常に締切に追われる毎日投稿ですが、今日も鈴木は元気です!なんて言っても、片手片足が折れてるから、お仕事はお休みなんです!満身創痍だけど元気です!でも、元気じゃなくて鈴木です!!
「はぁ、冒険者でございますか」
シャクヤクの拘束から解放されたフグリは、彼女へ事情をおっかなびっくり説明した。依頼が関係ないところで、冒険者2人が半泣き状態だ。対する彼女は、ビビり散らかした相手への対応など慣れっこなのか、淡々と受け答えする。会話を続けて、ある程度は空気が緩んできたその時だ。
「あっ!オラ、お嬢ちゃんが心配だべ!という訳で、探して来るだなや〜っ!!」
「……チッ」
農夫の脚の速さたるや、脱兎の如く。農作業で鍛えた足腰をフル活用し、目にも映らぬ速さで駆けて行く。凄いと思うべきは農夫の速さか、あるいは走る彼にすらナイフを何本も掠らせたシャクヤクの時を止めたかのような早業か。
二人の冒険者は、ただの村人が繰り広げる異次元の戦いを、シャクヤクの堂に入ったガラの悪い舌打ちで鼓膜を揺らしながら、冷めた目で見つめるしかなかった。
「あのぅ、どうして私たちは攻撃されたんでしょうか?」
「五月蝿かったからですわ」
「いや、うるさかったって……」
「喧しかったとも言えます」
農夫への投擲を諦めたシャクヤクへ、ネモが質問する。返された答えは、余りにも端的で意味が分からない。
「そうじゃなくって、僕たちが言いたいのは、どうして五月蝿くすると攻撃されるのかって事です」
「お嬢様のお昼寝タイムだからですわ」
「「……は?」」
フグリが引き継いで、シャクヤクが凶行に及んだ理由を知ろうとする。彼女の返答はあまりにも突拍子がなくて、二人はポカンとして固まった。耳に入って来た言葉が理解できず、猫が宇宙を見たような表情で放心していると、屋敷の扉が開く重い音がする。
「うー☆ シャクヤク〜、どこぉ?」
ナイトキャップを加味しても、130cmと少し程の小さな体躯。あどけない顔立ちで目を擦りながら、開けられた扉の隙間を通る。薄い水色のふわふわした髪と一緒に顔を覗かせていた扉の影から全身が現れ、着込んでいるデフォルメされた蝙蝠がいっぱいのパジャマがよく見える。裸足でペタペタ音を鳴らして石畳を歩いている彼女は、紛うことなき
「えっと、君は——」
フグリが声をかけようとしたその時、幼女の姿は消え去り、バタン!と勢いよく扉が閉まる。彼の見間違いでなければ、幼女はシャクヤクの小脇に抱えられ屋敷の中へ連れられていた。
兄妹が目をパチクリさせている間にも、幼い子供に特有の甲高い声が聞こえる。慌ただしい物音も声に混じって少し経つと、再び扉が開いた。
「ようこそ、勇気ある冒険者たち。私はムラーノ村の領主、サンブリテニア・スカーレット。そして私の従者、シャクヤク・スカーレットだ。我々は貴様らを歓迎しよう、盛大にな!」
どこか退廃的な印象を受ける、緩くウェーブがかかった白に近い水色の髪。身を包むのは、家名を表すように鮮やかな紅いドレス。ハイヒールまで含めて一体感があり、見るものが見れば服装は全て一点物のオーダーメイドである事が分かる。鋭く尖った犬歯がチラリと見える不敵な笑み。両手を胸に当て、尊大ながらも気品溢れる佇まい。傍らに侍るは、言葉を発さずとも瀟洒な雰囲気が伝わるメイド。一言で表すならば、小さな貴婦人。彼女たちを一目見た兄妹は、領主の圧倒的カリスマを感じざるを得ないだろう。
「君、さっきの子だよね?」
「さっき?貴様は何を言っているんだ?」
「いやいや、無理。私もお兄ちゃんも、さっきの貴女を見たから、それは無理」
「何だ、白昼夢でも見たか?最近は暑いからな」
これが初対面であればだが。兄妹にとって目の前の主従のイメージは、異次元メイドと寝起き幼女で固定されてしまった。今更サンブリテニアがどれだけ取り繕おうと、払拭はかなり無理があるだろう。
「なあ、私たちは初対面だ。そうだろう?」
「えぇ?だってさっき、うー☆ って」
「言ってない。この私がそんな巫山戯た事を言うとでも」
「お兄ちゃん、大人気ないよ。ここは折れてあげましょう?」
尚も譲らない領主の様子に、フグリは少し楽しくなってきたようで、口調にからかいが混じる。そんな兄を窘めるネモだが、領主にはどうしても聞き捨てならない言葉があった。
