本作はpixivからの移行ではなく、一から書いたハーメルンさんでの新規投稿です。
(なので時間がかかりました)
なかなか区切れなかったので、いったんシルバー・フェニックス初登場で一区切りとしています。
これから以降は全部こちらでの新作となります。
よろしくお願いいたします。
キラキラ照りつける太陽の光が降り注ぐ休日。
もう7月、季節は夏に入っている。
憧れの舞浜のテーマパークを歩いている四人の男女
歩いているとブラスバンドの楽しげな音色が聞こえてくる。
辺りにはキャラメルポップコーンらしき甘い香りが漂っていた。
行き交う人々がカラフルなバルーンやキャラクターの帽子を身につける賑やかな喧騒の中、緑川烈、銀水凱、川口智花、西野翠の四人は話しながら歩いている。
「へえっ、凱さんがザ・フェニックスに入ったのって、そんな事件がキッカケだったんだ!」
ミニーマウスのカチューシャを頭に乗せた翠が、隣を歩く凱と会話している。
一方、シンデレラ城を背景に、隣を歩く烈の手を嬉しそうに握りしめながら、智花は目を輝かせて声をあげた。
「ねえっ!烈さん、見てっ、見て!!」
それを聞いた烈は首から下げたポップコーンバケットを少し揺らしながら、照れくさそうに空いた手で頭を掻く。
「智花さん、ごめん。3月に約束したのに、結局、7月になっちゃって。あの後もチグルマンが続けて暴れてくれたし、他にもいろいろあって、結局、こんなに遅くなっちゃって」
だが智花は首を横に振る。
「ううん、烈さんたちが大変だったのは分かってるから。それに、ちょうど私たちの学校でテスト期間も重なっちゃってたし!」
智花は烈に向かってそう答えると、クスクス笑う。
「でも、待たされた分、今日のディズニーは烈さんに私の『誕生日祝い』も兼ねて、いーっぱい、エスコートしてもらうんだから!」
女の子って箸が転んでも笑うっていうけど…
あまり、こういう場に慣れていない烈は戸惑いを隠せない。
だからといって智花の手を引き戻すことはせず、優しく握り返す烈
二人がすっかりお似合いの距離感になっているのを見て、少し羨ましそうに感じる翠だが、その一方で凱との会話に余念がない。
彼女の好奇心の強さは目の前の二人に対する羨ましさを上回っていた。
「まあ、あん時はマジで肝が冷えたよ。今だからこうやって話せるけど」
翠の問いに答える凱。
そして今、目の前にいる烈、そして桃香、竜也、三人と出会った時の事を思い出していた。
凱は横を歩く翠に向かって当時の思い出話をする。
「あの日は街が突然地獄になったんだ。ガイマの奴が呼び出した、あの不気味な骨の化け物―妖怪
その凱の声に翠も反応する。
「ガイマ……? 誰それ、チグルマンの怪人?」
そこへ智花と一緒に歩いていた烈が反応して振り向くと、翠に向かって説明をする。
「いや翠さん、凱さんのいうガイマという奴は、シノアヤメとは別のチグルマン幹部なんだ。組織の呪術部門を仕切ってる『魔導神官』と呼ばれている男さ。」
えっ、烈さん??
その烈の反応に智花は気になるものを感じる。
なんだか烈さん、そのガイマという名前の相手に思い入れがあるみたい…
「科学的な改造人間じゃなくて、古来の妖怪とか怪異を呼び出して操る奴なんだ。俺たちも何度か対戦している」
その烈の言葉に
「へぇ……シノアヤメだけでも怖いのに、そんな不気味な男の幹部もいるんだ……」
翠は呟くように言った。
そして凱も
「そうそう、烈さんの言う通り! で、そのガイマが召喚した飢者髑髏ってのが、マジでヤバい奴だったんだ…」
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激しい爆発音、そしてチグルマンたちの襲来
凱が当時通っていた地方都市の大学がある街はそれによって、まるで地獄絵図のような状態と化していた。
チグルマンの魔導神官ガイマが放った使い魔・妖怪
ガチッ、ガチッ!!
