ウマ娘ONE PIECEダービー~黄金の浮沈船は大海原を駆ける~   作:武藤 桜

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すみません。続きが思いつかなくて中途半端に終わらせたくないのでこれからちょくちょく投稿します。


第二話「海軍基地の二刀流と黄金の浮沈船」

1. シェルズタウンへ

東の海。

小さなボートは、穏やかな波に揺られながら進んでいた。

「……ところで、ルフィさん」

船首に座っていたコビーが、おそるおそる口を開く。

「なんだ?」

「この船、どこに向かっているんですか?」

「海軍基地!」

ルフィは元気よく答えた。

「いや、それは分かっています! そうじゃなくて、ちゃんと目的地が分かっているんですか!?」

「ん? 海軍基地があるところだろ?」

「だから、その場所が――」

「おいおい、コビー。あんまり細かいことを気にしてるとハゲるぜ?」

隣で寝転がっていたゴールドシップが、拾ってきた金棒を肩に担いだ。

「ゴルシさんまで!?」

「安心しな。アタシの勘が告げている。あっちに行けば何か面白いことがある!」

ゴルシが指差した先には、海岸線と、その奥に見える町の建物があった。

「おお! 町だ!」

ルフィが身を乗り出す。

「本当だ……! あそこなら海軍基地もあるはずです!」

コビーの表情が明るくなった。

だが、ゴルシは町を見つめたまま、にやりと笑った。

「へへっ。いいねぇ。なんだか、とんでもねえことが起こりそうな予感がするぜ」

「お願いですから、何も起こさないでください……」

コビーの願いは、残念ながら聞き届けられそうになかった。

やがて三人は、シェルズタウンへとたどり着いた。

 

2. 海軍基地の英雄?

