正義の味方が帝国を翔ける   作:椿リンカ

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ロッドバルト「今回はイェーガーズとナイトレイドのメンバーも勢揃いとなります。カッパーマンの方?あぁ、出ますよ。とはいえ、死人が出ないと最初からいうのもなんだかつまらないものですよね。それではどうぞ」


キョロク編
キョロクにて


 

キョロクの地は宗教によって安寧がもたらされていた。

偽りでもなんでもなく、宗教というものを信じることによって人々に生きる活力を与えている。

 

【安寧道】

 

それがこの地や帝国の各地に広まりつつある宗教団体の名前である。

 

キョロクは安寧道の本部が置かれている町である。

よって、他の町よりも安寧道の信者が格段に多いのだ。

 

「・・・」

 

そんな街の様子をカッパーマンは遠くから眺めていた。適当な岩に座りながら、人々の活気ある様子をただただ眺めていた。

こういった街でも、病気に苦しむ人間はいるし、何か困っている人間はいる。そういうものだ。

 

「あぁ、貴方はカッパーマンさんですね。お久しぶりです」

「・・・君か」

 

親しい友人のように声をかけられ、カッパーマンは後ろを振り返った。

友人とは言わないまでも、この声の持ち主はカッパーマンにとってはとても馴染みのある人間だったのだ。

 

「今日も街の見回りですか。正義の味方のお仕事は大変そうです」

「君ほどではないよ。安寧道の教主である君のほうが、よほど大変だ」

 

安寧道の教主

 

カッパーマンに声をかけた穏やかそうな美青年が、その教主である。

その証拠に彼は今も後ろに大勢の護衛をつけている。

 

「今日も護衛の数が多いようだ。やはり君を狙う人間は多いからだろうね」

「あはは、私はこんなに護衛はいらないと断っているのですが”どうしても”と・・・」

 

「君らしいね。だが、人を救える人間は得てして力を持っていると思われてしまうものだ」

「・・・私にはほんの少しの力しかありませんよ。今の教団が大きくなったのも、私のことを信じてくれるみなさんのお力添えがあったからです」

 

そんな会話をしながら、教主はカッパーマンの隣に座ってにこやかに笑った。

 

「・・・・・・この国はもうすぐ、大きな戦争が起きます」

「未来予知かい?」

 

「・・・えぇ。ぼんやりとしたことしかわかりません。ですが、避けようがないことは、分かります」

「・・・そうか」

 

「・・・・・・とても、悲しいことです」

「・・・」

 

表情の分からぬカッパーマンに対して、教主は悲しそうに笑いながらキョロクの街を眺めた。

今日も街の人々は活気よく商売をし、生活をし、神を信仰しながら生きている。

・・・だが、安寧道の信者が増すたびに信者への食糧の需要も増えていく。

 

「・・・・・・ただただ、穏やかに平和に暮らすことはできないのでしょうか」

「・・・あぁ、そうだな。私のような正義の味方が必要で無くなる世界になればいい」

 

「ふふ、そうですね。・・・貴方が正義の味方から人間に戻る日が来ればいいですね」

「・・・」

 

カッパーマンも教主も、お互いにわかっていた

カッパーマンが千年もの間、ずっと正義の味方をしてきた意味を

・・・正義の味方がいても、帝国が滅亡しようとしていることを

 

世界が平和になりますように、なんて口で言うことは簡単だろう

だけれど口に出さずにはいられない

・・・言葉にしなければ、言い聞かせ続けなければ、いつかきっと絶望してしまうだろうから

 

 

 

 

ところ変わってナイトレイドの本拠地

ここでは先ほど、ナジェンダが革命軍からの指令をメンバーに通達したばかりだ。

 

次の指令はキョロクの地にいる安寧道所属のボリックを暗殺すること。

補佐でありながら、オネスト大臣の手先であり・・・教主の暗殺を狙っている。

 

「次はキョロクなんですか~・・・いったことないので楽しみですね、マイン」

「そりゃそうだけど、シェーレも危機感持ってよね。今度はイェーガーズも罠にかけるんだから」

 

「はいはい、しっかり旅の準備もしておかないといけないよー。アカメ、非常食もしっかり持っていかなきゃいけないぞ」

「わかっている、レオーネ。それに長期滞在するのなら、しっかりと旅先でも鍛錬を積まないとな」

 

女性陣は旅行支度をしながら雑談しており、タツミ・イエヤス・サヨの3人もしっかりと武器の手入れをして準備をしていた。

初めての大掛かりな暗殺任務である。

 

・・・相手を倒し、殺したこともあるがカッパーマンが行く先々で救っては河童にしていた。

だが今回はそうとは限らない。

それに今回の任務が成功すれば、革命軍は一気に作戦を進められる。

 

「そう緊張するなって。そりゃあイェーガーズの連中もいるけどさ」

「そうだな。俺も帝具なしでどこまでやれるか・・・」

 

ラバックとブラートが緊張しているタツミたちに声をかける。

そんな様子をナジェンダとスサノオは眺めていた。

 

・・・この任務で誰かが死ぬかもしれない。その覚悟を持って、ナイトレイドはキョロクへと旅立つこととなる。

 

 

 

ナイトレイドがキョロクに向けて出発した後、イェーガーズにもその報告が届いていた。彼らはもともとナイトレイドに対抗するために作られた組織だ。

彼らもナイトレイドが発見された方角に向けて出立することとなった。

 

エスデス軍の管理はリヴァ、ニャウの二人に任せられている。

エスデスも安心してイェーガーズの仕事に励むことができるというわけだ。

 

「エスデス隊長!準備はできました!」

「いつでも出発できます」

 

セリューとボルスに言われて、エスデスも「あぁ」と短く返答する。

ウェイブやクロメ、スタイリッシュも準備はできているようだ。

 

「さぁ、行くぞ。ナイトレイドを狩ってやろう」

 




ロッドバルト「いろんなものをすっ飛ばしてキョロク編ですが・・・まぁ、さくさくと終わる予定ですよ。次回は未定ですが、やはりチェルシーさんたち隠れ河童村あたりが妥当かもしれませんねぇ。それでは」

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