グリーン・フェニックスが操縦する小型戦闘機グリーン・ファイターには川口智花が
シルバー・フェニックスが操縦する小型戦闘機シルバー・ファイターには西野翠が
それぞれ同乗していた。
いずれも小型機であり二人以上は乗ることが出来ない。
そして、それぞれ別の小型戦闘機に乗る智花、翠の二人とも、思わず心臓がドキドキし、気持ちが高揚するのを抑えることは出来なかった。
無理もない。
ほんのつい先ほどまで、友人だった風祭りりか、佐原陽菜の二人も合わせた四人で学校帰りに寄り道して遊ぼうなどという他愛のない話をしていたはずなのに…
そのうちの風祭りりかは、実は悪の組織チグルマンから人々を守るための組織である不死鳥忍者部隊の戦士の一人、イエロー・フェニックスであり
もう一人、佐原陽菜は、その不死鳥忍者部隊のサポート担当でありながら、実は悪の組織チグルマンに内通する悪の手先だった…
などということは、現実を目の当たりにし
智花に至っては、その陽菜によって首筋にナイフを突きつけられて危ういところだったのを、イエロー・フェニックスに変身したりりかによって助け出された
という事があった後であってさえ、気持ちとしては簡単には受け入れられるものではなかったのだ。
そして、今、りりか、つまりイエロー・フェニックスの仲間である緑色の戦士グリーン・フェニックスと、銀色の戦士シルバー・フェニックスに連れられて
彼女たちは不死鳥忍者部隊の秘密基地まで、これから行くところなのだ。
しかも、専用の小型戦闘機にそれぞれ同乗して、である。
「あの…、グリーン・フェニックス…、さん?」
ハイテンションな気持ちを抑える事が出来ない智花は、操縦桿を握ったままのグリーン・フェニックスに向かって声をかける。
「なんだい?」
グリーン・フェニックスは優しく、彼女に向かって答える。
「あ、あの…、もしかして…、りりかも…、自分専用の…、小型戦闘機を…、持っているんですか?」
いや、本当はそんなことを聞きたいのではないはずなのだが…
智花の口から出た言葉はそれだった。
「ああ、彼女の戦闘機はイエロー・ファイターという名前だ」
あっさりとグリーン・フェニックスは答える。
「不死鳥忍者部隊の五名は、皆、それぞれの色に合わせた小型戦闘機を操縦する事になっており、非常時には、その五機の小型戦闘機が合体して、いわゆる巨大ロボットへと変形するんだ」
その返事を聞いて、思わず智花はポカンとする。
「だって…、りりかは小型戦闘機の免許とか…、あの…、持っているんですか?」
「持っているよ」
当たり前のようにしてグリーン・フェニックスは答える。
これには智花も驚くしかなかった。
「えっ?、だって、年齢だって…」
「何事も特例というやつさ。そして、実際に君たちはこうやって、僕たちの小型戦闘機に同乗している。任務のためにはそれだけの技術も必要なんだ」
「そうなんですか…」
智花は釈然としなかったが、彼女は気持ちを切り替えることにし
「ところでグリーン・フェニックスさん、貴方のお名前を教えてください」
なおも慎重に操縦を続けるグリーン・フェニックスに向かって尋ねる。
「僕かい、僕の名は緑川烈。智花さん、僕の事は烈さんと読んでくれると嬉しいかな?」
あくまでも優しい口調のグリーン・フェニックスこと緑川烈の様子に、智花の緊張も緩んできた。
「はい、烈さん。今から、こう呼ばせてください」
その言葉に、グリーン・フェニックス・緑川烈は
「ありがとう智花さん。じゃ、よろしく」
マスク越しながら微笑むと、智花に向かって、そう答える。
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こちらはシルバー・ファイター機内
「凱さんって、さっき、ピンクの人が、そう呼んでいましたよね?」
西野翠は、やはり操縦桿を握りながら、慎重に運転を続けるシルバー・フェニックスに向かって、思いきって声をかけてみる。
「翠さんだね。俺相手にそんに緊張しなくてもいいよ。そう、俺はシルバー・フェニックスこと銀水凱。さっきの名乗りは大昔にテレビ番組でやっていた海賊戦隊ゴーカイジャーに出てきたゴーカイ・シルバーの影響を確かに受けているよ。元々俺はテレビのスーパー戦隊シリーズが好きで、その影響受けているのは、自分でも自覚あるし」
