畜生から妖狐、そこから神目指す 作:インテリアタマツヨスギキツネ
私ハ!鉄ノ味ガ!嫌イダ!!と叫びたいほどには嫌いだ。まだ鉄棒を舐める方がマシな気がすると思うほどには血を飲むのが嫌いだ。あのドロドロとした喉越しはいつまで経っても慣れそうにない。
かといって血液を摂取しなければ塩分などの諸々の栄養が足りなくなって死んでしまう。
昔を羨み始めたら老害の始まりと聞いたような気がするが老害の気持ちは少しばかり分かる。何も考えずに惰眠を貪って古墳完成を眺めれたあの頃が本当に羨ましい。
でも何も食べずに生きれて睡眠も取らなくてもいい生物とか本当に生物か?と思ってしまう。生物としての三代欲求を満たさなくてもいいとか何処の究極生命体だよ。地球追放されそう。
生物の定義とは?と哲学の話になりそうなのでそろそろ話を変えよう。
最近……どうだ…?(父親風味)
じゅうじつしてる!(小並)
朝起きて、獲物を狩りに山へ赴き、鳥をゲッチューッ!して、家に帰り人間に献上して俺の一日の仕事は終わりだ。働き足りてない?と思われるかもしれんが我狐ぞ?畜生がまともに働くだけマシだと思って欲しい。ニートニートニー!してないだけマシだ。
しかし、最近はちょっぴりもう少し働くか…?と考えている。
理性なき獣であれば我が物顔で家の中を闊歩するかもしれんが俺は理性がある狐。人間が働いてる時に手持ち無沙汰にしていると謎の罪悪感が沸々と湧いてくるせいで最近はあまり落ち着かない。
かといって狩りの量を増やしたりするのはあまり良くない。食べ物を保管するだけでも労力が半端ないのだ。命を奪いすぎるのも良くないし。俺の体のうち二割はヴィーガンだから野菜を食べないといけない。嘘。
しかし…!このままでは仕事が…!仕事がない…!このままでは罪悪感に身を焦がされてしまう…!
なんで仕事を探します。ハロワとかもないので己の足で探さなければならないのは遺憾の意である。
じゃけん歩きましょうね〜
俺が鳥を狩っているこの森は自然豊かな森だ。ちょっと足を進めれば近くの茂みから動物がコンニチハ!してくるぐらいには自然豊かだ。ポケットなモンスターかよ。
そんな自然豊かな森であれば人間が食べ物を求めて森に入ってくることが多々あるのだがたま〜にガキンチョが森の中で迷子になることがあるのだ。既に二回ほど子供の迷子を確認している。
しかし、今までは迷子だからといって助けてやるほど俺は優しくないので放置していた。なぜか気づいたら夜になりかけていてまたまた気づいたら子供の保護者が子供を迎えにきていたのを確認してから帰ったが。
そして思った。
これ使えそうじゃね?(ゲス顔)
今までは放置してきたがこの迷えるガキンチョたちを助けてやって恩を売ってやれば人を助けてくれる…?神様の使いだぁ!的な感じでお供物とかをくれるかもしれない。お稲荷様的な感じで。
これに関しては上手くいってもいかなくても特にデメリットは発生しないはずだ。上手くいけば作物とか保存がきく食べ物がお供えされそれを俺は献上する。失敗してもただの狐に目くじら立てて殺しにかかってくることは多分ないだろう。失敗の部分が希望的観測だが気にしてはいけない。失敗は成功のうんたらだ。
しかもこの目的はいつもの狩りのついでに行われるいわばサブミッション。成功してもしなくても俺の狐ライフにはこれといったデメリットはない。惰性で数年やり続けている飽きてきたソシャゲのデイリーミッションぐらいの心意気でやればいいのだ。
まるで迷子の子供ガチャ。純粋で優しそうな子供が来て欲しい所存です。やはりガチャは悪い文明。
ほな排出率が激渋すぎるガチャを始めようか。
イクゾーーー!!
「くぅ………!…ひぐ…うぅ……」
あれから数日後、獲物を探している最中に遠くから人間の声が聞こえてきたため急いでやってきたのだが俺の目の前には体育座りで半べそをかいている大人がいる。
もう一度言おう。
半べそをかいている大人がいる。
たまげたなぁ……俺の予想の遥か右斜を飛んで行ったぞ。大人は絶対に迷子にならないだろと思っていたがありえないはありないんだなぁ……
まぁ、迷子は迷子だ。迷子をちゃんと森から出すと数日前に決めたからにはやり遂げなけなければ。
ていうかどうやってこんな場所まで迷い込んだんだ?普段から森に入り慣れてる俺でもあまりきたことない領域だぞ。しかも大の大人が動物程度にここまで追い込まれるはずがない。熊とかならまぁ納得できるが俺は未だに熊を一度も見ていない。それどころか熊の痕跡さえも見ていない。
猪も追い詰められれば人を追いかけるが逆を言えば追い詰められていなければ追いかけない。鹿も普段は温厚だから人を追いかけるなんて行動はとらないはずだ。鹿せんべいを除く。
………とにかく森の外に案内するか。
「ギャア!」
「」
おぉ、ドッキリのお手本のようなビビり方だ。カートゥンなら目ん玉が飛び出ているだろう。座ってろ麦わら。
明らかにビビり散らかしている人間の瞳をじっと見つめる。警戒と怯えと諦め?が入り混じっている表情になおさらこの人間を襲った原因が気になるが今は無視だ。
「ギャア」
今度はできるだけ優しく鳴き案内を始める。少し進んで後ろを確認するとまだ尻を地面につけているが先ほどまでの怯えは薄れており今度は疑問が浮かんでそうな表情をしている。
「ギャァ」
急かすようにもう一度鳴くと人間は一瞬、視線を自身の足に向けた。うぉ、すね毛濃ッ!
