1996年3月13日、午前2時40分。
フィリピン東方海域。
米海軍第7艦隊は、歴史上稀に見る緊急出撃を行っていた。
空母「ニミッツ」と「インディペンデンス」を中核とする第5空母戦闘群と、第7空母戦闘群が、最大戦速で北上中だった。
艦載機はすでにF/A-18ホーネット、F-14トムキャット、E-2C早期警戒機が緊急発艦準備を完了。
第7艦隊司令官ジェームズ・エリス中将は、艦橋で厳しい表情を浮かべていた。
「1991年の北海道で日本は耐えた。今度は我々が間に合う番だ。
中国軍の南西諸島占領を許せば、台湾は完全に孤立する。全艦、台湾および先島諸島方面へ急行せよ!」
米海軍は「Operation Pacific Shield(太平洋の盾)」を発動。
横須賀に展開していたミサイル巡洋艦や駆逐艦も次々と出港し、日本近海へ殺到した。
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**同時刻 先島諸島**
中国軍の多正面占領作戦は、驚異的な速さで進展していた。
**与那国島**
人民解放軍空挺第15軍所属の部隊が島のほぼ全域を制圧。与那国駐屯地の日本国防陸軍部隊は壊滅的打撃を受け、国防軍将兵約40名が山岳部に撤退してゲリラ戦に移行した。
**石垣島**
中国海軍陸戦隊約3,500名が石垣港と新石垣空港を完全占領。
島民約4万8千人の大半は避難中だったが、中国軍は「解放軍は住民の安全を保障する」とのプロパガンダ放送を流し始めた。
**宮古島**
最大の激戦地となっていた。
中国軍は揚陸艦6隻とホバークラフトを投入し、約8,000名の部隊を上陸させた。
日本国防陸軍部宮古島分屯基地の約600名は、76式対艦誘導弾と87式対戦車ミサイルで徹底抗戦。
しかし数と火力で圧倒され、午前5時までに基地は陥落。
残った国防軍将兵は撤退しゲリラ戦に移行
中国中央軍事委員会は公式声明を出した。
「これは台湾独立勢力への警告であり、日本領への侵攻ではない。南西諸島は歴史的に中国の領土である。」
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**東シナ海 午前7時15分 宮古海峡西方海域**
ここで、21世紀初頭最大規模の海戦が勃発した。
日本国防海軍部第1護衛隊群(イージス艦「こんごう」「あたご」を主力)と米海軍第7艦隊先遣部隊が、中国人民解放軍海軍東海艦隊主力と激突した。
中国側:空母「遼寧」、ルーヤン級駆逐艦8隻、ジャンカイ級フリゲート12隻、潜水艦多数
日本・米側:イージス艦4隻、護衛艦群、原子力空母2隻中心の戦闘群
最初に火蓋を切ったのは、日本国防海軍部のF-2戦闘攻撃機だった。
ASM-2対艦ミサイルを低空で発射し、中国駆逐艦2隻に命中させた。
即座に中国側が反撃。
DF-21D弾道ミサイル「空母キラー」が米空母「ニミッツ」に向け発射された。
米軍はSM-3で迎撃を試みたが、2発が突破。ニミッツの飛行甲板近くに至近弾を受け、炎上した。
「全艦、散開! 反撃開始!」
佐藤祐一艦長の「こんごう」は、SM-2ブロックIVを連続発射。
中国のSu-30戦闘機編隊を次々と撃墜した。
東シナ海上空はミサイルの白煙と爆炎で埋め尽くされた。
F-15Jと米軍F-14が中国のJ-10、Su-27と空中戦を展開。
一時間で双方合わせて40機以上が海に落ちた。
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**宮古島北部 山中**
高橋拓也三等陸尉の部隊は、台湾北部から緊急転進し、宮古島に到着したばかりだった。
輸送ヘリから降り立った瞬間、中国軍の砲撃が迫っていた。
「第3中隊、前進! 味方ゲリラ部隊と合流する
1991年の札幌と同じだ。後退は許されない!」
高橋は89式小銃を構え、部下を率いて前進した。
中国軍の99式戦車が島内の道路を進撃してくるのが見えた。
彼は89式対戦車誘導弾を構え、ロックオンした。
「放て!」
白煙を引いて飛んだミサイルが、99式戦車の側面に命中。誘爆の火柱が上がる。
周囲では輸送ヘリで急行した日本・米軍の共同部隊と味方のゲリラ部隊と中国陸戦隊の激しい市街戦・山岳戦が展開されていた。
民家が炎上し、観光地だった宮古島は一夜にして戦場と化した。
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**東京 首相官邸**
村山首相は、最新の被害報告を聞きながら頭を抱えた。
「尖閣完全占領、与那国・石垣・宮古に中国軍が……。
宮古島に関しては輸送ヘリによる将兵降下を行いましたが依然として厳しいでしょう。
死傷者数はすでに5千名を超えた模様です」
米軍連絡将校が厳しい顔で言った。
「我々の空母も損傷を受けています。しかし、ニミッツはまだ戦えます。
これ以上南西諸島を失えば、沖縄本島も危険です」
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**千歳の自宅**
佐々木美咲はテレビの臨時ニュースを見ながら、娘の遥を抱きしめていた。
画面には炎上する宮古島の映像と、「東シナ海で日米中海戦勃発」というテロップが流れていた。
「パパ……お願いだから、無事でいて」
遥が小さな声で言った。
「パパ、赤い人たちに負けないよね?」
美咲は涙を堪え、力強く頷いた。
「ええ。5年前に北海道を守った人たちだもの。絶対に負けない」
午後に入り、米軍のB-52戦略爆撃機がグアムから飛来し、中国艦隊に対して飽和攻撃を開始。
日本国防空軍部のF-2も追加投入された。
中国海軍も大損害を受けつつ、なお台湾と先島諸島の橋頭堡を維持しようと必死だった。