町に入った三人を出迎えたのは、整然とした建物と、行き交う海軍兵士たちだった。

「うわー! でっけえ基地!」

ルフィは目を輝かせている。

「ここなら海兵になれるんですね……!」

コビーも感動した様子で基地を見上げた。

そのとき、町の広場から人々の話し声が聞こえてきた。

「今日もあの海賊狩りの男が磔にされているらしいぞ」

「ロロノア・ゾロか……。モーガン大佐の息子に逆らったんだろ?」

「どんな理由があっても、あんな恐ろしい男に関わるのはやめたほうがいい」

「……海賊狩り?」

ルフィがぴくりと反応する。

「おいゴルシ! 海賊狩りって、海賊を倒す奴のことか?」

「名前からすりゃ、そうだろうな。海賊を狩るなんて、なかなかいい趣味してんじゃねえか」

「よし! 会いに行こう!」

「話聞いてたか!?」

コビーの叫びを背に、ルフィとゴルシは広場へ走り出した。

「待ってください! まだ海軍に入隊する手続きが――!」

コビーも慌てて二人を追いかける。

そして広場に到着した三人は、奇妙な光景を目撃することになった。

広場の中央。

太陽に照らされた十字型の柱に、一人の男が縛り付けられている。

緑色の髪。鍛え上げられた肉体。そして、腰に差された三本の刀。

その男こそ、海賊狩りのロロノア・ゾロだった。

――ただし。

「……ん?」

ルフィが首を傾げた。

ゾロの隣には、もう一人の人物が磔にされていたのである。

白い髪に、特徴的な耳。

そして、ゾロの腰にある刀とは別に、二本の刀を持つための鞘が腰に備えられている。

その少女は、縄で身動きを封じられながらも、不機嫌そうに顔をしかめていた。

「……なんやねん、ほんま。いつまでこんなとこに縛りつけとく気や」

「うるせぇ。少し黙ってろ」

ゾロがぶっきらぼうに言う。

「誰に向かって口きいとんねん! こっちは朝から何も食うてへんのやぞ!」

「知るか!」

「なんやとぉ!?」

二人の怒鳴り声が広場に響いた。

ルフィは、ぱあっと顔を輝かせた。

「おもしれー! あいつら、仲間なのか?」

「どう見ても喧嘩してますよ!?」

コビーがツッコむ。

一方、ゴルシは少女の顔をじっと見つめていた。

「……へえ」

その目が、興味深そうに細められる。

「こいつぁ、また珍しいのがいるじゃねえか」

少女――タマモクロスは、視線に気づいて顔を上げた。

「……なんや、あんたら?」

「アタシはゴールドシップ! そっちの赤いシャツがルフィだ!」

「赤いシャツって紹介の仕方、雑すぎるだろ!」

「なんや、えらい元気な奴らやな……」

タマモは呆れたようにため息をついた。

「ウチはタマモクロスや。見ての通り、絶賛磔にされとる最中や」

「おお! あんたもウマ娘か!」

ゴルシが突然、声を弾ませた。

タマモの耳がぴくりと動く。

「……は?」

「その耳! それに脚! 間違いねえ! アタシと同じウマ娘だろ!」

「いや、そらそうやけど……なんでここにウマ娘がおんねん!?」

今度はタマモが驚く番だった。

自分と同じ世界にいたはずのゴールドシップが、なぜ見知らぬ海賊と一緒にいるのか。

そして、ここは一体どこなのか。

聞きたいことは山ほどあった。

だが、その前に。

「なあ、あんたら。ちょいと頼みがあるんやけど」

タマモは縄を引っ張った。

「これ、外してくれへん?」

ゴルシは満面の笑みで答えた。

「よっしゃ! 任せな!」

「待て待て待て! お前ら、こいつらがどんな奴らか分かってんのか!?」

コビーが慌てて止めようとする。

しかし、ルフィは既にゾロの目の前まで歩いていた。

「お前、強いのか?」

「……あ?」

ゾロが鋭い目つきでルフィを睨む。

「お前が海賊狩りのゾロか?」

「だったらどうした」

「おれの仲間になれよ!」

「断る」

即答だった。

「えーっ!? なんでだよ!」

「なんで海賊の仲間にならなきゃならねえんだ!」

「強そうだから!」

「理由になってねえ!」

そのやり取りを聞きながら、ゴルシは腹を抱えて笑った。

「ハハハハハ! いいねぇ! 気に入ったぜ、あんたら!」

「笑ってる場合やないやろ!」

タマモのツッコミが飛ぶ。

だが、ゴルシはすでにタマモの縄をどうやって外すか考えていた。

そして、その視線は広場の向こうにある海軍基地へと向けられる。

「……さて。あの基地の連中、ちょいとアタシらと遊んでもらおうじゃねえか」

「やめてくださいいいいい!」

コビーの悲鳴が、シェルズタウンに響き渡った。

 

