フェニックス・ファイナル・クラッシュによる赤、青、黄、緑、銀、そして桃色のエネルギー光線により、変異化忍サソリーナは倒され、そして、紫の爆炎となって自爆した。
もはやサソリーナの姿形はそこにはなく、自爆した後の硝煙が周囲に立ち込めている。
たが、その煙の中から別な人影が姿を見せ、それと共に立ち込めていた煙も晴れていく。
そして、煙が消え失せたところで、その人影はハッキリと五人のフェニックスたちの前に姿を現したのだ。
そして、この破壊され尽くした感もある院長室に突如として冷たい拍手の音が響き渡る。
パチ、パチ、パチ、パチ……
「さすがはフェニックスの皆さん、いつもながら見事な連携ですこと。所詮、サソリーナの浅知恵など、あなたたちの敵ではなかったようね」
そう、院長室に立ち込めていた煙の中から姿を現したのは、チグルマンの女司令官、シノアヤメだった。
そして、それを見たグリーン・フェニックス烈が剣を構え直すと
「シノアヤメ……! 貴様、最初から見ていたのか!?それなら、何故、サソリーナを助けようとしなかった!」
悪の女幹部に向かって厳しい口調で問う。
だが彼女、いや、シノアヤメは、妖艶かつ冷酷な笑みを浮かべると、その右手に持っている剣を鋭く前に構える。
「えっ、サソリーナを助けるって、この私が? 冗談を言わないで。……桐谷沙耶、あの女の身の程知らずな野心は、こちらからすれば、正直、以前から少々目障りだったのよ。権力欲の強いあいつはチグルマンの大幹部たるこの私の地位を脅かそうとさえしていた、身の程を弁えない毒蠍は、ここで、あなたたちフェニックスに処理してもらうのが一番合理的でしょう?」
そう、シノアヤメにとって、サソリーナが勝てば儲けもの、負けても目障りな不穏分子を合法的に排除できるという、最初から冷徹な計算の上での傍観だったのだ。
「なるほど、たとえ自分の仲間でも、目障りなら見殺しにするというのは、シノアヤメ、確かにあなたらしいわね」
感情が激しているグリーン・フェニックス烈とは異なり、ピンク・フェニックス鳳桃香は醒めた言い方をする一方で
とうやらチグルマンの内部にも、かなりの権力争い、派閥抗争がありそうね…
そう、内心で呟く。
「それにしてもシノアヤメ、お前は、この『フェニックス・イマージョン・ゾーン』の結界の中に、どうやって、今、入り込んできたんだ?」
これはブルー・フェニックス竜也の、シノアヤメに対する問いかけだったが
シノアヤメは、あっさりと
「あら、私は最初から、この病院、サソリーナ・ホリスティック・メディカルセンターの中に病院職員に成り済ましていたわよ。そして、それはサソリーナも当然知っていた」
何事もなさそうに、そう答えた。
「えっ、ということは、サソリーナは知ってて、あなたに助けを求めなかったの?」
これはイエロー・フェニックスりりかの問いである。
「ええ、あいつは…」
シノアヤメは、そこで、いかにも愉快そうに
クックックックッ
と笑う。
「お前、何がおかしいんだ!」
これはシルバー・フェニックス凱
「ええ、だって、私は助けてあげてもいいけど、その借りは必ず倍返しでしてもらいますからね、とサソリーナに言っておきましたから。あいつ、やっぱり、私に借りを作りたくなかったんでしょう」
そう、まるで死んだ『仲間』を嘲笑するかのようにシノアヤメは言ってのける。
「ああ、やだやだ、そんな話を聞くたび、チグルマンって悪の組織なんだって、あらためて実感させられるわ」
ピンク・フェニックス桃香が皮肉を込めて、シノアヤメに向かって言った。
だが、シノアヤメの冷酷な計算はそれだけに留まらなかったのだ。
「それに、そう、サソリーナの死にも、まだ使い道はあるのよ。チグルマンの栄光のために、最後のご奉公をしてもらいましょう」
そのシノアヤメの言葉に
「シノアヤメ、あなた、まさかっ!!」
ビンク・フェニックス桃香は、思わず冷静さを失い、叫んでしまう。
そう、彼女には
シノアヤメの次の行動が予測できたのだ。
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「フフフッ、あら、ピンク・フェニックス。よく分かっているじゃないの!」
シノアヤメは嘲笑まじりの笑顔を浮かべると、その手にした雷光剣を、先ほどサソリーナが倒された場所の方角へと向け、そして、それを振り上げる。
「とは言え、私も死せる変異化忍の巨大化は初めてですけどね」
呟きながら、彼女は言霊を唱えたのだ。
「咲けよアヤメ!、死せる魂よ、今一度甦り、巨大なる異形へと化すのだ!」
そして、それに続く言霊を放つ。
「変異転生、巨大妖魔、招来!!」
その上でシノアヤメは雷光剣を大きく振り、そして先ほどサソリーナが倒された場所に雷撃を放ったのだ。
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ!!
