F!みなさん!よう実ラジオのお時間です! 作:野菜の神
不評だったら普通の書くかも。
中間テストが終わり、一部の者は過去問使ったから赤点の心配が微塵もないと余裕でおり、一部の者は過去問使った上で赤点になりそうだと怯え、一部のものは過去問あろうがなかろうが赤点は回避できていただろうなと感じていた。
更に一部のものは、過去問を持っておらず、赤点は問題ないのだが過去問の存在を知るだけ知ってなんか納得できないと腕を組んでいた。
そして日が経ち、中間テストがおわってから結果が報告され、Dクラスを除いた大隊のクラスは平均点が満点近くに達していた。半分過去問なしに素の学力のみでやっていたこともあり、AクラスはBクラスに平均点を越されてすらいる。
平均点一位は当然、一名のみ在籍のFである。
そして、日は流れる。
日常が進む学校では暴力沙汰があったり、その様子をカメラに押さえたり録音したりした謎の紙袋マンがいたり、そんな紙袋マンを見て悲鳴をあげ逃げだした可哀想な少女がいたとかなんとか。
さらに時は進み、月も変わる数日も前日といったころにそれは流れた。
『ぴんぽんぱんぽーん♪』
明らかに学校の放送が始まる音ではない。金属音ではなく女がリズム良く楽しげに発したであろう声。
その声にはみな聞き覚えがあった。これまで幾度か流れた、具体的に言えば3回流れたあの放送の声である。
おいおい今度は何ながす気だ、こちとらもう中間テストを乗り切って解放気分なのにとんでも情報で押し潰す気か?やめろよ?と文句が垂れている。
『今年度第5回。よう実ラジオを始めていくんだぜ。』
しかし聞こえた音声は聞き慣れた音声ではなく、一部の陣風はよう実ラジオの音声なんかやりも聴き慣れているとある動画のボイスだった。具体的に言えばゆっくり系動画でよく聞くボイスと口調。
生徒らは混乱に包まれた。
『今回は期間を開けない放送だからマンネリ化を防ぐため、放送スタイルを変えて最近見ているゆっくり解説動画風にやっていくんだぜ。』
『急に方向転換したわね。』
それから始まった内容はさらに聞き覚えがある声。二人組。そっくりそのままY◯utubeに上がっていても違和感がない音声群。
『まあ細かいことは気にするな。今回は対話型ラジオってわけだな。一人二役で進行していくぜ。というわけで、今回は私、ヨウと相方のジツの二人でやっていくんだぜ。』
『よろしくお願いします。』
『ところでだ、みんな。この学校が特殊なのは身をもって理解していると思うんだが、そんな学校で生徒同士のトラブルが起きたらどうなるか知ってるか?』
今回はどんな内容放送するんだと思っていた者、その中でもCクラスの龍園一派は顔を歪める。それも当然、須藤に暴力をさせ、生徒間問題に学校がどう動くかを確かめる計画を実行した後に流れているからである。
『うーん。普通に教師が出てきて怒って終わりじゃないのかしら。』
『教師が叱って終わり。確かに普通の学校ならそうだな。この学校でも小さな問題ならそれで終わることはあるぜ。』
『じゃあ違う場合もあるの?』
『それがあるんだ。しかも結構本格的にな。』
『えぇ? 何よそれ。プライベートポイントの罰金とか?』
『結果的にはそうなることもあるな。だが、その前にもっと重要な手順が挟まることがあるんだぜ。』
『なんだか嫌な予感しかしないわ。』
『ということで今回は、この学校における生徒間トラブルの解決方法について解説していくんだぜ。』
『よろしくお願いします。』
解説される内容は偶然か必然か、龍園がその計画を立てた理由に八割被ったものとなっていた。
仮に事前にこの放送がされていたとしても、Dクラスを徹底的に潰すという意味ではどちらにせよ計画自体は実行していたかもしれない。だとしても、リスクを負ってまでしたことの八割が今この瞬間に無に返したのだ。顔を歪めたくもなる。
一応は静観して聞いてはいるが、聞かなくともやがて確実に知れるないようなため聞く気はあまり起きていない。
『まず結論から言うとな。端的に言えば裁判だ。』
『学校で裁判!?』
『正確には学内審判だな。被害を訴えた生徒が申請し、生徒会主導で審判が開かれるんだぜ。』
『思った以上に裁判だったわ。』
『証言や証拠を提出し、双方が主張をぶつけ合う。そして最終的にルールに従って生徒会長が判定を下すんだ。』
『高校生がやる内容じゃないわね。』
『ちなみに弁護役みたいな存在も自分で用意する必要があるぜ。もちろん自分で全部やってもいい。だが基本被害者加害者含めて各クラス3人とそれぞれのクラスの教師でやることが多いな。』
『流石、実力至上主義の教室だわ。』
『判決内容も様々で、停学処分や、罪が重ければ退学処分になることもある。』
『それだけでも十分重いんだけど。』
