ウマ娘ONE PIECEダービー~黄金の浮沈船は大海原を駆ける~   作:武藤 桜

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第十八話「アラバスタ編――英雄たちの戦い、その終幕」

地下遺跡に轟音が響き渡る。

 

ルフィとゴールドシップ、そしてクロコダイル。三人の激闘によって、古代の石柱は砕け、壁には幾筋もの亀裂が走っていた。天井からは砂と石片が降り注ぎ、遺跡そのものが崩壊の時を迎えようとしている。

 

「しぶとい奴らだ……!」

 

クロコダイルが苛立ちを露わにする。右腕を巨大な砂の刃へと変え、ルフィとゴルシへ振り下ろした。

 

「毒も砂も、もう効かねェぞ!」

 

ルフィは腕を伸ばして攻撃をかわす。ゴルシも身をひねって砂刃を避け、拳を握り込んだ。

 

「こっちは砂漠で散々鍛えられたんだ! 砂の扱いなら、もうお腹いっぱいだぜ!」

 

クロコダイルの身体が砂へと崩れ、二人の攻撃をすり抜ける。

 

だが、ルフィはすでにその弱点を掴んでいた。

 

水分――そして、自らの血。

 

ルフィの拳がクロコダイルの頬を捉える。砂になって逃げることができず、クロコダイルの身体が大きく吹き飛んだ。

 

「ぐっ……!」

 

「当たったぞ!」

 

ルフィが叫ぶ。

 

ゴルシは拳を鳴らし、ルフィの隣に並んだ。

 

「よーし、砂の王様! 今度はこっちの番だ!」

 

二人は一気に間合いを詰める。クロコダイルも砂を操り、鋭い刃と拳を繰り出して応戦した。打撃が交差するたび、遺跡の床が砕け、柱が倒れていく。

 

「この国も……お前らも……俺の野望の邪魔をするな!」

 

クロコダイルは両腕を広げ、巨大な砂嵐を巻き起こした。

 

砂が渦を巻き、遺跡の壁を削り取る。石柱が次々と倒れ、天井が大きく軋んだ。

 

「うわっ、遺跡ごと吹っ飛ばす気かよ!」

 

ゴルシが叫ぶ。

 

「だったら、先にぶっ飛ばす!」

 

ルフィは拳を引き絞った。

 

ゴルシも隣で拳を構える。二人の視線が一瞬交わった。

 

「行くぞ、ゴルシ!」

 

「おうよ、船長!」

 

ルフィとゴルシは、残された力をすべて拳へ込めた。

 

「ゴムゴムのォ――!  暴風雨(ストーム)!!!!!!!!!」

 

「ゴルシ式・黄金バットォ――!」

 

二人の全力のラッシュが、クロコダイルを真正面から捉える。

 

「なにィ――!」

 

衝撃が砂嵐を突き破り、クロコダイルの身体を遺跡の天井ごと空へと叩き上げた。

 

轟音とともに石造りの天井が崩壊する。砂煙の向こうへ、クロコダイルの姿が消えていった。

 

静寂が訪れる。

 

ルフィとゴルシは、崩れた遺跡の中で肩を上下させていた。

 

「……勝ったな」

 

ルフィが呟く。

 

「おう。いやー、最後は派手にぶっ飛んだな。遺跡の解体費用、誰が払うんだ?」

 

「知らねェ!」

 

二人は顔を見合わせ、笑った。

 

その時、奥から一人の男が姿を現した。

 

ビビの父、アラバスタ国王ネフェルタリ・コブラ。クロコダイルに囚われていた彼は、二人の戦いを見届けていた。

 

コブラは疲れた表情の中に、確かな感謝を込めて言った。

 

「この国を救ってくれて……ありがとう」

 

ルフィとゴルシは、いつもの調子で笑う。

 

「いいって!」

 

「ま、船長の仕事ってやつだな!」

 

コブラは深く頭を下げた。

 

一方、王都アルバーナでは、長く続いた戦いがようやく終わりを迎えようとしていた。

 

スモーカー大佐は、バロックワークスから押収した降雨船を使い、街に大雨を降らせていた。雨は砂埃を洗い流し、兵士たちの熱を冷ましていく。

 

「全員、武器を下ろせ! これ以上戦う必要はねェ!」

 

