先制攻撃で目を合わせてじっと見つめたらゲロってくれたんで、仲良く釘崎と両脇を固めて連行です。
俺のことはともかくとして、伏黒のことなら動いてくれるからな姉御肌釘崎さんは。「風が騒がしい」的ムーブをとった甲斐ありました。勝手に詰めてくれましたからね。
ところで俺に見つめられてた伏黒の冷や汗がやばかったんだけどどういうこと? 津美紀さんが死ぬかも……!? のときの焦りと同程度じゃなかった? 失礼しちゃうわね。
(どうでも)いいよ、許す。
呪術師って死にかけたときに死ぬ気で生き残ったら爆発的に成長するっていう野菜人的な特質持ってるから、伏黒もほどほどに死にかけてください。
この期に及んでまこらに頼ったら本気でしばくかんな。ここまで来といて!? になりますからねマジで。先生の走馬灯見ろ。
実際フラグ管理ミスると指一本相手にまこら出して死にます。
逆に言うとこの頃までは伏黒を殺しやすいです。領域展開前と後で遺言に差分があるのでお楽しみください。
サクサク進行で川を渡り、三男が突っ込んできたので適当に四分の一殺しくらいにとどめ、釘崎が吸い込まれたら離脱です。
伏黒にはだめ押しで釘を刺しておきます。釘だけにってか。
「大丈夫だとは思いますが、五体満足で戻ってこなかったら怒りますよ」
では続行!
三男は追いかけたら逃げますが、こっちが次男の方に向かうと追ってくる仕様です。それを利用して、次男をビーコンにした上で釘崎に合流します。
意識すればサードアイ的な感じでマッピングされるんですね。感知鍛えが足りてる!
よしよし、ちゃんとついてきています。では橋の下をがっつり帳で覆って……問題なく張れました。これで伏黒が握って寝てる指に雑魚がどうこうもないでしょう。
学長からの怒られポイントを減らしていきます。
さあ、しばきタイムに入りましょう。バチ殺すのはこっち。
釘崎に背を向けて次男がヒョコヒョコ走っている間に三男を半殺しにしたので、合流後は早めに仕留めていきます。
帳降ろした時点でタイムアタック開始になるんですよね~このステージ。敵味方共に逃げ道塞いでるから当たり前です。
おかげで釘崎担いでダッシュする必要がなくなります。代わりに帳の維持で一定呪力が定期的に食われますがそれはそれ。
好感度低い状態で抱えるとさらに好感度下がるので罠です。嫌いな人間に触られて逃走は、仮に命の恩があっても拭えない不快がある。致し方なし。
運んでる最中に暴れられて落としたら死にます。自分のミスで味方が死んだ判定下るのでデスペナルティが重めです。気をつけましょうね。
我慢比べはこの際どうでもいい(釘崎が黒閃経験者にならなくてもいい)ため、ただ全力で祓いにいくだけです。
今の俺には飛び道具もあるのでハメ技も可能といえば可能。やりませんが。
これあまり人間の味方に見せたくないので……(宿儺との融合度がうんにゃらからの死)
交流会でバスバス刻んでいたのはカラスの監視がなかったからです。あのタイミングでしか習熟度パワーレベリングをやりづらいとは。
副産物なので使わなくてもよかったんですが、せっかくですしね!
おや? よそ見していた間に釘崎が三男の吐血(瀕死時特有被ダメ演出)浴びて腕焼けてますね。寄られたら弱い性能出ちゃったやつか……。
すかさず次男が「朽」を出しました。意図せずして我慢比べ開始。
あーこれ黒閃キマるやつですね。わかりました、覚悟決めます。
早めに言っておくね。今までありがとう釘崎。
三男ロストのタイミングに合わせて次男を仕留めにいきます。涙なしには語れぬシーン到来!
おにーちゃんたら優しいんだから。────かぁいいね。弟のために死んでくれる?
撃破~。お疲れさまでした。帰ります。
共犯トーク? そんなものもありましたね。ないです。
伏黒が共振に気づいているかもスルーします。生き残ってる=領域展開習得なので触れなくてもOK。
俺がぶっちぎりでピンピンしているので背負って帰りましょうか? いらない? かしこまり~。
「守るとか助けるとか、聞こえのいい言葉で誤魔化しているだけで、俺にできるのは最初から徹頭徹尾、破壊だけですよ。その暴力を人間のために振るっていると思いたいだけ。俺自身も闘争を楽しんでいますから、なにもかも全部、言い訳以上になりません」
窓の外がきれいだ。明るい日差しに満ちた学舎。
もうすぐここに帰ってこられなくなると思うと、不思議な気持ちになる。
「モラトリアムも終わり」
俺の命ももうすぐ終わり。じわりと、毒がもたらす熱のような感傷がよぎった。
情が多少でも湧いたというのだろうか。そうだとしたら、こんな滑稽な話もないに違いない。最初から全部見捨てる予定で進めてきたのだから。
それが一番速く正常だ。
当たり前だった。
最優先する事柄は「俺の役に立つか否か」。感傷を抱いたとしても、それは真人の言う魂の代謝に過ぎないのだ。
質量を持って現れたところで、俺にとってはすべてゲームでしかない。「たかがゲーム」に全身全霊でマジになっている。
帰る現実もないのに、ただ走っている。走りたいから走り続けている。やめる必要性を感じられない。
俺の指針はこの衝動だけだ。ならばそれに従うのも当然のことで。常識だとか人として当然の感性だとか、全部投げ捨てて。愛の名で振り下ろす暴力の下に。
「先生が言った『人を助けられる』は、ある種の詭弁ですよ。あなたを滅することで助けられる命というのは、目の前で取り零されていくものではなくて、十年二十年単位の中での数字です。それらがすべて救われる前に……先生が、命の死に絶えたこの星で、最後のひとりになる確率の方が高いかもしれませんね」
外が明るい。俺は影の中にいる。
ずっとここにいたいと、思う日は来ない。
そう、猶予は終わる。
あとは急転直下の真っ逆さま。狂乱と悲鳴が蔓延る地獄絵図を、死ぬ気で駆け抜けるだけ。
必要な備えは終わらせたし、残っているのは祈ることくらい。それこそ「人事を尽くして天命を待つ」、です。俺の祈りは、この世で祈りと呼ぶには冒涜的だろうけど。
このために全力で生きてきました。派手に無慈悲に終わらせてやります。
ああ、本当に楽しみだ。
滾る殺意がはらわたの中で牙を剥く。
どうか、十月三十一日の月が綺麗でありますように。
この頃は三人死んで一人生き残るオチを信じていましたね…