仮面と変態と常識人と 作:あんころもっちー
平凡な小学三年生な私【高町 なのは】に訪れた、唐突で意味の分らない事態!!
このフレーズを6月が始ってから、ずっと言わなければならない気がしていましたけど、ようやく言う事ができた気がします!
えっと、でも、これは一先ず置いておきます。
最初は可愛い子狐さんが出てくる事がある神社に、一人で遊びに行ったら遭遇した変な木馬に乗った変態さんと、それに襲われる私と年上のお姉さん!
だけど、私の本能というべき部分で感じたのは【命】を奪われる危険で、それの感覚が良く分らない私は変態さんが私達に近付いて来るのを、横目で見ながらもお姉さんと一緒に逃げようとしていた。
そうしていた所に助けに来てくれたのは、クラスメイトで将来的にはなのはもアリサちゃんもすずかちゃんもクラスメイト以上の関係になりたい、と考えている男の子な和真君だった。
見た事の無い服を来ていたりとか、どうして数ヶ月前に知り合うと言うか、目の前の変態さん以上の変態さんと関わる事で友達になった輝夜ちゃんの名前が出てくるの!? とか色んな疑問が私の中を駆け巡っていくけど、私は和真君の手で安全な場所へと送られていた。
それから始ったのはクラスメイトの変態さんと、和真くんが何時もしているものとは比べ物にならない戦いだった。
木馬に乗った変態さんが、ブフダイン、と呟いた瞬間、私の方まで伝わってくるくらいの冷気が襲い掛かってきていて、和真君の周囲は完全に凍り付いていた。
「な、なんなの……」
私の口から漏れ出て来る言葉、ゲームやアニメとか創作の話の中に出てくる魔法を使ったとでも言いたいのかな? そういいたいくらいの光景だった。
初夏と言えるくらいに気温も高くて、今じゃ冷凍庫以外だと氷を見る機会もないのに、はっきりと和真くんの周囲は凍り付いている上に、和真くん自身も凍り付いている周囲の影響をうけてしまったのか、上手く動けない内に変態さんの攻撃を受けて吹き飛ばされてしまう光景があったんだから。
悲鳴を上げて映画を見ているような、そんな冗談みたいなバウンドをして神社の石畳を壊しつつ和真くんは地面を転がっていくのを見て、私は自然と彼の元へと走り出していた。
「な、なの、ゲホッゴボ!ヅッウェ!」
「か、和真君!」
私の姿を見た和真くんは、驚きと怒りとか納得と言った複雑すぎる感情を浮かべていたけど、私の頭の中は彼が血を吐いたことで真っ白になってしまっていた。
映画とかアニメや漫画の中じゃ、人が血を吐くなんてことはバトル物だと日常茶飯事、でも、現実で私にとっては何時も大変な時を助けてくれる上に、大事な人と言える人が血を吐く光景を見て冷静でなんていられなかった。
駆け寄って彼に声を掛けている時に聞こえた、変態さんの声と今度ははっきりと感じた、私たちを殺す、という意思に私は恐怖で震え上がってしまっていた。
それからの展開はというか、怒涛と言うか、本当に訳の分らないものになって行っている気がします。
喋るフェレットさんが現れてから時間を稼ぐなんて、大きなことを言って一瞬で捕まったと思えば、輝夜ちゃんが【巌戸台分寮前】なんて書かれたバス停を鈍器のように振り回しつつ現れたりとか……
もう私の頭の許容量は一杯なの!!と言いたいなのはでした。
とりあえず今にも攻撃を仕掛けそうだった敵に向けて、バス停を振り下ろして体が自然に動く形で連撃を加えていくけど、僅かに体制を揺らしたくらいで大したダメージにはなっていない、そのことが感覚と敵の見た目で分る。
事実、私の目の前の敵は最初に繰り出したバス停の一撃で体勢を崩したけど、すぐに立て直していたんだし。
反撃させないように連続で攻撃を仕掛けているけど、私の心境や状況としては一杯一杯で私の攻撃でユーノが逃げれていた事とか、和真達の所には戦えないなのはがいる事とか、それらが全て頭からなくなっていた。
「くっ!? ペルソナ!!」
【この状況では火力不足は否めぬが…… ガルーラ!!】
僅かに見えた隙を狙い、拳銃を米神に当てて引き金を引く、この動作の後でオモイカネが出現し、威力としては真ん中と言える疾風系魔法ガルーラを敵に向かって放つ。
多数のカマイタチといえる風の刃が目の前の変な木馬に乗った敵を切り刻もうとするけど、敵の皮膚を切り裂いて中にまで到達していかどうかは、微妙なダメージだと言う事を窺わせていた。
ここに来て思うのが、自身の火力不足のこと、間違いなくこいつはさっき私が戦っていた敵とは、レベルが違う、ということだ。
なにしろほとんどダメージを受けた様子なんてないのだから。
[オォォォオ…… ブフダイン!]
