不死鳥忍者部隊ザ・フェニックス   作:shpfive03

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巨大獣サソリーナ、その最期

 

巨大ロボ、フェニックス・ガイオーが換装完了し、そのまま巨大獣ドクサソリオンと対峙する。

 

「クカカカカカカカカカカカカーーーッ!!」

 

結界に閉じ込められ、錯乱する巨大獣サソリーナは、そのままフェニックス・ガイオーと向かい合い、そして咆哮する。

 

一方で

 

それと向かい合うフェニックス・ガイオーの操縦席に座るフェニックスの五人

 

本来なら

 

中央はピンク・フェニックス

 

右上にはイエロー・フェニックス、右下にはブルー・フェニックス

 

左上にはシルバー・フェニックス、左下にはグリーン・フェニックスが

 

それぞれ着席する事になっている。

 

だが、本来なら中央、つまりセンター席に座るはずのピンク・フェニックス桃香は、あえて立ち上がると、目の前の巨大獣サソリーナへの憎しみと怒りに体を震わせているグリーン・フェニックス烈の肩を軽く叩いた。

 

そして

 

「烈くん、場所を代わって。……今日は、あなたが、この『センター席』に座りなさい」

 

「えっ?」

 

その言葉に思わず驚くグリーン・フェニックス烈

 

「桃香さん……? でも、そこはチームの要である貴女(あなた)の席に決まっているはずの…」

 

だがピンク・フェニックス桃香は穏やかだが、揺るぎない意志を込めて目の前のグリーン・フェニックス烈を見つめた。

 

「烈君、貴方(あなた)の中には、今、誰よりも強く、明日を守るための『炎』が燃えている。……その炎こそが、今のガイオーを動かす本当の鼓動になるの。……さあ、烈君。あなたのその手で……智花さんが、そして、みんなが安心して眠れる『明日』を取り戻してっ!、それが今の貴方の使命」

 

その言葉にグリーン・フェニックス烈は一瞬、絶句し

 

「桃香さん、さっきは僕にサソリーナと戦うなと言ったのに、どうして……」

 

戸惑いを隠せない。

 

だか、ピンク・フェニックス桃香は落ち着いた口調で、こう続ける。

 

「……さっきの貴方は、桐谷さん、いや、サソリーナに対する憎しみに目を曇らせていた。だからこそ、戦わせるわけにはいかなかった。でも、今のあなたの目は違う。冷静さを取り戻し、チグルマン戦闘員の大群を退け、智花さんや患者たちの未来のために戦う『本当の戦士の目』になっている」

 

ピンク・フェニックス桃香はヘルメット越しでも分かるほど、優しく、そして誇らしげに微笑んだ。

 

「今のあなたの綺麗な炎なら、ガイオーは絶対に負けない。サソリーナとの因縁に、あなたのその手で、今度こそ本当の意味の決着をつけてきなさい。……私たちのセンターとして、頼んだわよ、烈君!」

 

その言葉にグリーン・フェニックス烈は強い感動をおぼえた。

 

「桃香さん、ありがとうございます!!」

 

そして、彼は、本来なら桃香の指定席である中央の席へ深く腰掛けた。

 

そんなグリーン・フェニックス烈を

 

「頑張ってね、烈君。大丈夫、私がサポートするわ。貴方なら出来る!!」

 

今回は通常ならグリーン・フェニックス烈が座っているはずの左下席に着席したピンク・フェニックス桃香は、彼を力強く励ます。

 

それを受けてグリーン・フェニックス烈の右手が操縦桿を、そして左の銀色の義手がガイオーのメインコンソールを握る。

 

「桃香さん、分かりました!!……いくぞ、みんなッ! 不死鳥魂、負けはしない!!」

 

烈の感情とフェニックス・エネルギーが完璧にシンクロし、ガイオーの全身が眩い「太陽の橙色」に輝き出す。

 

その輝きを見ながら、巨大獣サソリーナは

 

「クカカカカカカカカカカカカーーーッ!!」

 

本能的な絶叫をする。

 

