畜生から妖狐、そこから神目指す   作:インテリアタマツヨスギキツネ

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今回は短いです。


妖狐だが狐畜生に変わりない

 

 

 大地を踏み締めて〜♫大地を踏み締めて〜!大地を踏み締めて〜⤴︎踏み締めて〜↑!!!

 

 大地を踏み締めまくって早くも三日目、人の痕跡が一切ない山奥まで俺はやってきていた。

 

 出来れば山奥にポツンと一軒家があればいいのだが、あるわけがなく。依然として鬱蒼とした森が続くだけである。

 

 何故あんなに人と関わりたい!尻尾フリフリ〜!としまくっていた俺がこんな山奥にいるかというと。

 

 俺は今、少し人が怖くなっている。

 

 尻尾が一本の時は、あんな死者を悼むなんて考え微塵も無かったのに尻尾が増えていくたびに常に死者を悼むことばかり考えていた。それも不思議がることなく無意識にだ。

 

 俺はそれが無性に恐ろしく感じた。あんなに納得が〜とか悼まなければ〜などとほざいていたのに今ではそんな考えが微塵も存在しない。

 

 いや、死者を悼むのはいいことだと思うがあの頃のように率先して悼もうとはしない。いや、出来ない。

 

 あの全自動お墓参り狐になったのは人と関わるようになった時、もう少し細かく言えば渡来人くんの墓に花を贈った時だ。

 

 その行為が俺の中の何を変化させたのかは分からないが、俺の中が勝手に変化させられるのはとても怖い。

 

 でもあの頃の俺も俺だ。軽々しく死者を悼む気持ちなど無い。常に彼らが正しく生まれ変われるように悼んだのは間違いない。

 

 でも、勝手に思想が変化するのは怖いよね〜ていう話だ。

 

 なのでこの心を癒す度に出ることにしました〜!わーパチパチ!

 

 目指すは人がいなくて、人が入ってこれなさそうで、でも人の営みとか見たいから近くて、スーパーから徒歩三分で...え?無理?そんな土地無い?

 

 無ければ作ればええんすわ!

 

 流石にスーパーは無理だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お手軽!三十日クッキング!

 

 まず用意するのは俺!以上!お手軽ですねぇ!食材の無駄が有りません!エコの体現者ですよぉ!これ!

 

 次に山奥で全力で遠吠えしまくります!喉が逝かれるまで吠え続けましょう!出来るだけわかり合えなさそうな感じで吠えましょう!たまに野生動物に襲われますが腹の足しにしましょう!それもエコです!

 

 最後に熊と喧嘩して勝ちましょう!その熊を集落に向かうように操作して完成!

 

 熊さえ逃げ出す何かが蠢く山の出来上がりです!時たま吠えたり、強そうな動物と喧嘩し集落に送り込みましょう!

 

 最後に砕いたポテチを振りかけたら完成でーい!

 

 なんこれ?

 

 おっと、内なるワクワクの相棒が不思議がっている。

 

 説明しよう!と言ったが特にこれといった説明はないぞ!ほぼ上の文で察せるだろう!察せない人は知らん。諦めろ。

 

 このお陰で集落の人間はこの山に入ることは無くなったし、動物のほとんどが俺をボスとして認めたらしく襲いかかってくるやつは限りなく減った。

 

 そのため山を自由に歩けるし、何処でも寝れるし、生かすも殺すも俺の掌よ!まぁ、なんか尻尾が増えてからお腹が減らなくなったから無理して食べなくて良いんだけど。

 

 それはそうとして漸く俺は平安を手に入れることに成功した。心が休まるんじゃ〜^

 

 あとここに温泉と布団と食事処があったら完璧だな。誰か作ってくれ。俺は代わりにニートニートニー!しとくから。

 

 さて、そろそろ夜になりそうだし、

 

「ギャァォォォォォオオオンンン!!!!」

 

 一鳴きしようぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 月日が経つのは早いというが気づけば春から秋に季節が移ろいました。その間何してたかって?山林警備員してた。ちゃ、ちゃんと働いてたから。

 

 山林警備員ってのもあながち間違いじゃなくて、近くにあった集落がまた他の集落に焼け野原にされていたのだ。その滅ぼした集落の人間がずかずかと我が物顔で山に入ろうとしてくるので熊やら狼やらをけしかけて山を守っていたのだ。え?守ってるの熊と狼だって?め、命令するのも立派な仕事だから.....

 

 それはそうとして最近とある悩み事が“あった”

 

 俺の山動物パンパン問題だ。ふざけてる名前してるだろ?内容は全然ふざけられないんだもな。

 

 俺がこの山に住み始めてから早くも数ヶ月経ったのだが俺のお陰で人間が山に入らなくなったことで他所の山からも動物が人間から逃れるようにこの山に住み着くようになったのだ。

 

 そのせいで山の自然環境は衰退する一方で肉食獣は飢えて死んだ草食獣を食べてどんどん数が増えていっている。

 

 う、ウソやろ...こ、こんなことが、こんなことが許されていいんか.....!?

