畜生から妖狐、そこから神目指す   作:インテリアタマツヨスギキツネ

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狐畜生な件

 

 

 目が覚めたら畜生になってた件。

 

 あ〜尻尾がふわふわだね〜全身がふわふわで気持ちい〜.....なんて頭ゆるふわな感想なんて出来るはずがなく泣き声、いや鳴き声を山中に轟かせること数時間後にてようやく理性が戻った。

 

 あ、危なかったぜ。あのまま理性を失ってれば親友に詩をメモらせる所だった...親友なんて居ないけど、ていうか覚えてないけど。

 

 狐という畜生に転生したという事実に動揺したが一度受け入れて仕舞えば案外冷静に現状を把握できる。

 

 名前、エピソード記憶、転生理由、何も覚えていないがこの狐のちっさい脳みそでこのように物事を考えれるだけマシなのだろう。

 

 幸いにも意味記憶はあるので他の狐よりかは楽して生きれるはず。最悪、人間に腹見せれば食いもんくれるだろ。

 

 周りを見れば同族らしき狐は見当たらず数百年生きているであろう木々が鬱蒼と生え風に揺らされた葉っぱがザワザワと音を立てている。人間どころか他の動物の気配も見当たらず自然の声だけが耳に情報として入ってくる。

 

 狐の歩幅で必死に歩き回っていると川を見つけたので必死に川を舐め回して水分補給をした。澄んでるし魚影らしき影も見えるから細菌とかの心配はなさそうだ。

 

 水分補給を済ませた俺は何か他の生き物に出会うために下流を下ることにした。人なら下流に住んでるって動画で見た気がするというあやふやな情報だが無いよりもマシだ。

 

 下流を下っている途中、鹿やら猪やら他の動物を見かけたため生きている生き物は俺以外にもいるという安息感が疲れている足を動かす燃料となる。

 

 ていうか狐の間接視野?か分からないが正面以外の視野はぼんやりしか見えなくて非常にストレスが溜まる。

 

 理性がない狐ならこの視野が1番効率的なのだろうが俺には周りの景色を確かめるために首を回さなければ見えないため首は疲れるわぼんやりしたところで景色を見ようとして目は疲れるわでメリットが特に感じられない。

 

 ていうかなんで狐に転生したのだろうか。何故狐なのか。他の動物ではダメなのか。何故意味記憶だけ残っているのか。そもそも此処は何処なのか。

 

 絶対に答えを見出せない問いを考えながら俺は川を下り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「..........ギャァー!ギャァー!ギャァォン!!」

 

 おっと、この広大な海を見たせいで興奮して愚痴を鳴いてしまった。失敬失敬。誰に失敬してるか自分でも分からないがとりあえず失敬。

 

 あれから川を下り切ったのだが海に向かって愚痴を鳴いているのを見てもらえれば分かる通り集落どころか人に出会えなかった。

 

 それどころか熊に襲われて命の危機を感じたわ。死んだふりしそうになったがそれは狸の専売特許だという(意味がない)ことを思い出してすぐに走って逃げたが。

 

 お陰でクッタクタでお腹もグルルルと獣の唸り声みたく鳴っている。

 

 なので人を探すよりも今日を生きようということで食べ物を探すことにした。誰だよ人に腹見せれば楽勝とか言ってたやつ。俺だわ。

 

 狐が食うものとして挙げられるのは果物、小動物、鳥類、魚類、そして昆虫である。

 

 うん、最後の選択肢だけは絶対に選びたくない。栄養が豊富と聞いたことあるが栄養以前の問題が俺の理性に止めろと働きかけている。昆虫は最後の手段ということで森を歩き果物か小動物を探すことにした。

 

 そして数十分後、見つけたのは虫でした。

 

 .....ギャァォン!嫌だー!虫の身など食いとうない!我は狐ぞ!理性ある狐ぞ!ギャァー!ギャァー!

