性癖煮詰めて厨二バトル書いたよ   作:銀髪赤目のアンドロイドと女軍人が好き

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もう少し考えましょう

 霧深き城塞。嘗ての栄華見る影もなく荒れ果てた廃墟。

 

奥の玉座の扉の前に、継ぎ接ぎだらけのコートを身に纏い、丸サングラスを掛けた男が立っていた。

 

男は扉を開き、部屋の主に声をかける。

 

「やぁ、キミに朗報があるんだ」

 

旧友の話かけるような軽さで、男が口を開く。

 

「キミの妄執ごと斬り裂いてくれる子を見つけたんだ」

 

部屋の主は微かに反応を示す。

 

「……どんな子だって?可愛い女の子さ。身なりの高いもの身に着けてたから、亡国のお姫様なんじゃないかな?」

 

「あぁ、キミにとっては禁句だったね。悪い悪い。でもね腕は確かだよ」

 

「2回も首を落とされたからね」

 

「きっと、キミの御眼鏡にも叶ってくれるよ」

 

部屋全体が震える。鈍い金属同士が擦れるような音が響く。

 

暗闇から現われたのフルフェイスの鎧騎士だった。

 

華美な装飾で彩られいたのだろうが、色剥げが激しく、所々がへこんでいる。

 

右腕が欠落しており、石造りの床には無骨な大剣が深々と刺さっていた。

 

「ヤル気満々みたいだね。任せてくれよ、彼女の誘導は僕がやる」

 

「キミはせいぜい、鈍った腕を取り戻しておけばいいよ」

 

 

 

妙な男に絡まれてから1ヶ月。

 

少女は街道沿いを歩いていた。銀髪紅眼に胸元をはだけた着流し。華美な耳飾りと腕輪。手には、鞘に納まる刀。

 

特徴的すぎるその姿は、周囲から完全に浮いていた。

 

好奇と下卑た視線が交互に突き刺さる。

 

(……ウザったい)

 

あんまり人が多いところは好まないが、背に腹は代えられない。

懐が寂しく、酒も買えないので街に寄るしかなかった。

 

(……適当な討伐依頼受けて、酒でも買おう)

 

我儘をいえば、骨のあるヤツがいいが……。

 

そう益体のない考えを浮かべていると、

 

「魔獣が出たぞぉぉぉ!?逃げろぉぉぉ!!」

 

前の方から血塗れの男が逃げてくる。

 

この先を進んでいた商隊の護衛だろうか。

 

血塗れの男の背後からは、大型の四足歩行の魔獣が迫っていた。

 

獅子の頭に山羊の胴体、そして蛇頭の尾持つを魔獣キマイラ。

 

そのアンバランスな姿は、悪夢そのものである。牙と爪には犠牲者のもと思われる血が滴っていた。

 

(丁度良いかな……憂さ晴らしついでに退治したら報酬もでるかも)

 

鯉口を切る。

 

蛇頭の尾が血塗れの男に巻き付き、丸呑みにしようとするが―――。

 

―――両断された。

 

地面に叩きつけられるように尻もちをつく、血塗れの男。

 

その目の前には、一人の少女が立っていた。

 

「……あ、アンタは?」

 

男が問いかけるよりも早く、少女は疾走する。

 

怒り狂ったキマイラが咆哮をあげる。

 

(胴体が山羊なのに、両足は獅子なんだ……)

 

場違いな考えを浮かべながら、少女は宙へと跳んだ。

 

獅子の顎から熱気が放たれる。

 

―――だが。

 

(……遅い)

 

閃光が走る。キマイラの獅子の頭に、少女が乗り上げる。

 

チリンと鈴が鳴る音をたてて、納刀する。

 

キマイラの頭がずるりと地面に堕ちた。

 

遅れて胴体も、地に伏せるように崩れ落ちる。

 

歓声のようなものはなく、少女の凄まじさに恐れを抱いたのか、辺りは静まり返った。

 

(騒がしいのは苦手だから助かるけど、この分だと、報酬は無理かな……)

 

 

意外なことに報酬は出た。

 

まぁ、キマイラを討伐したことで被害が抑えられたのだ。報酬を渡さないことには、商隊としても立つ瀬がないのだろう。

 

手頃な酒場でも行って、酒でも買おう。そう思ったときだ。

 

「あ、アンタ」

 

声がした方に視線を向けると、包帯だらけの男が立っていた。

 

「……誰?」

 

「アンタに助けてもらったもんだ」

 

「あぁ、あの血塗れの……」

 

「アンタのおかげで命を拾うことができた。お礼をさせてくれ」

 

「……けっこ」

 

断りの言葉をいれようとしたとき、空腹の音が響いた。

 

「クハハハッ、美味い飯屋でも紹介するよ」

 

少女は恥ずかしがるように頬を染めて、

 

「……お酒もお願い」

 

と、絞り出すよう呟いた。

 

 

男の紹介で訪れた場所は路地裏の奥にある店だった。

 

そこまで広くはなく、個室が完備されていて、大衆食堂や酒場とは趣が違う場所だった。

 

少女は一瞬、娼館と勘違いしたが、店から漂う酒と美味しそうな匂いで違うことがわかった。

 

店員の案内で、部屋まで案内される。

 

 

料理や酒が運ばれて、暫くしてのことだ。男が口を開いた。

 

「キマイラを一蹴したアンタに頼みがある。勿論、報酬は出す」

 

少女が口いっぱいに頬ばりながら、耳を傾けた。

 

「この先に渓谷があってな、そこの使われてない古い城塞に魔獣が棲みついてな」

 

「それの退治を頼みたい。訳あってギルドでは正規の依頼を出せないんだ」

 

少女が一息にエール酒を呷り、空のジョッキをテーブルに勢いよく叩きつける。

 

「……いいよ」

 

「いいのか!?頼む俺が言うのもなんだが、かなり、妖しい依頼だぞ?」

 

「……かまわないわ。何があろうともこれで斬り裂くだけだもの」

 

少女は愛刀を掲げながら、答えた。

 

「……話はそれだけ?もう、行くね」

 

話は終わった、とばかりに部屋を出て行った。

 

「マジか……。あそこまでシンプルな娘だったとは」

 

包帯だらけの男が光に包まれ、丸サングラスの男が現れる。

 

「もう少し、警戒するかと思ったが…。仕込みの大半が無駄になちゃったな~」

 

 

 

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