「なっ!? ぐ、くぅぅぅぅ!!」
ちょ!ブフダインなんて冗談でしょう!? そうツッコミを入れたい。
さっきの戦闘じゃアギとかブフとか初級の魔法が精々だったのに、急に上級魔法と来ている…… ブフーラは何処に行ったのかしら。
視界の端で和真があっさりと敗北したらしく、重傷でも負ったのかユーノに治療されている光景も分るわね。
だけど、ここで突破されれば和真たちの所に目の前の敵が向かってしまうし、重傷を負っている和真は多分だけど暫くは、その場を動けないと来ている。
その上にまともな方法、私の方法でも和真達の方法でも戦えないなのはが一緒、これが一番の理由だ。
私達だけなら適当な所まで戦って隙を見て一斉離脱!とか、考えるけどあの娘まで一緒に居たら間違いなく、こんな方法は取れない。
「ペルソナ!!」
【一先ずは傷を癒さねばならぬな…… ディアラマ!!】
こんな時はペルソナ2見たく、戦闘中にペルソナが強くなるシステムで助かった。
何しろペルソナを使えば使った分だけ、ペルソナが使える魔法が増えていくんだし。
まあ、これに加えて各種ステータスとかも上がっているという自覚もあったりするけど、とにかく回復してから攻撃の手を休めないようにしないと!!
と、考えつつまたペルソナを私は呼び出していた。
【今度こそ貴様を切り刻んでくれる!!ガルーラ!!】
[ヴゥゥゥゥゥ!]
そんでもって再び放たれる疾風系魔法のガルーラは敵を切っていくけど、さっきのダメージと大した違いは見られそうにない、だけど、間違いなく通ってはいるしダメージも蓄積されているんだろう。
上げている悲鳴じみた声が僅かに切羽詰ったものになっているのが特徴的だったからだ。
だけど、耐久力が徹底的に高くてタフなのも良く分る。
これだけの攻撃をしても、私の攻撃を受けてからゆっくりと立ち上がる姿を見れば判断できていた。
「どうすりゃ良いのよ…… 攻撃のほとんどは通じてないし、しかも超強力な魔法と物理で攻撃を仕掛けてくる…… 詰んだ?」
それが私の正直な心境だったりする。
なにしろ、現状で最大の火力を持つ魔法を放っても普通に起き上がり、バス停の攻撃でもほとんど堪えた様子はない。
こんな時に出てきなさいよ、前回の戦いの時に聞こえた声の主さんは。
なんて愚痴を言ってったり思ったりしても始らないわね、それになにより。
「だけどね、こんな所で死ぬわけには行かないのよ!!」
そう、それが今の私にとっての偽らざる本心でもある。
訳が分らない状況で第二の人生を歩まされて、今はリアルタイムで命の危険に晒されているこの状況、前世では夢を叶える事も親に孝行することも、夢に見ていたことを何も果たせなかったのに、また同じことを繰り返してたまるもんか!
そう思えば自然とバス停を握る手に力が入っていく。
「レイジングハート!お願い!!」
『All right. Shooting Mode. Divine Buster.』
「シュート!!」
[グァオォォォン!!]
ずっと動き詰めだったから感じる肉体的疲労と、今まで以上にペルソナを使いすぎたことによる精神的な疲労、これらから酷い倦怠感に苛まれていた私は迫りくる敵にどういう攻撃が本当に有効なのか、これを頭の中で組み立てていた。
やっぱり今まで通り攻めるしかないか、と、考えた瞬間、桃色の閃光……? いや、極太なビームが敵を飲み込んでいった。
飲み込まれたと同時に今までに無いくらいの悲鳴を上げる敵、もしかして、凄まじい勢いで効いてる? まあ、見た目からして凶悪な威力みたいだけどね。
…… 和真が放った同じ魔法と比べると威力の違いが一目瞭然と言うか、凶悪さも一目瞭然と言えるんだけど、どういうことなんだろう。
とも考える、だけどとにかくチャンスだ!!
「ペルソナ!!」
【友に続くと言う事か? 良いだろう!ガルーラ!!】
ダメージを受けて今までにないくらいによろめいている敵を見て、私はなのはの攻撃に続く形でガルーラを放つ。
そうして更なるダメージを受けた敵は、地面に倒れこむ形になっていた。
「輝夜ちゃん!大丈夫!?」
「えーと、私は大丈夫だけど…… そんなことよりもなのは、その格好って一体?」
地面に倒れて必死で起き上がろうと言う様子を見せる敵を見て、なのはが私の所に飛んで、比喩抜きで浮かび上がって近づいて来るけど、まさか和真みたいな魔法使いに覚醒した? 飛行がかなり安定しているようだし、元から?
