こちらの作品は、pixivにも「ゆずみかん #川西太一」で投稿しているマルチポスト作品となります。
原作キャラ視点の、男子高校生のノリがただただ詰まったお話です。BL要素はありません。
まっつんがただ不憫な目に遭うギャグですが、楽しんでいただければ幸いです!
「ゴルァァァクソ及川!ちゃんと片付けしてから帰りやがれぇぇぇぇ」
「やめてよ岩ちゃん!これから彼女と坦々麺食べに行く約束してるの!」
部活終わり。
及川が岩泉に絞められている。
また始まった。
いつもの光景。
俺と並んで体育館のモップ掛けをしていた花巻が、
「及川!嘘つけ!お前先週『彼女に振られたから暇になった!!マッキー俺とカラオケ付き合って!!』って誘ってきただろーがw」
と大声でヤジを飛ばす。
あーあ及川、終わったな。
俺の予想通り、矢巾は引き攣った笑いを浮かべ、京谷はフンと鼻を鳴らし、金田一と国見は「うわぁ、マジか…」と哀れみと軽蔑の混ざった目を及川に向けている。
「ちょっとマッキー!大声で言わないでよ!及川さんの尊厳を壊さないで!」
と手元のボールを花巻に投げつけようとした腕を、
「及川ぁぁぁ!嘘つく主将の尊厳なんてあるわけねぇだろうがぁぁあと俺はカラオケ呼ばれてねぇぞぉぉ!!」
と怒鳴る岩泉に捕まれている。
そこ怒るポイントなんだ、と一瞬及川に同情しかける。
だが、岩泉の腕の中で「だって岩ちゃんは『お前が悪い』とか言ってきそうじゃん!」とモガモガ言い訳しながら暴れる及川と、それを特等席で面白そうに眺めている花巻を見てすぐに冷めた。
俺は心の中で思った。
(あーあ。振られた?ふざけんなよ。振られる相手がいるってことは恋人付き合いしてくれる女子がいるってことじゃねーか。俺にはそんな相手すらいねぇんだよ。)
「松川?何にらんでんだよ。こえーよw」
まだ笑いの治まらない花巻が俺の顔を覗き込んでくる。
そのバカにしたような顔を見ていると、俺は本音を漏らさずにはいられなかった。
「いや…羨ましい。俺は振られたことすらねぇよ。振られるってことは彼女できるってことじゃねぇか。」
―ストン、と体育館の時が止まった。
金田一の抱えていたボールが手元からこぼれ、床を虚しくゴロゴロと転がっていく音がやけに大きく響く。
あ、俺、今の心の声、全部出てたわ。しかも思ったよりデカい声で。
一瞬の静寂の後、
「まっつんのバカぁぁぁぁぁぁ」
及川が涙目でまた岩泉の中で暴れ出し、
「松川ぁぁぁ俺の仕事(及川の調教)増やすなぁぁぁ」
と岩泉にはスゴまれ、
「松川wよく言ったwいいぞもっと言ってやれw」
と花巻にはバシバシ背中を叩かれて賞賛された。
矢巾たちは…見なかったことにするように、黙々と片付けを再開していた。
いつもの部活終わりの体育館。
その窓から見える夜空が、なぜかいつもより暗く感じた。