ROMANCE MEMORIES   作:誤字る小説家鈴木

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こんにちは!鈴木です!最後の書き貯めです!あれ?書き貯めを全部放出しちゃったら、書き貯めの意味がないような…?
そんな私は田中でえすッ!!!


初めての戦闘!

 新米冒険者としてスタートダッシュを決めたライラックたち。その唐突な始まりは、冒険者の癖に依頼書を忘れるという珍事を生んだ。

 彼らは商業区で意気揚々と冒険の準備を済ませた後その事実に気付き、とても気まずそうに宿屋へ戻った。宿の扉を開けるとすぐにフヨウが彼らに気付き、盛大なため息と共に無言で依頼書を手渡す。それを皮切りに、早めの昼食を取っていた冒険者たちが大笑いした。

 

「おおー!?なんだなんだ?みんな楽しそう!」

 

 彼らが笑っている意味を理解していないライラックが釣られて笑う。

 

「ねえ、いいから早く行こうよぉ……」

 

 顔を真っ赤にしたフグリは苦笑いする事しかできない。

 

「うふふ。お昼からでも、この宿は賑わってるのね」

 

 そんな兄の様子を見て、面白そうにクスクス笑うネモ。

 

「みんなー!行ってきまーす!」

「……って………ます…」

「行ってきます」

 

 三者三葉な彼らは盛大に見送られて宿を出た。フヨウも今朝と同じように、その背中を見送る。今朝と違って半笑いではあったが。

 兎にも角にも、旅立つ者も見送る者も笑顔で始まったこの旅。きっと笑顔が溢れる素敵な物になる事だろう。さて、彼らの今回の旅の理由である冒険者依頼はこの様な物だ。

 

 依頼名:村の異変

 分類:魔物討伐

最近になってウルフが村の近くへ下りて来ています。まだ被害は出ていませんが、それも時間の問題でしょう。どうか早急に解決して頂けませんか?

 依頼主:ムラーノ村の村長

 報酬:50G

 

「ぼ〜けん♪ぼ〜けん♪ぼ〜けんだ〜♪」

「ぼ〜けん♪ぼ〜けん♪ぼ〜けんだ〜♪」

「何でネモまで一緒になって歌ってるの?」

 

 スカイラインの門兵へ挨拶した彼らは、馬車道に沿って平原を歩く。身に付ける装備が一度も使われていない安物であった事から、彼らが駆け出しも駆け出しだと一目で見抜いた門兵は、微笑ましく彼らを見送った。

 調子外れで元気なライラックの歌声に、賛美歌を思わせる美しいネモの旋律が重なる。急速に仲良くなった彼女たちに着いていけず、フグリは精神的にも物理的にも距離を置いている状態だ。

 

「ぼ〜けん♪ぼ〜けん♪いいわね、ライラック。気に入った」

「ぼ〜けん♪ぼ〜けん♪リラでいいよ!バンド組む?」

「何の話だよ……」

 

 少なくとも、冒険者が人の生活圏の外を出歩いている時にする話と緊張感じゃないだろう。そもそも何だその変な歌は。なんてツッコミができるのならば、フグリは既に彼女たちの輪の中にいる。しかしそれを成すには、彼のコミュニケーション能力では足りなかったのだ。故に、後ろから小声で呟く事しかできない。

 妙な歌と気の抜けたやり取りが、フグリの精神をゴリゴリ削る。早くこの地獄から解放されたい。そんな彼の願いは、案外簡単に叶えられた。

 

「んん?誰かいるな。あいつらもお仲間かなあ?おーい!」

 

 前方にいる2つの影を、ライラックの目が捉えた。逆光になっていてよく見えないが、彼女たちのほうへ元気よく走ってくる。そのシルエットは非常に小柄で、まるで人間の子供くらいだ。

 遅れて気が付いた2人も、その影を注視する。子供がこんな平原のど真ん中にいるとは思えないが、遠近感がおかしくなっていなければ、その影はライラックよりも更に小さい。だが、成人しても小柄な種族である小人族(ドワーフ)にしては大きいように思えた。そんな影たちへライラックが手を振って駆け寄ろうとした時、フグリがその正体に思い当たった。

 

「待って!そいつら、ゴブリンだ!」

 

 ゴブリン。太古の昔、蛮族たちが世界を支配していた時代に、その尖兵として人族を襲い食らっていたのがこの魔物だ。蛮王が討たれて緩やかにその力と知能は衰えて行ったと言われ、低級魔物の代表格として扱われる彼らだが、人に対しては凶暴であり、襲われ命を落とす新米冒険者は数多い。

 影のベールが解け、その醜悪な化け物の姿がはっきりと見える。ぶよぶよした緑色の皮に身を包み、言葉にならない鳴き声を上げて、粗末な錆びた剣と斧をそれぞれが振り回す。彼らが仕留めた冒険者が使っていた武器の成れの果てだろう。

 

「きゃっ!魔物!?」

「なんだって!?よーし、やってやる!」

「だから、待っててば。まだあいつらが来るまでに距離があるよ」

 

 思わず身を竦めるネモと、対照的に好戦的な笑みを浮かべて走り出そうとするライラック。自然体のまま片手で金属棍(メイス)をぶら下げるフグリは、2人を落ち着かせると呪文を唱えた。

 

「【勇猛な魂よ、今共に戦地を駆けん】【ライノウスキン】」

 

 メイスからマナの光が発され、不健康な暗い色の魔法陣がフグリとライラックの足元に現れる。すぐに魔法陣は収束して、光も収まる。その後にライラックが感じたのは、確かな高揚感だ。

 

「すっごい!かっこいい!!今のは魔法!?」

「ただのお呪いさ。いや、呪いかな?」

「お兄ちゃんはね、呪術師(シャーマン)の術が使えるのよ!」

 