雷鳴、そして
バリバリバリバリバリバリッッ!!!
雷撃が、先ほど自爆して跡形もなくなっていたはずのサソリーナを今ひとたび甦らせ
「サソリーナの怨念と魔力よ、今一度蘇りなさい! 巨大化せよ!」
シノアヤメの強大な魔力により、雷光剣から放たれた光は次第にサソリーナの姿形となっていき
そして、それはみるみるうちに巨大化すると、病院の天井を突き破り、結界の限界を押し広げるようにして、数十メートルの巨体へと膨れ上がっていこうとする。
「クカカカカカカカカカカカカーーーッ!!」
巨大化しつつあるサソリーナの奇怪な叫び声
「どうやら実験は成功、死せる変異化忍も、使い魔たちと同様、巨大獣として再生可能な事は分かったわ」
嬉しそうにシノアヤメは言うと
「ふふふ、それではお先に失礼します。精々、巨大な絶望に、この病院もろとも踏み潰されるといいわ」
そう不敵に笑いながら雷光剣を一振する。
スッ!!
たちまち彼女の姿はその場から消えた。
ピンク・フェニックス桃香はヘルメットの奥で、唇を強く噛む。
この病院施設の中にはブルー・フェニックス竜也とイエロー・フェニックスりりかが急遽用意したフェニックス・イマージョン・シールドという応急処置の結界にかろうじて守られているだけの少なくない入院患者がいるのだ。
そんな中で復活サソリーナが巨大化する事で病院施設そのものを全面破壊してしまったら…
今、結界でかろうじて保護されている入院患者たちを、どうやって守ればいい…
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「桃香、悩んでいる場合じゃないだろ!」
ここでブルー・フェニックス竜也が、幼馴染みでもあるピンク・フェニックス桃香を叱咤するかのように大声をあげる。
「ええ、そうね竜也。やるっきゃない!!」
冷静さを取り戻したピンク・フェニックス桃香は即答する。
それを確認したブルー・フェニックス竜也は、今度は
「烈、凱、りりか、いいか、ここが正念場だ。俺たちの力、今こそ発揮する時。ここでやらなきゃ、後はない!!」
残るフェニックス三人のメンバーを今度は叱咤する。
「ああ、竜也さん。こうなればやるしかない!!」
まずグリーン・フェニックス烈が応える。
続けて
「やるっきゃないっしょ、こちらスタンバイオッケー!!」
と凱が続き
そして
「竜兄ちゃん、私も行きます!!」
イエロー・フェニックスりりかが決意を示す。
だが、そうしているうちにもシノアヤメの魔力によって復活サソリーナが巨大化し続け、その膨大なエネルギーの膨張で病院の天井や壁がメリメリと割れ始めていく。
「このままでは入院している患者さんたちが押し潰されるわ。皆、行くわよっ!!」
ピンク・フェニックス桃香の号令に、ブルー・フェニックス竜也をはじめとする他の四人は一斉に
「おうっ!」
その決意を示す掛声をあげる。
そして五人全員が印を結び、結界の出力を最大にすべき、気を集中したのだ。
「フェニックス・イマージョン・ゾーン、フルドライブ!!」
フェニックスの五人全員が異口同音に言霊を唱和する。
フェニックス・イマージョン・ゾーン、フルドライブ
それは 不死鳥忍法による天地反転、そして空間離脱の術のことである。
そして
巨大化する復活サソリーナとフェニックスの五人だけが、光の輪(結界)に包まれる。
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ……
光の結界は破壊されかかっていた病院の建物をすり抜けて、病院の敷地外の荒野などのミラー空間へと強制的に移動していく。
そして復活サソリーナ怪人が巨大化を完了した時には、すでに周囲には病院も患者もおらず、雲の上、あるいは隔離された広大な空間になっていたのだ。
破壊されかかっていた病院施設と入院患者たちは、その空間から少し離れた地上にそのまま取り残され、その安全が確定した状態となった。
「皆、ありがとう!!」
ピンク・フェニックス桃香の号令のもと、フェニックスの五人全員は結界のための印を解く。
これなら、もう、巨大獣と化した復活サソリーナがどれだけ暴れようが、思う存分、戦える。
早速
ピンク・フェニックス桃香は自分の小型戦闘機であるピンク・ファイターを
ブルー・フェニックス竜也は自分の小型戦闘機であるブルー・ファイターを
それぞれ無線で呼び出す。
そしてイエロー・フェニックスりりかがヘルメットに内臓されているマイク音声を使って、現在、自動操縦中のイエロー・ファイターの中にいる智花に向かって話しかける。
「智花、聞こえる!?」
