転生したらキングメーカーだった件   作:ヴァシレフスキー

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10.鬼達

 あの別れの日から、しばらくが経った。火炎が焼き尽くした土地にも、少しずつ緑が見え始めた頃に、出会いがやってきた。

 

《...教、未知の高い魔力を感知しました、個体、ゴブタの至近の様です》

 

 ついに来た!、ベニマル(予定)達との遭遇の時が来たのだ。

 全速力で森を駆け、戦闘の行われている場所へ辿り着く。

 

 木々の陰から戦況を窺う、同時に万能物質を戦闘濃度で散布する。

 リグル達が各々対峙している相手は私の知る内容と同じで、他のゴブリンや狼達はもう眠らされているようだ。

幸運な事に、誰も大きな怪我はしていないが、悠長なことは言ってられない。現時点でも大鬼族達の戦闘能力はゴブリンとは比較にならないのだ

 

『ゴブタ! 避けろ!』

 

 私からの『思念伝達』に瞬間的に反応し、ゴブタは目前を掠める太刀から逃れた。私はステルスを解除し、ゴブタの前へ出る。

 

「エリゾ様! た、助かりましたっす!」

 

 ゴブタの相手であるオーガ、ハクロウは刀を構えたまま俺を見据え、深追いしては来ない。ステルス状態では何者にも存在を感知できない、つまり私は何も無いところから急に姿を現した様に見えたはずだ。

 にも関わらず私の氷柱を使った一閃に対応できた、剣鬼様は流石に手強いな。アーツでは魔国トップだろう。

 

「エリゾ様! 何故ここに!?」

 

 シオンの相手をしているリグルが、私に気付いて叫ぶ。

 

 私はベニマル達に会ってみたいという、軽い気持ちもあるにはあったが、それだけの為に急行した訳ではない。

 大鬼族はBランクにも相当する森の上位種族で、そんな実力者達を相手に、皆は苦戦を強いられることになる。このままだとゴブタはハクロウに斬られる、ハクロウの剣は容易に命を刈り取るだろう

 

「我が主よ! このような醜態を晒し、申し訳ありません、」

 

 離れた場所で戦っていたランガが俺の傍にやってきた。

 リグルとシオンも互いに相手を牽制しながら距離を取る。

 リグルが状況を手短に説明してくれた。森の見廻り中にオーガと遭遇したとか、警備隊の皆は魔法で眠らされているだけとか。

 

「それで、何でオーガと戦うことになったんだ?」

「既にあちらは臨戦態勢だったもので、そのまま...」

「!、ランガ、上の奴を!」

 

 頭上から飛来する影、ソウエイが私とランガに割って入る様に斬り込んできた。私はバックステップで後退する。

 不意打ちを逃れた先に、待ち構えていた陰に、私は気づいていた。

 なるほど、誘い出されたか。

 

 クロベエの振るった大槌が俺を捉える。が、当たる前に槌は動きを止めた。万能物質を波動に変換し、それで体を纏う事で防壁とした。"波動防壁"で攻撃を防いだのだ。

 

「若。俄かには信じられぬ力を持つ者ですが、どうやら奴は人魔族のようですじゃ」

 

 ハクロウの指摘を受け、ベニマルが俺に目を向けた。

 二人の後ろには未だ健在のシュナが控えている。ランガはソウエイと、ゴブタはシオンと交戦中だ。

 

「貴様がゴブリン共の主か?」

「そうだとも、私は兄リムルと共にゴブリン村の守護者をしている。お前達の目的は?」

「ふざけたことを聞く。それは貴様らが一番よくわかっているだろう!」

 

 ベニマルの纏う空気に怒りが籠る。

 ...オークの軍勢に里を滅ぼされた仇討ちってことは知っている、がこの時点で私がそれを知っているというのはよろしく無い。

 

「ゴブリンや狼が、揃ってこのような進化をするとは考えられん。やはり貴様も、あの仮面の魔人の一味なのだろう! 違うか!」

 

 違うと言っても、聞く耳は持たんだろうに

 とりあえず『思念伝達』をランガに繋げる。

 

『ランガ、負傷者を連れて後退しろ』

『!、いえ、それは...』

『黙って指示に従え!』

『......承知』

 

 ランガはしぶしぶと言った感じで、後退を受け入れてくれた。

 味方が多いと、かえって戦いづらい。

 

「思案している暇があるのか?」

 

 ベニマルが不敵に笑う。

 隣にハクロウがいない事を、私は気づいていた

 一筋の閃光が光り、私の眼前で止まった。 すでにこの戦場全体に万能物質を散布している。この場にいる存在の動きは、手にとるように分かる。そこら中にカーテンが掛かっているようなものだ、何かが動けば布は翻り、隠密状態でも動きが丸分かりだ。

 それでも尚、一瞬で距離を詰めて一撃を入れて来た。流石に化け物だな

 

「エリゾ様!」

 

 リグルの声が聞こえる。

 

 「大丈夫だ、まだやるかい?オーガ達よ?」

 

 私は自らの分身を作り出す、それと、ハクロウの分身も出してみる。

 この一瞬で、彼らの情報抽出は終わっているのだ。

 

「何だと.....!」

「これでは埒が明きませぬな...」

「これで終わりかい?オーガも随分と呆気ないね」

 

 途端、激昂するベニマル。彼は持ち得る最高火力の技、オーガフレイムを出す構えを取る

 

 「舐めるなよ!邪悪な魔人め!喰らえ、『オーガフレイム』!!」

 

 爆熱を放つ炎柱が、私を包み込む。だが、この防壁は恒星の熱にもある程度耐えられる強固な作りになっている。

 炎が収まり、だんだんと視界が戻ってくる。

 

 魔人を倒せた

 

 ベニマルは、確かな手応えに安心感を覚えていたが、煙が一気に押し寄せた為に、一瞬目を瞑った。

 再度、目を開けた先に、信じ難い光景が広がっていた。

 

 「もう終わりかな。オーガの諸君。」

 ベニマルは驚きを隠せなかった。そして、更にそこに現れた魔人

 「...どう言う状況だ?」

 

 リムルが遅れて参上してきたのだ。ただでさえ私が優勢だったのに、バランスブレイカーリムルが現れた事で、状況はますますオーガ不利となる。リムルはまたオーガフレイムを放とうとするベニマルを見て、黒炎を使用する。

 

 「若、ここは儂が時間を...」

 「馬鹿を言うな!この場で刺し違えてでも...!」

 

 ...抵抗する二人の前にシュナが飛び出てきて、戦いを終結させた。

 リムルの黒炎のパフォーマンスがなかったら、まだ続いていたかもしれないと思いつつ、戦闘体制を解除した。

一先ず彼らを街に招き、事情を聞く事で落ち着いた。結局、リムルの活躍の場をほとんど奪ってしまったが、まあ最後の最後でいいとこ取りできたのだから、我慢してくれる事だろう。




ステータス
名前:エリゾ (工藤 匠)
種族:人魔族
称号:村の守護者(副)
魔法:地属性魔法 陽光魔法 波動魔法 太陽行使(格撃魔法) 水行使 炎行使 レーダー魔法(対地/対空)
加護:暴風の紋章
ユニークスキル:『万能物質』『抽出』『指導者シメスモノ』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『念話』『粘糸、鋼糸』『麻痺吐息』『超音波』『身体装甲』『熱源感知』『植物操作』『超嗅覚』『思念伝達』『威圧』
耐性:物理攻撃耐性、痛覚無効、捕食無効



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