性癖煮詰めて厨二バトル書いたよ   作:銀髪赤目のアンドロイドと女軍人が好き

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まんまです。ひねりもねぇ。石投げないで


薄暗い部屋に連れ込まれて

 暗闇の一室。隻腕の鎧騎士は、左腕一本で無骨な大剣を素振りしていた。

重厚な甲冑を身に着け、かなりの重量があるにもかかわらず、その勢いは衰えることがない。

石造りの部屋に、風切り音と金属同士が擦れる音が響き合っていた。

 

「調子はどうだい?そろそろ、実戦相手でも欲しいんじゃないかい?」

 

軽薄そうな男の声が聞こえる。

 

隻腕の鎧騎士は、声が聞こえた方へ素早く大剣を向ける。

 

「うん、僕をご所望かい?別にいいけど。相応しい相手が他にいるんじゃないかい?」

手を上げながら、丸サングラスの男が喋る。

 

鎧騎士は興味を無くしたのか、素振りに戻っていった。

 

「キミ達、武人の考えることは、ホントーに理解しがたいなぁ~」

 

「勘が鋭いと思ったら、警戒心がまるで無いとか」

 

「自分の力への自負みたいなものなのかな?」

 

 

 

聞き込みでわかったことは、この街は渓谷に囲まれた城塞を落とすための拠点が前身らしい、ということだ。

 

城塞に立てこもった騎士が恐ろしいほど強かったため、彼を閉じ込めるために建てられたのだとか。

 

とてつもなく眉唾な話だ。たった一人のために拠点を作り、押し込めてたなんて。

 

だが、話が本当なら、そこには個人で戦略戦術を一切合切叩き潰す、理不尽の権化のような怪物がいたという事だ。

 

そのような極上の相手がいたのなら、さぞかし、素晴らしい死合いができたのだろう。

 

もう百年前の話らしいので、残念だが。

 

しかし、魔獣が棲みついたなどという噂が、まるで無かったのはどういう事だろう。

 

まぁ、いいか。行けばわかることだ。

 

 

自分は何をしてるのだろう。護るべき国も、民も、愛する者も失くして、朽ち果てた城塞で、剣を振るい続けているのは。

 

自分を終わらせてくれる存在を求めてるのか、それとも、未だにまだ見ぬ強敵との闘いを求めてるのか。

 

わからないが、確かなことは一つ。まだ、自分には剣が残されているということだ。

 

 

城塞の入口に少女が立っていた。

 

ここまで来る途中、多くの戦闘の跡を見た。鎧を身に着けた骨。折れた剣や槍。あちこちに刺さった矢じり。一刀両断された戦車(チャリオット)。

 

どれもが、当時の戦いの激しさを物語っていた。あの話も、案外デマでは無かったらしい。

 

その証拠に、残された鎧や武器類は全て同じ意匠だった。集団同士の戦いなら、異なる意匠のものが混在するはずだ。

 

風に揺れる耳飾りを肌で感じながら、歩みを進めた。その先にある「何か」に期待しながら。

 

「いやぁ~待ってたよ」

 

エントランスに踏み込んだ瞬間、声が響いた。

 

「……げっ」

 

「開口一番にそれはないんじゃないかなぁ」

 

そこには一番関わり合いになりたくない丸サングラスの男が、エントランスの女神像の上に座っていた。

 

「キミさぁ~、詳しい話も聞かずに出ていくとか。マジでありえないんだけど」

 

「もう少しさ……、訳とか報酬の話とかの確認くらいするだろう?」

 

「……え、何で私怒られてるの?」

 

少女の、芯から困惑したような一言。

そのあまりに素朴な返しに、男がハッとしたように動きを止める。

 

「あぁ、ごめんごめん」

 

男がそう言って苦笑したかと思うと、その全身が眩い光に包まれた。光が収まったとき、女神像の上に座っていたのは、先ほど店で彼女に依頼を持ちかけた「包帯だらけの男」の姿だった。

 

「道理で嫌な感じがしたと思った。報酬の話はどうなるの?」

 

「え、そこなの!?気になるのは」

 

「まぁ、そこらへんは心配しなくても大丈夫さ。この先に進めば、満足するはずだよ」

 

男が上を指し、誘導する。

 

少女は怪訝そうな顔をして、階段を昇り始めた。

 

(……大したことなかったら、あの男を斬ろう)

 

昇り切った先には、重厚な扉があった。どうやら、ここが終点らしい。

 

扉がひとりでに開く。

 

暗闇の中、無骨な大剣を肩に担いだ隻腕の鎧騎士が立っていた。

 

全身の肌が粟立つ。あの男のような薄気味悪さやキマイラのような不気味さとは違う。

 

圧倒的な存在感。制御された暴力。

 

見ただけで分かった。あれは人の形をした災害だ。

 

騎士が大剣を此方に突き付けた。

 

掛かってこい、と。

 

身体が勝手に動いた。鞘を腰だめに、柄をいつでも掴めるようにして疾走する。

 

