仮面と変態と常識人と 作:あんころもっちー
それから私達はお母さんの作ってくれた、朝ごはんを食べて学校へと向かっていた。
因みに霧島のお弁当はというと、今日はお母さんが持たせたらしい、どうも昨日の睨み合いというか見詰め合っていたという瞬間の中で、何かがあったらしい。
明らかにお母さんの態度と言うか、そんな感じのものが睨み合いの直後から変化していたし、ユーノと霧島の様子も安心したものに変わっていたしね。
ただ霧島の服装が普通に制服だと言うのが気に掛かる。
「どうかした、斉藤さん?」
「いや、というか、家に帰ってないのにどうして制服を着てるのかなって思って、昨日は普通に私服だったし」
「ああ、そのことか……」
隣を歩く私の疑問の視線に気がついたのか、霧島は問い掛けてくるのに私が疑問に思っていることを言うと、霧島は一度考え込むように顎に手を当てていた。
もしかして、昨日の夜に霧島が来ていたバリアジャケットとか言っていた魔法使いの服と同じ技術で、制服を再現しているのだろうか? バリアジャケットが解除されてから私服が現れてたし。
でも、だからと言って通学用の鞄に加えて、教科書まで入っているのは説明がつかない。
霧島にお母さんがお弁当を持たせている時にチラッ、と中身を見た時に明らかに本物だったしね。
どういう仕組みなんだろう? なんて考えていたら、どうやら決心がついたらしい霧島が口を開いた。
「ん、まあ、俺の場合はデバイスであるブリューナクの中に鞄とか制服とかの必需品を格納していたのさ」
「あんたの言っていた、ミッド式だっけ? その魔法って、そんなことまで出来るの?」
「他の連中のデバイスがどうだかは知らんけど、俺は一応は自分のデバイスを弄れるだけの知識が合ってさ、それでデバイスをちょちょいと弄って格納する為の領域を作ったわけだ」
「へぇ、便利なものなのねぇ」
昨日説明を受けたインテリジェントデバイスだけど、相当に便利な品物らしい。
日用品を格納することが出来るとか、便利すぎるじゃない!なんて考えるけど、霧島が言っていた俺の場合という言葉と、他の連中のデバイスは知らないという言葉、まあ、大体の予想はつくけど、所謂ワンオフモデルという奴なのだろう。
これが昨日の夜に霧島とユーノに説明されたミットチルダとやらで主流であれば、こんな言葉はつけないはずだしね。
だけど、この年頃の男の子と一緒に歩いていたら思うことがある。
それは私の鞄の持ち方と歩き方がすっかりと、淑女然としていることだ、何しろ鞄をお腹の辺りの所で手を組んで持っているんだし、しかも足で鞄を蹴らないようにしずしずと歩幅も調整されているときている。
これは全てお母さんの教育の賜物という奴であろう、この世界に転生して私の意識が芽生え始めた時からは、男だった時の仕草でしか行動できなかったのに、今では女の子の行動を体が勝手に取るんだしね。
まあ、お母さんの教育と言うか、私に男の子のような仕草や言葉遣いを見つけた時の教育は凄かった…… うん、本当に、それだけしか言えない。
因みに霧島は鞄を片手で持って背中に向けているから、いかにもこの年頃の男の子の持ち方だ。
なんて考えていたから、最後の私の言葉を最後に私と霧島の間に少しの間だけど、会話と言う会話はなかった。
なかったんだけど、少しして隣を見たら私の歩幅に合わせて隣を歩く霧島が、感極まったように目の幅一杯の涙を流して泣き始めていたのには、流石にビックリしたというかドン引きだった。
気持ちだけじゃなくて体ごと霧島から、思わずと言った感じでずざっとという効果音がなりそうな勢いで、物理的に距離を取った私に気がついたらしい霧島は、慌てて涙を拭うと弁明するように声を掛けてくる。
