全力のぶりっ子をかましました。
ちょっと……だいぶ……恥ずかしい! ツンツンした未成年の男の子を十代高校生ボディのまま誘惑? うおおおお。内側で宿儺がキモがってるのを感じる。キモがりすぎて口挟んでこなかったやつだわこれ。
はい、二本目の指をパクッといったことでどこでもいっしょ宿儺ver.解禁です。1/10でこれ、そりゃ渋谷で気絶中にわんこそばのごとく詰め込まれれば千年に一度の奇跡虎杖でも押さえ込めません。虎杖が完全にアドバンテージを握れるのは指カウント1のときだけ。当たり前ですよねぇ!?
はあ……まだ生得領域に突っ込まれることが発生してないから指摘や揶揄や殺害が起きてないだけで、少年院編終わったらご対面です。夜蛾学長の圧迫面接より怖い。
「キンッ」されないように毅然とした態度で、おもねることはせず、かつ気に入られるところまでいかずとも無限蹂躙パートに入らないように……いや難易度たっか!! アホか!!
こればかりは虎杖悠仁(偽)ムーブではどうにもならない。(真)は力の差を理解できないまま自己PR大失敗なので論外。まさしく走者の俺の魂の査定です。石か宝石か鑑定された上で破壊されないことを祈るばかり。マジのお祈りだよ……。
切り替えていきます。その日のうちに分骨納骨読経なし(これはRTAどうこうではなくデフォ)で墓にシューッ! したら位牌と通帳印鑑保険の書類各種をまとめてリュックひとつで東京にゴー。完全に夜逃げの様相。
新幹線のボックスシートで先生が喜久福独り占めしてるところを眺めながら寝ます。仙台と東京が近くて助かる~! グリーン車広々も相俟って調子が確定で良になります。高給取りに感謝。
なお先輩たちのお見舞いをしなかったのはタイム短縮目的もありますが、キャラチェンジ周りのガバが発生しかねないからです。虎杖少年の悲劇ポイント加算、本気で必要ないんで……。
変わり果てた(笑)新入生の後輩見るよりは知らないうちに後輩が消えてた方がマシ! 知らねえ! 元気でやれよ!
死滅回游のコロニーで変わり果てた物言わぬ先輩たち(確定ではない)に会うことは俺には関係ないからさ。漫画原作の虎杖に頑張ってもらいましょう。
俺の命は渋谷事変までだよ♡
東京つきました。駅まで迎えに来てくれた補助監督さんの見事なドライビングテクニックで、酔うこともなく快適に郊外の山奥です。
チョッパヤの荷造りをして最速で仙台を発ったので後部座席では仲良く伏黒と並びました。先生はなにも言わずに座席を後ろにずらしてきたため、俺がサッとその後ろに座る。
伏黒が目線で謝ってきましたが(どうでもいいので)問題ない。
足長いと大変ですね。だからこそ軽四の後部座席に詰めたい。あーでも移動中ずっとブーブー擦られるのはうぜえな……妄想だけにしとこ……。
伊知地さんが重用されるのは先生に言い返せることとストレス胃潰瘍などを発症しない強さだと思う。先生ってばナチュラルパワハラ男だから仕方ないよね。有能かつ働き者ならば傲慢にもなります。どうでもいいのでOK。
さあ面談です! おしゃべり宿儺が、先生が組織のトップでないことを嘲笑していますが、適当に口を塞いで聞き流します。
先生みたいな人がトップだったら先生以外の群れが全滅するのでNGです。この男に管理職は無理。教職ごっこしてるのも植林を兼ねた道楽だからネ。
夜蛾学長マジで苦労人。尊敬する~。当人は遅刻にプンスカしながら羊毛フェルトをチクチクしてます。
時間管理できるのは先生だけなので俺には関係ない。
「はじめまして、虎杖悠仁です。よろしくお願いします」
挨拶は万物の基本。おろそかにするやつはなにをやってもダメ。捏造マナー講師は帰れ。
礼儀正しい気持ちのいい挨拶を「なにしに来た」で一刀両断されますが、問題ありません。歓迎される方がチャートから外れるので大問題です。
ここから呪いを学んでどうする~の問答開始です。即興でキャラ変を済ませたことで「生き様で後悔したくない」をスキップできる、ラッキー! 当然戦闘チュートリアルもスキップ。効率的にいきましょう。
うなれ俺の心からの本音(多弁で修飾)! はいあっさり入学許可出ました。対戦ありがとうございました。
では寮まで移動。わーひろーい東京の家賃六万ワンルームより明確に広い。助かる。これなら部屋の中で無音筋トレも瞑想も楽々行えるでしょう。