「えっ、でも年齢が?」
「スーパー戦隊に興味を持ちはじめてから、近所に住むお兄さんたちがDVDとか見せてくれたよ。まあ、今なら配信もあるしね」
淡々と凱が説明する。
「へえ…。あっ、あたしもゴーカイジャー、配信で見ました!!」
スーパー戦隊オタクを自認する翠は、目の前にいるシルバー・フェニックスこと銀水凱に好感、いや、仲間意識を持った。
「ハハハ、そうか!」
凱は嬉しそうに翠に向かって笑うと
「で、まあ、俺はご覧の通り銀色ポジションだし、それに先祖が伊賀忍者じゃない、後から参加のスーパー戦隊シリーズでいう追加戦士のような立場だから、その意味でもゴーカイ・シルバーに興味を持っちゃってさ!」
「えっ、そうなんですか?」
翠は驚く。
確か陽菜はりりかに向かって、確かさっき
『伊賀上忍の家に生まれた風祭りりかはご覧の通り、不死鳥忍者部隊の正規隊員。片や、伊賀下忍の家系に生まれた、この私は、ただの連絡要員よ。そして、正規隊員になることは絶対にない!』
そう言っていたはずじゃ…
「翠さん、何か考え事しているみたいだけど」
気さくな様子でシルバー・フェニックス・銀水凱は翠に向かって言った。
「機会が、もし、あればだけど、その時に俺が不死鳥忍者部隊に参加することになった事情は話してあげてもいい。でも、そろそろ基地に着くよ」
「あっ!」
ここはどのあたりだろう?
大きな山の中腹あたりに小型戦闘機発着陸のためのカタパルトが姿を見せる不死鳥忍者部隊の秘密基地フェニックス・ネスト(不死鳥の巣)が近づいてきているのが、翠の目にもハッキリ見えてきていた。
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フェニックス・カタパルトはグリーン・ファイター、シルバー・ファイターの二機が着陸するのを確認すると
すぐに重厚な防壁が唸りを上げて閉じていく。
そして、外部からこの山に隠されたカタパルトを見ることが出来ぬよう遮断されたのだ。
動かなくなったグリーン・ファイター、シルバー・ファイターの二機から、ゆっくりと
グリーン・フェニックス・緑川烈と川口智花
シルバー・フェニックス・銀水凱と西野翠
が、それぞれ降りてくる。
そして、グリーン・フェニックス、シルバー・フェニックスが先導する形で、智花と翠の二人は、思わず顔を一瞬見合わせたものの、兎に角、先行する二人の戦士の背中に付いていく。
基地内の無機質な通路を抜けた先に扉をくぐると
そこには最新鋭のモニター群が立ち並ぶ一方で、どこか古風な書斎が同居するような部屋が四人を待っていた。
こここそが不死鳥忍者部隊の作戦室である。
そして
「烈君、凱君。二人ともありがとう」
その部屋で待っていたのは、智花、翠、二人の女子高生にとっても既に顔馴染みの人物だったのだ。
一見、厳格な面持ちの中にも、深い慈しみを感じさせる中年男性
「りりかのパパ!」
思わず翠がうっかりと叫んでしまう。
が、それを聞いた中年男性は
「ハハハ、翠さん、ようこそ」
と屈託なく笑うと、二人の女子高生に向かって丁寧にお辞儀をするのだった。
「お二人とも、こんにちは。あらためて自己紹介させてもらおう。私は内閣調査室伊賀班の主忍を先代から受け継いだ風祭隼人。この部隊の総司令を拝命する立場であると共に、ご承知のとおり、りりかの父親でもある。今回は怖い思いをさせてしまい申し訳ない」
そして風祭隼人は、あらためて二人の女子高生に向かって微笑みかける。
翠はなけなしの勇気を奮い起こすと、思いきって、目の前の『りりかのパパ』に向かって質問した。
「あの…、りりかのパパって、普段は霞ヶ関にいるって、前に?」
その翠の問いに、隼人は柔らかく答える。
「ああ、普段はそこにいて、面倒な対外折衝などの様々な仕事をしている。幸い、隊の任務は忍者部隊の実務責任者である鳳隊長が、ほぼ、こなしてくれており、私が普段はここにいなくても大丈夫な体制にはなっているんだ」
オオトリ隊長???