「い、いや斉藤さん引かないで!これはというか、この涙は、普通の日常を!ポーカーの奴に追いかけられず、後ろの貞操を気にしないで済んだ朝を二年ぶりに迎えられた事の涙なんだ!!」
「え゛? あんたって、二年近くもアレに毎朝のように追いかけられてたの?」
どうやら霧島が流していた涙は、久しぶりに訪れた平穏な登校時間に関してのものだったらしい。
というか、そんな登校時間(後ろの貞操って…… マジな話なのかしら?)を過ごしていたら、常人なら胃に穴が開くのは気のせいかね? 私なら確実に穴が開く自身があるけどね。
だけど、少し疑問にも思う、霧島はアリサとかすずかとかといった金持ちとの付き合いもあったはずだ、これらから護衛を出してもらうとか出来なかったんだろうか。
そう考えた私を見越したように、霧島がどこか儚いとしか表現できない哀愁に満ちた表情で、口を開いていくけど、こんな表情が似合う小学生の人生に転生って…… とも考えてしまう。
「いや、アリサが、さ、最初は護衛をつけてくれたりしたんだけど……」
「だけど?」
「………… 護衛の人が全員…… 掘られるかディープキッスをされてトラウマを持ってしまったんだ……」
「へ…… へぇ……」
正直、霧島の掘られたという言葉を聞いた瞬間、私はアレに抱きしめられた初日の出来事を思い出していた。
あの日、もしも霧島とアリサが助けに来てくれなかったら、間違いなくアレはイク所までイッていた。
そう言い切れる自身がある、どうしてかって? 女の子の体になってから、そういう性的なもの、視線とか感情とかに鋭くなった自覚がある。
だから、もしも二人が止めてくれなかったら、私はあの場からは場所が移されたでしょうけど、そういう行為をアレによってされていただろうという、確信もある、あるけど、そこまで考えた瞬間、私の体をおぞましいナニかが駆け抜けるような感覚に襲われたのは、言うまでもない。
「じ、じゃあ、霧島が何時も一人で登校していて、アリサ達がいつも申し訳なさそうというか、泣きそうな表情をしているのは」
「これ以上SPの人に犠牲者を出すわけにはいかないし、奴を相手どってどうにかできるのが、俺か恭也さんくらいしか居ないからな」
「だから、一人で相手をしてるの?」
「いや、一人じゃないさ、恭也さんも俺と一緒に戦ってくれてるからな、これほど心強いことはない」
なんだろうか、この疑似シリアス時空というか、シリアルな雰囲気というかというのは、私が疑問に思っても仕方が無いんでしょうけど、間違いなく考えてしまう事でもある。
それに、ようやく思い出したこともあるし、霧島がいっていた恭也さんって【高町 恭也】の事でしょうね。
何度かなのはの家に遊びに行った時に、遊びに来た私たちにイケメンが自然に浮かべる爽やかな微笑を浮かべて挨拶をしてきてくれるし、気を使ってくれてるのかお菓子やジュースを持ってきてくれる人だしね。
よく覚えていたりするけど、確かあの人ってとらいあんぐるはーと3の主人公じゃなかったっけ? でも、今は関係ないか。
その上、三年に上がってアレに遭遇した初日にアリサの車の中で、霧島と一緒に見送った人なのも、今思い出していたりする。
「…… いや、まあ、ね、どう言って良いか分らないけど、何か相談したいことあったら言いなさいよ」
「ありがとう斉藤さん、でも、あの変態を直接相手にするのは、男の俺達の方が適任だしね」
「だから、直接相手にするのは自分達に任せろ、と?」
「ああ」
何このイケメン、なんて考えた私は悪くないと思う。
この精神がオッサンな俺じゃなかったら、男らしい事を言い切った霧島の微笑みに堕ちていたかもしれないな。
そう言い切れる位に魅力的な笑みを浮かべていた、きっと、こういうところになのは達は惹かれていったんだろうね。
というか、本当に霧島の胃に穴が開かないかどうかが心配だ。