そう、シノアヤメの妖力で巨大獣と化したサソリーナには、もはや、かつての桐谷沙耶としての知性などはなく、ただ暴力という本能で動いているだけの(けだもの)に過ぎないのだ。

 

その姿を、今、フェニックス・ガイオーの中央席に座るグリーン・フェニックス烈は、しっかりと見つめる。

 

桐谷さん、あんたがなりたがっていた超人類なるものの結末は、こういうことなのかい…

 

思わず心の中で、そう呟くグリーン・フェニックス烈だったが

 

咆哮する巨大獣サソリーナは、ヒュォォォンッ! と空気を引き裂く凄まじい風切り音と共に、その腰から伸びる鋼鉄の蠍尾を、鞭のようにしなって、巨大ロボットフェニックス・ガイオーを倒そうとする。

 

その速度は肉眼では捉えきれないほどの早さ、強力さでガイオーを襲った。

 

だが、グリーン・フェニックスを中央席とするフェニックス・ガイオーは一歩も退かない。

 

ガッシーーーンッ!!!!

 

鋼鉄の蠍尾の攻撃を、その両手でしっかりと受け止める。

 

こんな化け物を結界の外に出してしまったら、街は壊滅させられてしまう。

 

今、五人の心は一つになり、この巨大獣サソリーナを倒すために精神を集中していた。

 

「クカカカカカカアァーーー!!!!」

 

巨大獣サソリーナは大きな声で咆哮すると、その鋼鉄の蠍尾を更に振り回そうとし、そしてフェニックス・ガイオーを叩きのめそうとするのだが

 

フェニックス・ガイオーはその巨体に似合わぬ俊敏さを発揮し、左腕のシールドを掲げ、これを受け止めて見せる。

 

「クカカカカカッーーーっ!!」

 

その蠍尾の一撃で敵を打ちのめすつもりだったらしき巨大獣サソリーナは動揺したのか、叫び声にも戸惑いらしきものが感じられる。

 

それを確認したグリーン・フェニックス烈は、フェニックス・ガイオーの中央操縦席で、決意したように

 

「巨大獣サソリーナ!!、その 悪しき魂を浄化する!」

 

そう宣言する。

 

そう、もはや巨大獣サソリーナには『桐谷としての人格』などない。

 

その魂を救うためにも、今、浄化するしかないのだ!!

 

フェニックス・ガイオーの両目がギラッと光ると、その翼の一部を分離させる。

 

そして分離した翼の一部は巨大な銀色の長剣へと姿を変え、そしてフェニックス・ガイオーの右手に握られた。

 

その右手にある長剣を

 

ブンッ!

 

と振るうフェニックス・ガイオー。

 

「クカカカカカッーーーっ!!」

 

なおも蠍尾を使って襲いかかり、目の前のフェニックス・ガイオーを叩きのめそうとする巨大獣サソリーナだったが

 

中央操縦席に座るグリーン・フェニックス烈

 

そして他の操縦席に座る他の四人

 

その叫びが一つになる。

 

[b:「必殺! フェニックス・グランド・インフェルノ!!」]

 

フェニックス・ガイオーの持つ剣に、合体した五機のエネルギーが集中し、巨大な火の鳥を纏った斬撃が巨大獣サソリーナを真っ向から叩き斬る。

 

「クカカカカカッーーーー!!!!」

 

フェニックス・ガイオーの剣によって斬られた巨大獣サソリーナは、よろめくと、そのまま倒れた。

 

そして

 

ズカアアァーーーンッ!!!