「大人気ないだとお!?いいか!私はお前たちよりもずっと年上なんだぞ!」
「ああ、うん。分かったよ。ごめんね?」
「分かってない!その態度は分かってないいいい!!」
「んふっ」
「メイドさん、笑っちゃってるけど」
「こらー!シャクヤク〜っ!!」
「ダメだこりゃ」
ニヤニヤが止まらないフグリ、キーキー怒って元からないカリスマのメッキが剥がれ落ちるサンブリテニア。二人のやり取りに耐えられず、つい吹き出してしまったシャクヤク。噴火するサンブリテニア。折角村長の元にまで辿り着いたのに、一向に話が進まない彼らを見て、ネモは大きな溜息をついた。
「ふむ、お前たちは冒険者のようだな。そして確かにこの依頼は、私が出した物だ」
一悶着も二悶着もあってから、落ち着きを取り戻したサンブリテニアに連れられて、兄妹は応接室へ案内された。屋敷の中は、部屋も廊下も真っ赤な壁紙が貼られ、気品は感じるというのに大変目に悪い。真っ赤な応接室にあるこれまた真っ赤なソファにふんぞり返って、彼女は兄の持つ依頼書を確認した。
「近場の村とはいえ、歩きでは疲れただろう。シャクヤク」
「はい」
そして彼らに労いの言葉をかけると、メイドへ指示を出す。メイドは名を呼ばれただけで、主人の意図を理解した。
「丁度3時だ、お茶でも飲もう。まずは村の近況を聞いてくれ」
「あの……。僕にはティーセットとお菓子が、なんの前触れもなく現れたように見えたんですけど」
「シャクヤクは優秀だからな。主人と客を待たせるような事はしないさ」
「メイドの嗜みですわ」
「お兄ちゃん、その辺ツッコんでたら話が進まないから」
サンブリテニアはティーカップに口を付けた後、村の出来事を語り始める。
ムラーノ村は、街から近い事もあって、巡回する憲兵隊や道行く冒険者たちのお陰で平和その物と言えた。しかしひと月程前から、本来山奥で暮らしているウルフが、段々と麓でも見られるようになって来たのだ。ウルフは数は多くないが頭が良く、本来ならば人と生息圏を共にする事はない。なのに今では平原まで降りてきて、彼らの遠吠えが月夜の村にまでよく聞こえる現状だ。
「つまり、下山してきたウルフの撃退と、可能ならその調査をして欲しいって事ね?」
「ああ、その通りだ。原因究明の如何によっては、追加報酬も惜しまない。だが我々は自然と共に作物を育て、山の恵みを狩って生きて来た。ウルフも領地にいる家族のような物なのだ」
「うーん。僕たち、ひょっとして荷が重い依頼を引き受けちゃったのかな?」
「全てをこなせとは言わないよ。もう一人も交えて決めてくれ。どうなったとしても、それが自然の導きなのだから、報酬は出すけれど口は出さないさ」
事情を知るほどに空気が重く感じる。緊張を紛らわすために、茶菓子のサクサクした食感を楽しむ。そこにノックの音が響いた。
「あのぅ、お嬢様へお客様が来られています……」
遠慮がちに応接室のドアを開けて声をかけたのは、シャクヤクと同じ服装をした少女だ。
「勝手にドアを開けてはダメだと言ってるでしょう。お嬢様は今、お客様と話しているのよ」
「ふえっ?……そうでしたっ!ごめんなさい!でも、そちらの方のお仲間様だと思いますぅ!!」
「分かったわ。通しなさい」
サンブリテニアの指示で、二人のメイドがドアを開け放つ。その向こうにいるのは、見慣れた農夫。
「おおっ、無事にお嬢様に会えたんだなやあ」
「あーっ!二人とも、どこに行ってたんだよお!!」
そして彼の隣に立つライラックだった。
「こっちのセリフだーっ!!」
「今までどこ行ってたのよ!?あんたのせいで、私たち死にかけたんだからね!」
「ふええっ!?なになに!?なんだよっ!」
兄妹に飛びつかれ、肩を激しく揺さぶられたライラックは目を白黒させて驚く。
兎にも角にも、これで三人の冒険者が揃った。いよいよクエストが動き出す。
皆様、お疲れ様です。私は鈴木様です。
はい。またもや、パクリキャラです。申し訳ありません。あと何人か出ると思います。
鈴木はパクリキャラじゃありません、鈴木キャラなのでご安心ください。やっぱりパクリでした。思いっきり、幽白から取っていました。鈴木はパクリです。パクリの鈴木です。玄海師範に殴られて、ボコボコの鈴木になって来ます。
あひる。