ウマ娘ONE PIECEダービー~黄金の浮沈船は大海原を駆ける~ 作:武藤 桜
ジャヤ島、モックタウン。
グランドラインに存在するこの町は、海賊たちが集まる無法地帯だった。酒場には荒くれ者たちがたむろし、町の至る所で喧嘩や騒ぎが起きている。
そんな町に上陸したルフィたちは、空島へ行く方法を探すため、まずは情報収集を始めることにした。
「よーし! 空島のことを知ってる奴を探すぞ!」
「お前の場合、情報収集より先に食い物を探しそうだけどな」
ゴルシが呆れたように言う。
「だって腹減ったし!」
「……否定しねぇのかよ」
「まあまあ。まずは酒場で話を聞いてみましょう」
ナミがそう言うと、隣にいたフェスタも頷いた。
「こういう町なら、何かしら情報が転がっているだろう。もっとも、まともな情報かどうかは別だがな」
「せやな。期待しすぎん方がええかもしれんで」
タマモも周囲を警戒しながら歩き出す。
こうしてルフィ、ゴールドシップ、ゾロ、タマモ、ナミ、ナカヤマフェスタの六人は、町の酒場へと入っていった。
店内は荒くれ者の海賊たちで溢れ返っていた。酒瓶を片手に騒ぐ者、テーブルに足を乗せて談笑する者、喧嘩の真っ最中の者までいる。
「うわー! すげぇところだな!」
「おいルフィ、あんまりキョロキョロするなよ」
ゾロが注意するが、ルフィは聞いているのかいないのか、空いている席を探していた。
そのとき、ルフィの目に隣の席に座る一人の男が映った。
黒い髭を蓄えた大柄な男。豪快に食事をしているその男は、ルフィたちが近くに座っても特に気にする様子はなかった。
「なあ、お前!」
ルフィが突然声を掛ける。
「ん?」
男が顔を上げた。
「空島って知ってるか?」
「空島?」
男は少し考えるようにしてから、ルフィに尋ね返した。
「お前、空島を目指してるのか?」
「ああ!」
ルフィは迷いなく答えた。
「へぇ……」
男は何か言いたげに笑った。
その直後だった。
「ギャハハハハハハハ!!」
酒場の奥から大きな笑い声が響いた。
「空島だと!? まだそんな夢みてぇなこと言ってる奴がいるのかよ!」
大勢の荒くれ者たちを引き連れた男が、こちらへ歩いてくる。
その男こそ、ベラミー海賊団船長――ベラミーだった。
「おいおい、今どき空島なんて信じてる奴がいるとはな!」
ベラミーはルフィたちを見下すように笑う。
「空島なんてものは存在しねぇ。そんなもんを探す奴はただの馬鹿だ!」
「何だと?」
ゴルシが眉をひそめる。
「お前ら、夢を追うのがそんなにおかしいか?」
「夢だぁ? 笑わせるなよ!」
ベラミーの仲間たちも一斉に笑い出した。
「海賊なら現実を見ろよ! 大海賊時代は終わったんだ! 今は実力の時代だぜ!」
「そうそう! 空島だの黄金郷だの、そんな夢物語を信じてる奴は時代遅れなんだよ!」
その言葉に、タマモは不快そうに眉を寄せた。
「なんやこいつら……。人の夢を笑うて、何が楽しいんや」
「相手にするだけ無駄だ。酔っ払いの戯言だろう」
ゾロは興味なさそうに酒場の壁にもたれかかる。
ナミとフェスタも、ベラミーたちを相手にする気はないようだった。
「それで、空島の情報は?」
フェスタが店主に尋ねる。
しかし、周囲の海賊たちは質問を聞いてさらに笑い声を上げた。
「まだ聞くのかよ!」
「いい加減にしろ!」
そして、ベラミーの仲間の一人が手にしていた酒瓶を投げつけた。
ガシャンッ!!