 

 されどいくら不満を訴えても猿は果物を持ってきてくれないし、狐は魚なんてくれないし、うさぎが火に飛び込むはずがない。

 

 後は言わんでも分かるやろ?詰みや。食うで虫。

 

 ていうかそもそもの話、狐歴一日未満の俺が小動物や鳥類、魚類を狩猟できるわけもなく。必然的に食べられるのは果物か昆虫の二択。そして果物が見つからない。

 

 俺は倒木し腐りかけている木々からコンニチハーしてる虫を見つめる。

 

 うねうねと体をくねらせている。俺は虫をじっと見つめ、

 

 .............................うまっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食事を堪能した俺は川で水分を補給し果物を探す途中で見つけた木の洞で体を丸め寝た。風を防いでくれるだけで快適に過ごせるし自身の毛皮が毛布代わりで意外と暖かい。

 

 地面の硬さ以外は快適な睡眠を終えた俺は寝ぼけて無意識に体の毛繕いをし口の中に入り込んだ自身の毛で悶絶した。が、すぐに飲み込んでしまったので不快感は残るが問題はなかった。

 

 さて狐の本能が出たこと以外は特に問題は無く昨日と同じ倒木で腹を満たして水を飲み森を歩き始めた。

 

 目指すは山の頂上。川を下ったばかりだがもう一度山を登ろうと考えている。

 

 理由としては頂上から見ればなんか分かるだろという浅はかな考えだがこの浅はかな考え以外にいい考えがないので登るしかないのだ。

 

 この狐の歩幅で何時間、いや何日かかるか分からないが歩くしかないだろう。道中、狩りの練習もしたいしゆっくりやりたいことをやりながら行けばいつは辿り着くだろう。

 

 千里の道も一歩から。この言葉を忘れずに歩いて行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何の成果も!!得られませんでした!!(狩り)

 

 どうやって狩ればいいんですか!?ネズミは穴に入って逃げるし鳥はすぐにお空にバイバイだし、果物はまだ熟れてないのか青く実ってるだけだし。狐生で未だに虫しか食べてないのは狐としてどうなのか。

 

 食えたら何でもいい?そっか...

 

 俺のお腹は栄養があるだけで十分らしい。俺のお腹くんは質素倹約家なんだねぇ。

 

 それはそうとして太陽が数回登り今日、天辺に登ったぐらいにちょうど俺も山頂に登り切った。

 

 木々が鬱蒼としているせいでこの狐ぼでぇでは遠くを見渡すのは狐苦労なため頑張って木を登り山頂から遠くを見渡した。

 

 そして見えたのは煙だった。

 

 煙が見えた瞬間、喜びまくったせいで木から落ちそうになり狐生が終わりそうになるところだった。が、そんなことを考えている暇は無い!即刻、煙の方面へと向かわなければ!

 

 うおぉぉぉぉぉぉ!!!待ってろぉぉぉぉぉ!!!俺の狐ぼでぇで人間どもをメロメロに魅了してやんよぉぉぉぉ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 喉が渇きすぎて死ぬぅ!

 

 馬鹿狐とは俺のことを指します。覚えておきましょう。テスト出ますよ。配点高いからね。

 

 喉がカラカラで死にかけてる俺は夜に草葉につく夜露をぺろぺろ舐めまくり渇きを凌いでいた。

 

 川という補給場所から離れてるのに全速力で掛け走った過去の俺をぶん殴りたい。

 

 食料は倒木の木を抉りまくれば幼虫が出てくるので困ることはなかった。狩猟?なにそれ美味しいの?栄養満点なのか?昆虫様に勝てんのか?

 

 昆虫様のおかげで食料は問題ないがこのままでは喉の渇きで死んでしまう。実際は昆虫の体液で死なないだろうが喉はカラカラなのだ。俺の精神が死んでしまう。

 

 ていうか何日も歩いてるのにいつまで経っても煙の元に辿り着かないのだが。道間違えたか?いやまっすぐ歩いてるしな...

 

 ......喉が渇き精神が参っているせいか嫌な方の考えが浮かんでしまう。

 

 もしあの煙が集落などの生活で出た煙では無く山火事の煙だったら....