『さらに、先ほどジツが言っていたようなプライベートポイントの徴収、つまり事実上の罰金が科されることもあるぜ。』
『うわぁ……。』
『場合によってはクラスポイントにまで影響する可能性もあるな。』
『えぇ!? 個人の問題がクラス全体に飛び火するの!?』
『この学校なら十分あり得る話だぜ。連帯責任ってやつだぜ。社会に出たあと、同じ部署のやつがやらかしたからってそいつ1人に責任を負わせられるか?残念だが部署、ひいては会社全体にそのやらかしは響き渡ることになるんだぜ。』
『て事は何も悪いことしてないのに被害負っちゃうじゃない!いくら社会でそうだとしても理不尽よ理不尽!』
『だから生徒たちは自分の行動だけじゃなく、周囲の行動にも敏感になるんだ。周囲が間違えないよう正していくのもまた実力というやつだな。判決によってはクラスポイントに影響することもあるから、そういうことが起こってる最中はプライベートポイントの配布が止まってたりもするな』
『怖い学校ね本当に。』
『ただし注意点もあるぜ。』
『まだあるの?』
『学内審判の判決が常に正しいとは限らない。証拠がなければ被害者が泣き寝入りすることもあるし、逆に冤罪が成立してしまう危険もある。』
『現実の裁判みたいな問題もあるのね。』
『ああ。そして後から冤罪が発覚した場合は判決が覆る可能性もある。』
『つまり訴える側も慎重にならないといけないってことね。』
『その通りだぜ。冤罪を仕掛けるのも危険だし、証拠を残さないのも危険なんだ。』
『なんというか、普通の高校生活とは程遠いわね。』
『だからみんなも、この学校で生き残りたいなら証拠の重要性を忘れないようにするんだぜ。』
『そんな教訓で締める高校ラジオあるかしら……。』
『何を言っているんだジツ。この学校ならラジオで聴くまでもない常識だぜ。例として代表的なものを挙げるんだが、例えば暴力事件だな。例えば言葉の暴力を行使したとするんだぜ。言葉の暴力でも内容によっては罰せられるんだが、例えばAがBのことを挑発し、Bがそれに仕返したとするんだぜ。この場合、悪いのはどちらだ?』
それにさらに眉を顰めたのはまごうことなき龍園一派である。例として出された内容。あまりにもありふれた内容であり、この内容が例として出されること自体にはなんの違和感もない。だが、時期と内容があまりにも近いのだ。
こちらが起こした内容とあまりにも酷似している。この放送は偶然なんてものではなく、何者かによる必然によって存在している可能性が高くなった。
『そんなのAに決まってるじゃない!Aから始めたんだから』
『そう思うよな。まぁやり返した時点で両成敗だと思うが。だが、これがある作為的なものだった場合、もっと言えばAのみが証拠を保持していた場合は違うんだぜ。Aはその証拠をもとに虚偽の訴えを起こせば、Bが暴力を行なったという事実のみが残りBの真実の主張も効力が薄まるんだ』
『なによそれ!ひどいわ!』
そして、その例はより実際に起こしたことと内容が被っていく。3人は言葉の暴力という自然には証拠として残らないものでしかけたのに対し、須藤から受けた物理的な暴力という傷という形で残るものを得ている龍園ら。
何者かに今回の件を捕捉された、もしくはCクラスの中でもこの計画を知るのは限られた者のみ。その中に情報を流した者がいる可能性が湧き出ていた。
しかし、龍園よりもよっぽど焦っているものはいた。あまりにも身に覚えがありすぎる須藤である。
その様を見かねた堀北に咎められ、事実は露呈していた。
『だが、それがこの学校なんだぜ。だからこそ、普段から気をつけていかないとな。自分の身は自分で守る。この学校では攻めるだけでなく防御する実力もつけないといけないぜ。無論、証拠があるからと言って全て通るわけでもないがな。だが、実際の裁判でも証拠が重要であるというのは変わらないんだぜ。証明のできない真実よりわかりやすい虚実の方が優先されるんだ。』
『そうなのね。私もこれから気をつけないと。』
『というわけで、今回のよう実ラジオは学内審判だぜ。みんなもこの学校での問題の対処法、証拠の重要性はわかったか。普段の素行的にやばいっていう生徒は極力気をつけるべきだな』
『わかったわ。ありがとうねヨウ。おかげで今後も上手くやっていけそうだわ』
『あぁ、それじゃあ恒例の挨拶で今回のラジオ始めるぜ』
『えぇ、それじゃあ』
『『ようこそ実力至上主義の教室へ』』
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不評じゃなかったら次回のラジオも多分これになる。さすがに三連続でこれにする予定はないけど。
今回と次回に関してはこういう方が書きやすかったんだよね。