仮面と変態と常識人と   作:あんころもっちー

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第3話

 

 

 聖祥の3年生に進学してから2か月が経ったが、私達の日常は変わらない。

 ポーカーに誰かが絡まれて、霧島やアリサ達が撃退する傍らで私達というと、奴が非常に悦んでいる姿を微妙な心境で眺めている。

 

 という日常だけど、嫌過ぎる日常が訪れたなぁ、本当に真剣にそう思う。

 

 

 

「はぁ……」

 

 

 

 自分の口から漏れる疲れを感じさせる溜息に似た息、同様に表情も疲れたものになっているのは容易に分ってしまう。

 何しろなのはにすずかも同じ様な表情と溜息をついているからだ、だけど、私はまだ二ヶ月程度だから、まだマシと言えるけど彼女達は約二年以上の間、ポーカーから絡まれ続けていたというからね。

 ただ、最初からクラスメイトだった霧島が助けに入りだしたのは、一年半前くらいだというから、最初こそ原作に関わりたくないのか、他に理由があるのか避けていたんだろうが、奴の行動を見て我慢の限界を迎えて叩きのめし始めたんだろう。

 

 だけど、この行動が元でなのは達からはまるで、ハーレム系オリ主の如く好意を寄せられていたりするが、霧島には見せないようにしているから彼女達の思いは気づかれていなかったりする、だが、霧島はどうも彼女達と友人以上の付き合いは御免と言った様子があるから、気がついていてわざと気付いていない振りをしているという可能性もある。

 それに私も霧島も直接話してはいないけど、彼が転生者なのは間違いないし彼の方も私が転生者ということを気がついている様子がある。

 

 

 

「………… うーん」

 

 

 

 でも、最近一つ疑問に感じるのが一つあるポーカーは生粋の変態であるけれど、どうして明らかに踏み台と言えてテンプレといえるくらいの姿で転生したんだろうか? 私の前世じゃとらいあんぐるハート2や3の主人公達によってボコボコにされて、ヒロインへの好感度アップ材料でしかなかった姿だというのに。

 

 まあ、多分だけど本人が望んで転生したんだろうし、私の知ったことじゃないか。

 最近学校から帰った時の私の暗い様子を見て、お母さんは私がクラスメイトから酷いイジメにあっているんじゃないのか、なんていう風に考えているみたいだし。

 

 これ以上は考えない事にしよう。

 

 

 

『和真!アリサ!さあ、愛する君たちと一緒にもっと楽しもうじゃないか!もっと僕をイかせてくれ!』

『ふっざけんな!コラ!』

『ふざけないでよ!アンタなんで平気なのよ!?』

 

 

 

 なんていうやり取りをBGMにしつつも、私は絶対に考えないように、その方向からは目を向けないように気をつけて、机の中から一冊のハードカバーの本を取り出して、読み始めるのだった。

 因みに、この本はすずかから借りたものだったりする。

 

 去年までは本なんてラノベか漫画くらいにしか興味はなかったが、彼女達からの勧めを受けて読んでいる内に純文学小説やらにも興味がわいてきたのだから、友人というのは不思議でもある。

 

 なのはやアリサとはゲームやらパソコン関係で仲が良かったりするし、霧島とは前世の動画関係でのネタを言い合ったりして日常を過ごしていたりするが、大抵がポーカーに邪魔されて終わっているのはご愛嬌という奴だろう。

 ちくせう、ちくせうと言いたくなるが今年に入ってから妙なくらいに楽しい人物と嫌な人物に知り合えたのはナニかの意思を感じる所さんでもある。

 

 

 

 

 

 

 本日は6月1日、もうそろそろ梅雨の時期になっていって雨の降る日が沢山来る月だけど、本日は運よく快晴といえる天候だった。

 そんな日の放課後、私は一人で下校していたりする。

 

 予定が合えば誰かと一緒に帰ることもあるが、私と違って皆さんには塾という奴がございますので、習い事やら塾やらという感じに大忙しという毎日なのだ。

 霧島は前世がどうも中学生くらいだったらしく、今の私立舐めんな!といわんばかりに難しい小学校の勉強に四苦八苦しているらしく、なのは達と共に同じ塾に通っているらしいのだ。

 

 私が必要ないのかって? 国立大受験A判定の実績なめんな!と言いたかったりするがお母さんは、他の習い事に行ってみないか? と、言わんばかりにチラチラとしていて私の罪悪感という奴を刺激してくるので心がチクチクと痛んでいたりする。

 因みに、前世の私が受験しようと考えていたのは某T大学だったりするけど、これは些細な事些細な事、だって結局【家庭の事情】という奴で受験させてもらえなかったし。

 