3. おにぎりと二本の刀

その日の昼。

広場では、磔にされたゾロとタマモを、町の人々が遠巻きに見守っていた。

「……なあ、ゾロ」

タマモが声をかける。

「なんだ」

「ほんまに、あと何日もここにおるつもりなんか?」

「……約束の一か月が終わるまでだ」

「アホちゃうか!?」

タマモの声が広場に響いた。

「そもそも、あのモーガンの息子が勝手に決めた約束やろ!? あんなもん守る義理なんかないやん!」

「うるせえ。俺は約束したんだ」

ゾロは目を閉じたまま答えた。

「それに、俺は海賊狩りだ。海軍に捕まった以上、多少のケジメは必要だろ」

「そんなん言うて、あんた、ここで死んだら元も子もないやろ!」

「死ぬつもりはねえよ」

「ほな、なんで抵抗せえへんのや!」

ゾロは答えなかった。

タマモは大きなため息をついた。

彼女もまた、海軍基地で騒動を起こした結果、ゾロと同じように捕らえられてしまったのだ。

きっかけは、モーガンの部下が町の人々を脅しているのを見過ごせなかったことだった。

タマモは二本の刀を抜き、兵士たちを相手に立ち回った。だが、町の人々を巻き込むわけにもいかず、最終的には武器を取り上げられ、ゾロの隣に磔にされたのである。

「……ま、ええわ。ウチかて、こんなとこで死ぬつもりはないしな」

タマモは空を見上げた。

「それにしても……ゴルシの奴、ほんまに来るとは思わんかったわ」

先ほど出会った白い髪のウマ娘。

間違いなく、トレセン学園で何度も顔を合わせたゴールドシップだった。

「なんであいつが海賊なんかやっとんねん……」

タマモには、まったく理解できなかった。

そのとき。

「あ、あの……」

小さな声が聞こえた。

二人が顔を向けると、そこには一人の少女が立っていた。

手には、小さな包みが握られている。

「これ……よかったら、食べてください」

少女はおずおずと包みを差し出した。

中には、二つのおにぎりが入っていた。

「……おにぎり?」

タマモの耳が、ぴくりと動く。

「はい。お母さんが作ってくれたんです。でも……」

少女は不安そうに周囲を見回した。

「海軍の人に見つかったら、怒られちゃうかもしれないけど……」

「お嬢ちゃん」

ゾロが目を開けた。

「俺たちに食わせるために、わざわざ持ってきたのか?」

少女は小さく頷いた。

「だって……お兄ちゃんたち、ずっと何も食べてないんでしょ?」

タマモは、少女の優しさに思わず表情を和らげた。

「……おおきに。ほんま、ええ子やなぁ」

「ありがとうございます」

ゾロも短く礼を言った。

少女が笑顔を浮かべた、その瞬間だった。

「おいおいおい! 誰の許可を得て、そんなことをしている?」

嫌な声が広場に響いた。

現れたのは、海軍大佐モーガンの息子、ヘルメッポだった。

少女の顔が青ざめる。

「ひっ……!」

「海賊狩りに食い物を恵むとは、いい度胸じゃねえか」

ヘルメッポは少女の手からおにぎりを取り上げると、地面に叩きつけた。

「やめてください!」

少女が叫ぶ。

だが、ヘルメッポはお構いなしにおにぎりを踏みつけた。

「こんなもの、海賊狩りにはもったいねえんだよ!」

「……おい」

ゾロの声が低くなる。

「何か言ったか?」

「お前に食わせる飯なんざねえって言ったんだよ!」

ヘルメッポはゾロを嘲笑った。

「それとも、縄をほどいてやろうか? その代わり、約束の一か月は取り消しだ。お前は今すぐ処刑してやる!」

ゾロはしばらく黙っていた。

そして、少女へと視線を向けた。

「……嬢ちゃん」

「は、はい……」

「おにぎり、ありがとな」

それだけだった。

だが、タマモには分かった。

ゾロは怒っていた。

自分が磔にされていることではない。

少女の優しさを踏みにじられたことに、腹を立てているのだ。

「……ほんま、どいつもこいつも」

タマモは歯を食いしばった。

「弱いもんいじめばっかりしよって……!」

ヘルメッポは二人を鼻で笑うと、その場を去っていった。

少女は涙を浮かべながら、踏みつけられたおにぎりを拾おうとした。

「ええんや」

タマモが優しく声をかけた。

「もうええ。あんたの気持ちは、ちゃんと届いとるから」

少女は顔を上げた。

「……本当?」

「当たり前やろ。なあ、ゾロ?」

「……ああ」

ゾロは再び目を閉じた。

その顔には、先ほどまでとは違う決意が浮かんでいた。

 