直ぐにイエロー・ファイター内の智花から返事が返ってきた。
「え、ええ、りりかなの??」
智花の返事がイエロー・フェニックスりりかの耳に聞こえてきた。
「今から私がイエロー・ファイターの操縦をするから、一回、そこの操縦席にある赤い非常用ボタンを押して!それで自動的に着陸はしてくれるから。そしたら私が強引に乗り込むわ」
そのイエロー・フェニックスりりかの言葉に、イエロー・ファイター内の智花は戸惑う。
「えっ、私、小型戦闘機の免許なんか持っていないけど、そんなことしていいの?」
だが、イエロー・フェニックスりりかは
「緊急事態よ、いいわよ!何かあったら私の責任。烈さんはピンク・ファイター、凱さんはブルー・ファイターに乗って、そこから、それぞれグリーン・ファイター、シルバー・ファイターに乗り移るけど、助手席には一人しか乗れない。智花、あなたにお願いするしかないのよ!」
キッパリと親友に向かって言い切った。
その彼女の言葉に智花も決意を固める。
「分かったわ!、赤いボタンね!!」
グリーン・ファイター、シルバー・ファイター、そしてイエロー・ファイターに、それぞれの操縦者か乗れば
それぞれの機体に避難していた智花、伊賀工作員03号、そして松岡優香里の三人は地上に降りてもらい
その上で本来の操縦者たちが戦闘に入ることになる。
問題は意識があるとは思われない松岡優香里だったが
イエロー・フェニックスりりかは、そのサポートを親友である智花に頼むつもりだった。
勿論、体力的には弱っているものの
老人、伊賀工作員03号にも協力はしてもらうつもりだ。
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「智花、ありがとう。頼むわよ!」
イエロー・フェニックスりりかの言葉に
「ええ、ここまで来たら毒食わば皿まで、私も頑張るから!」
言いながら智花は上を見上げ、既にグリーン・ファイターに乗って上空にいるグリーン・フェニックス烈のことを思う。
烈さん、私も頑張るから…
「おじいさんもお願い。大丈夫、私たちが安全を確保するから!!」
続けてイエロー・フェニックスりりかは、伊賀工作員03号に向かって言う。
実は初対面だったが、同じ伊賀忍者の末裔であるという、この老人に後を託す
イエロー・フェニックスりりかに迷いはなかった。
「ああ…、任せてくれ…」
体力的にはかなり弱ってはいるものの、老人、伊賀工作員03号も、そう答える。
一方、看護師の松岡優香里は虚ろな表情をしたままだったが…
「じゃ、りりか、行きますっ!!」
イエロー・ファイターの運転に入るイエロー・フェニックスりりか
これから五機の小型戦闘機、フェニックスのファイターたちは合体し
巨大サソリーナと戦うのだ。
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「行くわよっ!、不死鳥無敵合体っ!!」
「
桃香の通信機を通じた号令。そして異口同音に応じた四人。
そしてビンク、ブルー、グリーン、シルバー、イエロー五機のファイターが空中で一つになる。
まず、シルバー・ファイターが最上空へ舞い上がると、機首を折り畳み、胴体中央が展開。巨大なロボットの胴体と、勝利の王冠を思わせる頭部に変形する。
続いてブルー・ファイター、イエロー・ファイターの二機が水平に並ぶと、巨大ロボットの右脚、左脚の形へと姿を変え、シルバーが変形した胴体下部へとドッキング。
そして巨大な下半身部分が大地に
ズシイイィーンッ!!!
と降り立った。
「脚部、合体完了!!」
ブルー・フェニックスの声。
そしてグリーン・ファイターが胴体左側に
ピンク・ファイターが右側に並び立つと
それぞれが翼を折り畳み、機体が分割・再構成され、巨大な右腕と左腕となり、胴体へと接続される。
「接続完了!」
それを合図に、五機のエネルギーが循環すると、頭部の『不死鳥の眼』が眩い輝きを見せる。
五機が合体し、一つになった瞬間、巨大な鋼鉄の不死鳥ロボットが大地を揺るがした。
その全高は優に六十メートルを超える巨大ロボット。
シルバーとゴールドを基調とし、肩や胸部にはグリーン、ピンク、ブルー、イエローのパーソナルカラーが輝く不死鳥たちの愛機
その名はフェニックス・ガイオーである。
「合体完了! フェニックス・ガイオー!!」
チームリーダーであるピンク・フェニックスが操縦席中央で宣言する。
「クカカカカカカカカカカカカーーーッ!!」
結界に閉じ込められ、錯乱する巨大獣サソリーナは、そのままフェニックス・ガイオーと向かい合うことになった。
今、巨大な者たちの戦いが始まる。