騒がしくすると伏黒に壁ドンされて好感度下がります。
隣室を嫌がられなかったので順当に好感度稼げてますね。よしよし。これからもおとなしくて人懐こいワンコ系悠仁くんでいきます。ビジュアルもゆくゆくは実父に寄せていく予定です。今の俺ツーブロもパーカーも似合わねえんだよ……。
じゃ、明日釘崎を拾いに外出るので、隙間時間を使って瞑想コマンドで精神鍛えて呪力操作の下地を作っていきます。
虎杖がどのような答えを夜蛾へ返すか。五条はそれに興味があった。
「究極的には、ひとりで死ぬためです」
「死に方を選べるほど、今の俺は強くありません。ですが0だった力が1となり、これからも伸びるとなれば学ぶ方が効率的です。幸いなことに最終目標は設定されています、もっとも長生きするためにはまず強くならなければ。そのついでに人助けですね」
「『他人を助ける』ことは結果論です。目的ではありません。俺は、俺が最大のパフォーマンスを出しつつ人生を完走するために強くなり、呪いを祓い、副産物として人間が勝手に助かる。win-winの関係でしょう?」
夜蛾は数秒黙り込んだあと、質問を変えた。
「他人の命のために自分を投げ出すのか?」
「? 命は平等に重いです。平等なので1と10ならどちらを取るかは明白です。俺の選択が投げやりのものに見えているのでしょうか? それは勘違いです。俺は最終的に最強の呪いと同じ存在になるわけですから、それを排除することで大勢の人を助けられますよね。ついでに俺自身もこの地獄のような生命を終わらせられる。まあ救済に関しては結果論に過ぎませんが……。ついでに、執行猶予の過程でいっぱい人を助けたら儲けものですね」
「……他人にこだわる理由は?」
「うーん、人を助けることに意欲的なのは祖父の影響でしょう」
「自分が望まぬ死を迎えるときに祖父を理由にするか?」
「いえ? 俺個人としてはかなりどうでもいいです。が、秩序の側に立ち続けるためには善良な方向に役立たなければいけません。ひとりで満足して死ぬためには他者を尊重して繋がりの中にいなければならない……矛盾した話ですね」
「祖父の遺言の意図とは真逆になりますが、選択肢が潰れた以上仕方のないことです。ポジティブにいきましょう!」
夜蛾はため息をついた。「合格」の言葉が乾いた唇から落ちる。虎杖はニコニコ笑ってお辞儀した。
恨めしそうな目で夜蛾が五条を見る。
「悟……お前、厄介なのを連れてきたな」
「いや、さすがの僕もここまでとは。ちょっと予想外」
「正しいからこそ厄介だ。理性的なまま正常に狂っている、自我の強い術師たちの中では浮くぞ」
教育方針に頭を悩ませる大人たち。しかし、それを吐息が軽やかに笑った。
「悠仁~~~~笑うところじゃないでしょ~~~~」
「んふふ、すみません。でもおかしくって。俺、兵器運用されるつもりで来ましたから」
「僕はそんなことしないよ」
設備を案内するから行こう、と背中を叩き、部屋から連れ出す。
君は兵器になることもしっかりこなせるのだろう。理解できていたから、五条はこの言葉を飲み込んだ。
「うーん、でもちょっと適正高すぎるから、心配ではあるかな」
「まあ、もともと暴力の世界に対する適正が高すぎたので。うっかりして卒業後暴力団体に入る未来もおかしくなかったと思います。……だから祖父の遺言が『人を助けろ』だったんでしょうね」
沈黙で続きを促す。
「暴力は対話より楽で、他人を助けるより支配して搾取する方が簡単です。先生ならわかると思います」
「……そうだね」
「そういう面では祖父の愛に呪われ縛られましたが、とにもかくにも呪いの力に目覚められてラッキーでした。なにせ暴力のドブさらいで人様の安寧を守れるでしょう。いやー自分がイカれていることと頑丈に産んでいただいたこと、感謝してもしきれませんね」
こどもっぽい顔をしたまま、つるつると理屈を話し続ける。それを本心から信じている。本当に厄介だ。
「まあ、ですから? 二十本全部腹に収めるまで、ちゃんと手綱を握っていてほしいですね。物事はスケジュール通りにいくことの方がレアです、暴走して虐殺を開始する前にサクッと終わらせてもらうためにも、先生はしっかり能力行使可能な状態でいてくださらないと」
「任せてよ、僕最強だからさ」
嬉しそうに、こどもは笑みを深めた。
「あなたの最強が秩序を守り続けることを、心から期待しています」
続きはまた明日