翠と智花は思わず顔を見合わせ、そして考えてしまったのだ。
あの場にいたのはイエロー・フェニックスこと、りりか、それにブルー・フェニックス、後から現れたピンク・フェニックスを名乗る戦士、それに
自分たちをここまで案内してくれたグリーン・フェニックスとシルバー・フェニックス
ては、もしかして
スーパー戦隊シリーズでいうレッド戦士が他にいるのだろうか?
いや、もっと今、先に考えなくてはいけないことがあるのは二人とも分かっているのだが…
今度は智花が震える声で、目の前の主忍だという風祭隼人に向かって問いかけた。
「あの…、あのチグルマンとかいう奴らは?、それにりりかと陽菜は、これからどうなっちゃうんですか?」
それを聞き、隼人の表情に一瞬、暗い翳が見えた。
そう、りりかの父親である彼は、娘の親友である陽菜に何が起きたかを真剣に案じているのだ。
「イエローフェニックス、つまり私の娘であるりりかは、009、いや陽菜君と戦っていることは知っている。またチグルマンの妖魔とピンク・フェニックス、ブルー・フェニックスが二人で戦っているということも。そして恐らくは…」
隼人はそこでいったん言葉を切ると、直ぐにグリーン・フェニックス、シルバー・フェニックスの二人に号令する。
「烈くん、凱くん、申し訳ないが至急現場に向かい、今、チグルマンと戦っている三人の援護に回ってくれ!」
「はいっ!」
「了解しました!」
グリーン・フェニックスとシルバー・フェニックスは即答すると、そのまま、直ぐに現場へと急行のため、総司令室から退出した。
その上で風祭隼人はあらためて、智花、翠、二人の女子高生に向き合う。
「お二人が目撃した、我々の敵組織チグルマンは、無辜の一般人を拉致し、その肉体と魂を自分たちの構成員たる改造人間へと作り替えているんだ。そして君たちを急いで救出させたのも、単に命を守るためだけではない」
智花、翠の二人は、風祭隼人のその緊迫した表情に思わず息を呑まずにはいられない。
改造人間って、そんなの物語の話だけかと思っていたのに…
「奴らは戦闘員などの下級構成員についてはクローン技術などを駆使して増やしていく能力も持っている。が、下級構成員の補充まで考えるとオリジナルの素体は必要だし、それよりもランクが上の『変異化忍』と我々が呼ぶ変異体はクローンでは賄えない…」
「何が仰りたいんですか?」
思わず智花が苛立ちを隠せずに、隼人に向かって叫んでしまう。
だが、隼人は尚も智花と翠の目を真っ直ぐに見据えると
「陽菜君は、もしかしたら、チグルマンの奴らによって、組織の戦闘員、ないしは変異化忍に何らかのタイミングで改造されてしまった可能性も考えられる。だとしたら、それは我々の落ち度に他ならない…、いずれにしても対処の必要がある」
あえて、その事を告げたのだ。
そして、それを聞いた智花、翠の二人は
呼吸が止まるのではないか?