瓶がテーブルの近くで砕け、破片がルフィたちの方へ飛び散る。
「っ……!」
ルフィの頬に小さな傷ができ、ゴルシの腕にも破片が当たった。
「おい……!」
タマモが立ち上がりかける。
「待て、タマ」
ゾロが片手を上げて制止した。
「こんな奴らに構っても仕方ねぇ」
「けど、ゾロ!」
「怪我は大したことねぇ。ここで暴れたところで、情報が手に入るわけでもねぇだろ」
ゴルシは頬を拭い、飛び散った酒瓶の破片を見下ろした。
「……ま、そうだな。こいつらの相手をしてやる義理もねぇ」
ルフィもベラミーたちを見つめていたが、拳を握ることはなかった。
「行こう」
その一言に、ナミたちは頷いた。
「そうね。こんなところにいても時間の無駄だわ」
「賢明な判断だな」
フェスタも立ち上がる。
ベラミーたちは、何も言い返さずに酒場を出ていくルフィたちを見て、ますます大きな笑い声を上げた。
「逃げるのかよ! 夢見る海賊さんたち!」
「ギャハハハハハハ!!」
しかし、ルフィたちは振り返らなかった。
酒場を出たルフィたちの前に、先ほど隣の席に座っていた黒髭の男がいた。
男はルフィたちの様子を見て、豪快に笑った。
「ゼハハハハハ! お前ら、なかなか面白ぇ奴らだな!」
「さっきの……」
ルフィが男を見る。
男はルフィたちに向かって言葉を続けた。
「人の夢は終わらねぇ!」
その言葉に、ルフィとゴルシは足を止めた。
「笑われて行こうじゃねぇか。夢を追えば、立つ拳の見つからねぇ喧嘩もあるさ」
男は酒場の方を振り返り、なおも笑い続けるベラミーたちを見やった。
「行けるといいな、空島へ」
「……!」
ルフィの顔に、再び笑顔が戻る。
「おう!」
ゴルシもニッと笑った。
「おっさん、いいこと言うじゃねぇか! その通りだぜ!」
「ゼハハハハ! そうかい!」
男は満足そうに笑うと、そのまま町の雑踏へと歩き去っていった。
「変わったおっさんだったな」
ゾロが呟く。
「でも、あいつの言葉は本物だったと思うぜ」
ゴルシは男の背中を見送りながら言った。
「夢を笑う奴もいれば、夢を応援してくれる奴もいるってことだな」
「うん! 絶対に空島へ行くぞ!」
ルフィの言葉に、仲間たちはそれぞれ頷いた。
その後、ルフィたちはゴーイングメリー号へと戻った。
船ではロビンが町で集めてきた情報を整理していた。
「お帰りなさい。何か収穫はあったかしら?」
「うーん、あんまり!」
ルフィが正直に答える。
「酒場では空島のことを笑われただけだったな」
ゴルシが肩をすくめる。
「ただ、町で少し情報を集めてきたわ。どうやら島の反対側に、黄金伝説を調べている人物がいるらしいの」
「黄金伝説?」
ナミが反応する。
「ええ。北の海では有名な絵本の主人公、モンブラン・ノーランド。その子孫にあたる人物だそうよ」
「ノーランドって、あの『うそつきノーランド』の?」
ウソップが尋ねる。
「そう。実話を元にした絵本らしいわね」
「実話ってことは、本当に黄金郷があったってことか!?」
ルフィが目を輝かせる。
「それはまだ分からないわ。本人に聞いてみるのが一番でしょう」
ロビンが微笑む。
「よし! じゃあ島の反対側に行こう!」
ルフィの号令で、メリー号は島の反対側へと向かうことになった。
ところが、その道中――。
「おーい! 待てぇーい!!」
海上から大きな声が響いた。
「ん?」
ルフィたちが振り返ると、そこには巨大な男が率いる海賊団の船が迫っていた。
「マシラの仲間……ショウジョウ海賊団だ!」
フェスタが相手の船を見て言った。
「ショウジョウだと?」
ゾロが刀に手を掛ける。
「おそらく、マシラの一件で俺たちを追ってきたんだろうな」
「うわっ! また面倒なのが来たぞ!」
ウソップが慌てる。