騎士は大上段の構えを取った。凄まじい圧力を感じる。来る途中で見た、一刀両断された戦車を思いだす。

 

臆するな、呑まれれば死ぞ。

 

さらに足に力を込め、石造りの床を蹴った。

 

騎士が大剣を振り抜く。轟音と砕け散る床。少女は紙一重で躱し、刃を抜き放った。

 

―――が。すでに騎士が消えていた。

 

大剣を叩きつけた勢いを利用し、それを支点にして倒立し、前転。

 

完璧に少女の後ろを取り、容赦なく蹴り上げる。

 

「―――がッ」

 

壁に叩きつけられ、ボールのように跳ね返る。

 

すかさず騎士は大剣を突き出し、追撃。少女は空中で身体を無理矢理捻り、刃を当ててその一撃を受け流す。

 

騎士はそのまま少女の横を通り過ぎ、壁を砕いた。

 

少女は衝撃を打ち消しながら着地。騎士から目を離さないよう、極限まで集中する。

 

正に荒れ狂う暴風だ。一瞬でも気を抜けば、圧殺される。

 

力だけではない。技術も経験も、圧倒的に上だ。

 

騎士は瓦礫化した壁から、強引に大剣を振り抜く。

 

瓦礫が礫となって少女に飛んでいく。

 

向ってくる礫を切り払う。

 

すかさず、騎士は跳躍し、空中で回転しながら大剣を振り抜く。

 

死中に活あり。

 

少女は疾走し、前進する。

 

騎士の一撃によって部屋全体が震え、破砕され、破片が飛び散る。

 

その猛攻を、少女は騎士の背後を取る形で躱していた。

 

右足を踏み込み、軸足にして遠心力を利用した抜刀術が、騎士の背中に炸裂する。

 

肉を裂く感触。だが骨までは絶てなかった。

 

(―――浅いっ!?)

 

床を蹴り、少女は距離を取った。

 

騎士は大剣を床に突き刺し、左手で背中の傷を拭う。

 

拭った手をぐっと握り締めた、何かを確かめるように。

 

(……決定打が足りない。しかも向こうは本気を出してない)

 

此方も切り札を切れば、向こうも出してくる。そうなれば、勝ち筋が見えない。

 

少女の額から、汗がだらりと流れた。

 

(考えても無駄だ。なら、どうする?)

 

元より、命に頓着していない身の上。

 

全力を出さずに負けるくらいなら、死んだ方がマシだ。

 

覚悟を決め、鯉口を切り、親指に刃をあてがう。

 

「―――血刃装填」

 

一方、騎士も床に突き刺さった大剣を抜くため、柄を握りしめる。

 

「屍山血河っ―――!!」

 

叫ぶように、言霊を紡いだ。

 

少女が血を滾らせて叫ぶのと同時に、騎士は大剣を床から力任せに引き抜き放った。

その瞬間、無骨だったはずの刀身に無数の罅が入る。引き裂かれた隙間から、おぞましくも美しい、昏い輝きがドクドクと溢れ出した。

限界を迎えた外殻がガラスのように砕け散る。その内側から露わになったのは、透き通るような美しい翡翠色の刀身だった。

 

それは、暗闇に沈む玉座の間を静かに照らす、冷徹な月明りのようだった。

 

放たれるは伸縮自在の赤黒の刃。迎え撃つは迸る月光の刃。

 

両者の刃が正面から交わる。

 

だが―――月光の波濤が、少女の血刃を力任せに弾き飛ばした。

 

騎士が戦車のように突進する。翡翠色の刀身が緑光の軌跡を描く。

 

だが。騎士の背後には鎌首をもたげる血刃が迫る。

 

これでもかという超反応を見せる騎士。

 

床を蹴り、反転。

 

血刃がすれすれで騎士の頭上を通り過ぎた。

 

その瞬間、血刃の形が崩れた。血飛沫が騎士の顔にかかった。

 

騎士の動きが一瞬、鈍る。

 

第二の血刃が抜き放たれようとしていた。

 

第一が伸縮自在の≪大蛇≫。第二の刃の名は…

 

≪飛燕≫。血刃を飛ばすのだ。

 

赤黒い斬撃が宙を舞う。まるで燕のように。

 

騎士はそのままの体勢で無理矢理、月光の大剣を振り回した。

 

――――光が散る。

 

暗い玉座に、淡い光が散乱した。

 

少女の血刃が、隻腕の騎士を両断した。

 

月光の大剣が左手から零れ落ちる。騎士の身体は崩れるように倒れた。

 

一か八かだった。大蛇を囮に、本命の飛燕で決める。

 

刀を床に突き刺し、倒れないようにもたれかかる。

 

満足どころかお腹いっぱいだ。

 

「ご苦労様。ジャイアントキリングだね。おめでとう」

 

「後は、僕に任せてゆっくりお休み」

 

最後に見たのは、よりにもよって、この男のにやけ面なのは気に食わないが……。

 

 

 

 




月光ビルド大好きマンなので、まんまです。
ちなみにブラボの月光が一番好き。
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