転生したらキングメーカーだった件   作:ヴァシレフスキー

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01.異世界転生した件

(おい)

 

 誰かに呼ばれる声がした。

 靄がかかっていた俺の意識がぼんやりと浮上する。

 

(そこの女よ。いい加減に目覚めたらどうだ)

 

 ここはどこだ? 洞窟?

 

(いつまでも眠り続けおって。ここで発生するのは構わんが、

それならそれで先客である我に挨拶の一つでもするのが筋ではないのか)

 

 どうなっているんだ? 暗いのに、エネルギー?のようなもので

 周りを見る事はできる

 確か俺はいつも通り、仕事に出ていて......

 

(おい、聞いているのか?)

 

 あれ? 変だぞ……何で、身体を起こしたいのに動かないんだ? 

 顔を上げられないし、目も開けられない。それどころか、寝てるのか立ってるのか座ってるのか全くわからないくらい身体の感覚がないんだけど、どういうことだ? これは一体──

 

(……えっ?)

(おお、ようやく起きたか! いつまでも起きぬから心配したぞ)

 

 不思議な光景だった。

 四方を岩で囲まれた洞窟内に、とんでもないデカさを持って陣取った

 黒い竜。

 

(我は"暴風竜"ヴェルドラ。暇を持て余していたのだ、歓迎するぞ、

 女よ)

(ヴェ……)

 

 ヴェルドラ──!? 

 転スラ? 転スラの世界? 死んだのか? リムルみたいにここに来たの?

 いきなりの出来事にパニックになる。

 瞬間、あの時、あの瞬間が脳内に映し出される。

 

 いつもの通勤路、俺は車で通勤中にダンプに衝突され、そのまま

 死んでしまったのだ。

 あまりの展開に、理解が追いつかない。

 

(死んだのか……)

(ん? お前は生きてここにいるではないか?)

 

 成程、俺は死んだんだ。

 助からなかったからこそ、こうしてこの世界に転生…………

 

(おーい、聞いておるのか女よ?)

(は!? 転生した!?)

(急に何だ! というかお前、我の話を聞いておらんな!?)

(何に生まれ変わったんだ!?どんな能力が?)

(無視するでないわ!!)

 

 ビリビリと空間全体が震える。

 ……そういや、ヴェルドラがいたんだったな。こんな超危険生物、

 存在と言った方がいいのか、この存在を怒らせるのは不味い。

 

(まったく……話を聞く気になったか?)

(すみませんでした……)

 

 念話というやつだろう。

 最低限のスキルはすでに備わっているのか?リムルとは少し違う

 状況なのか...?

 

(転生、と言ったな。もしやお前は転生者か?)

(た……たぶん。人間だった記憶があるので……)

(それは珍しいことだな。...この世界で、我の魔素から発生したというわけか)

(すいません、なんか身体が安定しなくて……とりあえず座っても?)

(うむ、楽にして構わんぞ)

 

 どうやら俺には身体がない、精神体?宙に漂う感覚がある。

 初めての無重力のような感覚に困惑しつつ、なんとか身体?を地面に

 付ける。

 

《教。エクストラスキル『万能物質』が使用可能です》

 

 !? 

 突然聞こえた無機質な声。

 ...今のは『大賢者』? 俺にもあるの?

 ただ教だって?微妙に違う能力なのか?

 

(あの……えー、『万能物質』? っていうのは、何のことですかね?)

《教、エクストラスキル『万能物質』とはその名前の通り、万能物質を

創造する能力です。任意の物質を原料としいかなる物質にも変化させられる万能物質を創造できます。 スキルを使用し、万能物質を想像してみましょう》

 

 言われるがまま、スキルを使う。身体の中に何かが貯まるような感覚

  (これが万能物質?ピンとこないな)

 《万能物質を生成した後は、身体に蓄積が行われます。万能物質で四次

 元空間へのポケットも作成可能です》

 

 (マジかよ...ド◯えもんじゃん。体も作れるの?)

 

 《可能です、作成します.....》

 

 みるみるうちに体が作られる。自分の体ができていくのは不思議な感覚だ。

 

(うまくいったようだな。精神体のまま生まれ出てくるとは面白いヤツだが、肉体もなく魔素の薄い場所へ出れば力の流出が始まるぞ。気を付けるが良い)

(……あ、ありがとうございます)

(それにしても、ただの人間見た目は変わらんな。……人魔族に少し近い、のか?)