ショウジョウ海賊団は大声を上げながらメリー号へと接近してきた。
「逃がすかぁー!!」
「とにかく逃げるぞ!」
ナミの指示に従い、メリー号は急いで進路を変えた。
「おおおっ! 追ってきたぞ!」
「もっと速く! もっと速く進めぇー!」
「お前ら、騒ぎすぎだろ!」
ゴルシは笑いながら帆を確認する。
こうしてルフィたちはショウジョウ海賊団から逃げながら、ようやく島の反対側へと辿り着いた。
島の反対側。
そこには、海岸沿いに建てられた一軒の家があった。
周囲には大きな木が生い茂り、少し離れた場所には船が停泊している。
「ここにノーランドの子孫がいるのね」
ロビンが周囲を見回す。
「おーい! 誰かいねぇかー!」
ルフィが大声で呼びかけた。
すると、家の中から一人の男が現れた。
頭にバンダナを巻き、無精髭を生やした大柄な男。
「何だ、お前らは?」
「お前がモンブラン・クリケットか?」
ゴルシが尋ねる。
「そうだが……何の用だ?」
「俺たちは空島を探しているんだ!」
ルフィが堂々と答えた。
その言葉を聞いたクリケットは、少しだけ表情を変えた。
「空島だと?」
「そう! 空に島があるんだろ? そこへ行きたいんだ!」
「……なるほどな」
クリケットはルフィたちを見渡すと、家の中へ招き入れた。
「話を聞かせてやる。だが、空島を目指すなら覚悟しておけ」
「おう!」
クリケットは自分がモンブラン・ノーランドの子孫であること、そして先祖の伝説を調べ続けていることを語った。
北の海で語り継がれる絵本『うそつきノーランド』。
その主人公であるノーランドは、かつてジャヤを訪れ、黄金郷を発見したと報告した。しかし、帰国した後に再びジャヤを訪れた際には黄金郷が消えていたため、嘘つきとして処刑されてしまったという。
「ノーランドは嘘つきなんかじゃなかった」
クリケットは静かに言った。
「俺はそう信じている。だからこそ、先祖が見たという黄金郷の真実を確かめるために、この島で調査を続けているんだ」
「じゃあ、本当に黄金郷があったんだな!」
ルフィが身を乗り出す。
「それを確かめるために調べているんだ。簡単に答えが出る話じゃねぇ」
クリケットはそう言って、一冊の古びた航海日誌を取り出した。
「これがノーランドの航海日誌だ」
「おおっ!」
ルフィたちは興味津々で覗き込む。
「この日誌によれば、空島が存在する可能性は十分にある。ジャヤ周辺には、時折、積帝雲と呼ばれる特殊な雲が現れるんだ」
「積帝雲……?」
ロビンが日誌を覗き込む。
「積帝雲は通常の雲とは違う。長期間にわたって同じ場所に留まり、まるで空に浮かぶ大陸のようになることもあるらしい」
クリケットは地図を広げた。
「そして、空島へ向かう手段は一つ。近海の海底火山が発生させる巨大な海流――ノックアップストリームだ」
「海流で空まで飛ぶのか!?」
ウソップが目を見開く。
「そうだ。海底火山の噴火によって海水が空高く突き上げられる。その流れに乗れば、空島へ行ける可能性がある」
「すっげぇ!!」
ルフィが大喜びする。
「ただし、いつどこで発生するかは分からねぇ。周囲の天候を読み、積帝雲が発生している場所を見極める必要がある」
「なるほどね……。つまり、適当に海へ出ても駄目ってことね」
ナミが腕を組む。
「そういうことだ。だから俺たちは、まずジャヤ周辺の海域を調べる必要がある」
「なら、必要なのは方角を正確に知ることだな」
フェスタが地図を確認する。
「でも、普通の方位磁針じゃ積帝雲の位置までは分からないんじゃない?」
ナミの疑問に、クリケットは頷いた。
「そこで必要になるのが、サウスバードだ」
「サウスバード?」
「ジャヤに生息する鳥だ。常に南を向いている。あいつを捕まえれば、少なくとも方角を見失うことはない」