 兄弟が多かったのがネックだよねぇ、何しろ5人兄弟だったし、しかも全員男だ。

 まあ、そんな前世の頭脳を引き継いだ私としては。

 

 

 

「普通に話したり遊んだりする友達出来ても、これはちょっと寂しいけどね……」

 

 

 

 なんて呟きが思わず漏れてしまうくらいには、寂しいと感じていたりする。

 既に彼女達と仲良くなって二ヶ月あまり、一応私も茶道や習字とかの習い事はやっているけど、彼女達とは通っている場所が違うので一緒にならないからか、本当に寂しい、と、そう感じる。

 

 特に自分の精神が肉体に引っ張られていると自覚した時からか、こういった寂しさやらがはっきりと表に出てき始めたのは、でも、ある意味では良い事だとは思う。

 本来あるべき子供として、この世界で振舞う事ができるのだから。

 

 

 

「あー もう、やめやめ、ナーバスになる」

 

 

 

 後ろ向きに引っ張られそうになる思考を私は頭を振って追い出すと、家への近道になる公園の裏にある山道を突っ切ることを考えて、小さな体を公園へと向けて人が何人も歩いて道となった場所を歩いているときにそれを見つけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の目に留まったのは、少し大きめの木下で衰弱してぐったりとしているイタチのような動物の姿だった。

 周囲には小さくだけど、血の痕があったから怪我をしているのだろうか、そう思った私は急いでイタチに近寄ると、衰弱した様子でイタチは目を開けてこちらを見上げてきた。

 

 

 

「怪我は…… 見た目ほど酷いものじゃないみたい、だけど、衰弱しきってる」

 

 

 

 急いでイタチの体を看ていく私は怪我が見た目ほど酷いものじゃなく、逆に体力の衰弱自体が厄介だと言う事を知る。

 

 

 

「この近くの動物病院だと、槙原さんの所!」

 

 

 

 動物病院と考えて、私の頭によぎったのはお父さんとお母さんが小さい頃から知っているという、槙原さんがやっている動物病院だった。

 旦那さんである耕介さんも奥さんである愛さんも、私のことを知っているし、私も去年彼らと会う機会があったから知っている。

 

 だから、私はイタチを抱きかかえると槙原さんの動物病院に向けて、急いで駆け出すのだった。

 

 

 その際に、イタチが首から提げていた紅いビー玉みたいなのがついた、首輪と言うかネックレスと言うかというものを、その場に置き去りにしたことに気がつかないまま、全力で走って行くのだった。

 

 

 

 

 

 それから子供の足で走って十分も経たない所に、槙原さんの動物病院はある。

 私は駆け込むように動物病院の中に入っていくと、大声を張り上げる。

 

 

 

「あ、愛さん!愛さんいますか!?」

 

「あら、輝夜じゃない、そんなに慌ててどうしたの?」

 

「え、お母さん!?」

 

 

 

 大声を張り上げたと同時に受付の中にいた母の姿に、私は驚きという感情に包まれる。

 あれ? どうしてお母さんがそこにいるんだろう? 専業主婦じゃなかったのかなぁ。

 

 なんて考えていると、恐らくは休憩する為のスペースが近くにあるのか診察室とは別の扉が開いて、愛さんが姿を現した。

 

 

 

「どうかしたの幽々子に輝夜ちゃん、それにここは動物さんの病院なんだから、そんな大声を出しちゃダメよ」

 

「うっ、ごめんなさい…… で、でも、この仔が……」

 

 

 

 驚いて更に大声を出してしまった私を、いつもと同じ様に穏やかで優しい微笑を浮かべて愛さんは、私を優しく窘めていた。

 そんな愛さんに私は謝りつつも、腕の中で懸命に生きようとしているイタチを見せるように、愛さんの正面に両手で負担を与えないように持っていくと、愛さんだけじゃなくお母さんの表情まで変わった。

 その時に私の腕の中にいるイタチにようやく気がついたのか、お母さんと愛さんの表情は緊張の中に申し訳なさも混じっていた。

 

 その表情の変化は一瞬だったけど、二人とも【獣医師】としての命を救うものとしての表情になっていたから、この時に私はぼんやりとお母さんって獣医師だったの? なんて考えていた。

 

 

 

「愛、すぐに準備をお願い」

 

「ええ、分ったわ」

 

 

 

 静かで、尚且つ緊張感を孕んだ表情でお母さんの指示を聞いた愛さんは迅速に、診察室と手術室を兼ねた部屋へと入っていく。

 それからお母さんが私からイタチを受け取ると、優しくて嬉しそうな微笑を浮かべて私の頭を撫でてくる。

 