と鳴らしながら、チグルマン戦闘員たちと共に人々を蹂躙していたのだ。
街は火を放たれ燃えていた。
「キャーッ!」
命惜しさに逃げ惑う多くの人波の中、幼い足がもつれ、転倒する少年、そして
「翔太、早く起きて!!」
転倒した少年の姉、瞳は大声をあげて弟を助けようとする。
「クエェェッーーー!!」
その背後から、オレンジ色のターバンのような帽子に赤いアイマスクをつけ、前側上半身は赤だが、全体的には黒のレオタード調のスーツに身を包み、手には赤いロンググローブをつけ、腰には銀色に髑髏のエンブレムが入ったバックルをつけたベルトを着用、足には黒のロングブーツをはいた異形の姿をした、いかにも『悪の戦闘員』という雰囲気の男たち、そう、チグルマンの戦闘員たちが奇声をあげ、剣を振り上げて襲いかかってきたのだ。
「二人とも、逃げろ! 早く!」
そこへ割って入ったのは、茶色とオレンジが混ざったような色をした短髪のジャケットを羽織った、いかにも大学生風の青年、銀水凱だった。
この時の彼は普通の民間人でしかなかったにもかかわらず
「こんちきしょう!!」
その場にあった棒のようなものを振り回しながら、剥き出しの闘志だけで、なんとかチグルマン戦闘員の行く手を阻もうとし、子どもたち二人を背後にかばう。
しかし、チグルマン戦闘員たちはただの人間が敵う相手ではない。
その容赦ない攻撃を浴び、凱はまたたく間に血を流して地面に倒れ伏した。
「く、くそっ…」
その場に倒れ、苦痛に顔を歪ませる凱のところへ集まってくる何人かのチグルマン戦闘員たち。
「クエッ!!」
「クエェッーー!」
「クエッーー!!」
逃げようとしていた幼い姉弟も、そんな凱の様子を見て、思わず逃げようとする足を止める。
だが、凱は叫んだ。
「バッカ野郎、早く、逃げるんだー!!」
その凱の叫び声を聞いた姉弟は
「お兄ちゃんっ!!」
「ごめんなさいっ!!」
言いながらも逃げるために、生き延びるために、そして、可能なら助けを呼ぶために
必死でその場から走り出していく!
「そうだ、それでいいんだ…」
自らは倒れ伏しながらも、必死で逃げていく姉弟の姿を見ながら、呟くように凱は言う。
そんな凱の周囲を囲む五人のチグルマン戦闘員たち。
たが、そこへ
「ガシャーッ、お前たち、まだこいつらを殺すな!」
地響きのような声とともに、異形の妖怪がゆっくりと歩み寄る。
その声の主を見上げる凱の視界に飛び込んできたのは、青白い骨に覆われた悪魔のような怪物だった。
恐竜を思わせる骨の頭部から生えた一本角、綺麗に左右対称に並んだ肋骨と骨盤のパーツ。関節の黒地と白骨のコントラストが異様で、背中で怪しく翻る薄紫色の羽のような部位が、周囲の炎に照らされて不気味に蠢いている。
「ガシャーッ、ハハハ、命知らずのバカな奴、見ず知らずのガキどもを庇ったのはいいが、こうやって捕まってりゃ、世話はないな!!」
「くっ……」
銀水凱は悔しさのため、思わず唇を強く噛む。
そして、そんな彼を嘲笑うかのように妖怪は叫ぶ。
「ガシャーッ、俺様はチグルマンの使い魔・妖怪
そして、その声と共にその巨大な骨の拳が、倒れ伏したままの凱の頭上めがけて容赦なく振り下ろされようとする。
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だが、そこへ
「待ちなさいチグルマンっ!!」
と言う声と共に
倒れている凱、そして彼に向かって巨大な骨の拳を振り下ろそうとする妖怪
「き、貴様らは!!」
振り下ろそうとする拳を止め、思わず声の方向へと振り向く妖怪
倒れたままの凱も声の聞こえてきた方向を見上げる。
その視線の先にいたのは三人の男女だった。
「私たちが来た以上、お前たちの好きにはさせないわ!」
三人の男女のうち、真ん中にいた黒髪の綺麗な、桃色のジャケットに白のショートパンツを着て、白いロングブーツを履いた二十才くらいの若い女性が叫ぶ。
そして、彼女の右横に立っていた、青いジャケットに青いデニムの長ズボンという姿の長髪の青年がおもむろに進み出る。
「桃香のいう通りだっ!俺たちがお前たちの暴虐を止めて見せる!」
彼はそのように、目の前にいるチグルマンの使い魔・妖怪
そして、今度は桃色のジャケットを着た女性の左側に立つ、緑色のジャケットを着た茶髪の銀縁眼鏡の青年が倒れている凱に向かって大きな声で言う。
「勇気ある人、あの子たちは僕たちが安全な場所に避難させた。安心してほしい。そして、あの子たちも『私たちを救ってくれたお兄さんを助けてあげてください。お願いします!!』って言って、この場所を教えてくれたんだ!!」
緑色のジャケットを着た青年のその言葉は、倒れ、力尽き、薄れかかっていたはずの凱の意識を激しく揺り動かした。
「あの子たち…無事、だったのか!!」
それまで胸を締め付けていた絶望が一瞬で安堵へと変わっていく。
そして。それと同時に、あの子たちが自分のためにこうして助けを求めてくれたという事実が、凱の震える身体の奥底から、信じられないほどの熱い力を呼び覚ましていく。
「なら、本当に、よかった!!」
傷つき、ボロボロな状態だった凱の体に力が漲ってくる。
そして彼は血の滲む拳で地面を強く叩きつけた。ただの大学生だったはずの彼の瞳に、圧倒的な意志の光が宿る。
「だったら、なおさら……こんなところで負けていられかってんだよ!!」
その瞬間だった。
激しい怒りと「誰かを守りたい」という凱の純粋な願いに応えるかのように彼の右腕が突如として凄まじい輝きを放ち始めたのだ。
キィィィィィーーン!!!!
