転生したらキングメーカーだった件   作:ヴァシレフスキー

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 ある女がいた、彼女は強く人を惹きつける力、カリスマ性が非常に高かった。それ故に為政者に恐れられ、いつしか殺されてしまった。
 彼女には二人の弟子がいた、二人は彼女の強さを受け継いだが、彼女の優れた考えを継ぐことは出来なかった。
 いつしか2人は衝突する事になる...
 二人は、どちらも彼女の遺志を間違って解釈したのだ。
 二人の魔物も、或いは...


09.二人の魔物

リムルがイフリートを『捕食』したことで、シズさんは呪いから解放された。

 だが、あれから一週間経ってもシズさんが目覚めない。

 

「リムル...」

 

 シズさんを寝かせたベッドの傍に、リムルが浮かない顔で座っている。あれから、昼も夜も付きっきりで、シズさんの介抱を続けていた。

 

「まだ起きないみたいだね... 大丈夫?リムル」

「ああ...」

 

「シズさんは、どんな気持ちで人生を送ってきたんだろうな」

「.....それは」

 

 リムルからの問いに、私は答える事ができなかった。全てを知っていて尚、シズさんの心情は察する事ができない。察する事が恐れ多くも感じる。

 

「......スライムさん」

 

 か細い声がリムルを呼んだ。

 シズさんは、リムルと私を見つめた。

 零れる柔らかい笑み、いつものシズさんだった。

 

「二人とも...ありがとう。私はまたこの手で.....大切な人を殺してしまうところだった...」

 

 シズさんは弱々しい声で、これまでのことを語ってくれた。

 魔王に召喚され、イフリートを憑依させられ、友達を殺めて、勇者と出会って一緒に旅をしたこと。その人もどこかへ行ってしまったこと。それから人々を助けたいと、強くなろうと決意して、英雄と呼ばれるようになり、何十年も頑張って冒険者を引退した後は、学校の先生として異世界人の子供達を指導したこと。

 時を長じるにつれて、イフリートの制御が難しくなり、シズさんは最後の旅に出た。自分をこの世界へ召喚した魔王を探すために。そしてシズさんは三人組と出会い、俺達と出会ったのだ。

 

「ねぇスライムさん、本当の名前は何ていうの?」

「俺はリムル...いや、そうだな...俺は悟。三上悟だよ」

「エリゾさん...君は?」

「工藤、匠だ」

「私は、静江...井沢静江」

 

 シズさん、静江さんは、リムルにお願いがあると言った。

 シズさんの、その身を存在ごと食べて欲しいと。

 

「この世界が嫌い、でも憎めない。まるであの男のよう、だからこの世界に取り込まれたく、ない...」

 

 リムルがシズさんの枕元に寄りそう。

 

「お願い...私を、君が見せてくれた故郷の景色の中で...眠らせてくれないかな...?」

「分かった、」

 

 シズさんは涙を流し微笑んだ。

 

 リムルは力強く宣言した。

 リムル=テンペストの名において、約束しよう。

 心残りである教え子達のことも、そして魔王レオン・クロムウェルのことも。

 ありがとう、と小さく呟き、シズさんは眠りに就いた。

 リムルはユニークスキル『捕食者』を発動させる。

 

 安らかに眠れ、シズさん

 ...シズさんの遺志は、必ず私が引き継ぐんだ。

 

 

 

 

 

「そうか、シズさん、逝っちまったのか」

「お別れくらい言いたかったな...」

 

 カバル、エレン、ギドには申し訳なかったな

 仲間のこいつらに断りもなく、シズさんをリムルに取り込ませてしまった。仲間なら、思うところもあるだろうに、三人はそれがシズさんの望みだったのならと言ってくれた。

 

「シズさん、ありがとうございました!」

 

『擬態』を用いて、シズさんによく似た顔立ちの子供姿となったリムルに、カバル達が一斉に頭を下げた。急な別れでシズさんに伝えることが出来なかった感謝と決意が、口々に告げられる。

 

「俺、あなたに心配されないようなリーダーになります!」

「あなたと冒険出来たこと、生涯の宝にしやす!」

「お姉ちゃんみたいって、思ってました!」

 

 エレンはリムルに抱きついて涙を流した。

 四人が一緒に旅をしたのは、ほんの短い間の出来事だったのだろうけれど。

 彼らがシズさんの最後の仲間で、本当に良かった。

 

「リムルの旦那には世話になっちまったな。ここのことは、悪いようには報告しないぜ」

「旦那も何か困ったことがあったら、頼ってくれていいでやんすよ」

「ああ、そうさせて貰うよ」

 

 リムルは町を発つ三人に餞別として、カイジン達の作った防具を贈った様だ。今までの装備はイフリートとの戦いでボロボロになってしまったようだしね。

 カイジンやドワーフ三兄弟と言えば、カバル達でも知っている有名な鍛冶職人だったらしく、想像以上に大喜びしていた。

 

 

 

 

 

 街を一望できる、景色の良い丘にシズさんの墓を建てた。

 生憎、形だけの墓石しかないが、今もリムルの中でシズさんは生きているんだ、これは、あくまで形でしかないのだ。

 

「俺は必ずレオン・クロムウェルとかいう野郎をぶん殴りに行く。」

「そうか、」

「エリゾは、どうするんだ?」

「俺"も"、シズさんの遺志を継ごうと思うよ、」

 

 リムルはそうか、とだけ言い、街を眺めていた。

 これからこの街を大きくする、みんなが幸せに暮らせる街を作るのだとリムルは考えていた。事実、リムルは今後仲間を傷つけらた時には、鬼のように怒り、敵を全て殲滅した。

 

私は、シズさんのような人を作らないためにはどうすれば良いのか、考え続けていた。争いが、彼女を産んだんだ。戦争がなければ、考え方が統一されていれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。

 戦争を無くすためには、どうするか、

 答えは分かっているよ、シズさん...

 

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