なんて考えながらも彼女の格好を、今通っている学校の制服と良く似通ったデザインの服を見て質問を投げかける。
「えーっと、喋るフェレットさんのユーノ君から、私がこの杖を使えるって聞いて、咄嗟に防護服をイメージしてって言われたんだけど」
「成程、時間もなかったからすぐにイメージで着そうな服にしたのね」
「そうなの!えっと、似合ってるかな?」
「なのはらしくて、似合ってるんじゃないのかな」
そんな私の質問を受けた彼女は、一度照れくさそうな表情になった後、一度その場でくるりと回転して私により良く服を見せてくる。
確かに似合っている、けれど、防護服というからには戦闘中の防御力も問われるわけじゃない? 和真のはかなり刺々しいというか、甲冑みたいなデザインなのになのはのは本当におしゃれと言うには結構アレではあるけど、普通の洋服だ、と言われても違和感がない格好だったりする。
[オオオオオオ!!]
「「っ!?」」
戦闘中だというのに気を抜いて会話していたことを、敵がゆっくりと立ち上がる姿と声のような音と共に思い出していた。
完全に体勢を戦闘のものから、平時のものに移していた私たちに回避する時間はない。
だけど、なのはは咄嗟に持っている杖を前に掲げる。
『Protection』
そうすると機械音声で女性と思われる声が、杖から発せられると和真のものともユーノのものとも違うピンク色の壁が現れて、敵の拳を完全に受け止めて進行を止めていた。
「す、凄い…… 完全に攻撃の衝撃さえも通さない結界なんて」
「ユーノ?」
呆然と障壁を見ていた私の肩にいつの間にか加わる重さと、ここ数日というか前日からの出来事ですっかり聞き慣れた声。
ユーノが何時の間にやら私の肩に乗ってきて、なのはの障壁を私と一緒に眺めていた。
とりあえず、呆然としているのももったいないわよね。
「ペルソナ!」
【今の守り、これを更に堅固なものに変えるとしようか!ラクカジャ!!】
「か、輝夜ちゃん!?」
「説明は後!とにかくアンタは障壁の維持に専念しなさい!今はなのはが、貴女が必要だから!!」
「…… うん!!」
私は更にラクカジャをペルソナに発動させる事を命じ、より障壁を堅固なものに変えると、さっきまでは拳と障壁がぶつかった場所からは火花に似ていて、プラズマとも言えるような閃光が迸っていたのに、防御力が強化された瞬間から、普通の壁を殴っているような状況へと一気に変化していた。
さあ、反撃開始ね!
そう思った時に、ふと思う。
和真はどこに行ったんだろう? と、さっきまではユーノと一緒に居たのに、それまで彼がいた場所にはなにもないから攻撃の為に動いているんでしょうね。
あの人の性格だと、逃げるとか考えにくいし。
ユーノを輝夜となのはの元に行かせた俺は、自身も攻撃のために最適な位置を取る為に動いていた。
今までユーノに治癒の魔法を掛けてもらっていたけど、骨折に関しては一応繋がったといえるだけで今も鈍痛を放ってきているし、他のダメージついてだけど一応は回復させたけど、まだ痛みを伴っていたりする。
だけど、目の前でクラスメイトの女の子達が頑張っているのに、男の俺が何時までも這い蹲っているわけには行かない。
そう思って治療を中断し、ユーノをなのはの所に行かせ、俺は痛む体にムチをうって立ち上がり力のヘカトンケイルだけを攻撃し、なのはと輝夜を巻き込まずに攻撃できる位置に動いていた。
「なのはは魔導師として覚醒したてだ…… それに輝夜に至っては連戦で肉体的にも精神的にも大きく疲労しているはずだ」
体は今もほとんど全身が痛いけど、文句など言っていられないし、俺が回復するまで時間をかければ間違いなく彼女達は全滅する。
それは、輝夜の顔色を見れば一目瞭然だ。
ここに駆けつけて来た時の様な顔の色はしておらず、少し青白くなって息も荒くなって、明らかに体を動かしたのとは違う冷や汗も吹き出ている様子、これをみれば今の輝夜が無理に無理を重ねているのは明白と言える状況だった。
「9年近くも経ってようやく見つかった仲間なんだ、失ってたまるかよ……!」
俺の心境としては幸運にもようやく見つけることが出来た仲間である彼女を失いたくない、この気持ちが強い。
誰にも理解されない転生という出来事、これを真に理解し会える関係となれるであろう彼女という存在、これを今、失ってしまう事がどれほどの恐怖になるのか、それも想像が付かないくらいだった。
