畜生から妖狐、そこから神目指す   作:インテリアタマツヨスギキツネ

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狐だと思った〜?

 

 

 今日も幼虫を喰い、狩りの練習を行い、毛繕いも練習したり、集落を観察する。飽きないのかって?狐生舐めんな。やることなくても続けなきゃいけねんすわ。

 

 幼虫を掴んで空に羽ばたいていった鳥をため息をつきながら見送り狩りの練習を終えた。今では三日に一回、鼠か小鳥が取れるほどに上達したがやはり血の味には慣れない。せめて焼ければいいんだが。

 

 さて、俺のみっともない狩りの上達具合は放っておいて集落の様子だが、これといった変化は特になかった。

 

 子供が迷子になった影響か女衆は子供達から一時たりとも目を離さず、仕事を与えて集落に縫い止めていた。

 

 子供達は遊べないことに不満を覚えていそうだが、その不満を感じるほどに情緒が育っていないからか仕事をしっかりとこなしている。

 

 男衆も数日に一回狩猟に向かうだけで変わらず過ごしている。

 

 ...うーん、集落に関わる方法が無くなったゾイ。

 

 今のままでは、毛皮と肉として集落に関わってしまいそうだ。

 

 なら、これまでと変わらずにチャンスを見計らって関わっていくしかない。最悪、男衆に動物の場所を教えることで有用性を見出させれば集落に入れてくれるだろう。

 

 とある星での狼先輩みたく狩猟犬ならぬ狩猟狐になればご飯とかくれるはずだ。なんか腹を見せなんとやらの時と似たような発言をしたが決してフラグではない。断じてない。

 

 幼虫先輩ウメェー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【実績解除!一級フラグ建築士!】実績解除率0.1%

 

 HAHAHA!!草草草!!www!!笑笑笑!!もうさぁ、笑うしかないよね!たはー!

 

 濁りまくった目の視線の先には集落の皆から撫でられたり飯を食わせてもらってる狼らしき動物がいる。

 

 何だよもぉー!ダメかよぉー!?

 

 これで俺が狼先輩の立場を奪う方法は無くなり、逆に狼先輩に場所を把握され肉と毛皮に加工される確率が高くなった。

 

 嫌じゃ!死にとうない!人の子の栄養になんてなりとうない!

 

 愚痴が喉元から飛び出しそうになるが狼先輩に探知されれば即座にキャッチ&(腹に)リリースされてしまう。これからは無駄に鳴き声を上げることさえ出来なくなった。なんだこれ地獄かね?

 

 難易度がベリーハードからフ◯ムになったが狐生は死ぬまで続くのだ。諦めるのはまだ早い。

 

 別方面からのアクションが必要だ。それも狼の野郎に出来なそうな方法が。

 

 思いつくのは海。この世界がどれだけ元の歴史と類似しているかは分からないがもしかすると渡来人がやってくる可能性がある。ならばその渡来人をこの集落に案内すれば渡来人から俺という狐の存在が伝わるのではないか。

 

 即断決行!海の場所は川を下ればいつかはたどり着くはず!匂いも一度嗅いだことがある故、匂いが漂ってこればすぐに気づけるはずだ。

 

 それじゃあ、海を見つけるまでキング・クリ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、海までやって来たがどこまでも広がる海があるだけで船という人工物が海面に浮いているわけないというわけで...

 

 母なる海に俺の絶叫が轟くだけであった。

 

 あーあ、また後悔してるよ。何も考えずに行動をするせいでまた死に直面してるよ、この狐。いつ、学ぶのやら。

 

 後悔ばかり食べ過ぎてARFIDになりそうだが、たまには喜びも食べたいところだ。で、その喜びがどこにあるかって?知らねーよ。教えて欲しいくらいだわ。

 

 海藻や貝を砂浜に打ち上げている波を前に俺はちょこんと座り込み海を眺める。わー、俺の心みたく綺麗だな〜ゴミが何も浮いてないし透き通ってるや〜

 

「........ギャァー!!!ギャァォン!!ギャァォン!!!」

 

 そんなクソみてーな感想求めてねーんだよ!この感想で腹が満たせればいくらでも感想述べたるわ!いや、嘘!感想述べるから渡来人寄越せ!出来るだけ優しそうな渡来人寄越せ!