「よし! そいつを捕まえよう!」
ルフィが勢いよく立ち上がる。
「待ちなさい。生け捕りにするのよ。傷つけたり逃がしたりしたら意味がないんだからね」
ナミが釘を刺す。
「分かってるって!」
「本当かしら……」
ゴルシはそんなルフィを見て、ニヤリと笑った。
「ま、鳥捕まえなら任せとけ。ゴルシ様の捕獲テクニックを見せてやるぜ!」
「お前の捕獲テクニックって何だよ……」
ゾロが呆れたように呟いた。
こうしてルフィたちは、サウスバードを生け捕りにするためジャングルへと向かった。
ルフィたちがサウスバードを探しに出かけている頃。
クリケットの家には、別の海賊たちが現れていた。
「おいおい、これはまた随分と立派な家じゃねぇか」
ベラミー海賊団。
先ほど酒場でルフィたちを嘲笑した海賊団だった。
彼らはクリケットの家へと押し入り、家の中を荒らし始める。
「おい! 何をする!」
クリケットが止めようとするが、ベラミーたちは聞く耳を持たなかった。
「ここに黄金があるんだろ? ノーランドの黄金伝説ってやつだ!」
「そんなものを探してどうする?」
「決まってんだろ。金になるからだ!」
ベラミーたちは、クリケットが長年の調査で集めてきた黄金を奪い去ってしまった。
「待て! それは俺の……!」
クリケットは追いかけようとするが、ベラミーたちに押さえつけられてしまう。
そして、彼らが去った後。
サウスバードを捕まえたルフィたちが帰ってきた。
「ただいまー!」
「捕まえたぞ!」
ゴルシが得意げにサウスバードを掲げる。
「おお! よくやった!」
クリケットが喜ぶ。
しかし、家の中の惨状を見たルフィたちはすぐに異変に気づいた。
「……何だこれ?」
「おい、クリケット! 何があったんだ?」
ゴルシが尋ねると、クリケットは悔しそうに拳を握った。
「ベラミーの野郎どもだ……。俺が集めていた黄金を奪っていきやがった」
「ベラミー……」
ルフィの表情から笑顔が消える。
酒場での出来事が脳裏をよぎった。
「黄金を取り返してくる」
ルフィは短く言った。
「待て。あいつらはかなりの数がいる。お前たちがわざわざ危険を冒す必要はねぇ」
「いいんだ」
ルフィはクリケットを見た。
「お前の大事なものなんだろ?」
「……!」
ゴルシも頷く。
「夢を追いかけるために集めた黄金を、夢を笑う奴らに奪われたままなんて気に入らねぇ。ここはひとつ、ゴルシ様たちに任せとけ!」
「ゴルシ、行くぞ!」
「あいよ!」
二人はクリケットの制止を振り切るようにして、ベラミー海賊団のもとへ向かった。
ベラミー海賊団の根城。
奪い取った黄金を前に、ベラミーたちは大笑いしていた。
「これだけあれば十分だな!」
「ノーランドの黄金伝説なんて、結局は金儲けのネタってわけだ!」
そこへ、二人の影が現れる。
「おい」
ベラミーが振り返る。
「誰だ、お前ら?」
「奪ったもんを返してもらいに来た」
ルフィが言う。
「何だと?」
「クリケットの黄金だ。返せ」
ゴルシも続ける。
ベラミーは二人の顔を見ると、酒場での出来事を思い出したように笑った。
「何だ、お前らか。まだ空島なんて夢見てやがるのか?」
「うるせぇ。黄金を返せ」
「返せだと? これは俺たちが奪ったもんだ。返す理由なんかねぇ!」
ベラミーが笑いながら一歩前へ出る。
「それに、俺たちは今の時代に合った海賊をやってるんだ。夢だのロマンだの、そんなもんに価値はねぇ!」
「……そうか」
ルフィが静かに呟く。
「じゃあ、返してもらうぞ」
次の瞬間。
ルフィの拳がベラミーへと飛んだ。
「ゴムゴムの――!」
しかし、技の名を言い終えるより早く、ゴルシも同時に踏み込んでいた。
「ゴルシ式――黄金バット!!」
ドゴォン!!
