ガンダムビルドダイバーズ Twin-Dive-漆黒の戦乙女-   作:陽@曜花推し

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電脳仮想空間GBNにおいて、特定のフォースに所属せず、高難度の依頼を冷徹にこなすフリーの傭兵「ヴァルキリー姉妹」。
妹のリーア(一ノ瀬リシア)が前線で様々な高性能機を乗り回し、姉のヴェル(一ノ瀬ベルファ)が裏方としてそれを支えるスタイルで、彼女たちは数々の戦果を上げてきた。
しかし、リーアが使わされていた数々の名機は、すべて「ある一機のガンプラ」を完成させるためのデータ収集に過ぎなかった。
ついに完成した至高のオリジナルガンプラ『ガンダムヴァルキリー』。二人で一機を操る最新鋭の「複座式(ツインプレイス)」システムを引っ提げ、双子の姉妹は新たな戦場へとダイブする。だが、その初陣の地で、彼女たちはGBNの根幹を揺るがす運命の出会いを果たすことになる。



第1話:ツイン・ダイブ!戦乙女(ヴァルキリー)降臨

 

 

「えーっ! また機体変更!? こないだまでストフリ使ってたのに、今度はデスティニーなの!?」

 

プライベートドックのコンソール前で、プラチナブロンドのサイドテールを跳ねさせながら、リーアは不満げに声を上げた。パンクスタイルのスカートを揺らし、小柄な体を精一杯使って身振り手振りで抗議する。

 

そんな妹の様子を、まったく同じ顔、同じ146cmの小柄な体躯を持つ双子の姉——ヴェルは、和服の袂を上品に整えながら冷静に見つめていた。

 

「文句を言わないでください、リシア。ダブルオー、フリーダム、クアンタ、デスティニー……それらすべての機体をあなたに実戦で動かしてもらったのは、簡易的なテストに過ぎません」

 

「テストって……あんな激しい傭兵稼業をさせといて!?」

 

「ええ。すべては——この子を完全に覚醒させるための、貴重なデータ取りです」

 

ヴェルがコンソールの画面を軽くタップする。

次の瞬間、ドックのセーフティロックが解除され、中央のカタパルトから巨大な影がせり上がってきた。

 

「……え?」

 

リーアの言葉が止まる。

そこにいたのは、フリーダムガンダムの美しいシルエットを持ちながら、全身を不気味なほどに引き締まった「漆黒」で染め上げた、全く新しいガンダムだった。

 

背部にはデスティニーガンダムを彷彿とさせる強固なマウント方法で大型ウイングが配置され、腰部には怪しく輝く実体剣が収められている。

 

「ベース機はありません。私が一からパーツを切り出し、成形し、あなたの戦闘思考パターンに合わせて作り上げたオリジナルガンプラ……『ガンダムヴァルキリー』です」

 

「すご、カッコいい……! でもヴェル、これコックピットが二つあるよ?」

 

驚くリーアに、ヴェルは理知的な瞳をわずかに細めて微笑んだ。

 

「最新鋭ツインプレイス——複座式システムです。直感で動くあなたの白兵能力と、私の火器管制・システム最適化を完全に融合させます。これからは裏方ではなく、私も共に戦場へ立ちます、リシア」

 

「ヴェルと一緒に……。よーし、最高じゃん! 早速テストバトルに行こう!」

 

拳を握りしめて飛び跳ねるリーア。二人はそれぞれのシートへとダイブインした。

 

 

---

 

「システム:ダイブモード。エリア:未開拓岩砂漠ディメンション。バトルスタート」

 

乾燥した赤茶けた大地。そこに、漆黒のガンダムヴァルキリーが静かに降り立つ。

前席には挙動操縦を担当するリーア、後席にはシステムを統括するヴェル。

 

「機体各部、エラーなし。直列結合型ダブルドライヴ、始動します」

 

ヴェルの操作により、背部で前後に直列ドッキングされた2基のGNドライヴが駆動を始める。第二世代ガンダムを思わせるスリースラスター型のノズルから、淡いバイオレットの粒子が細く吹き出された。出力はツインドライヴのような乗算ではない。しかし、2倍止まりの出力を、ヴェルの並列演算が極限まで無駄なく最適化していく。

 

「行くよ、ヴェル! テスト用のAIを蹴散らしちゃうんだから!」

 

前方から現れたのは、エリア生成された数十機のジンやハイザックの群れ。

リーアが操縦桿を押し込むと、ガンダムヴァルキリーは空間を爆るようなトップスピードで加速した。

 

「右から三機、来ます!」

「見えてる!」

 

腰部のサイドスカートから引き抜かれたのは、2振りの最新鋭実体剣『GNバスターソードⅢ』。エッジ部分に採用された高硬度GN粒子結晶素材が、鮮烈なバイオレットのクリアエッジとして輝く。

 

キィィィンッ!

