーノが稼いでくれた時間はありがたい…… ブリューナク、回復を」

 

「か、和真くん……」

 

「なのは、どうしたん……」

 

 

 とにかく、ユーノが稼ごうとしている時間、この間に少しでも回復する事をしないと。

 そう考えて傷を癒す魔法の発動をブリューナクに命じようとした瞬間、ユーノが割り込んでくる前のなのはが出していた恐怖に包まれた声が聞こえてくる。

 疑問に感じてみてみれば首根っこをつままれて、借りてきた猫よろしく力のヘカトンケイルに摘み上げられるようにして、掴っているユーノの姿があった。

 

 

 ……………………… この駄フェレットの淫獣がぁ!!こんなに早く捕まってるんじゃねぇ!!と考えた俺は悪くない。

 

 何処の世界に助けに来て、そのまま捕まるフェレットがいるのだろうか? 俺は他にいるのならば見て見たい。

 

 

 そんなことを考えていたが、どこか力のヘカトンケイルが呆れという雰囲気を滲ませているのが少し気に掛かるが、今出来る攻撃、もしくは防御がどれになるのか、それを選択しようとした瞬間、俺の目に信じられない光景が飛び込んでくる。

 

 

「やぁぁあああああああぁ!!!」

 

「…………… なんで、何で…… バス停?」

 

 

 これは、どう説明したら良いんだろうか。

 クラスメイトの美少女で俺とお仲間と言える女の子が、バス停を振り被り敵にぶつけてしかも敵を仰け反らせた上に、そのバス停で連撃を加えている。

 

 なんていう反則というか、奇妙と言うか、見てはならないものを見てしまったという感覚を、本当にどう説明したら良いんだろう。

 

 

 

 つーか、見なかった少しの間に輝夜に一体何が有ったんだろう? 俺にそう思わせるには充分だった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。