 

 あり得ない話ではない。今の季節は冬か秋かは分からないが昆虫は幼虫で空気も乾燥している。山火事が起きる確率はそう低くない。

 

 ....どうする?原因不明の煙を頼りに死と隣り合わせの散策か、川を探し安全第一での散策。

 

 ....とりあえず先に進もう。あの川に戻るには少し進みすぎた。

 

 一時の興奮で陥った今の状況下に後悔しながら足を進める。原因もわからないあやふやな見えない煙を頼りに俺は足を動かし続けた。

 

 それはそうとして幼虫ウメェ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勝った!第三部完!(勝利ファンファーレ)

 

 やってやりましたわよ〜!目標達成ですわ〜!

 

 俺の目の前には開けた大地が広がっており家に人間がいる。嬉しすぎて喜びの舞を踊りそうだ。

 

 しかも川に隣接した集落だったのでもう恥も外聞もなく顔を川に突っ込んで喉を渇きを存分に癒した。生き返るわ〜

 

 さて、喉の渇きも治ったところで考察タイムだ。

 

 俺の目の前に見える集落。なんか古臭くね?

 

 人間の格好なんか、古臭くね?

 

 ていうかあそこに干されてる皮、狐じゃね?

 

 ここから考えつく答えは一つ!

 

 俺死ぬじゃん。

 

 誰だよ集落まで行って人間の目の前で腹を差し出したら食いもんくれるとかほざいてた奴。逆に俺が食いもんにされそうなんだけど。皮も無駄なく使われそうなんだが。

 

 ていうか、全然文明開花の音がしないんだが。大人は狩猟してるし、住居は自然100%由来のオーガニック建造物だし、子供もなんか作業してる。

 

 ここからたどり着く答えは一つ!

 

 俺は死ぬ。

 

 ウソダー‼︎!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数日間、幼虫を食っては水を飲み観察し寝るを繰り返し彼らの生活を知っていった。

 

 彼らの生活は簡単に言えば縄文時代のような(・・・)狩猟で生活していることがわかった。

 

 男衆は森に狩猟しに行き、女衆は子の世話や土器の作成やら生活用品を作っており、子供も親の真似をしていたり遊んでいたりと自由にしている。

 

 しかし、縄文時代のような(・・・)だ。

 

 抜歯している様子は見受けられないし、土偶や石棒も見受けられない。

 

 よって彼らは縄文人のような人間であって縄文人ではない。

 

 なら何人だ?と思ったところで俺は転生したことを思い出した。

 

 もしかして、この世界、日本に限りなく似た違う世界なのか?いや、そう考えるのがもっとも自然だろう。

 

 まぁ、それを理解したところで俺の未来は何も変わらないんですけどね。

 

 このまま秋か冬かは分からないが春が来て仕舞えば幼虫たちは蛹となり見つけるのも一苦労だし、夏が来て仕舞えばいよいよ食べるものも無くなる。しかもこの知識もこの世界に当てはまらないかもしれない。

 

 俺がこの先生き残るには狩りを成功させれるようになるかあの集落のペットに入れてもらうか俺が食ってる幼虫が実はこの状態が成虫だよ〜という頭が悪すぎる賭けに乗るかのどれかだ。

 

 まぁ、あたりまえ体操だわな。練習ができる狩猟しか道は無い。

 

 集落に行くのは一か八かの部が悪い賭けで最後の案に至っては現実逃避だから選ぶのは駄目。

 

 ならば取れる選択肢は狩猟の一択。

 

 それじゃあ.....(狩り)しよっか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の頭が悪すぎて死ぬぅ!

 

 浅学狐とは俺のことを指します。まじで自分の頭の悪さに辟易する。

 

 何で俺は馬鹿正直に狐みたく差し足抜き足で近づき飛び込んで狩猟しようとしてんだ。俺には狐にない知性があるだろうが。その知性を存分に発揮しなかった狐が俺です。ま、間抜けだ...