 

すれ違いざまの一閃。物理的な質量とGN粒子の圧倒的な破壊力が融合した刃は、敵MSの装甲を紙のように切り裂いた。

 

「すごい! めっちゃ思い通りに動く! 追従性が前の機体と全然違うよ!」

「当然です。あなたの挙動予測データをすべて反映していますから。……ですが、浮かれすぎては困ります。……ん? 異常アラート?」

 

ヴェルのコンソールに、突如として真っ赤な警告灯が点滅した。

 

「未確認のダイバー反応多数。このエリアの生成データではありません。……これは、違法な改造プログラムを施された機体群です」

 

---

 

 

 

岩陰の向こうから現れたのは、全身にどす黒い電子ノイズを纏った、不気味なデスアーミーの集団だった。その数は数十機。そして、その集団が執拗に攻撃を仕掛けている「中心」に、リーアの目が留まる。

 

「あれって……女の子?」

 

そこには、GBNのアバターとしてはあまりに幼い、小学校低学年ほどに見える巫女服姿の少女がいた。少女は怯え、逃げ場を失って砂漠にへたり込んでいる。

 

「チッ、あんな小さい子を寄ってたかって……! ヴェル、助けるよ!」

「データ外の戦闘ですが……放っておけば機体ごと消去されかねませんね。了解しました、火器管制を完全にこちらへ。露払いをします」

 

ヴェルの指先がキーボードの上を激しく踊る。

背部の戦術複合バインダー『ウイング・オブ・ヴァルキリー』の隙間から、表面を滑り出すように8基の小型ブレード型端末『GNドラグーン・ファング』がパージされた。

 

「いけ!」

 

ヴェルの超並列演算によって制御された8基のファングが、縦横無尽に宇宙を舞う。それは少女を包囲していたデスアーミーの武装や関節を、一瞬にして正確無比に撃ち抜いていった。

 

「ナイス、ヴェル! 残りは私が一網打尽にする!」

 

リーアがコントロールを引き継ぎ、機体を大きく跳躍させる。

 

「出力を最大へ同調。……システム、トランザム!」

 

> **「TRANS-AM SYSTEM START」**

 

直列ダブルドライヴが激しく咆哮し、濃密なバイオレットのGN粒子がディメンション一帯に吹き荒れる。赤紫色のオーラを纏ったヴァルキリーの背部から、ガンダムDXに似た2門の巨砲『GNバスターキャノン』のアームがスライド。脇の下を潜り抜けるようにして前方へと展開し、専用グリップをリーアががっしりとホールドする。

さらに手持主兵装『トリニティ・バスターランチャー』を正面に構え、全エネルギーをそこに集中させた。

 

「人の大切な場所で、何勝手なことしてんだぁぁぁーーーッ!!」

 

リーアがトリガーを限界まで引き絞る。

 

**ズドォォォォンッ!!!**

 

3条のバイオレットの極太熱線が一本の巨大な光の濁流となり、押し寄せていた違法MSの集団を、その防壁ごと分子レベルで跡形もなく消滅させた。

 

砂漠に静寂が戻る。爆炎を背に、漆黒の戦乙女はゆっくりと着地した。

 

---

 

### エピローグ

 

> **「ミッション・コンプリート」**

 

戦闘が終わり、リーアとヴェルはコックピットハッチを開けて外へと降り立った。

岩陰で小さく震えている巫女服の少女に、リーアが屈んで目線を合わせる。

 

「もう大丈夫だよ。怪我はない? 私はリーア、こっちはお姉ちゃんのヴェル。君の名前は?」

 

少女は怯えた様子で二人を見上げ、小さな声を絞り出した。

 

「み、みーしゃ……。わたし、ミーシャ……」

 

「ミーシャちゃんね。よし、私たちのフォースネストに行こう。美味しいお菓子もあるよ!」

 

リーアが差し伸べた手を、ミーシャはそっと握り返す。

しかし、その様子を後ろから見ていたヴェルは、自身の携帯端末に表示されたデータを見て、息を呑んだ。

 

(……おかしい。彼女のアバターデータ、通常のダイバー登録コードが一切存在しない? それに、この全身を流れる奇妙な電子ノイズのパターンは、まさか——)

 

「ヴェル? どうしたの、難しい顔して」

「……いえ、なんでもありません。行きましょう」

 

ヴェルは端末を閉じ、妹と謎の少女を見つめた。

この出会いが、彼女たちをGBNの深淵へと誘うトリガーになると、この時の二人はまだ知る由もなかった。

 

 

 

(第1話 終)

 

 




保護した少女・ミーシャ。彼女の正体を探るため、ヴェルは旧知の仲であるトップダイバー「クジョウ・キョウヤ」への接触を試みる。
しかし、そんな彼女たちの動向を監視する、新たなる漆黒の影が迫っていた。
次回、『ガンダムビルドダイバーズ Twin-Dive -漆黒の戦乙女-』

第2話:「アヴァロンの光、深淵の呼び声」

ツイン・ダイブ! 漆黒の翼が、新たな真実を切り裂く!
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