そう、それは鼓膜を揺らすような高い共鳴音とともに、溢れ出したのは眩いばかりの銀色の光。それは炎に包まれた地獄絵図の街を真っ白に染め上げるほどに強烈で、神聖な輝きだった。
「ガシャーッ、こ、これは!?」
妖怪
「クエッ!!」
「クエェッーー!」
「クエッーー!!」
チグルマン戦闘員たちも奇声をあげて後ずさる。
まるで彼の不屈の魂の具現化であるかのように、銀色の波動が炎を吹き飛ばしながら渦巻き、凱の全身を包み込んでいく。
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それを見た桃香が
「これはっ!彼が発しているこのエネルギーって!!」
と叫ぶと、自分の左側に立っている烈の方を振り向く。
その桃香の問いに、烈は直ちに答える。
「桃香さん、間違いない。僕のブレスが感知してた『第四の気脈』の波動と同じもの。では、あの人が!」
そんな二人の様子を見て竜也は
「おい、だからといって、まさか、まだテストもしていないあの『試作型ブレス』を、初対面の民間人である彼に渡すというのか!?」
当然ともいえる指摘をする。
だが桃香は、そんな竜也に対して
「あなたにそう言われたくらいで、私が怯むと思ったの?」
そう不敵に笑うと
「背に腹は代えられない! 烈君、今、彼の命がかかってる今だからこそ決めます。あの人にブレスを渡してあげて!」
烈に向かって指示をする。
「桃香さん、分かりました!」
烈は自分のジャケットのホルダーから、まだ誰も使ったことのない『銀色のチェンジブレス』を取り出すと
それを満身創痍にもかかわらず立ち上がった凱に向かって投げつけ、そして大声で叫んだ。
「受け取ってください! それをあなたの左腕に装着し、僕たちと同じ動きをすればいい!! あなたならそのブレスを制御できるはずです!」
凱が反射的にブレスを受け止め、左腕にカチッと装着した瞬間、暴走しかけていた銀のオーラがカチリと噛み合い、まばゆい光の奔流となった。
「やはり……」
桃香が呟く。
「ああ、お前の見立て通りだったな」
竜也もそれを認め、深く頷いた。
それに対して桃香も頷き返すと、今度は凱に向かって叫んだ。
「あなたに伝えます。今、私たちのブレスレットがあなたと共鳴した。それは、あなたがチグルマンの脅威に対抗できる『不死鳥忍者部隊の戦士』としての資質を持っている証拠なの。今は信じられなくても、私たちと同じようにやってみて!!」
そして、あらためて一同を見据える。
「いい、みんなっ、行くわよ!」
竜也と烈、そして、まだ仲間というわけではないはずの凱に向かって号令をかけた。
「おうっ!」
竜也と烈、そして、まだわけもわからずにいるはずの凱までもがつられたかのように
異口同音、一斉に声をあげる。
「フェニックス・チェンジ・オン!!」
桃香、竜也、烈の三人が、まず右手をいったん前に出すと、すぐにその右手で左腕にあるブレスレットを掴む。
そして凱も戸惑いながらも見よう見まねで、やはり自分の左腕に装着したブレスを右手で掴む。
四人のブレスレットが光輝き。点滅する。
次の瞬間には桃香、竜也、烈の三人、そして凱の姿が大いなる光に包まれると
その光の中から、完全武装した四人の戦士が姿を現したのだ。
まず桃色のバトルスーツに身を包んだ女性戦士がファイティングポーズをとり、名乗りを上げる。
「愛と勇気の桃の戦士、ピンク・フェニックス!」
次に青色のバトルスーツに身を包んだ男性戦士が、ファイティングポーズと共に落ち着き払った声で叫んだ。
「冷静沈着、青の戦士、ブルー・フェニックス!」
続いて緑色のバトルスーツに身を包んだ戦士がファイティングポーズを取り、叫ぶ。
「自然と安らぎを守る緑の戦士、グリーン・フェニックス!」
いつの間にか自分の体が銀色のバトルスーツに身を包まれていることを知り、混乱する凱。
だが、彼の肉体は次に何をすべきかを理屈ではなく、本能で知っていた。
凱は勢いよくファイティングポーズを取ると、その言葉を、まるで最初から知っていたかのように大声で叫んだ。
「希望と未来の銀色の戦士、シルバーあっ、フェニックスうっ!」
そう、これが
不死鳥忍者部隊ザ・フェニックスの銀色の戦士、シルバー・フェニックス誕生の瞬間であった。