さっき、私と一緒に歩いている時に見せた涙って、多分というか確実に本心からのものだっただろうし、どんだけ良い奴なのよ霧島は…… とも思える。
「…… あー 霧島」
「なんだい、斉藤さん?」
「今日から私はアンタのこと、和真って呼ぶから、あんたも私を名前で呼んでくれない?」
「え?」
まあ、そんな感じに私達を守ってくれている霧島を、何時までも名字で呼ぶのは失礼かね。
なんて考えて、私の事を名前で呼ばせようとする。
それに、ユーノと初めて出会いペルソナを召喚した夜に、これからあのジュエルシードって言う宝石を集めなくちゃいけなくなったし。
だからきり、和真と協力しないといけないんだしね、余計に信頼を築いておかないと不味い事にもなりそうじゃない。
「え、えっと、どうして急に?」
「まあ、当然の疑問よね」
「あ、ああ」
「簡単に言えば、今まで私の事まで守ってくれてた、貴方へのお礼とこれからジュエルシード関係で、付き合いが長くなりそうだからね、それに友達を名前で呼ばないって言うのも変でしょ?」
「ああ分ったよ…… か、輝夜……」
私の突然の言葉にビックリというか、疑問の色を強く浮かべる和真の様子は当然といえる。
今まで名字で呼んで来た私がいきなり、名前で呼んで、だからね。
まあ、私が逆の立場でも疑問に思うだろう。
和真の疑問に答えるために一息で言い切った言葉を、和真は黙って聞いていた。
それから納得したように一度頷いて和真は私の名前を、少し頬を染めて照れくさそうに呼んでくる。
なんか甘酸っぱい空気が漂っている気がするが、気にしないことにしよう、私の鞄から顔を覗かせているユーノが和真に向けて少し白い視線というか、微妙な視線を向けているのは気にしない方が良いかしらね。
きちんとアンタの事は覚えているから、忘れてるわけじゃないわよ。
それから私達は何時も乗っているバスよりも一つ早いバスで、学校へと着いて教室に入っていた。
いつもとは違ってまだ生徒の数が少ない教室の中、ちょっと珍しいと考えながら、自分の席に鞄を置いて教科書を入れた。
その後はまあ、登校してきたアリサやすずかになのはと和真の事を名前で呼んでいることで、少しだけ悶着があったものの、教師が教室に入ってきたから中断されるのだった。
ただ、今日の朝は本当になんか不安があるくらいに平和だった。
そう思っていたら。
「えー それではHRを始めますが、まず最初にポーカー君が昨夜路上に倒れていたため、現在病院に入院しております」
あ、そうだ、ポーカーの奴が居ないのか。
だから、凄く平和だったわけか、なんて納得していたら、それは他のクラスメイトも同様だったらしい。
だって、私と同じ表情をしているしね。
ただ、和真の顔が凄く嬉しそうというか、感激の涙まで流しているけど、そんなに嬉しいのか…… 嬉しいんでしょうね。
「警察の話では外傷はなかったそうですけど、一応検査の為という事での入院なので、二週間ほど帰ってこないとのことです」
この言葉を聞いた和真の嬉しそうな表情といったらもう、という感じのものになり、アリサにすずかとなのはも同じ様に嬉しそうなものになっているから、如何にアレが傍迷惑なモノだったのかが良く分る。
私? 勿論のこと皆と同じ表情をしているでしょうね。
ただ、帰ってきた後のことを考えると少し憂鬱になるわ。
そう考えながら、一時間目の授業の教科書を出してから、授業を受ける体勢が整った私を、動物病院でも感じたあの睡魔が襲う。
え、今呼び出すのイゴールさん? なんて考えた私は余裕があるのだろうか。
そして再び訪れるここ、ベルベットルーム、前回来た時と同じ内装に人物ってあれ? あの簀巻きになってた男の人がいないや……
「お久しぶりでございますな、姫様」
はっきりとした意識で周囲をキョロキョロしていた私だけど、すぐに目の前にいるイゴールさんの声を聞いて、意識をそっちに向けざるを得なかった。