4. ゴルシ、作戦を考える

一方、その頃。

海軍基地の近くでは、ルフィとゴルシが建物の陰から様子をうかがっていた。

「なあ、ゴルシ」

「なんだ、船長」

「おれ、あの二人を助けたい」

「奇遇だな。アタシもだ」

ゴルシはニヤリと笑った。

「特にあの白髪のチビ。あいつ、なかなか気に入ったぜ。あの根性、アタシ好みだ」

「タマモクロスって言ってたぞ」

「そうそう、タマ公だ!」

「勝手に変なあだ名つけんな!」

コビーが二人の背後で頭を抱えた。

「で、でも! 相手は海軍基地ですよ!? 大佐のモーガンは恐ろしい人物だって聞いています! 正面から乗り込んだら、捕まってしまいます!」

「じゃあ、正面から行かなきゃいいんだな?」

ルフィが首を傾げた。

「そういう問題じゃありません!」

ゴルシは基地の壁を見上げた。

高い塀。武装した兵士。見張り台。

普通に考えれば、侵入するのは簡単ではない。

しかし、ゴルシにとっては違った。

「へへっ……」

彼女は金棒を肩に担ぎ、脚に力を込めた。

「よし。ひとっ走りしてくるか!」

「待ってください! 何をするつもりですか!?」

「決まってんだろ。鬼ごっこだ!」

次の瞬間。

ゴルシは地面を蹴った。

「どりゃああああああっ!」

猛烈な勢いで駆け出したゴルシは、あっという間に基地の塀を飛び越えた。

「「ええええええええええ!?」」

コビーとルフィが同時に叫ぶ。

「ゴルシさあああああん!?」

「おお! すげえ! おれも行く!」

ルフィも塀へ向かって走り出した。

「待ってください! 二人ともおおおおお!」

コビーの悲鳴は、青空へと吸い込まれていった。

基地の中では、兵士たちが突然の侵入者に気づき、騒ぎ始めていた。

「な、なんだあいつは!?」

「侵入者だ! 捕まえろ!」

「へへっ! 鬼さんこちら、手の鳴る方へってな!」

ゴルシは兵士たちの間を駆け抜ける。

襲いかかる兵士の槍をひょいと避け、飛びかかってきた相手を金棒の一振りで吹き飛ばす。

「おいおい! もっと本気出せよ! アタシを楽しませてくれ!」

その騒ぎを聞きつけ、基地の奥から一人の男が姿を現した。

大きな斧を背負った、屈強な男。

海軍大佐、モーガンである。

「……何事だ」

兵士たちが慌てて敬礼した。

「た、大佐! 侵入者が――!」

「見れば分かる」

モーガンはゴルシを睨みつけた。

「貴様、何者だ」

ゴルシは金棒を肩に担いだまま、堂々と名乗った。

「黄金の浮沈船、ゴールドシップ様だ!」

「……海賊か」

「おう! 海賊王になる男の仲間だ!」

その言葉に、モーガンの眉が動いた。

「海賊王だと……?」

「そうそう! うちの船長はルフィってんだ! ゴム人間で、肉が大好きで、頭ん中はお祭り騒ぎのすげえ奴だぜ!」

「余計なことまで言うなあああああ!」

塀を乗り越えてきたルフィが、ゴルシの背後から叫んだ。

モーガンの表情が険しくなる。

「……貴様ら、海軍を愚弄する気か」

「いや、そんなつもりはねえけど?」

ゴルシは首を傾げた。

「ただ、友達を助けに来ただけだぜ」

その言葉に、モーガンの顔から笑みが消えた。

「ならば、その友達とやらもろとも、ここで叩き潰してやる!」

モーガンが斧を構えた。

海軍基地の戦いが、始まろうとしていた。

 

5. 二人の剣士、解放

その頃、広場。

「……騒がしいな」

ゾロが顔を上げた。

基地の方角から、兵士たちの怒号が聞こえてくる。

「なんや、始まったみたいやな」

タマモは小さく笑った。

「……まさか、あいつらか?」

ゾロが呟く。

そのとき、広場へ一人の少年が駆け込んできた。

コビーだった。

「ゾロさん! タマモさん!」

「おう、ピンク頭」

タマモが手を振る。

「誰がピンク頭ですか!? それより大変なんです! ルフィさんとゴルシさんが海軍基地に乗り込んでしまって……!」

「……あいつら」

ゾロは呆れたようにため息をついた。

「無茶しやがって」

「せやけど、助けに来てくれたんやろ?」

タマモは笑った。

「ほな、ウチらもじっとしとられへんな」

「だが、縄が……」

「そんなもん、どうにかするわ!」

タマモは身体をひねり、縄の結び目を探った。

ウマ娘の脚力と柔軟性を生かして何とか抜け出そうとするが、縄は頑丈で、簡単には外れない。

そのとき、広場の向こうから少女が走ってきた。

先ほどおにぎりを持ってきた少女だった。

「ゾロさん! タマモさん!」

少女の手には、小さなナイフが握られていた。

「これで、縄を切って!」

「お嬢ちゃん……!」

コビーが驚く。

少女は震える手で縄を切り始めた。

やがて、ゾロを縛っていた縄がほどけた。

「……助かったぜ」

ゾロは立ち上がり、身体を伸ばした。

続いてタマモの縄も切られる。

「よっしゃ! 自由や!」

タマモは地面に降り立つと、腰に手を当てた。

「さて、と。ウチの刀はどこや?」

コビーが慌てて答える。

「武器は基地の中に保管されているはずです!」

「ほな、取り返しに行かなあかんな」

ゾロは口元を吊り上げた。

「ちょうどいい。俺の刀も必要だ」

二人は顔を見合わせた。

剣士と、二刀流のウマ娘。

目指す場所は同じだった。

「行くで、ゾロ!」

「足を引っ張るなよ、タマモ」

「誰がやねん!」

二人は基地へと駆け出した。

 

