ウマ娘ONE PIECEダービー~黄金の浮沈船は大海原を駆ける~   作:武藤 桜

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第二十一話「空島編への航海――新たな仲間と、空からの来訪者」

アラバスタの海岸線が遠ざかっていく。

 

ルフィたちはビビとの別れを胸に刻みながら、船を進めていた。背後では、時間稼ぎをしていたMr.2ボン・クレーとその部下たちが、次々と海軍に捕らえられていく。

 

「ボンちゃん……」

 

ナミが振り返り、悔しそうに唇を噛む。

 

「……あいつらが時間を稼いでくれたおかげで、俺たちは逃げられたんだ」

 

ウソップが呟いた。

 

海軍艦隊の指揮を執るエアグルーヴは、遠ざかる麦わらの一味の船を双眼鏡で見つめていた。

 

「……逃げ切ったか。あのゴールドシップたち、報告以上に厄介な存在ね」

 

彼女は通信機を手に取る。

 

「こちらエアグルーヴ。対象の海賊船を取り逃がしました。麦わらのルフィ、ゴールドシップ、ロロノア・ゾロ、タマモクロスを確認。加えて、複数のウマ娘が同船しています」

 

通信の向こうから、落ち着いた声が返ってきた。

 

『報告は受け取った。引き続き動向を監視してくれ』

 

海軍本部。現在、大将の席に着くシンボリルドルフは、報告書に目を通していた。

 

その傍らには、同じく海軍に入隊した生徒会の面々――エアグルーヴ、そしてグラスワンダーやナリタブライアンらがいた。

 

「ゴールドシップたちが海賊として活動している、か」

 

ルドルフは静かに呟く。

 

「彼女たちの行動は、今後の海軍にとっても無視できない。エアグルーヴ、引き続き監視を。必要ならば、こちらからも人員を動かそう」

 

「了解しました」

 

ルドルフは報告書を閉じ、窓の外を見つめた。

 

「……ゴルシ。君は一体、どこまで行くつもりなのだろうな」

 

一方、海の上。

 

船の甲板には、別れの余韻が残っていた。

 

「ビビ……元気でやってるかな」

 

チョッパーが海を見つめる。

 

「王女として、きっと頑張ってるよ」

 

テイオーが励ますように言った。

 

ルフィは船首に座り、遠くを見ていた。

 

「また会えるさ」

 

ゴルシが隣に腰を下ろす。

 

「そうそう。別れってのは、次の再会の前フリだからな!」

 

「……なんだそれ」

 

ゾロが呆れたように言う。

 

その時だった。

 

「……あなたたち、ずいぶん楽しそうね」

 

聞き覚えのない女の声が、甲板に響いた。

 

全員が振り向く。

 

そこに立っていたのは、黒髪の女性――ニコ・ロビンだった。

 

「ロビン!?」

 

ナミが驚く。

 

「どうしてここに……!」

 

ロビンは静かに微笑んだ。

 

「クロコダイルを裏切ろうとして、負傷したの。地下遺跡が崩れる時、私はそこで終わるつもりだった」

 

彼女は一度視線を落とす。

 

「でも、ルフィとゴールドシップが……コブラ王と一緒に、私を地上まで連れて行ってくれた」

 

ルフィは首を傾げる。

 

「そうだっけ?」

 

「お前、覚えてねェのかよ!」

 

ウソップが叫ぶ。

 

ロビンは小さく笑った。

 

「行く場所も、帰る場所もない。だから……あなたたちの船に乗せてもらえないかしら?」

 

甲板に沈黙が落ちる。

 

ナミは警戒した表情を浮かべたが、ルフィはあっさり答えた。

 

「いいぞ!」

 

「ルフィ!?」

 

「だって、面白そうじゃん!」

 

ゴルシも頷いた。

 

「歓迎するぜ。考古学者ってのは、冒険に必要な人材だろ!」

 

ロビンは少しだけ目を見開き、それから穏やかに微笑んだ。

 

「ありがとう」

 

その直後、船の後方から元気な声が飛んできた。

 

「ゴールシーーーッ!」

 

「ん?」

 

ゴルシが振り返る。

 

海面を跳ねるように近づいてくる影。小舟に乗っていたのは、ステイゴールドだった。

 

「お前、どうしてここに!?」

 

ゴルシが驚く。

 

ステイゴールドは小舟から船へと飛び移り、軽く着地した。

 

「お前らの冒険、楽しそうじゃん。だから、俺も乗せてくれよ」

 