 

 

「小さな動物の命を必死で救おうとしたのね、偉いわ輝夜、さ、後はお母さんたちの仕事、ここで少しの間だけ待っててね」

 

「……うん」

 

 

 

 そういって颯爽と治療室に入っていくお義母さんの姿はカッコ良かったけど、まさかお母さんって働いていたのかな? しかもさっきの様子を見る限り獣医師の愛さんと同じ様な形みたいだし。

 まさか、お母さんも獣医師でここで働いていたのかな? …… お母さんが何も言わなかったし私も何気に気にしたことがなかったから、気にしてなかった。

 

 そう思いながら私は待合室のソファに腰掛けた瞬間、頭に不思議な感覚が走った瞬間、意識がブラックアウトするのを感じていた。

 

 不思議と恐怖感とか、そういったものを感じない不思議な感覚だった…… だけと、どうしてか私にはその感覚が【懐かしい】と感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから私は見たことのない、青一色で統一された部屋に備え付けられている立派な椅子に座っていた。

 目の前には立派な外観の、こういった時どう言って良いか分らないけど政治家とか、偉い人が使っていそうな机が目の前にあって、そこには鼻がながーく伸びてギョロリとした目をしている老人? といって良いくらいの燕尾服に身を包んだ男性が所謂ゲンドウスタイルで椅子に座ってこちらを見ていた。

 

 近くには、この部屋の色である青色のワンピースを着た女性と、よく確認できないけど奥の部分に男性らしき影があるから、三人の人物がそこにいるんだろうけど…… まさか、目の前のお爺さんって…… イゴールさん!? といった具合にちょっと混乱してしまった。

 

 私が目を開けたのを確認したのか、老人がゆっくりと口を開く。

 

 

 

「ようこそお越しいただきました姫様、力の管理者の最高位に居られる我らが主と直接契約を交わして、心の内にある仮面の召喚と、ありとらゆる奇跡を起こす力を得た幻想の姫君の写しろの身たる幼子よ」

 

「え?」

 

 

 

 目の前の老人が今は聞くことが叶わないゲゲゲの鬼○郎の父ヴォイスで喋りながら、私を見つめてそんなことを言い始める。

 私としてはいきなりこの空間に来て、訳が分らないというのだから説明が欲しい所なんだけど、といった具合の視線を向ければ長鼻の老人、多分イゴールは何かに納得したように一度頷いてから、立ち上がりこちらに向けて礼をしてくる。

 

 

 

「申し送れました、私の名はイゴール、この空間と、貴女様が生活されておられる世界においてのサポートをするよう、我が主の命を承ったものです、そして私の横にいるのが」

 

「補佐をさせていただいております、エリザベスと申します」

 

「え、えっと、ご丁寧にどうも…… 斉藤 輝夜です」

 

「輝夜様、ですな…… 私達の様な者にもご丁寧に挨拶していただきありがたく思います、本来はもう一人いるのですが、彼の紹介は誠に勝手ではございますが、またの機会にとさせていただきます」

 

「あ、はい」

 

 

 

 自己紹介をして恭しく一礼するイゴールさんに私は立ち上がって、彼らの礼には及ばないだろうけどお辞儀をして自己紹介をしていた。

 そんな私の様子を見て、イゴールさんもエリザベスさんも若干の微笑を浮かべていたけど、アレは子供が背伸びをしてそれを見た大人が浮かべる微笑だ、間違いない。

 ただ、もう一人って…… 奥に簀巻きにされて転がっている方でしょうか? なんてことは問い掛けられない、なんか聞いてしまったら戻れない未知に引きずり込まれそうな気がするし。

 

 まあ、それは置いておいて私が着席して少し落ち着いた時にイゴールさんが、こちらを見つめてきた。

 

 

 

「では輝夜様、貴方は今現在自身の中にある何かにお気づきになられているでしょうか?」

 

「…………」

 

「フム、沈黙ということは肯定と捉えて宜しいのでしょうかな?」

 

「…… はい」

 

 

 

 唐突、本当に唐突にイゴールさんが聞いてきたこと、それはペルソナ全書に意味不明な文章が現れた日から感じていたことだった。

 あの日、あの文章を見た時から、ううん、ずっとそれ以前に転生した時から自分の中に、別のもう一人の強力な力を持った自分とモノがいる事は感じていた。

 