だけど、エリザベスさんはどうして私がキョロキョロしていたのかは気付いていたらしく、一歩前に出て来る。
「前回居た、あの馬鹿者は既に駆逐しておりますのでご安心を」
「え、えっと馬鹿者って?」
「私の弟です、ですが貴女さまが来訪された直後に、純粋日本美人な幼女様激萌え!とか戯言を言いだしましたので、お客様に粗相を働く不埒者として私が駆逐いたしました」
「ぐっじょぶです」
えーと、エリザベスさんの言葉を聞いてから私が思ったのは、どうしてここにそんな変態が居るのだろう? ということだった。
純粋日本美人な幼女様激萌え!って…… ロリ? それともペドの類だったのかしら? とくかく言えるのは本当にエリザベスさんぐっじょぶ!だという事ね。
だって、現実でもアレが居るのにこっちまであんなのがいたんなら、これから先お世話になる所なのに、来たくなくなるし。
そう本当に思うわね、でも、イゴールさんも小声で、私もあの一言には本当に驚きました、なんて呟いたから、まあ、間違いないんでしょうね。
なんて、こんなやり取りをしていたけど、イゴールさんは一度咳払いをすると私達全員の意識を向ける。
「では、今回お呼びした理由を説明させていただきたいのですが、よろしいかな?」
「あ、はい」
そうだった、ここに呼ばれたということはペルソナ関連だろう。
2まではフィレモンが出張ってきてたけど、どうしてイゴールさんが説明役なんだろうか。
なんて考えた私だけど、それは心の内に秘めてから、イゴールさんの言葉に頷いて続きを促していた。
「まずは、私の言った試練の時は無事に過ぎ去り、もう一つの心、ペルソナを操る力を得たようですな」
「ええ…… とりあえずはね、拳銃を使わないといけないみたいだけど」
「それは結構、それと我が主よりお聞きしておりますが、貴方はペルソナについてはご存知とのこと、私の方から説明を行わずとも良い、と窺っております」
「そうね…… ペルソナという力の概念に関しては知ってるつもりよ」
…… イゴールさんは今、我が主から聞いた、そうはっきりと言ったわね。
もしかしたら主とやらがフィレモン(確実にそうでしょうけど)だったなら、私がこの世界に転生したのに、直接関わっているのかもしれない、何しろ私には前世の自身が死ぬ前の大体1年間ほどの時間が記憶から抜け落ちているのだ。
自分が死んだ瞬間が分らないのに、どうして一年もの記憶が抜けているのかが分るのか、それは直感としか言いようが無い、既に磨耗し始めているけど、死ぬ前の時間に【何かが合った】とはっきりと覚えている、だから、そう思っているだけなのだけどね。
でも、それを考えればおかしくはない、だけど、今、彼らに質問した所でなんらかしらの答えが返ってくるとも思えない。
だから、聞くべきこと、それを明確にしないとね。
「じゃあ、質問をいいかしら?」
「ええ、どうぞ」
私が聞きたい事、それは和真が呟いていたあの事だ。
和真は私の初期ペルソナのアルカナが【愚者】だったら、厄介なことになるって呟いていた。
それがどういうことなのかを知りたい、和真は結局答えなかったしね。
「私のペルソナ、アルカナが愚者でワイルドと言われる存在らしいけど、ワイルドって何かしら?」
「ほぅ…… それをどこでお聞きになられたのですかな?」
「質問に質問で返すのは礼儀に反するわよ」
「そうでございましたな」
私は見逃さなかった、ワイルド、そういった瞬間、一瞬だけだけど二人が目を見開いて驚いた様子を見せたのをね。
確実にこいつらも何かを知ってる。
そう私に思わせるには充分だし、次にイゴールさんが質問してきた言葉でも確信が持てた。
様子こそいつもと同じだけど、少しだけ変わった雰囲気に尻込みせずに言い返せば、イゴールさんは少しの間目を閉じて開いてから口を開いた。