6. 黄金の浮沈船と海賊狩り

基地の中では、モーガンがルフィに斧を振り下ろしていた。

「海賊め! 貴様らに正義を語る資格などない!」

「正義? よく分かんねえけど、おれは仲間を助けたいだけだ!」

ルフィは斧をかわし、拳を握りしめた。

「ゴムゴムの――銃!」

拳が伸び、モーガンの身体を捉える。

しかし、モーガンは倒れなかった。

「ぬううううっ!」

斧を振り回し、ルフィへと迫る。

その横から、ゴルシが飛び込んだ。

「おらぁっ!」

金棒が斧の柄に叩きつけられる。

轟音が響き、モーガンの攻撃が弾かれた。

「なにっ!?」

「おいおい、よそ見してんじゃねえぞ!」

ゴルシは豪快に笑った。

「こっからが本番だぜ!」

モーガンが体勢を立て直そうとした、その瞬間。

「おらあああああっ!」

広場から駆けつけたタマモが、勢いよく飛び込んできた。

彼女の手には、取り戻した二本の刀。

「タマモクロス、参上や!」

タマモは二本の刀を構え、兵士たちの前に立ちはだかった。

「悪いけど、そこ通してもらうで!」

兵士たちが一斉に襲いかかる。

タマモは二本の刀を巧みに操り、攻撃を受け流しながら相手の武器を弾き飛ばしていった。

「一人、二人、三人……! まだまだ来るんかい!」

「おい、タマモ! 無茶すんなよ!」

ゾロが三本の刀を手に、彼女の隣に立つ。

「誰に言うとんねん! ウチを誰やと思っとるんや!」

「口だけは達者だな」

「なんやとぉ!?」

二人は言い合いながらも、息の合った連携で兵士たちを圧倒していった。

ゾロが正面から敵を切り崩し、タマモが左右から迫る相手を二刀で捌く。

互いの動きを邪魔せず、むしろ相手の隙を補うような戦い方だった。

その様子を見ていたゴルシが、楽しそうに笑った。

「へへっ! いいじゃねえか、タマ公! なかなかやるじゃねえか!」

「タマ公言うなあああああ!」

タマモの怒鳴り声が基地に響いた。

その隙を突いて、モーガンが斧を振りかざした。

「貴様ら、まとめて叩き潰してくれる!」

「おっと、そいつは勘弁だな!」

ゴルシが前に出る。

「ルフィ! 今だ!」

「おう!」

ルフィは拳を引き絞った。

「ゴムゴムの――バズーカ!」

両腕が伸び、モーガンを真正面から捉える。

同時にゴルシが金棒を振り抜いた。

「黄金の一撃ィィィッ!」

二人の攻撃が炸裂した。

モーガンの巨体が吹き飛び、基地の壁へと叩きつけられる。

轟音。

そして、静寂。

海軍基地を支配していた恐怖は、ようやく終わりを告げた。

 

7. それぞれの夢

戦いの後。

コビーは、海軍兵士たちの前で震えながらも、自分の夢を語った。

「ぼ、僕は……海兵になりたいんです!」

かつてなら、決して口にできなかった言葉だった。

だが、ルフィとゴルシ、そしてゾロとタマモの姿を見た彼は、もう逃げなかった。

兵士たちは彼の決意を受け止め、コビーを海軍に迎え入れた。

「よかったな、コビー!」

ルフィが笑う。

「はい! ありがとうございます!」

コビーは涙を流しながら頭を下げた。

ゴルシは腕を組み、満足げに頷いた。

「へへっ。夢を追うってのは、いいもんだな」

「……あんたがそれを言うんかい」

タマモが呆れたようにツッコむ。

その隣では、ゾロが三本の刀を腰に戻していた。

「さて……俺は海賊になる気はねえぞ」

「えーっ!?」

ルフィが声を上げる。

「俺は世界一の剣豪になる。そのために、お前らの仲間になってやる」

「それ、海賊になるってことじゃないのか?」

ゴルシが首を傾げた。

「細かいことはいいんだよ!」

ゾロが怒鳴る。

タマモは二本の刀を腰に差し、腕を組んだ。

「……ウチも、ここに残るつもりはないわ」

「タマモも一緒に来るのか?」

ルフィが尋ねる。

「せやな。元の世界に戻る方法も探さなあかんし……それに」

タマモはゴルシを見た。

「こいつを一人にしといたら、何をしでかすか分からへんからな」

「おいおい、アタシは優等生だぜ?」

「どの口が言うとんねん!」

一同の笑い声が響いた。

こうして、麦わらの一味に新たな仲間が加わった。

ゴム人間の船長、海賊狩りの剣士、そして黄金の浮沈船と二刀流のウマ娘。

彼らの冒険は、まだ始まったばかりだった。

そして、東の海のどこかでは。

別のウマ娘たちもまた、この世界で新たな道を歩み始めていた。

勝負師として危険な海に惹かれていくナカヤマフェスタ。

自分の夢を追い、やがてウソップと出会うことになるトウカイテイオー。

そして、ゴールドシップの行方を追うかのように、世界の秘密へと近づいていくステイゴールド。

彼女たちの運命が交差するとき、大海賊時代はさらに大きく動き始める。

黄金の浮沈船は、まだ沈まない。

むしろ、これからが本番だった。

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