赤黒く変色した足首、どうやらここに迷い込む過程で足首を怪我したらしい。いよいよ原因が気になって来た。
しかし、人間は覚悟を決めたような表情をしてから近くの木に手を添えて立ち上がり、本当に、本当にゆっくりだが俺を目指して歩き始めた。
ヨシ!(猫)
後は野生動物を避けながら森を抜ければ終わりだ。簡単なお仕事だぜぇ!
「げぎゃぎゃぎゃぎゃぁっ!」
「ひぁ……っ!?」
フラグだったぜぇ!
近くの茂みからエントリーして来たのは鹿でも猪でも熊でもない、一つ目の醜悪な化け物だった。キモッ!キモッキモッ、キモッ!!
俺もこんな化け物に初めて会っていればSAN値が削り切って発狂していた可能性があったが既に似たような化け物は幾度か見たことがある。
「ギャアッッ!」
かかってこいや!空に浮かぶ星の一つにしてやらぁ!と威嚇して狐火を出す。
この前、俺の狐火はチャッカマンだと説明したが少し誤りがある。
無理をせず長時間出し続けれる火力がチャッカマンなのだ。故に全力で踏ん張ればメ◯並みの瞬間火力が出せる。今のはチャッカマンではない…メ◯だ…
昔の尻尾たくさん状態であれば燃え燃えキュン!と気張らなくてもメラ◯ーマが撃てて敵を萌えカスにできたが今では追い返すぐらいしか出来ない。
しかし、俺がいる場所は森だ。メ◯ゾーマなど撃って仕舞えばたちまち山が燃えるだろう。え?メ◯でも山火事にはなるって?調整するに決まってんだろ。狐火は俺の意思で操作出来んだぞ。
とにかく俺の狐火はメ◯並みの威力があって山火事は起きないと覚えてればいいのだ。
そして狐火喰らえやッ!と放つ。
轟!と飛んでいく狐火は汚らしく笑っていた一つ目の化け物の胸に直撃した。ドンピシャア!
植物には燃え移らず化け物の体のみを燃やす。
暗かった周りが化け物を燃やす火で明るくなる。化け物が全身に燃え移った火を消そうと悶え苦しむたびに暗い山中に明かりが灯る。
そして一分ほど経ち、化け物は倒れ動かなくなった。
「ギャァ」
それを見届けた俺は後ろの人間に一声掛けてまた歩き始めた。
特にこれといった進捗はない狐こと俺だ。またまた俺は森にやって来ている。しかも深夜。
あの日から数日経ったのだが助けた人間が恩返しに来ることもなく新たな迷子が現れることもないただただ撫でられまくる平凡な数日だった。
であれば突然なぜ深夜に森にやって来たかといえばパトロールしに来たのだ。
この数日、平凡だったと言ったが変化もある。あの化け物がちょくちょく現れるようになったのだ。
は?一大事じゃねーかこのバカ狐。と思うだろう。最初は俺も一大事じゃねーか!と思った。
しかし、その化け物。俺と目があっても襲いにかからないしそれどころか避けるように逃げていくので脳内が?である。
害にならない存在にどうやって危機感を抱けと。人間もこの数日間迷子になってないし。
そんな危機感の欠片もない俺だが人間は違う。
あの日の化け物を見るに人間がいると積極的に襲いかかってくることは想像に難くない。
そんな化け物が現れた影響か近くの集落で大人たちがざわめきあっていたのを遠目から先ほど確認した。
俺を避ける化け物を恐れて人間が騒々しく慌てています。
Q.どうする?
A.人間たちは不安よな。俺、動きます。
というわけで1番化け物の活動が多い深夜にパトロールだ!
…まぁ、眠気が薄くなってきた最近の夜の暇つぶしとしてパトロールするだけだけどな!
平安時代の夜はとても暗い。灯りは空に浮かぶ月明かりしか存在せず手が届く距離ほどしか分からない。意味としては違うがまさしく一寸先は闇だ。
そんな夜に、唯一の灯りの月明かりさえも塞ぐ森に、1人の男と数人の子供がいた。
その男は有り体に言えば陰陽師崩れである。
陰陽師の家系に生まれたのは良いものの弟との当主争いに敗北しプライドが粉々にされ弟の下に着くくらいならと家を飛び出した大馬鹿者である。
して、この大馬鹿者は己の敗北を未だに認めておらず弟を殺すためにとある計画を立てていた。
強大な妖怪を己の手で作り上げその妖怪を弟に差し向け殺害、消耗しきった妖怪を己が討伐することで当主の座に至るといった側から聞けば何を言っているのか分からないほどに杜撰な計画を立てていた。
そんな強大な妖怪が自然発生するには火事も地震も疫病も起きていない。そんな中、突如強大な妖怪が現れたのなら不審に思われ調査が始まりバレるのは自明の理。そもそもその家系にいたというのにそれが分からない時点でこの男は当主に向いていない。
そんな半ば狂いかけている男は家から盗んだとある呪物を自信の源に妖怪に喰らわせる餌を運んだ。
………え、やば。何あいつ超笑顔で子供達を連れて歩いてやがる。目がガンギまってるのがめっちゃ怖いんですけど。きしょ。
とある呪物:食ったら強くなるパワーアップアイテム。意思が存在しない宿◯の指みたいなもん。同じ物が何個かある。
製作者:よだれ子パパ
材料:とある狐の毛と製作者の娘の肉や内臓