F!みなさん!よう実ラジオのお時間です!   作:野菜の神

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前作見た人にとってはしばらく既視感満載の展開だと思いますけどご容赦ください。
初見さんはいらっしゃい。


みなさん!よう実ラジオのお時間です!

F

 東京都高度育成高等学校、入学式から8日目。クラスによっては真面目が貫かれ静かな授業風景が流れ、クラスによってはすでに学級崩壊が起き教師は注意もしないので授業が成立していない。

 本来、そういう騒ぎを止めるための教師による注意がなされないことにはある理由がある。それは、クラスポイント。素行や授業態度、欠席や遅刻など学生として悪き行動をとればとるだけそれは減っていく。最初は1000から始まり、どれだけ減ろうがマイナスとなることはない。教員たち生徒たちの悪行を数多の監視カメラにて記録しており、教師陣はそのクラスポイントの判定があるからこそ、たとえ授業が崩壊しようが後に害を被るのが生徒たちであるが故、自業自得と注意をしないのだ。

 そして、クラスポイントは名前通りクラスのポイントであり、誰か一個人の悪行であれ、クラス全体の連帯責任として下げられる。下げられたところでどうとでもないのではないかといえばそうでもなく、それは毎月のプライベートポイントの配布に関わるのだ。

 プライベートポイントとは、名前通り個人のポイントである。クラス成績のような役割のクラスポイントに対し、その役割は電子マネーに近い。

 1ポイント=1円と同等の価値があり、毎月の初めにクラスポイントを100倍したものが生徒各自の口座に振り込まれるのだ。

 高校敷地内のものであればなんでも買うことができ、校舎の売店にとどまらず敷地内に存在するブランド店からゲーム売り場、ショッピングモールでお金と同様に使うことができる。

 つまり、生徒用の生活費を含めたお小遣いと言えるのだ。教師たちから生徒たちに明言はされていないが、テストの点数や放送権、退学を取り消す権利も買うことが可能である。

 つまり、生徒たちは注意されないからといって悪行を行いそれを続けていればやがてクラスポイントは0となる。そして、気づいた時には月初めに支払われるプライベートポイントが0となる可能性もあるのだ。

 これぞまさに自業自得、不真面目な生徒に巻き込まれた真面目な生徒たちはかわいそうではあるが、不真面目な生徒に注意をしたり止められない時点で自業自得なのだ。

 なぜ、そんな普通の学校では考えられないシステムになっているのか。それは、この学校が実力至上主義だからである。クラスポイントやプライベートポイントのシステムは生徒たちの実力を図るシステムの一つなのだ。ただ普段の素行のみではなく、クラスの活動や特別な試験などにより変動する。

 

 そして、新入生はこの学校にそんなシステムがあることを知らされていない。プライベートポイントのことは説明されるが、クラスポイントに関することは上級生たちに口止めをするほどに新入生には隠されているのだ。

 愚かな生徒たちはクラスポイントが説明された時、教師が意図的に省いた部分へと意識がいかず、毎月10万がもらえると疑問も持たずに勝手に信じ込む。そして全てのポイントを溶かす愚かな生徒もいるのだ。そして、来月になってシステムのことを知り一文無しとなり絶望する。

 

 

 しかし、今はまだ入学から10日目。愚かな生徒たちはなんの疑問も持たずにブランド品やら化粧品やら、本来、高校生の手に余る娯楽嗜好品を買おうなどと話をする。すでに買っている生徒もいるだろう。ポイントを半分溶かしている者だっている。10日目にしてクラスポイントを300削ってるクラスだってあるかもしれない。

 

 

 そんな日の昼休み、それは流れた。

 

 

『新入生のみなさーん!初めましてー!久しぶりの人は久しぶり〜。今年度初のよう実ラジオの時間だよー』

 

 それはあまりにも唐突だった。新入生たちはなんだなんだ、この学校にはたまにこんなラジオが放送されるのかと一旦話を止め聞き耳をたてる。しかし、上級生や教員たちは"今年度初"とか"久しぶりの人は久しぶり"とか言っているがそもそもこのラジオ自体が初だろうと内心ツッコミを立てたり動揺したりしていた。このラジオは新入生だけが知らないのではなく、そもそも初めての放送なので誰も知るわけがないのだ。