と思えてしまうくらいの大きな衝撃を受けていたのだ。
そして、その様子を確認しながら、隼人は沈痛そうな表情で彼女たちに向かって告げる。
「そして、君たち二人も今回の件でチグルマンに目をつけられてしまった可能性がある。無論、改造人間の素体として」
智花、翠の二人はその言葉に強いショックを受けずにはいられなかった。
「なので、申し訳ないが少しの間、君たち二人をこの基地で保護させてもらう。今後の安全対策も含めて、こちらも色々考えなければいけない。少しだけ時間をくれないか?」
風祭隼人の言葉、それは二人の身を案じ、それを守ろうとする『父』としての願いのようにも、少なくとも智花、翠の二人には聞こえた。
「私たちは…、もしかしたら…、もう、普通の生活には戻れないんですか?」
智花の問いに、だが、隼人は静かに首を振った。
「必ず、君たちに平和な日常を取り戻すと約束する。だが、りりかについては今後は転校、または最悪、高校中退も考えなくてはいけない。既に君たちを巻き込んでしまった。あいつを大学まで出してやりたかったが…」
そう言いながら隼人は自身でモニターを操作する。
そこには剣で戦いを続けるイエローフェニックスと陽菜、そしてチグルマンの使い魔一つ目鬼とピンク・フェニックス、ブルー・フェニックスとが激闘する姿が映し出されていた。
智花と翠は、戦いを続ける戦士たちの姿、中でも親友である陽菜と戦うイエロー・フェニックス、りりかの姿を見ながら、それを祈るような思いで見つめるしかなかったのだ。
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「ブガアァーーー!!」
その武器である棘のついた棍棒をブンブンと振り回し、それにより目の前のピンク・フェニックス、ブルー・フェニックスの二人を叩き潰さんとしながらも、チグルマンの使い魔一つ目鬼は、その青い巨躯を激しく動かしながらも
轟くような大声で二人に向かって絶叫する。
「貴様らあっ!!。見ろ、お前たちの仲間は一騎討ちで正々堂々と勝負しているぞ。それに引き換え、恥ずかしくないのかあっ!」
ピンク・フェニックス、ブルー・フェニックスの二人が一つ目鬼と戦っている、そのすぐそばで
イエロー・フェニックスこと風祭りりかは、自身の親友佐原陽菜と、それぞれに剣を構えながら、まさに一騎討ちに臨んでいたのだ。
が、そんな一つ目鬼に対して、ピンク・フェニックスは
「あら、勝負なんて勝てばいいのよ!」
襲ってくる棍棒を避けながらも、平然といい放つ。
「ブガアァーーー!!、き、貴様あっ!!」
怒りの雄叫びをあげながらも、今度は一つ目鬼はブルー・フェニックスに向かって棍棒で攻撃してくる。
だがブルー・フェニックスは冷静だった。
彼は再び
「フェニックス・ソウル・ブレード!!」
と叫ぶ。
そして、その手にしている剣を大きく構えると、上に向けて大きく円を描いた。
こうしてオーラ・パワーを貯め、そして敵を斬るのが彼の必殺技である。
「一つ目鬼、我が剣を受けてみよ!」
彼はそう叫ぶと、その手にした剣を振り上げ、そして、その剣で大きく円を描き、そのパワーで、向かってくる一つ目鬼に向かって勇敢に斬りかかる。
だが一つ目鬼の分厚い皮膚が火花を散らして刃を弾き返してしまったのだ。
「ブガアァーーー!!」
咆哮する一つ目鬼
「どうしたあっ!、そんな剣では、戦闘員ならいざ知らず、俺様の鋼(はがね)の体には通用せんぞっ!!」
そして、攻撃を弾き飛ばされたことにより、思わず仰向けに転倒してしまうブルー・フェニックス!