「貴女様は、ペルソナの他に力を持っておいでなのです」
「それが、ワイルド、そう呼ばれる力のこと?」
「左様でございますな、他者と貴女様との絆が本当の力となり運命を打破する力、逆転のカード足りえる力でございます」
「…… そう」
説明を聞く私だけど、何かが足りない気持ちの悪さが胸の奥にやってくる。
なんなのだろうか、一番大切な、聞かなければならないことを聞いていないという、この不快な感じは。
そう考える私を無視しつつ、イゴールさんは感情が読めない薄い微笑のまま説明を行っていく。
「この力の奥底に眠る本当のものを使うには他者、貴女様とご友人方との絆、これが重要となります」
「……」
「他者の方々と築かれた絆は、召喚するペルソナに更なる力を与えて貴女様のお役に立つことでしょう」
「…… そう」
「ここまでの説明で、何かご質問はございますかな?」
説明を聞いた私だけど、はっきりと言って重要な事が抜け落ちている。
そう思わせられる説明だった。
「じゃあ、質問、大丈夫かしら?」
「どうぞ」
それを聞かなければ、と考えて私は口を開くと、イゴールさんの了承の言葉を聞いた後、私は口を開く。
「他者との繋がりとか絆とか言っていたけど、普通に友達として日常を過ごしていけば、貴方の言う絆が築かれていくのかしら?」
「左様でございます、貴女様が普段お付き合いされているご友人方、彼らとの日常を過ごす事で深まる絆がペルソナと貴女様の力となってゆくのです、それは、その方にとって深き場所を知れば知るほど強くなっていくものでございます」
「成程ね…… 私は皆との日常を過ごしていく、そうする事でより絆は深まっていき、私自身のペルソナを操る力も増していく、そういうこと?」
「そういうことですな」
私の質問、これに答えたイゴールさんだけど肝心な事に答えていない、どうして私にそういった力が宿ったのか、なぜ皆と日常を過ごしていく事で力が増していくのか、ということを。
だけど、私の中にあるペルソナシリーズの記憶を辿れば、私がここで質問したとしても彼らは答えないだろうし、より難解な言葉遊びをされる恐れもある。
だからこそ、私は和真の言葉の中で気になることがあったもう一つのことを質問する。
「それと、ワイルドの力を持った人間は厄介事に巻き込まれるって聞いたけど、それが選択の時って奴なの?」
「フム、その事をご存知でおられましたか……」
「やっぱり、何かを知っているのね? 答えてもらえる? その選択の時ってものがどういうものなのかを」
「私共が何かを知っているという問いはYesと答えさせていただきましょう、ただ、今の時点では我が主より口止めされている関係上、お答えするわけにはいきませぬな」
イゴールさん達はやっぱり何かを知っている、それが分っただけでも今の状況では充分な収穫だ。
なにしろ、こっちは分らない事だらけなのだ、言葉遊びでこっちを煙に巻くようなことを言われるよりは、マシだ。
「おっと、本日はここまでのようですな、絶対なる死の運命が訪れし宇宙と繋がってしまったことによるゆりかごの中での選択の時、貴女様がどういった選択を取られるのか、その選択次第でこの部屋に再び来ることが出来るかできないかが、決まりますな」
だけど、ここで私に強烈な眠気とも覚醒への欲求ともいえる不思議な感覚に襲われながら、ブラックアウトしていく意識の中イゴールさんの言葉を聞き逃さぬように聞いていく。
絶対に、ここに重要なヒントがあるだろうから。
「彼とはまた違うもう一つの宇宙、それを持つ貴女様ならば、この世界、この次元にて起こっている事を解決できましょうぞ」
全ての言葉、それを頭の中に必死で刻み込みながら、私は現実世界へと回帰し行く感覚を感じて、全ての意識を閉ざしていった。