まあ、男としては将来はトンでもない位の美少女となるのが確定と言える輝夜と、小さい頃から非常に近い関係になれる、とか、3人娘とは違って明らかに普通、そう、普通!な感性に感情と生活環境を持つ美少女の輝夜と【幼馴染!】としていられる事、これに対して変な下心がないと言えないわけじゃない。
…… 自分、これでも前世と合わせても精神年齢二十代前半の若い男ですから、こんな下心は認めて頂きたい所です。
「誰に向かって言い訳してんだよ? 俺……」
なんて自分に呆れつつも走っているんだが、いつの間にか体の痛みを忘れている事に気が付いていた。
走っている内に状況には少しの変化があったらしい、さっきまではなのはのプロテクションと力のヘカトンケイルの拳がぶつかり合っていた場所からは、火花や閃光がスパークしていたと言うのに、今では全くそんなことはなく、力のヘカトンケイルが殴りつけてもプロテクションが波打つだけで、特に変化が現れなくなっているのだから。
「輝夜がラクカジャか何かをかけたのか…… アレって障壁にまで影響するのかよ?」
ペルソナの原作じゃあ、プロテクションのような障壁がない上に描写もなかったから、比較のしようもないけど、本人の防御の魔法資質に影響される障壁関連の魔法だが、たしかなのはの防御魔法資質は原作キャラの中でもピカ一と言えるくらいの資質を秘めていたはず。
そんな資質を持ったなのはに、障壁の防御力にまで影響を与えるラクカジャを唱えたら…… うん、まず抜けないだろう。
「位置には着いた…… ブリューナク!」
『OK, Boss, Load cartridge』
手に持っているブリューナクにカートリッジの撃発を命じると、一気に3発が排莢され、空薬莢が地面へと乾いた音を立てて落下すると、地面に魔法陣が展開されて魔力が練りこまれていく。
魔力の制御と集中に体中が痛みという名の悲鳴を上げてくる、こんな痛み、今は根性で捻じ伏せるのみだ!!
そう考えて気合をよりこめてブリューナクを握る手に力をこめる、俺が仕留め損ねれば、大事な友達である彼女達が俺以上の酷い怪我を負うかもしれないのだ。
ここで仕損じるわけには行かない!!
そう思えば、傷の痛みに耐えるという行為も楽になり、俺の心情も落ち着いたものへと変化していく。
「っ!!和真!?」
「和真くん!?」
[オォォォォォオ!!!]
俺の魔力と動き始めた周囲の空気を感じたのだろう、輝夜となのはが信じられないというような、複雑な感情を浮かべて俺を見てくるのと同時に、力のヘカトンケイルが大技を放とうとする俺に向かって迫ってくる。
だが、全ての行動が一手遅い!!
「絶衝!一閃!!」
迫りくる力のへトンケイルを見て、俺は自分でも分るくらいの不敵な笑みを浮かべると、力を集中させていた剣を鞘から抜き放ち、地面を切り裂くように叩きつけていた。
叩きつけられた場所より発生する衝撃波は、一直線に力のヘカトンケイルへと突き進み、奴を飲み込むと悲鳴を上げさせる間もなく消滅させて、中空にジュエルシードを残して消え失せていた。
「和真は消耗しきっていて封印は無理だ!なのはさん!封印を!!」
「で、でもどうやって!?」
「レイジングハートが教えてくれるから、彼女の指示に従って!!」
「う、うん!!」
まあ、それから後は言うまでもなくなのはがリリカルマジカルで始る魔法の呪文で封印し、完全に終わるのだった。
「お、終わった……? ッ!!」
「か、輝夜ちゃん!しっかりして!」
終わったのを確認した瞬間、その場にバス停を杖代わりの支えにしながら荒い息を付いて肩を上下させる輝夜に、慌てて駆け寄るなのはを見ながらゆっくりと近寄りながらぼやくように呟いてしまう。
「まったく、本当に満身創痍だな…… これから不安しかねぇよったく」
俺も輝夜も満身創痍と言えるくらいにボロボロだ、それに俺が持つ原作知識の展開なんてとっくに宇宙の彼方にホームラン!されてクソの役にも経たない状況だし。
あまりにも違いすぎる展開に、これが物語と現実の差って奴で輝夜のワイルドに引き寄せられているのかねぇ…… とも考えてしまう。
ただ、ワイルド関連の運命が3じゃなくて4の方なのを願いたい、3みたいな運命だったら輝夜に最終的に待っているのは死なんだからな。
本当に、彼女に待っている運命が俺が想像している方じゃない事を願いたい。