 

 海は綺麗だなぁ!まるで尽きぬ慈愛を体現したかのような海だなぁ!生命が満ち溢れてるなぁ!水の循環を担っててかっこいいなぁ!深海っていうミステリアスな部分もかっこいいよぉ!だから渡来人漂着させてー!

 

 辺りが暗闇に覆われる中、海のさざめき音と狐の鳴き声だけが響き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一週間と少したったある日、いつものように浜辺を歩いて漂着物が何か流れついてないか探していると遠くに何か大きな物が流れ着いているのを見つけた。

 

 期待度が天元突破する中、全速力で浜辺を駆け走る。狐の小さな脳みそに脳汁がドパドパ溢れ出す。これが俗に言うドパガキ...!

 

 数分走り続け、ようやくその漂着物に辿り着く。その漂着物は俺の期待通り丸太の中身を削り出した丸太船だった。ウオォォォォ!脳が震えるっ!

 

 喜びに打ちひしがれながらも辺りを見れば、恐らく死んだ者を並べ恐らく弔っていそうな人物が一人だけ浜辺に立っていた。

 

 男の表情は絶望に満ちており、このまま放っておけば自殺するのではないかと思えるほどに顔色が悪い。

 

 海の厳しさに絶望してるところ悪いが俺の人に愛でられたい大作戦の礎になってもらうためにもあの集落について来てもらおう。

 

「ギャァ!」

 

「!!??」

 

 一鳴きすると絶望した顔を驚愕に変化させるが俺が狐だと判断した瞬間にまた絶望顔になった。

 

 諦めんなよ!諦めんなよお前!どうしてそこで絶望してんだ、そこで!もう少し頑張ってみろよ!ダメダメダメ、諦めたら。周りのこと(死体のこと)思えよ、 応援してる人たち(死んだ人たち)のこと思ってみろって。 あともうちょっとのところなんだから。俺だってこのクソ狐生のところ、渡来人が取れるって頑張ってんだよ! ずっとやってみろ!必ず目標(愛でられ作戦)を達成できる! だからこそNever Give Up!!

 

 いつ間にか自分を応援してたが、なんとかこの推定渡来人が俺の背中を追いかけてくれるようになった。

 

 川を上り、時たま渡来人がついて来れているか振り向く。その姿を渡来人に見せれば俺に知性があるってことが伝わる。そして、知性があるってことを集落に伝えてもらえれば俺の大勝利!コロンビアってことよ。

 

 集落に着くまで後、半日ほど掛かるが渡来人くんには頑張ってもらいたい所存である。

 

 はいはい、足動かして!顔上げる!勝利!努力!友情!...は死んだか。なら、代わりに勝利、努力、気力で頑張れ!

 

 これが次世代の少年マンガよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後の気力でなんとか山を登り切った渡来人は開けた土地に住む人間を見た瞬間に駆け出し喋りかけていった。

 

 俺もその嬉しそうな渡来人を見てうむうむと後方彼氏面で頷いていたが渡来人の顔がどんどん萎れていった。

 

 と、ここで一つ重大なガバを思い出した。

 

 言語の壁ェ...

 

 そりゃ元気も萎れていきますわ...戦乱に巻き込まれないように仲間と共に丸太船に乗り込み、仲間を代償に日本に上陸。俺が集落に案内し喜んだのも束の間、言語の壁が渡来人を阻む。

 

 幸いにも言葉は通じないがこの集落に置いてくれそうだったので差別で殺される心配は無さそうだ。

 

 .....はぁ、作戦は失敗か...俺のことを伝えてくれそうな渡来人は言語の壁で推定縄文人と言葉を交わせない。

 

 教科書で渡来人が技術を伝えたとか書いてるけど、詳細知ったら絶対にワンクール分くらいのドラマが出来上がるだろ。ノンフィクションだからリアリティに満ち溢れてますよぉ。

 

 是非ともドラマの出演料を貰いたいところだ。この辛すぎる現実を和らげてくれる何かを貰いたいところだ。どうしたら俺が楽して生きていけるか考えているところだ。ところてん。

 

 だが、もし渡来人がこの集落にリーダーとして君臨してもらえれば恩ある俺を飼ってくれるのではないか?