 

 いつものご飯こと幼虫を殺し咥えて、小動物とか鳥がいそうな森の真ん中にポイっとポイ捨てし地面に転がってる幼虫の目の前の茂みに体を隠して待機する。

 

 動かなくていいから体力の消費も抑えられるし失うものが時間と幼虫一匹という低コスト!

 

 勝 ち 申 し た !

 

 今日から俺のことはインテリアタマツヨスギキツネと呼んでくれ。それが俺の学名ってことにするから。

 

 それじゃあ獲物が来るまでカットォォォォ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 傲岸不遜な狐こと俺だ。餌にした幼虫が無為に食べられた回数は数えきれない程に狩りをミスりまくった狐だ。

 

 何なんだよ動物の本能やばスンギ。ちょっと茂みが揺れただけで逃げ出すなよ。油断しろよ。慢心せずして何が獣か。

 

 そして数日間にわたる試行により漸く小さめの鼠が俺の腹の中に収まった。

 

 味?吸血鬼なら喜びそうな味だぞ。進んで食べようとは思えないぐらいには鉄の味だ。やっぱ昆虫様よ。

 

 だが昆虫がいなくなることを見越して狩りは尚更上手く、昆虫を使わない狩りも上達させねばならない。狐生しんどすぎてちょっと心が折れそう。折れても何も変わらないんですがねっ!

 

 それじゃあまた何か起こるまで割愛っ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 あれから一週間ほど経って最高のチャンスがやって来た。子供が男衆を追いかけて森で迷子になって大声で泣き喚いているという大チャンスが。

 

 心細く泣いている子供には申し訳ないが俺からすれば人間と仲良くなれるチャンスなのだ。この子供をあの集落に案内すればあの狐に助けてもらったという話が伝わるだろう。

 

 伝わった話が人間を大きく動かせれるわけではないと分かっているが少しだけほんの少しだけでも人間の心の隙間に狐が思い浮かぶようになれば万々歳。

 

 そういった小さな思いから狐を見逃し、次第に狐を助け、最終的には狐を飼い始めるかもしれない。

 

 要は縁起を彼らに植え付けるのだ。

 

 助けてもらった狐を殺すのは縁起が悪そうだから殺さないでおこう。死にかけてる狐を見殺しにするのは縁起に悪そう。狐を愛でるのは縁起に良さそうだと。そういった縁起を彼らに植え付けるのだ。

 

 そうこれは俺という狐による演技で縁起を植え付けよう大作戦だ。

 

 そうと決まれば泣き喚く子供の少し離れに体を出しギャーギャーと声を出せば子供は泣き喚くのをやめ此方に視線を向ける。

 

 依然として目から涙は溢れ野生動物に出会った恐怖から体は震えているが気にせずギャーギャーと鳴き背を見せ付いてこいと伝える。

 

 そして子供というのは意外と相手の心情を見抜く。この子供も例に漏れず俺が害する気持ちがないことを知ったのか泣くのを止めて立ち上がった。

 

 そのあとは、長い戦いだった。

 

 泣くのを止めて立ち上がったところまでは良かったがそこから動かず此方を見てるだけで少し近寄り鳴くことで漸く俺の背を追いかけるようになったが、純粋な子供ってのは恐れが無くなるとヤンチャなんだなと思い知った。

 

 走って俺を触ろうとして来たのだ。

 

 もちろん触られたくないので一定の距離を保とうとすればまた鳴き始める。何これイライラ棒よりイライラすんだが。

 

 そういったことを繰り返しながら漸く集落まであと少しのところで子供のお迎えが来たらしく子供が俺の横を通り抜け親御らしき人らに抱きついていた。

 

 それを見た俺は狐だと分かるように体の一部を少しだけ見せつけ一鳴きしたのちに退散した。

 

 迷子の子供が俺をどのように伝えるかは分からないが悪くなることはないだろう。悪くなったら?時不利よ。

 

 倒木から幼虫を抉り出しながら狐の扱いが良くなることを願い、人と触れ合える日を待ち望みながらその日を終えた。

 

 

 

 




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