性癖煮詰めて厨二バトル書いたよ 作:銀髪赤目のアンドロイドと女軍人が好き
霧深き城塞。嘗ての栄華見る影もなく荒れ果てた廃墟。
奥の玉座の扉の前に、継ぎ接ぎだらけのコートを身に纏い、丸サングラスを掛けた男が立っていた。
男は扉を開き、部屋の主に声をかける。
「やぁ、キミに朗報があるんだ」
旧友の話かけるような軽さで、男が口を開く。
「キミの妄執ごと斬り裂いてくれる子を見つけたんだ」
部屋の主は微かに反応を示す。
「……どんな子だって?可愛い女の子さ。身なりの高いもの身に着けてたから、亡国のお姫様なんじゃないかな?」
「あぁ、キミにとっては禁句だったね。悪い悪い。でもね腕は確かだよ」
「2回も首を落とされたからね」
「きっと、キミの御眼鏡にも叶ってくれるよ」
部屋全体が震える。鈍い金属同士が擦れるような音が響く。
暗闇から現われたのフルフェイスの鎧騎士だった。
華美な装飾で彩られいたのだろうが、色剥げが激しく、所々がへこんでいる。
右腕が欠落しており、石造りの床には無骨な大剣が深々と刺さっていた。
「ヤル気満々みたいだね。任せてくれよ、彼女の誘導は僕がやる」
「キミはせいぜい、鈍った腕を取り戻しておけばいいよ」
◇
妙な男に絡まれてから1ヶ月。
少女は街道沿いを歩いていた。銀髪紅眼に胸元をはだけた着流し。華美な耳飾りと腕輪。手には、鞘に納まる刀。
特徴的すぎるその姿は、周囲から完全に浮いていた。
好奇と下卑た視線が交互に突き刺さる。
(……ウザったい)
あんまり人が多いところは好まないが、背に腹は代えられない。
懐が寂しく、酒も買えないので街に寄るしかなかった。
(……適当な討伐依頼受けて、酒でも買おう)
我儘をいえば、骨のあるヤツがいいが……。
そう益体のない考えを浮かべていると、
「魔獣が出たぞぉぉぉ!?逃げろぉぉぉ!!」
前の方から血塗れの男が逃げてくる。
この先を進んでいた商隊の護衛だろうか。
血塗れの男の背後からは、大型の四足歩行の魔獣が迫っていた。
獅子の頭に山羊の胴体、そして蛇頭の尾持つを魔獣キマイラ。
そのアンバランスな姿は、悪夢そのものである。牙と爪には犠牲者のもと思われる血が滴っていた。
(丁度良いかな……憂さ晴らしついでに退治したら報酬もでるかも)
鯉口を切る。
蛇頭の尾が血塗れの男に巻き付き、丸呑みにしようとするが―――。
―――両断された。
地面に叩きつけられるように尻もちをつく、血塗れの男。
その目の前には、一人の少女が立っていた。
「……あ、アンタは?」
男が問いかけるよりも早く、少女は疾走する。
怒り狂ったキマイラが咆哮をあげる。
(胴体が山羊なのに、両足は獅子なんだ……)
場違いな考えを浮かべながら、少女は宙へと跳んだ。
獅子の顎から熱気が放たれる。
―――だが。
(……遅い)
閃光が走る。キマイラの獅子の頭に、少女が乗り上げる。
チリンと鈴が鳴る音をたてて、納刀する。
キマイラの頭がずるりと地面に堕ちた。
遅れて胴体も、地に伏せるように崩れ落ちる。
歓声のようなものはなく、少女の凄まじさに恐れを抱いたのか、辺りは静まり返った。
(騒がしいのは苦手だから助かるけど、この分だと、報酬は無理かな……)
◇
意外なことに報酬は出た。
まぁ、キマイラを討伐したことで被害が抑えられたのだ。報酬を渡さないことには、商隊としても立つ瀬がないのだろう。
手頃な酒場でも行って、酒でも買おう。そう思ったときだ。
「あ、アンタ」
声がした方に視線を向けると、包帯だらけの男が立っていた。
「……誰?」
「アンタに助けてもらったもんだ」
「あぁ、あの血塗れの……」
「アンタのおかげで命を拾うことができた。お礼をさせてくれ」
「……けっこ」
断りの言葉をいれようとしたとき、空腹の音が響いた。
「クハハハッ、美味い飯屋でも紹介するよ」
少女は恥ずかしがるように頬を染めて、
「……お酒もお願い」
と、絞り出すよう呟いた。
◇
男の紹介で訪れた場所は路地裏の奥にある店だった。
そこまで広くはなく、個室が完備されていて、大衆食堂や酒場とは趣が違う場所だった。
少女は一瞬、娼館と勘違いしたが、店から漂う酒と美味しそうな匂いで違うことがわかった。
店員の案内で、部屋まで案内される。
料理や酒が運ばれて、暫くしてのことだ。男が口を開いた。
「キマイラを一蹴したアンタに頼みがある。勿論、報酬は出す」
少女が口いっぱいに頬ばりながら、耳を傾けた。
「この先に渓谷があってな、そこの使われてない古い城塞に魔獣が棲みついてな」
「それの退治を頼みたい。訳あってギルドでは正規の依頼を出せないんだ」
少女が一息にエール酒を呷り、空のジョッキをテーブルに勢いよく叩きつける。
「……いいよ」
「いいのか!?頼む俺が言うのもなんだが、かなり、妖しい依頼だぞ?」
「……かまわないわ。何があろうともこれで斬り裂くだけだもの」
少女は愛刀を掲げながら、答えた。
「……話はそれだけ?もう、行くね」
話は終わった、とばかりに部屋を出て行った。
「マジか……。あそこまでシンプルな娘だったとは」
包帯だらけの男が光に包まれ、丸サングラスの男が現れる。
「もう少し、警戒するかと思ったが…。仕込みの大半が無駄になちゃったな~」