 魔法職の1つであるシャーマンは、呪術を使い霊なる物から力を借りる。その1つである【ライノウスキン】は、硬い皮膚を持っていた動物霊を憑依させる事で防御力を高める呪術だ。

 初めて体験する戦闘魔法にライラックが感動していると、いよいよあと数mで手が届く距離までゴブリンがやって来る。

 

「斧は僕が、剣はライラックさんに任せるよ。ネモは支援を」

「りょーかいっ!」

「だからリラでいいって!さんもいらない!」

 

 走り寄って来るゴブリンからネモを守るように、フグリとライラックが彼らと対峙する。

 

「GUGIGAAAAAッ!!」

「おわっ!?危ないっ、なっ、っとぉっ!!」

 

 技術もへったくれもなく乱暴に剣を振るうゴブリン。ライラックは優れた動体視力でそれを躱すと、魔物の懐に潜り込んだ。彼女は両手に握った2振りのダガーを操り、ゴブリンの身体に浅くない傷をいくつも作る。

 

「GURUUUUU!!」

 

 もう一方のゴブリンが斧を高々と振りかぶり、一切の躊躇なく振り下ろした。フグリの身体にぶつかると、ガキンとおよそ人体から鳴ったとは思えない衝突音がする。ダメージが通らない事に苛ついたのか、魔物は奇声を上げ何度も武器を叩き付ける。

 

「【荒れるケダモノの剛腕】【ベアマッスル】」

 

 その間でも、顔色も変えずにフグリは詠唱を続ける。呪術の効果が現れると、彼はメイスを両手で握り直した。

 

「お返しだ!せりゃああああっ!!」

 

 上から下へ。太刀筋はお世辞にも美しいとは言えず、ゴブリンと大差ない乱暴な攻撃。それが敵へ衝突すると、トップスピードの馬車同士がぶつかったような轟音と共に、小さなクレーターを大地に作る。

 

「あーあ、これ高かったのに」

 

 街で買ったマントは斧の斬撃に晒され、随分とアヴァンギャルドなデザインに変わった。それをヒラヒラさせて、残念そうにフグリはぼやいた。

 

「かっこいいー!勇者アレキサンダーみたいだなぁ!!」

 

 そんなフグリに飛びついたライラックは、尊敬を込めたキラキラした眼差しで彼の顔を見つめる。

 

「たまたま上手く行っただけさ。そんな伝説の大英雄と重ねられても困っちゃうよ」

 

 照れくさそうに纒わりつく少女を引き剥がし、一息つく。彼が少女が受け持っていたほうのゴブリンを見やると、魔物は倒れ伏して痙攣していた。

 

「おや、トドメは刺していないように見えるけれど」

「麻痺毒だよ、命を奪う事もないだろ?」

 

 ライラックが自慢気に掲げる両手のナイフからは、透明な液体が滴っている。毒を塗りつけたナイフで何度も切りつけ、行動の自由を奪ったのだろう。

 

「それもそうだね。ネモ、回復を頼めるかい?」

「おっけー。任された」

 

 兄の声に答えて、ネモが両手を組んで目を閉じる。

 

「【安住の地を持たぬ者たちへ、一時の安らぎを】【レッサーキュア】」

 

 ライラックとフグリ、そしてゴブリンが生命力を可視化したような若草色の光に包まれる。この戦闘で全く傷を負っていない2人に視覚的な変化はないが、ゴブリンの傷はみるみるうちに塞がっていく。傷が治っただけで麻痺は残っているのか、ライラックが受け持った方のゴブリンは苦しそうな呻き声をあげる。フグリが相手をした方は穏やかな寝息を立てているところを見ると、こちらも命は奪っておらず気絶しているだけのようだ。

 

「ごめんなー?毒まで治ったら、お前ら襲ってきそうだからって危なぁっ!?」

「UGUGUUU……」

 

 ライラックが呻くゴブリンの顔を指でツンツンつついていたが、魔物は僅かに動く身体から力を振り絞って、勢いよく噛み付いた。驚いた彼女は間一髪で指を引っ込めたが、一歩間違えたら戦闘には勝利したというのにアホな理由で大惨事だ。

 

「ちょん切れちゃったら、私じゃ治せないよ?」

「ほら、馬鹿な事してないで行こうよ」

「あっはっは!じゃーなー。動けるようになったら、もう1人も起こしてあげろよーっ!」

 

 青い顔をする兄と、呆れる妹が歩き出す。彼らに遅れないように少女は走り出してから数歩して、振り返って倒れている魔物たちへ手を振った。返って来たのは憎々しげな唸り声だが、それすら笑い飛ばして兄妹を追いかけた。




すみません、鈴木でした。鈴木だったんです!鈴木なんですよお!信じてくださいっ!?

タイトル通りの戦闘回です。拙作における魔法とかの設定をいくつか出しつつ、こんな感じで戦闘描写ってしたらいいのかな?と、おっかなびっくり皆様の顔色を伺っている次第でございます。
そんな事よりも、詠唱ですよ!詠唱!先輩、こいつ詠唱とか唱えだしましたよ!?書いててなんかこう、胸の中がゾワーっとしました。正直、フグリ君の活躍を私の夏のボーナスが如くカットしてやろうかと、真剣に悩み始めているそんな私は鈴木でしょうか?

ええ、鈴木ですとも。なんと言っても【書き貯め】の鈴木です。はい、二つ名持ちです。二つ名も胸がゾワーってなりますよね。
あれ…、書き貯めがない!?ナンデ!?カキダメ=サンナンデェ!?書き貯めがない私なんて、鈴木ではありません。ならば一体、何だって言うんでしょう?

まさか、田中…!?
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