鬼滅の刃〜残花異聞〜   作:みしゃぬこ

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第12話

 その日は任務で久しぶりに町に降りていた。

 

 何度目かの町で私もすっかり町娘の姿になるのに違和感がなくなった。

 

「おう姉ちゃん。うちの団子くってかねぇか?良い米が入ったからうんまいぞ〜」

 

「わぁ。ほんとですか!?是非食べたいです!」

 

「おぅ毎度あり!ねぇちゃん別嬪さんだから何個かおまけしてやるよ」

 

「も〜お上手ですね〜。でもありがとうございます」

 

 そう言って笑顔で受け取るとみんな赤い顔して喜んでくれる。

 

 はじめは接し方も生活も何もかも違うくて遠目で見るしかなかったけど、見て覚えたことを少しずつ実践していき、最近は自然に笑顔を作ることもできるようになってから、どこに行っても町の人たちと自然に話ができるようになった。

 

 その分妙な気配で話しかけてくる人もいたけれどそういう人たちに付き合っても時間の無駄な上、余計に叩かないといけなくなることは経験済みなので、無視か他の人たちがやってるように回避するのが1番だった。

 

「おばちゃーん。魚売ってる〜」

 

「あん?あんたここは八百屋だよ?魚を買いたきゃ港方面にいきな」

 

 私は笑顔で野菜を売ってる店に入り、そんなことを尋ねるとおばちゃんは鬱陶しそうにしっしっと言いながら追い払おうとする。

 

「でもお父ちゃんがここで魚を買えって・・・ほらここに手紙もあるよ?」

 

「あ〜?・・・確かにここで買えって書いてるけどねぇ・・・八百屋で魚なんて売ってるわけないだろう?」

 

「う〜・・・じゃあ野菜買うよ・・・」

 

「は〜?全く仕方ない子だね・・・魚は何が欲しいんだい?」

 

「・・・!売ってくれるの?」

 

「だからここは八百屋だっつってんだろ!バカ息子がやってる魚屋があるからそこ紹介してやるよ。先教えてくれたらうちの若いの使って息子に伝えといといてやるよ」

 

「魚は活きのいいアジを5匹欲しいって言ってた。あとできたら焼いて欲しいんだって!」

 

「アジね・・・それなら問題なく売ってるよ。活きのいいのが欲しいなら今日の夜にこの場所にいきな。ここで息子が店やってるから」

 

「今すぐじゃ買えない?」

 

「息子は朝と昼は猟にいっていないんだよ。だから若い衆を使って伝えてやるって言ったろ。ほら用が済んだなら行った行った」

 

「わかった!ありがとう、おばちゃん!」

 

 そう言って私はルンルンとしながら町の雑踏に消えていった。

 

 その晩、私は店のおばちゃんからもらった地図に言われた場所にやってくる。

 

 もちろん魚を買うわけじゃなく、任務のために。

 

 昼と違い、刀を帯びに差して私は町を歩いていく。そして目的の場所にいくと一軒の家が建っていた。中からは何人かの声が聞こえる。どうやら魚はちゃんと元気なようだ。

 

 いつものように私は塀を飛び越えると、静かに建物に入る。

 

 そして酒盛りをしている5人の男がいる居室の襖をスッと開いた。

 

「なんだぁ・・・お前。おい!誰だ、女を呼びやがったやつは!」

 

 そう言って怒鳴る男。逆に別の男は無防備に私に近づいてくる。

 

「まぁまぁ・・・良いじゃねぇか。それにしても随分な別嬪を呼んだんだなぁ。これ・・・呼ぶのかなりの金がかかっただろう」

 

 そう言って私の髪を無遠慮にかき上げる。相変わらず気持ちが悪い。

 

「へへ・・・じゃあ楽しんで──」

 

 そう言って私の胸に手を伸ばした男の手首を私は優しく制した。

 

「お?なんだ姉ちゃん?抵抗する─アガッ!」

 

 まだなんか言おうとした男に私は笑顔を向けるとすぐにその手首をへし折った。そして畳の上で転げ回る男の背中を抜いた刀で刺し貫く。

 

 男はしばらくビクンビクンと震えていたがやがて動かなくなり、赤いシミが広がっていった。

 

「ごめんなさい。あまりにも気持ち悪かったからすぐに殺してしまいました。さてでは残ったみなさま、どうぞ遠慮なく抜いてください。最後は武人として逝かせてあげます」

 

 私がそう言って静かに構えると彼らも一斉に刀を抜いて構えた。

 

 何もさせないまま殺してしまうのは可哀想だもの。そう思い笑顔を見せると男たちは私に向かって走り出す。

 

 私は男たちが振り下ろしてくる斬撃を軽く避けつつ、全員をすれ違いざまに斬り捨てると4人ともその場に崩れ落ちた。4人も動かなくなったのを確認すると私はその町を後にした。

 

 その帰り道、家に帰る途中の山道で鉄心が私を待っていた。

 

「遅かったな。もう夜が明けるぞ」

 

「ごめんなさい。あなたの方も滞りなく」

 

「もちろんだ」

 

 そう言って鉄心が拳を突き出してくると私もその拳に自分の拳をコツンとぶつけた。これはお互いに任務を無事に終えた時にやるようになったことだ。

 

「なぁ」

 

「ん?」

 

 私が持って帰ってきた団子の入った風呂敷を持った鉄心が話しかけてくる。

 

「少し時間いいか?」

 

「どうしたの?」

 

「いや・・・話したいことがあって」

 

「ん?」

 

「あのさ・・・えっと・・・」

 

 なんか言いづらそうにしている鉄心に私は首を傾げる。しばらく何か悩んでる素振りを見せていた鉄心だったが私の方に顔を向けた。

 

「俺たち家族にならないか?」

 

「・・・家族?」

 

 その言葉が理解できなかった。家族ってなんだろう?町ではよく見かけたと思うけど深く考えたことはなかった。

 

「家族ってなーに?」

 

 私がそう尋ねると鉄心は赤い顔で答えてくれる。

 

「家族っていうのは・・・あれだよ!大切な人と結ぶ絆っていうかさ・・・その・・・要するに大事な人って意味だよ!」

 

「・・・・・・あ〜!なるほど!鉄心は私が大事なんだね!」

 

「〜〜〜!そ、そうだよ!」

 

「だったらいいよ。家族になろう」

 

「・・・えっ!いいのか?」

 

「うん。じゃあ私みんなに伝えてくるね」

 

 そう言って私は鉄心を残し先に里に帰っていった。

 

 それから私は子供たちみんなを集めて「今日から私たちは家族だよ」って伝えたけどなんか鉄心はすごい微妙な顔をしてた。

 

 先生はなんだかすごい怒って外で鉄心を怒鳴りつけてたけど、一区切りついた時に「先生も私の家族になってくれる?」って聞いたら少ししてからため息をついていつものように頭をポンッとだけ撫でてその日のお説教は終わった。

 

 そしてその日から私たちは家族になった。

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