畜生から妖狐、そこから神目指す   作:インテリアタマツヨスギキツネ

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100m一緒に走ろうな選手権

 

 

 よだれ子の腹がゴム人間並みに膨れ上がっている…!そして、隣には肉の割合が三割程消えた肉の塊が…!恐ろしいだろ?俺、一口も食ってないんだぜ?

 

 食い過ぎで死にかけているよだれ子を尻尾で包みよだれ子の寝具と思われる場所に横たわらせる。そして僅かながらに上下するよだれ子の腹を眺めながら俺も食事を始める。

 

 今回の肉はウェルぐらいの焼け具合で、よだれ子が食い荒らした場所からほんの少しの赤みが残っている断面が見え旨味という名の脂が静かな山の渓流のように流れている。

 

 床ァァァァ!?

 

 ………一流の美食家は問題から目を背けるのが掟ェ!見て見ぬ振りが1番よ。

 

 流れていく脂を横目にほな頂きます。

 

 ンまあーいっ!ンますぎんだろぉ!食えば食うほどもっと食いたくなるぞッ!こりゃあよおーーッ!!!ンまあーーいっ!!こりゃあよだれ子も腹パンになるまで食っちうまうのも理解っちまうぜーッ!!

 

 幸せだァーーーッ 幸せの繰り返しだよぉぉぉぉぉ〜〜〜っ ンまあーーいっ!!!

 

 …ふぅ、やっぱ美味スンギ。今ほど自分の舌のザラザラがあることに感謝したことか。ありがとう舌。でも毛繕いで殺しにかかってきたのは忘れねぇからな。おクソが。

 

 犬のように骨もガジガジベロベロしているとよだれ子が体を起こしていた。どうやら食べている間に楽になったらしい。だが、まだ眠たいのか目がトロンとしている。

 

 俺は骨をしゃぶるのを辞めてよだれ子の隣に体を下ろして尻尾で包んでやるとよだれ子は少し驚いた表情をしながらもすぐに目を瞑って意識を落とした。寝るの早すぎだろ。ほぼ気絶じゃん。

 

 どっかのあやとりが得意な少年並みに寝るのが早いよだれ子を揺れで起こさないように俺も寝るための体勢をとった。

 

 美味しい肉の余韻が口に広がっているのを感じながら俺は脂の件を頭から除去して眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よだれ子がなんかワクワクしながら俺を外に連れ出そうとするので重たい腰をよっこらせと上げてついていった。気分は休日の父親だ。

 

 そんなワクワクともドキドキとも取れる感情をしているよだれ子を見ているとよだれ子は懐から神様の温泉宿映画に出てくる主人公を襲った人型の紙を取り出した。簡単に言えば式神である。

 

 よだれ子はそれを俺に見せつけてから両手の親指と人差し指の腹で握り込み、力を入れるような仕草をした後に少し疲れた表情を見せた。ま、まさか!来るぞよだれ子パパ!

 

 よだれ子は握っていた式神を空中に投げると式神はまさしく命が宿ったかのように空を飛んでいた。もんげぇ〜!?

 

 紙飛行機並みの速度で空を飛ぶ式神を興味津々に目で追いかける俺を満足気に見るよだれ子。ちょ、俺も、俺もやりたい!

 

 俺からの感情は伝わっていないにも関わらずよだれ子は、俺の心を読み取ったかのように懐から式神を一枚俺に渡してくれた。やだこの子空気読むのが上手い…!?

 

 式神を渡してくれたよだれ子はやれるものならやってみろという表情をしながら、というか感情で明らかに出来るはずがないとちょっと舐めている。野郎オブクラッシャァァァ!!

 

 不器用な両手で渡してもらった式神を挟み込みよだれ子がやっていたようにむぅん!と全力で念じる。が、依然として空を飛ぶ気配はない。よだれ子は優越感に浸っている。

 

 ………妖狐をあんまり舐めるなよオラァッ!

 

 今度は全力どころか死力で唸りながら式神を強く挟み込むと何かが抜けていく感覚と共に式神がプルプルと震え始めた。

 

 シャアオラァ!ミタカコノヤロォ!

 

 唖然とするよだれ子にザマミロするために挟んでいた式神を離すと“消えた”

 

 いや、消えたのでは無く目に見えぬ速度で飛んだのだろう。しかも操作をする術を俺は知らないので今もなお宇宙に向かって飛び続けていると思われる。

 

 …まぁ、大気圏にでも突入したら燃え尽きるだろ。それに宇宙に行っても誰にも見つからないだろうし。

 

 はるか未来の宇宙観測技術がそこまで高くないことを祈りながら俺とよだれ子は食事をするために戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 またもやよだれ子が俺を外に連れ出そうとするので重い腰をうぬぅん!と持ち上げてついていった。気分は家族サービス。

 

 今度はなんだ?と見ていると忍者漫画並みの手印を披露するよだれ。ま、まさか!来るぞよだれ子パパ!