 

 狐の寿命は長くても十五年。十五年間俺の面倒を見てくれるだけで愛らしさをあなたにお届け、可愛満点の狐飼いませんか?飼え。

 

 それじゃあ、渡来人がこの集落の長になってくれることを期待して狩りの練習しながら待ちますか。

 

 ...飼育下で寿命が十五年だという事実からは目を背けておこう。(野生下だと平均3〜4年)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、ありのまま起こったことを話すぜ...!俺は渡来人が集落の長になってくれればいいなぁと思っていたらすでに二年ほど経っていた...!な、何を言っているのか、分からねーと思うが、俺も何が起こったのか分からねえ...何か恐ろしいものの片鱗を味わった気分だぜ...!

 

 はい。いや、はいじゃないが。

 

 あれから数年経って渡来人くんは見事に集落の長になりました〜パチパチ〜!俺?狩りが上手くなりました〜パチパチ〜!

 

 ってことで、比べるのも烏滸がましいほどに渡来人くんが出世しました。俺は未だに狐畜生です。どこに差がついたのか...とんと見当もつかぬ。

 

 だが、渡来人くんのお陰で俺に進展があった。

 

 ついに獲物として認識されなくなりました!(イェエェェェェイ!)

 

 渡来人くんが頑張って狐を狩るなと集落の皆んなに伝えたらしく、狼の野郎に見つかったのに見逃してくれたのだ。

 

 狼の野郎はいつか犬畜生になることを願いながらも俺はこの変化に全力で喜びまくった。渡来人くんBIG LOVE

 

 しかも、渡来人くんは水田稲作をやり始めたし多分機織りらしき技術も使っていた。この渡来人、技術チートしてる...!?

 

 二年の内に水田には大量の稲穂が生え散らかしてそれを収穫して、無理に狩りに行かなくていいことを覚えた推定縄文人は渡来人くんにやり方を学び土を耕した。

 

 いやー水田稲作をやり始めてもらって助かったよ。この周りの土地から動物がどんどんいなくなっていくから狩りの練習するために遠出しないと狩りが出来ないんだよね。

 

 でも狩りは上手くなってほぼ百発百中で獲物を狩れるし、本来の狐の狩り方でも獲物を狩れるようになった。血の味?習与性成という四字熟語がありましてぇ...

 

 とにかく、あと数年すれば渡来人くんが俺を飼ってくれそうなのでもう少しの辛抱である。

 

 しかし、不思議だ。二年経ったというのに体に違和感は感じず常に最盛期並みの体調の良さだ。

 

 それどころか耳や鼻、目も良くなって来ている気がする。

 

 体調は常に乱高下する者だというのに常にバブル経済だとこの先の体調が怖いところだ。異変がないことが異変。把握できていない原因が一番怖い。

 

 でも、今はもう少しだけ知らないふりをします。深淵に覗き見される趣味は無いので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 渡来人くんが死んだ。

 

 死因は不明だが渡来人くんらしき人を土に埋葬している所は確認した。集落に悲しみムードが漂っているのも渡来人くんが死んだ事実を後押ししている。

 

 あーあ、ついに俺の面倒を見てくれそうな人が死んじゃった。心の底から残念だと思うが仕方ない。

 

 でも、狐を殺すなっていう命令を残してくれたのは凄い助かった。やっぱ渡来人くんはサイコーだね。

 

 集落の人らは死体と一緒に装飾品らしき贈り物を一緒に入れていた。ならば俺も渡来人くんに最初で最後の贈り物を贈ろう。

 

 まぁ、送ると言っても適当に摘んできた花だけど。

 

 贈り物は内容じゃ無い、心だ。って誰かが言ってたはず。

 

 なら、俺のこの適当な花でも渡来人くんには感謝が伝わるだろう。

 

 ありがとう渡来人くん。いつかまた生まれ変われよ。転生は俺が保証するからさ。

 

 柔らかい土の上に黄色い花を添えて俺はまた森の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんか尻尾が増えてるんですけど!?

 

 




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