台湾危機 1996 ― 赤い海峡   作:陽HARU

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多正面の嵐 ― 中国の野心と血染めの島々

 

中国国内は、熱狂と不安が渦巻いていた。

 

**北京 人民大会堂**

 

江沢民国家主席は、中央軍事委員会拡大会議で力強い演説を行った。

 

「台湾独立勢力とその背後にいる日本・アメリカの陰謀を粉砕する歴史的機会である!

南西諸島は元来、中国の領土だ。我々は正義の戦いをしているのだ!」

 

会場は「統一万歳!」のスローガンで沸いた。

国営テレビ(CCTV)は24時間体制で「解放軍の輝かしい勝利」を報じ続け、大学生による愛国デモが北京・上海・広州で組織された。

しかし、裏では別の動きがあった。

 

上海の証券市場は急落し、外国企業の一部は従業員を国外退避させ始めていた。

党内保守強硬派(太子党系)は「今こそアメリカと決着をつけるべき」と主張し、改革派は「経済が崩壊する」と慎重論を唱えていた。

民間では、香港や深圳で「戦争が長引けば生活が破綻する」という不安の声が広がり始めていた。

 

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**中国軍占領下の南西諸島**

 

**尖閣諸島(釣魚台)**

中国は即日「釣魚台県」を設置し、人民解放軍海軍の施設を急造。

国旗掲揚式を国営テレビで生中継し、「100年ぶりの領土回復」と大々的に宣伝した。

 

**石垣島**

中国軍は島を「臨時軍政区」と宣言。空港を軍事基地化し、住民の一部を「保護」という名目で収容所へ移動させた。

抵抗した住民や国防軍残存部隊に対しては、厳しい取り締まりが行われていた。

 

**宮古島**

最大の戦略拠点として位置づけられ、中国軍はすでに工兵部隊を投入して滑走路の拡張を始めていた。

高橋拓也三等陸尉の部隊と米軍の降下部隊は、島北部山岳地帯で中国軍と激しいゲリラ戦を展開中だった。

 

高橋は無線で本部に報告した。

 

「宮古島北部、依然として激戦中。中国軍の99式戦車と歩兵が山道を制圧しつつある。

弾薬と食料が不足。支援を……要請する!」

 

部下の一人が血まみれで駆け寄ってきた。

 

「隊長! 中国軍がさらに増援を上陸させています!」

 

高橋は歯を食いしばった。

1991年の札幌市街戦を思い出しながら、彼は叫んだ。

 

「絶対に後退するな! ここを死守すれば、南西諸島全体の反攻の足がかりになる!」

 

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**台湾本島 激戦地**

 

台湾北部では、中国人民解放軍の第31軍団と第42軍団が台北近郊まで迫っていた。

台湾軍はF-16とIDF戦闘機を総動員して抵抗。

市街地ではM60戦車と台湾歩兵が中国軍と激しい近接戦闘を繰り広げていた。

 

台北市内の一部地域では、すでに手榴弾と銃剣による白兵戦が発生。

台湾総統李登輝は地下指揮所から国民に呼びかけた。

 

「一寸の土地も渡さない。台湾は自由を守るために戦う!」

 

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**米軍の本格的動き**

 

米海軍第7艦隊は、損傷を受けた「ニミッツ」を後方へ下げつつ、「インディペンデンス」を中心に東シナ海・フィリピン海で反撃を開始した。

 

3月14日午後、米軍は以下の作戦を同時展開:

 

- **空母打撃群**による中国艦隊への大規模空襲(F/A-18とF-14による対艦攻撃)

- **B-52**と**B-1B**戦略爆撃機による台湾海峡と先島諸島への精密爆撃

- **第3海兵師団**の緊急展開(沖縄から台湾および宮古島への増援)

 

米太平洋軍司令官は、日本政府に対し正式に通告した。

 

「我々は台湾関係法に基づき、台湾を防衛する。

同時に、南西諸島における日本の主権を完全に支持する。

中国の行動は明白な侵略であり、容認できない」

 

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**千歳市 高橋家**

 

佐々木美咲は、防衛省の緊急任務で夫の状況を把握しようと奔走していた。

娘の遥を抱きながら、テレビに映る宮古島の炎上映像を見て唇を噛んだ。

 

「高橋さん……あなたは5年前も生きて帰ってきた。今度も絶対に……」

 

遥が小さな声で言った。

 

「パパ、赤い国に負けないよね?」

 

美咲は涙を拭い、強く頷いた。

 

「ええ。パパは強いよ。北海道を守った人たちだもの」

 

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**宮古島北部 前線**

 

高橋の部隊は、中国軍の夜間攻撃を受けながらも陣地を維持していた。

無線に米軍の声が入る。

 

「This is US Marines. We are coming to Miyako. Hold the line!」

 

高橋は暗闇の中で微笑んだ。

 

「よし……援軍が来る。

あと少し、耐えろ!」

 

東シナ海では、依然として大規模海戦が続いていた。

ミサイルと航空機が夜空を埋め尽くし、21世紀最初の本格的海上決戦は、両軍に甚大な損害を与え続けていた。

 

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