 

 よだれ子は並行して口を動かして何かを唱えている。

 

 そう言えば今の時代が飛鳥時代なら言語は日本語のはずなのに聞き取れねぇな。やはり異世界なのか?

 

 いや、でもよだれ子パパの「喝ッ!」は聞き取れたし…ほな日本語かぁ?でもよだれ子が喋ってる内容は理解できないだよなぁ…ほな異世界かぁ。でも、たまに自分が知ってる単語が聞こえるんよなぁ…ほな日本語かぁ?でも、喋ると意味が分からなくなるんだよなぁ…ほな異世界かぁ。

 

 まぁ、心が分かるしいいや。

 

 どうでもいいことを考えていると手印を終えてこっちを不満気に見るジト目のよだれ子と目があった。見てるって。

 

 疲れた表情を見せながらもよだれ子は両の手を前に出すとよだれ子の前方数m先の空間が歪んだ。もんげぇ〜!?(二回目)

 

 こ、コイツッ!今度は手印と詠唱が必要な術を持ってきやがったッ!俺からマウントを取るためにッ!俺もやりたい。

 

 両手を前に突き出し汗を出しながらもふふん!と自慢気に俺を見ている。カワイイ。

 

 俺はそんな歪んだ空間を観察するために近づいた。

 

 パリンッ!

 

 そんでガラスが割れる音と共に空間の歪みが消えた。え??

 

 慌ててよだれ子を見れば片膝をついて息を荒げながらも驚愕の表情をしていた。え??俺のせいなの??俺が近づいたから??

 

 ………い、イマジンブレイカー!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 またまたまたよだれ子が俺を外に連れ出そうとするのであらかじめ上げておいた重い腰を抱えながらついていった。気分は授業参観。

 

 今度はなんなんだぁ?と思いながら見てるとまた手印と詠唱を始めるよだれ子。く、来るぞよだれ子パパ!

 

 もはや授業参観を見に来た親のような心情で手印と詠唱をするよだれ子を眺める。よく頑張ってるねぇ〜(暖かい目)

 

 …なぜか身震いをしたよだれ子を見ながら次に出てくる能力を予想した。

 

 よだれ子が俺に見せてくれたのは式神となんか空間を歪めるやつ。

 

 一つ目の式神は陰陽師の代表的な能力。俺も使えたがやり方はイマイチ分かっていない。死ぬ気のやる気で俺も式神がはるか彼方に飛んで行ったがガチで何を燃料に飛んでんだ?あれ。

 

 次に空間を歪める能力。すごい!一体何が出来るんだろう?私にも分からん。ガチで分からん。触れるどころか近づくだけで壊れたから理解以前の問題だ。しかも陰陽師があんな技使うなんて聞いたことも見たこともない。ガチで謎の術だ。

 

 ………うん、分かんねぇ!

 

 二つ目の術がマジでノイズだ。二つ目の術のせいで陰陽師がどんな術を使うのかが全然わからなくなった。

 

 陰陽師として有名な術は五行思想の属性攻撃だが二つ目のせいでもしかしたら10べぇだぁーーッ!を撃ってくる可能性さえあるし、よだれ子

“さん”になる可能性さえもある。怖。

 

 出来れば五行思想が良いなぁ。火は使えるから逆に水が使いたい。ハイドロ凡夫撃ってみたい。

 

 火といえばよだれ子には見せたことないかも。肉も最近は調理された状態で出てくるから尾料理をする必要がないんよな。

 

 でも、未だによだれ子とよだれ子パパ以外に人間を見たことないんよな。

 

 ………よだれ子パパ料理人概念ッ!?ドーピングミートディッシュだ…

 

 なんか変な概念を受信した気がしたが気のせいだろう。うん、気のせいだ。絶対に気のせいだ。

 

 俺が頭を振ってとある概念を脳みそから追い出していると手印と詠唱を終えたのかまたもやよだれ子がジト目でこっちを見ていた。ごめんて。

 

 よだれ子は俺が見ているのを確認してから手を口に運ぶ。指はシャボン玉を作るような丸で口は息を吹きかけるような形をしている。

 

 そして、よだれ子が思い切り息を吹きかけると轟ッ!とヨガマスターのように吹き出した。ファイアーッ!!

 

 数秒間、よだれ子の息が続くあいだ火は絶えずに燃え続け、息が切れたよだれ子が吹きかけるのを辞めると火は消えた。そして、よだれ子は四つん這いになりながら息を整えている。頑張ったねぇ〜(暖かい目)

 

 …身震いして咳き込むよだれ子を見て俺も狐火を出す。此方も抜かねば…無作法というもの…

 

 よだれ子から少し遠くに轟ッッッ!と狐火を出すとよだれ子は四つん這いの状態で轟々と燃える狐火を眺めていた。

 

 うん、やっぱ炎は綺麗。

 

 





大人気ない狐畜生がいるらしい。

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