「おおっ! ステゴ!」

 

ゴルシが笑顔で迎える。

 

ステイゴールドはルフィたちを見回した。

 

「海賊の船で世界を回るなんて、退屈しなさそうだ。俺も仲間にしてくれ」

 

ルフィは迷わず頷いた。

 

「いいぞ!」

 

「即決かよ!」

 

ナミが頭を抱える。

 

こうして、ニコ・ロビンとステイゴールドが新たな仲間として加わった。

 

ロビンは静かに船内を見渡し、ステイゴールドはゴルシの隣で笑っている。

 

新しい仲間を迎え、麦わらの一味とウマ娘たちの航海は、再び動き出そうとしていた。

 

「よーし! 新しい仲間も増えたことだし、改めて出航だ!」

 

ルフィが拳を突き上げる。

 

「おう!」

 

ゴルシも応じ、ステイゴールドは船首に腰掛けて海を眺めた。

 

「さて、次はどんな島に行くんだ?」

 

「それは航海士のナミに聞け!」

 

ウソップが言う。

 

ナミは記録指針を確認しながら答えた。

 

「次の目的地は……」

 

その時だった。

 

「ん? なんか影が……」

 

チョッパーが空を見上げる。

 

雲の上から、巨大な影が近づいてくる。

 

「……船?」

 

ナミが目を凝らした。

 

次の瞬間――

 

轟音とともに、巨大なガレオン船が空から落ちてきた。

 

「うわああああああああっ!!」

 

「船が降ってきたァァァ!!」

 

ウソップとテイオーが叫ぶ。

 

「全員、避けろ!」

 

ゾロが声を張り上げ、タマモが仲間たちを引っ張る。

 

ルフィとゴルシは目を輝かせた。

 

「空から船が降ってきたぞ!」

 

「すげェ! どうなってんだこれ!」

 

二人が喜んでいる間にも、落下したガレオン船は海面へ激突し、大きな水柱を上げた。

 

衝撃で船が大きく揺れる。

 

「喜んでる場合かァ!」

 

ナミが怒鳴った。

 

甲板には、落下した船から飛び散った木片や荷物が散乱していた。さらに、空から降ってきたものは船だけではなかった。

 

「……あれ?」

 

チョッパーが甲板の隅を見つめる。

 

そこには、人骨が転がっていた。

 

「ぎゃあああああああ!! 骨が降ってきたァァァ!!」

 

ウソップが飛び上がる。

 

「人骨……? 船に乗っていた人のものかしら」

 

ロビンが興味深そうに近づく。

 

「おい、触るな! 動いたらどうすんだ!」

 

ウソップが慌てて止めた。

 

「骨が動くわけないだろ」

 

ゾロが呆れる。

 

その時、ルフィが骨を指差した。

 

「おい、こいつ、なんか面白そうだぞ!」

 

「面白がるな!」

 

騒ぎが落ち着いたところで、ナミは記録指針を確認した。

 

「……え?」

 

針が、いつもとは違う方向を指している。

 

「ちょっと待って。記録指針のログが……」

 

ナミは何度も確認する。

 

「おかしいわ。次の島を指してない……!」

 

「どういうことだ?」

 

ゾロが尋ねる。

 

ナミは空を見上げた。

 

「……空島に、ログを奪われたみたい」

 

「空島?」

 

ルフィが目を輝かせる。

 

「空に島があるのか!?」

 

ゴルシも船首から身を乗り出した。

 

「マジかよ! 空の島って、雲の上にあるのか? 金銀財宝も空から降ってくるのか!?」

 

「そんな都合のいい話があるか!」

 

ナミが突っ込む。

 

ロビンは落下したガレオン船を見つめ、静かに呟いた。

 

「空から落ちてきた船……。そして、空島に向かうような記録指針。偶然とは思えないわね」

 

ステイゴールドは楽しそうに笑った。

 

「いいじゃん。普通の航海じゃ味わえない冒険になりそうだ」

 

「そうだな!」

 

ルフィが大きく頷く。

 

「空島へ行こう!」

 

「待ちなさい! まだ行き方も分かってないでしょうが!」

 

ナミの叫びが、青い海に響き渡った。

 

こうして、アラバスタを後にした麦わらの一味とウマ娘たちは、新たな仲間を迎えた直後に、空からの落下船と謎の人骨、そして空島への手掛かりに遭遇する。

 

新たな冒険は、早くも前途多難――いや、前途多段の大騒ぎとなるのだった。

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