 

『今回は新入生に対する挨拶とアドバイスの回だよ!まぁまず、合格おめでとー!親元とも連絡すら切り離される新生活、困惑することもあるかもしれないね?でもでも!学校から100000も支給されて更には授業中に注意もされず、みんながみんなハッピーハッピーな気分をしてると思うよ!』

 

 今回は、とか言っているがそもそも今回しか今の所ないだろうと言うのは上級生や職員の誰かの思考である。しかし、新入生たちはまさかこのラジオが初放送なんて知る由もない。この学校特有の企画、もしくは放送部とか辺りがやってる定期放送に聞こえるだろう。

 新入生はこれが初めての放送であるとはつゆしらず、一部はそんなラジオにハッピーハッピーだぜーと返事をしたりして聞いていた。

 

『そんな新入生さんたちに今後の生活アドバイス!浪費はしないこと!毎月10万円ポイントもらえるって勘違いして、その月に使い切って次の月に絶望しちゃうって生徒がよくいるんだ〜ジュースすら買えない日々を過ごす人だっているかもよ?』

 

 そんな放送がされてそれまでの教室、職員室の空気が変わる。

 多くの新入生たちは10万ポイントを毎月もらえないかもしれないという放送に驚き、上級生たちはアホか誰がこんなの放送してるんだと思考する。

 上級生たちには新入生に対し、クラスポイントやプライベートポイントの配布量などを含めたSシステムについて口止めされているのだ。だというのに、それを仄めかすかのような内容を全校に放送している、あまりにも異質だろう。

 

『実は実は〜、最初の10万はいうなれば何しなくてももらえる初回ログインボーナス!来月からは日々、どれだけ真面目にしているかとか成績とかでポイントは変わるよー?注意がないからって授業中に私語とか内職とかしてたら減るのは己がお小遣いなんだぞ!授業外でも悪いことしたら減っちゃうから素行を気をつけないとねぇ。しかもしかも?連帯責任でクラス単位!つまりクラスの真面目さや実力がお小遣いを決めると言えるよ!』

 

 こいつSシステムについて仄めかすどころか完全にバラしやがったと学校中の上級生たちに衝撃が走る。無論、口止めをしていた教員側にも動揺が走る。どこの誰がこんな放送をしている、口止めはどうした口止めは!すぐに放送を止めさせろ!と、あわてていた。

 新入生たち、とくに、すでに浪費しまくっている不真面で愚かな生徒の多い教室ではより大きな動揺が広がっていた。

 

「え、まじかよっもう半分も使っちゃってるんだけど!!」

「クラス単位!?うちのクラスやばくね!?クラス崩壊済みだけどっ」

 

 その反面、もとからこの学校の制度に疑問を持っていた生徒や優秀な生徒の多いクラスでは驚きよりも納得感が広がっていた。中には来月も100000に近い額がもらえると考える生徒もいる。

 

「やはり、そういうことでしたか」

「ほぉ?」

「……」

 

『さてさてぇ、今回はお時間が来ちゃったから今回のは終わりまーす。今後もやっていくからよろしくね?それではそれでは!最後に新入生に向けて恒例のご挨拶。 それではご清聴ください、ようこそ実力至上主義の教室へ!』

 

 放送が終わると、一部ではうちのクラス終わりだ来月からどうしたらと絶望が、一部ではうちのクラスは問題なさそうだなと安堵が。そして、教師陣は生徒たちの素の真面目さが観察できないという嘆きが生まれ、その放送は強く学校の者たちの記憶に残り続けるのだ。




前作は一年生編ラストの時にだけやったんですけど、これってやるの意味あるんですかね。
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なお、この回はこの作品がどんなテーマか分かりやすくするために、本来5話にあたる部分を最初に持ってきた形となります。つまり、物語の始まりは次話からです。12:00に投稿します。
今日中に書き溜めしておいた5話を放出する予定なので見ていただけると幸いです。
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