二人の攻撃がほぼ同時にベラミーを捉えた。
「ぐああああっ!!」
ベラミーの巨体が吹き飛び、周囲の建物を巻き込むように倒れ込む。
一撃だった。
あまりにもあっけない決着に、ベラミーの仲間たちは呆然と立ち尽くした。
「な……何が起きた……?」
「ベラミーが……一撃で……!?」
ルフィとゴルシは、倒れたベラミーに目もくれず、奪われた黄金を確認する。
「これだな!」
「ああ。持って帰るぞ」
二人は黄金を担ぎ上げた。
そのとき、ベラミー海賊団の一人が声を上げた。
「お、お前ら……何処へ向かうつもりだ!?」
ルフィとゴルシは、まるで何でもないことのように答えた。
「空」
「空だぜ!」
二人は黄金を担いだまま、堂々とその場を後にした。
残されたベラミー海賊団の面々は、ただ呆然とその背中を見送ることしかできなかった。
クリケットの家。
「おーい! 持ってきたぞー!」
ルフィとゴルシが戻ってくる。
その手には、奪われた黄金がしっかりと抱えられていた。
「おお……!」
クリケットは目を見開く。
「本当に取り返してきたのか……!」
「当たり前だろ!」
ルフィは笑顔で答える。
「これで元通りだな!」
ゴルシも黄金を置きながら胸を張る。
「ゴルシ様と船長のコンビにかかれば、あんな連中なんて朝飯前よ!」
「お前も食い物の話をするのか……」
ゾロが呆れる。
「それより、これで準備は整ったんじゃないか?」
フェスタがサウスバードを確認しながら尋ねた。
「そうだな。あとは天候を見極め、ノックアップストリームの発生地点を探すだけだ」
クリケットは黄金を見つめた後、ルフィたちへ視線を向けた。
「お前たちは本当に空島へ行くつもりなんだな」
「もちろん!」
ルフィは即答する。
「空に島があるなんて、面白そうじゃねぇか!」
「黄金があるかどうかも気になるしな!」
ゴルシも笑う。
クリケットはそんな二人を見て、少しだけ口元を緩めた。
「空島は伝説だ。だが、それが空想だと証明した奴は誰もいねぇ」
彼はゆっくりと立ち上がり、ルフィたちの前に立った。
「これこそロマンだ!!」
その声には、長年先祖の伝説を追い続けてきた男の誇りが込められていた。
「お前たちなら、きっと辿り着けるかもしれねぇな」
「おう!」
ルフィは笑顔で拳を握る。
「絶対に行ってやる!」
「待ってろよ、空島! ゴルシ様がその全貌を暴いてやるぜ!」
「お前は何をするつもりなんだ……」
ゾロの呆れ声に、仲間たちから笑いが漏れた。
やがてルフィたちはメリー号へと戻り、出港の準備を始めた。
クリケットは海岸まで出て、彼らの船を見送る。
「気をつけろよ! ノックアップストリームは生半可なもんじゃねぇぞ!」
「分かってる!」
ルフィが船上から手を振る。
「じゃあな、クリケット!」
「また会おうぜ!」
ゴルシも大きく手を振った。
メリー号の帆が風を受け、ゆっくりと海岸から離れていく。
クリケットはその姿が小さくなるまで見送っていた。
空島は伝説の場所。
そこに辿り着いた者は、まだ誰もいない。
だが、誰も辿り着いていないからこそ、挑む価値がある。
夢を笑われても、嘲笑されても、諦めずに進む者たちがいる。
そして彼らは今、伝説のその先へ向かおうとしていた。