スモーカーの声が戦場に響く。

 

王国軍と反乱軍は、互いに戸惑いながら動きを止め始めた。

 

そこへ、傷を負いながらも生き延びたチャカが姿を現した。

 

「反乱軍の者たちよ! この戦いは、クロコダイルによって仕組まれたものだ!」

 

そして、もう一人。

 

ウィスキーピークでビビの囮となり、命を落としたと思われていたイガラムが、満身創痍の姿で現れた。

 

「私も証言する! 王国と反乱軍を争わせたのは、バロックワークスだ!」

 

イガラムの言葉と証言が、双方の誤解を解いていく。

 

戦場に残っていた怒りと疑念は、雨に打たれながら少しずつ薄れていった。

 

傷だらけのナミたちは、ルフィとゴルシを探して街を歩いていた。

 

「まったく……あいつら、どこまで行ったのよ!」

 

ナミが疲れた声を上げる。

 

「ルフィなら、またどこかで腹を空かせて倒れてるんじゃないか?」

 

ゾロが肩をすくめる。

 

「いや、今度はクロコダイルを倒してるかもしれないよ!」

 

テイオーが前向きに言う。

 

「どっちにしても、見つけたら説教だね……」

 

タキオンは白衣の袖を直しながら、チョッパーの肩を借りて歩いていた。

 

やがて一行は、ルフィを背負ったコブラ王と、隣を歩くゴルシに出会った。

 

「ルフィ!」

 

ナミが駆け寄る。

 

「おい、無事だったのか!」

 

ゾロも安堵の声を上げた。

 

ルフィは気を失ったまま、コブラの背中で眠っている。

 

ゴルシは親指を立てた。

 

「クロコダイルはぶっ飛ばしたぜ。あとは国の後始末ってところだな!」

 

ビビがコブラのもとへ駆け寄る。

 

「お父様!」

 

「ビビ……」

 

コブラは娘を優しく見つめた。

 

ナミはビビの肩に手を置く。

 

「行ってきなさい。あなたが、この国に必要なんだから」

 

「うん……!」

 

ビビは涙を拭い、父と共に終戦の演説へ向かった。

 

ゴルシは仲間たちを見回す。

 

「俺たちは後から追いかける。今は、あの二人に任せようぜ」

 

王宮前。

 

雨に濡れた国民たちが、コブラとビビを見つめていた。

 

コブラは一歩前へ出る。疲労と傷を抱えながらも、その声は力強く広がった。

 

「アラバスタの民よ! 我々は、互いを疑い、争い、傷つけ合ってしまった!」

 

人々は静かに耳を傾ける。

 

「だが、我々は同じ国に生きる者だ! この悲劇を乗り越え、もう一度、共に歩んでいこう!」

 

ビビも父の隣に立ち、国民へと呼びかける。

 

「もう、戦いを終わりにしましょう! みんなで、この国を取り戻すの!」

 

その声に、王国軍と反乱軍の兵士たちは、ゆっくりと武器を下ろした。

 

長い戦いが、ようやく終わった。

 

少し離れた場所で、ナミたちはその光景を見守っていた。

 

「……よかった」

 

ナミが小さく呟く。

 

「これで、ビビの国は大丈夫だな」

 

サンジが煙草をくわえながら言う。

 

オグリは空を見上げた。

 

「雨が降っている。これなら、作物も育つだろう」

 

「うん。アラバスタに、また緑が戻るといいね」

 

チョッパーが頷く。

 

タキオンは雨粒を手のひらに受け、興味深そうに眺めていた。

 

「ふむ……自然降雨と人工降雨の相互作用は実に興味深い。後で降雨船の構造を調べ――」

 

「今はやめとけ!」

 

ウソップとテイオーが同時に突っ込む。

 

ゴルシはルフィを覗き込み、にやりと笑った。

 

「おい船長。起きたら宴だぞ。アラバスタの飯、食い尽くしてやろうぜ」

 

「……肉……」

 

眠ったままのルフィが呟く。

 

一同は思わず笑った。

 

こうして、アラバスタを救った戦いは幕を閉じた。

 

その戦いの真実も、名もなき英雄たちの働きも、後世に詳しく語り継がれることはない。

 

だが、国を救った者たちの笑い声は、確かに雨上がりのアラバスタに響いていた。

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