「くそっ!」
彼は直ぐに起き上がり、体勢を立て直すものの、敵である一つ目鬼の手強さをあらためて感じずにはいられなかった。
が
「竜也、そこから離れて! 、伊賀忍法・桃霞 (ももかすみ)!」
ピンク・フェニックスは素早く印を組む。
すると桃色の煙が彼女の背後からみるみるうちに現れる。
「行けえっ!」
彼女はその桃色の煙を周囲に向かって展開したのだ。
「ブガアァーーー、き、貴様あっ、卑怯だぞ!」
桃色の煙によって一つ目鬼の単眼が眩惑され、その手にした棍棒は空しく空振りし、意味もなく地面を粉砕した。
「言ったでしょう、勝負は勝てばいいのよ!」
あらためてピンク・フェニックスは一つ目鬼に向かって言う。
言いながらも彼女は内心では
智花と翠、二人の女子高生たちを伊賀班総司令部の秘密基地まで送り届けに行ったグリーン・フェニックスとシルバー・フェニックスが戻ってくるのを心待ちにしていたのだ。
烈くん、凱くん、早く戻ってきて…
彼女は戦いのこの先の展開に、ある危惧を抱いていた。
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一方、ピンク・フェニックスとブルー・フェニックスが一つ目鬼と戦っているところからはすこし離れた場所で
イエロー・フェニックスと佐原陽菜は互いに剣を構え、戦っていた。
「陽菜……やめて!、こんなこと」
イエロー・フェニックスの声は震えていた。
かつての穏やかな日々。
当たり前に感じていた学生生活での陽菜、そして智花や翠たちとの泣き笑い、様々な思い出が彼女の脳裏をよぎる。
そんなイエロー・フェニックスにとっては、自らの手に握られた剣にさえ、冷たさを感じずにはいられない。
そして、そんなイエロー・フェニックスの様子を、陽菜は嘲笑するかのように口元に笑みを浮かべた。
「りりか……。あなたの知っている佐原陽菜なんて奴は、もういないのよ!!」
陽菜の瞳には、もはや親友をいとおしむ輝きはない。
あるのは憎しみの炎であった。
「えええいっっ!」
鋭い掛け声とともに、陽菜の剣がイエロー・フェニックスに向かって踏み込んてくる。
彼女は制服のスカートをなびかせながら、その剣が持つ鋭利な刃を、あくまでもイエロー・フェニックスの喉元を狙うために閃かせるのだ。
「っ!!」
イエロー・フェニックスは間一髪、自らの剣でそれを受け止める。
キィィーーン!!
打ち合う剣による火花がイエロー・フェニックスと佐原陽菜、二人の顔を照らし出した。
熱い戦いは、まだ、終わらない。
ハア、ハア、ハア、ハア、ハア
二人は息を切らしていた。
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「りりかっ!、ここで決着をつけるわっ!!」
陽菜は大声でそう叫ぶと、その手に持った剣を一旦、その場の地面に突き刺す。
ドスッ!
という音。
そして彼女は
「化身っ!!」
大きな声でそう叫ぶと、両手をクロスさせた上で、それを大きく上に回し、再びクロスさせる。
次の瞬間、彼女の姿と、異形のものの姿が、入れ替わり、立ち代わり、点滅するように交互に現れたと思うと
そこには、もう女子高生佐原陽菜の姿はなかった。
異形の者
その全身を覆うくすんだ紫色と黄色の体、そして鮮やかな橙色の体毛と外殻を持ったおぞましき毒蛾と人の融合体
頭部には巨大な複眼と鋭い大顎、そして人間の髪の毛が外殻と癒着したような不気味な姿
その大きく広げた巨大な翅模様は、かつての陽菜が好んでいた花の模様をかたどり、そしてチグルマンの象徴する髑髏のマークへと歪められたものだったのだ。
異形の姿を持つ毒蛾の怪人は
「ヒイィヤァーッ!!」
その奇怪な声で叫ぶ。
そして、その姿を見たイエロー・フェニックスは強いショックを受けずにはいられなかったのだ。
「陽菜、あなた?、まさか、変異化忍に…」
「ヒイィヤァーッ!!」
毒蛾の怪人は再び咆哮する。
そして
「クククッ、その通りさ!」
彼女はイエロー・フェニックスを嘲笑するように笑うと
「そうよ。私は、無力な人間であることを止めて、チグルマンの栄光ある変異化忍となったのよ。伊賀連絡員009こと佐原陽菜は以前の名前。今の私は変異化忍ドクガリーナ!!」
まるで最後通告であるかのように陽菜、いや、変異化忍ドクガリーナは、目の前のイエロー・フェニックスに向かって憎々しげに叫んだ。
「イエロー・フェニックスっ!、今日がお前の命日だ!、殺してやるっ!!」
そう言いながら変異化忍ドクガリーナは剣を大きく振りながら、イエロー・フェニックスに向かって斬りかかってくる。
「くっ!」
ピンク・フェニックスとブルー・フェニックスの二人は今のところチグルマンの使い魔一つ目鬼との戦いで動きがとれない。
イエロー・フェニックスは文字通り一騎討ちで
強敵である変異化忍ドクガリーナと戦うしかなかったのだ。
彼女は覚悟を決めた。