 そのもう一人の自分は、まるで力を解き放てと言わんばかりに私の中で何かを訴え続けているのも、ずっと感じていたことなんだけど、もしも私が前世でプレイしていたあのゲームと同じ力なら、そう考えて誰もいない所で【ペルソナァ!】とか叫んだりしていたけど…… その時は何も出なかった…… そんで中二病に今更罹ってどうする……!なんて思って頭を抱えて、悶絶したのは良い思い出だ。

 

 だけど、もしも、もしもだけど私のやり方が間違っていたら、なんて考えていたけど、どうしてイゴールさんはこんなことを…… って、いや、彼ほどペルソナの事を知っている人はいないか、その上の人(?)は除いて。

 とも、思い直す。

 

 

 

「貴方のお部屋にある本を見られたのならば分ると思いますが、近い内、それも今日もしくは明日中には貴女様には試練と選択の時が必ずやってまいります」

 

「試練と選択?」

 

 

 

 いきなり物騒な言葉が出てきた。

 え、なに? 試練と選択? どういうこと。

 

 なんて考えている私を放っておいて、イゴールさんは更に言葉を重ねていく。

 

 

 

「そう、その時より貴女には試練が訪れ、重要な局面では選択を迫られるでしょう」

 

「そ、それってどういうこと?」

 

「さて…… その具体的な内容は私共には把握する事は出来ませぬ」

 

 

 

 なんだよ、思わせぶりなことを言っておいて頼りねぇなこの長鼻野郎!なんて事を心の中に押しとどめて、私はイゴールさんと向き合っているけど、隣のエリザベスさんにはモロバレらしい、何しろ口元が笑みの形でヒクついているし。

 ただ、イゴールさんは気にしていないのか、気がついていないのか、それは微妙な所と言う所だけど、今までと同じ様子でというか改めてみているとイゴールさんって、人形みたいな感じで感情ってものが希薄な気がするんだけど、気のせい? かな。

 

 まあ、罪と罰とかでも同じ様な態度だったし、これが彼のデフォなのかもしれない。

 

 なんて考えていた私を流して、話は進んでいく。

 

 

 

「ですが、貴女様に与えられた力、それはいずれの世界の契約者達にも当てはまらないようでいて、どれにも共通する力なのです」

 

「当てはまらないようでいて、共通する力?」

 

「はい」

 

 

 

 これは、どういう意味なんだろう? 以前のペルソナ全書の中に現れた文字を、中二病とか言って軽く見ていた私の考えは消えている。

 今はただ、彼の言葉から私の身に起こりうることを把握する事、これを判断する事に全力を注いでいた。

 

 

 

「ですが、今の状態で説明しましても実感は湧きますまい、これからの説明は貴女様がご自身のお力に覚醒された後で、改めてさせていただきましょう」

 

「え、ちょ、ちょっと、ちょっと待って!!」

 

 

 

 いきなり完結させようとするイゴールさんの言葉を聞き、私は驚くと同時に続きの説明を聞こうと彼に対して声を掛けようとする。

 だけど、意識が私の意思とは関係なく待合室でソファに座った時と同じ感覚になっているため、現実の私の目覚めが近いのかもしれない。

 

 

 

「現実では私がお呼びした時よりほんの僅かではありますが時間が動いているようです、それでは貴女様がお力に目覚めた時に再びお呼び出し致します、それまでどうか息災であられますよう」

 

 

 

 もはや私の体は何処も動かせず、思考さえはっきりとしない中でイゴールさんの長い鼻だけが印象に残りながら、私の意識は再びブラックアウトしていくのを自覚しつつ、それをどこか他人事のように思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

 

「えーっとこの辺のはずだけど……」

 

「なのは、どうしたのよ?」

 

「そうだよ、どうかしたのなのはちゃん?」

 

「えっとね、この辺で助けてって声が聞こえたんだけど……」

 

「何もいないよ?」

 

「そ、そそそそそうよ、そ、その変な声が聞こえたって言っても空耳に決まってるわ!!」

 

「あ、アリサちゃんってそういえば、幽霊とかダメ「しゃーらっぷ!!」え、えっとごめんなさい……」

 

「あれ、これって何だろう?」

 

「ビー玉がついたペンダント? だよね」

 

「う、うん……」

 

「誰かが落としたんじゃないのかしら?」

 

「えーと、なのはちゃん、預かっておいてくれないかな?」

 

「えっと、どうして?」

 

「まあ、明日か明後日にでも警察に届けましょうって事よ」

 

「そうだね」

 

 

 

 なんていうやり取りがあったりする。

 原作崩壊とレイハさんピンチ!果たして原作の魔法少女を魔法少女に出来るのか!? とかいって見る。

 

 

 

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