 

 なぜか女になっている自分の体に衝撃を受けつつ、ヴェルドラの前へ移動し、その巨体を見上げた。

 

(とりあえず、お待たせしました。)

(気にするな。我は話さえ出来れば良いのでな!)

(……)

 

 あんまりヴェルドラ怖くないよな……これが邪竜やらクソトカゲやら言われてるの、正直信じられないぞ...

 転生後の場所ガチャは、とりあえず成功したって認識でいいのかな?

 

 

 それから数日が経った、筈だ

 洞窟内に日光はない、故に昼夜の感覚が掴めないし、リムルと同じで、この身体には呼吸も食事も、睡眠も不要のようだ。たっぷりある時間を使ってヴェルドラと話をして、能力行使の練習、周囲の有り余る魔素を使い万能物質生成と備蓄、飽きたらヴェルドラとトークタイムというのんびりとした日々が続いていた。ヴェルドラともすっかり打ち解けた。

 

(ヴェルドラ、散策に行ってくるよ)

(一人で大丈夫か? あまり帰りが遅くならないようにするのだぞ?、危ない遊びはするなよ?)

 

 いや、オカンかよ! あんだけ威厳ある龍の話し方してたのに今じゃただの世話焼き龍だ。

 まあ確かにヴェルドラにしてみれば、目の前で発生した生まれたての奴が、やっと能力を使えるようになり、話し相手にもなるようになった。

 孫が出来た爺さま的な感じかな?だから甘々なんだな

 

 能力で作った式神を連れて歩く。辺りの物質を『万能物質』で収集する作業にも慣れてきた。掃除屋さんとそう変わらない存在という点については、考えないようにする。

 チラリと振り返ると、オカンヴェルドラが岩の間からこっちを見ていた。俺に気付くと顔を引っ込める。過保護かよ

 

 さて、ここ最近の生活でヴェルドラ周りはだいぶ探索してしまった。

 ...大分、暇になってきたな...万能物質以外の面白いスキルとかないのかな?

 と、そこで、俺のスキル? が久しぶりに新しいことを喋った。

 

《教。ユニークスキル『抽出』が使用可能です》

 

 ユニークスキル? 俺も持ってたのか! 

 

(その『抽出』って、どういうスキル?)

 

《教。『抽出』は物質から特性や場合によってはスキルを抽出できる能力です》

 

 このスキルはやはり大賢者ではないようだ。喋る時にも、教、って言ってるし、本当にただただ問われた事を答えているだけ……どうしてこうなった。リムルの『大賢者』はあんなにチートなのに……あれは主人公の特権なのか?

 

 とにかく状況を分析してみる。

 今、俺は岩に手を触れて能力を使ってみる。万能物質を使う際に、併せてユニークスキルを使用してみる。このエクストラスキル?指導者とでも

呼ぶか

 

 (指導者、何か抽出できたか?)

《教、ユニークスキル『抽出』を使用、『岩石』の情報から能力を抽出する事に成功しました。万能物質で能力を行使する事が可能です》

 

 (能力だって?例えば何ができるんだ?)

 

《教。岩石を使用した魔法や、岩石を体に纏わせ防御に用いる事が可能になりました。これ以外にもまだ特性を保存できています。》

 

 (とりあえず、攻撃手段が増えたのはいい事か、にしても岩石を使用した魔法か、石の槍とか撃てるのかな)

 

そう考えて、壁に手を向け万能物質を行使する。

 

 (ロックランス!、なんてな)

 

直後、高速で石の槍が射出され、岩壁に突き刺さる。 

 おおおお、なんか出来たぞ! 普通に嬉しい。探り探りだけど、少しずつ自分のことがわかってきたぞ。

 とりあえずヴェルドラに報告しようかな!

 

 

 

 

 

ステータス

名前:工藤 匠

種族:人魔族

称号:なし

魔法:地属性魔法

ユニークスキル:『抽出』『指導者シメスモノ』

エクストラスキル:『万能物質』『魔力感知』

コモンスキル:『念話』

耐性:物理攻撃耐性、痛覚無効、捕食無効

 

※万能物質……あらゆる物質を作り出す事ができる。情報と何かしらの原料さえあれば魂でさえも作れる。膨大な原料が必要だが、一からスキルを作ることも可能。取り込んだ情報があれば、コストはほぼ無くなる。

スキル作成という視点では、ユウキに近い

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