 

 もちろん許されません。

 

 環境を元に戻すために俺が元の山に帰れッ!と一鳴きすると他所からやってきた動物たち全てが帰っていってしまった。そのせいでスタンピードが引き起こされてとある集落が一つ滅亡した。

 

 とある集落を生贄に俺の悩みが一つ解消された。

 

 関わりがないからといって無為に命が消えていくのは絶対に許されない行為だと俺は思っている。

 

 なので滅亡した集落に赴き生き残りを探したら、一人の赤ちゃんが奇跡的に生き残っていた。

 

 へしゃげた腕に包まれ身体中を血液で濡らしながらもその赤ちゃんは懸命に命を燃やすように泣き声をあげていた。

 

 罪滅ぼし...的なアレじゃないが意味もなく命が消えていくのは絶対に許されない。

 

 泣きつかれ眠ってしまった赤ちゃんを尻尾に包み静寂に支配された集落跡を背に山へと帰った。

 

 そして新たな悩み事が、赤ちゃんどうやって育てんの問題だ。

 

 世話をしたこともないしされた記憶もないから俺は必死に赤ちゃんが飢えて死なないように試行錯誤した。

 

 俺にある知識にはミルクがない時は重湯を与えると脳みそ辞書に書かれているがここに重湯など無いし、与えるための手も無い。

 

 なので食べられる果実を口で噛み潰し赤ちゃんに口移しで与えた。もちろん赤ちゃんは上手く飲み込んでくれないし、汁の量が多かったせいか溺れるような声を出しながら泣いていた。

 

 赤ちゃんに多大な苦労を与えながらもなんとか漸く、口移しでのご飯に慣れた。今では泣き声をあげるよりも笑い声を上げることが多くなってきて、自然に俺も嬉しい気持ちになってくる。

 

 尻尾で高い高いしながら俺は赤ちゃんが食べる果物を集めるのであった。

 

 し、尻尾に漏らしてる...........く、くせぇ.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数ヶ月経ち、赤ちゃんの首はすわり、寝返りもうてるようになった。もしかするとあと少しで己の足で立つかもしれない。そう思うと喜びで爆発しそうになる。順調に親バカウェイを突き進んでおります。

 

 しかし、この子が成長する度にこの子を育てることが本当に正しいのか分からなくなってくる。

 

 俺は最後までこの子の面倒を見て、大人になって、結婚して子供作って、老人になって、墓に埋葬されるところまで側に居てやりたいが俺が狐だという現実に邪魔される。

 

 よく創作物で獣に育てられたキャラクターが出てきて辿々しながらも会話をすることが出来ている。

 

 でも現実はそんなに甘くない。

 

 実際に現実世界でも狼に育てられた子供は存在する。が、その子供は四足歩行で歩き狼のように手を使わず食事をし会話はできず喉を鳴らすぐらいしか出来ない。

 

 そしてその子供は成人することも出来ず亡くなっている。

 

 その事実が俺の尻尾に包まれているこの子にのし掛かる。この子の幸せはなんなのだろうか。このまま俺に育てられ人としての暮らしを知ることなく短命に死ぬか、何処かの集落に預けられ人としての暮らしを知り懸命に生きるか。

 

 だが、どこの集落も見知らぬ赤子を育ててくれるほど優しくはない。食糧を得るために大人から赤子まで焼き殺す集落もある。

 

 俺は....俺はこの子をどうしたら良いのだろうか...

 

 尻尾に包まれた赤子は俺と目が合うと嬉しそうに笑う。その笑い声は静かな森でこだまする様にただ響くだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある集落の前にてある赤子がぽつんと置かれていた。

 

 誰一人として知らない赤子をこの集落の長が代表として引き取った。長の本当の赤子は運悪く風邪に罹り死んでしまった。空いてしまった心を埋める様に長は赤子を愛し育てていく。

 

 それから月日が経ち長が亡くなり、新たな長が誕生した。

 

 その長の目は金色に光っており、その者の記憶に薄らと残る色と酷く似ていた。

 

 金色の目をした集落の長は次々に他の集落を合併して行き、ついには女王と呼ばれる様になった。

 

 女王はとある若者と結婚し一人の子供を産み落とし亡くなる。

 

 これはただの記録。とある時代を築き上げた一人の女王の記録。

 

 その記録に女王のある会話がある。

 

「⬛︎⬛︎⬛︎様はなんの動物が好き?私は亀さんが好き!動きがゆっくりで可愛い!」

 

「⬛︎⬛︎⬛︎様!私は鹿が好き!おいしいから!」

 

「ふふっ....そうね、私はね?狐が好きよ」

 

「「なんで〜?」」

 

「さて、なんでだろうねぇ?私にも分からないや」

 

「「え〜?変なの〜」」

 

 その国の王女は狐が好きらしい。

 

 それが何を意味するかは分からない。が、歴史研究家は至極真面目に研究する。

 

 その中で一番滑稽無糖な説がある。

 

 ⬛︎⬛︎⬛︎は狐に育てられたという説。

 

 数多の歴史研究家はその説を否定する。でも、こういった信じられない説に人は浪漫を感じるのだろう。

 

 ────桂木民明書房「歴史の浪漫─14〜20ページ」より、

 

 




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