 

自爆して果てたのだ。

 

それは人間、桐谷沙耶の本当の意味の最期でもあったのだ。

 

爆炎の中、烈は母の仇を撃ち、自らの右腕を奪った桐谷を倒した事になる。

 

だが、グリーン・フェニックス烈にとって満足感はなかった。

 

桐谷さん、あんたがなりたがっていた超人類なるものの結末は、こういうことなのかい…

 

彼は心の中で同じことをもう一度呟く。

 

いずれにせよ、戦いは終わった。

 

地上には、無事に救出された智花、体力を消耗しきって座り込んでいる伊賀工作員03号の老人、そして未だ意識を失ったままの看護師・松岡優香里の姿がある。

 

これから三人を受け入れ、基地である『フェニックス・ネスト』へと帰投しなければならない。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

フェニックス・ガイオーは結界、イマージョン・ゾーンを解除し

 

そして巨大獣サソリーナを撃破したフェニックス・ガイオーは、ゆっくりと元の五機のファイターへと分離していった。

 

だが、問題はこれからである。

 

破壊された医療施設『サソリーナ・ホリスティック・メディカルセンター』の中に残された、正真正銘の患者たちの救出や、他病院への緊急転院の手配など、やるべき戦後処理は山積しているのだ。

 

組織や政府関係者との調整を含め、チームの要であるピンク・フェニックス――鳳桃香にとっては、むしろ、これからが本当の正念場と言ってもよかった。

 

とはいえ

 

分離した五機が地上へ降下し、救助のためのホバー体制に入る中、メインインカムからふっと安堵したような声が流れた。

 

「――ふぅ、何はともあれ、みんな無事で良かったわね」

 

ピンク・ファイターの操縦席にいるピンク・フェニックス桃香が通信を開くと、他のファイター各コクピットからそれぞれの報告や安堵の息遣いが返ってくる。

 

そんな中、イエロー・ファイターの操縦席に座るイエロー・フェニックスりりかの、少し照れくさそうな声が聞こえてきた。

 

「桃姉。今回は無事に終わって、本当に良かった。で、実は智花に私のワガママを聞いてもらって、結果的に大正解でした」

 

「ワガママ?」

 

ピンク・フェニックス桃香は眉をひそめる。

 

どういう意味??

 

「そういえば、りりか。当初の予定では、智花さんがグリーン・ファイターに、伊賀工作員03号さんがイエロー・ファイターに乗るはずだったわよね? どうして発進直前に、智花さんをイエローの席に座らせたの?」

 

疑問を感じたピンク・フェニックス桃香の問いに、イエロー・フェニックスりりかは少々得意気に答える。

 

「うん、五機のファイターの中で、緊急自動着陸の赤いボタンが設定されているのは、私のイエロー・ファイターだけだから、という話を烈さんにしたのよ」

 

そう、イエロー・ファイターのコックピットには、万が一の事態を想定し、まだ未成年(女子高生)であるりりかの座席からのみ起動できる『緊急離脱・非常用バックアップボタン』が備え付けられていたのだ。

 

これはイエロー・ファイターが一番後から造られたという事にもよる。

 

イエロー・フェニックスとしてのりりかは、五人がフェニックス・ガイオーになるに当たって、緊急着陸の可能性があることを考え、冷静に計算した上で、精神的な支えとしても、また物理的なボタンの代行者としても、最も信頼できる智花を自分の隣の機体(イエロー)へ配置するよう、出撃の瞬間にグリーン・フェニックス烈に伝えたのだ。

 

そしてグリーン・フェニックス烈も、緊急着陸の可能性という事に説得力を感じて、それを承知した

 

これにより、直前の搭乗者のチェンジがあったという事だったのだ。

 

「なるほどね……」

 

ピンク・フェニックス桃香は納得し、ヘルメットの奥で微笑んだ。

 

「ただ守られるのを待つんじゃなくて、非常時のリスクを考えてチームの配置を最適化した。――りりか、素晴らしい機転よ。あなたの判断のおかげで、助かったわ」

 

「ふふふ、ありがとうございます」

 

若いメンバーたちの絆と成長をインカム越しに聴きながら、ピンク・フェニックス桃香は改めてファイターの機首を、夕日を浴びる帰投ルートへと向けた。

 

さあ、ここからは大人の仕事――傷ついた人々を守り、この事件を『不慮の災害』として完璧に処理する、正義の隠蔽(クリーンアップ)の時間だ。

 

そこまでが終わって、本当の解決である。

 

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