転生したらキングメーカーだった件   作:ヴァシレフスキー

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03.小さな一歩

出会いは、いつも突然訪れるものだ。

 

(友達……か。仕方がない、我が友達になってやるわ。感謝せよッ!)

(ああ、よろしくな!)

 

 リムル! リムルだ! リムルがいる! 

 俺は二人の後ろに立ち、原作通りの二人のやり取りを見守っていた。

 万能物質を身体に纏わせ、周囲の景色通りに万能物質を変化させれば、透明人間の完成だ。熱放射で周囲の気温に合わせれば、熱源感知にも引っかからない。つくづく便利な能力だと実感する。

 

 それにしても、この場面を見れただけでも転生した甲斐があったと言う物だ。実際転スラは好きだったし、感動するなって言う方が無理な話だ。

 

(では、友よ、我も"どうしても"の頼みがある。聞いてはくれぬか)

(何だよ? 急に改まって)

 

 これから原作では名前をつける場面に突入するんだよな...

 感慨深く眺めていると、ヴェルドラが真面目な雰囲気でリムルに話し始める。

 なんだ? こんな場面、原作にあったかな.....?

 

(友よ、お前は同郷の者を探しに行くと言ったな。実はここには、お前と同じ異世界から転生した者がいる。外へ出ていくと言うのならば……そいつを連れて行ってやって欲しい)

 

 それは間違いなく、俺を指す言葉だった。

 俺は驚き、身体を包む万能物質を元の状態に戻した。

 

(ヴェルドラ……)

(おお、そこに居たのか。......聞いていただろう、こやつはお前と同じ転生者であるし、何より我と友達となった。安心してお前を預けられるのだ)

(それで、ヴェルドラは大丈夫なのか……)

 

 ヴェルドラは、事あるごとに世話を焼き、常に知り合ったばかりの俺のことを心配してくれていた。

 しかし、今は同じ転生者であるリムルと、共に征く事を望んでいる。本当は寂しがりのくせに、俺のために?

 無論、ヴェルドラはリムルに吸収され、今度暫く行動を共にする事など知る由もないのだ

 

(いつまでも我に付き合わせ、閉じ込めておくわけにもいかぬ! 我が、ここから動けぬ以上、お前を一人で外へ出すことに躊躇していたが……またと無い良い機会である!)

(……ヴェルドラ)

 

 ヴェルドラの親心が、ここまでのものだったなんて。過保護だとか世話焼だとか思って悪かったな。

ヴェルドラは本当に、俺のことを大事に思ってくれていたのに。

 

(あのーお取り込み中すいません、)

 

 話に置いて行かれたリムルが、ぷるぷると身体を揺らして、こちらの様子を伺っている。

 

(その子は、まさか人間……?)

(ウム、こやつは人間でな。まあ厳密には違うのだが。お前と同じく、この世に転生してきたそうだ。人間よりは魔物と言った方が正しいのであるが)

(あ、初めまして。俺は前世は人間、今も見てくれは人間だけど。魔物として生活してます。)

 

『万能物質』を解除すると、精神体の姿に戻った。スライム形態、ありのままの姿しかないリムルに合わせて、俺もそのままの姿で対応した方がいいと思ったのだ。

 

(幽霊?精霊?よく分からんが……人間の姿になれるんだな)

(ああ。頑張って人間の姿を模倣できる様になったんだよ)

(頑張り過ぎだろ)

 

 リムルはと言うと、転生者という俺に親近感を持ってくれたようで、一緒に行こうと言ってくれた、何という聖人だ。そしてヴェルドラに、ここで封印されたまま消滅を待つくらいなら、自分の胃袋に入り、時間は掛かるかもしれないが封印解除のために解析を続けてみないかと提案した。

 

 ここもまた、原作の通りだ。

 

 ヴェルドラは案の定ノリノリだった。

 

(面白い、是非やってくれ! お前に我の全てを委ねる! .......おっと、その前にお前達へ名をやろう。我ら共通の名を考えよ。我ら三体が同格ということを魂に刻むのだ)

 

 三体という単語に胸が高鳴る。あの二人と同じ格になれるのだ

 

 まずヴェルドラはリムルの名前を考え始め(俺は散々リムルと呼んでいるが、実際のところ、まだ名付けはされていない)

 俺も協力して案を出すような振りをすると、ついにリムルが「テンペスト」と呟いた。

ヨシ!と感激した俺が賛成し、ヴェルドラは一瞬でその名前を気に入ってくれた。

 

(素晴らしい響きだ、今日から我はヴェルドラ=テンペストだ! 

 ではお前には……"リムル"の名を授ける! リムル=テンペストを名乗るがよい! 

 そして、お前の名は──"エリゾ"!)

 

 エリゾ。その名前が俺に刻まれる

 (エリゾ=テンペストを名乗るのだ!)

 

 リムルとヴェルドラは友達。

 リムルとは、ヴェルドラとは、どんな関係になるのだろう?

 実際問題で、ヴェルドラは俺を子供みたいに思ってそうだし、俺もオカンみたいに感じてたんだよな。

 

 ...兎にも角にも、こうして俺は、エリゾ=テンペストになったのだ。

 

 

リムル視点

 

 

 俺のスキル『捕食者』を使用し、ヴェルドラを胃袋に収める。

『大賢者』があったとは言え、あれだけの竜がよく胃袋に入りきったもんだ。

 

 捕食は成功し、辺りには静けさが広がっている。

 残されたのは俺と、同じく転生者である、エリゾだけだ。

 エリゾとヴェルドラは今まで長く一緒に居たらしい。エリゾの顔からは何処と無くしんみりとした印象を受けた。

 

(まあ、元気出せって。ヴェルドラはすぐに出てくるって言ってただろ)

(...ああ。ヴェルドラのことを頼む)

 

 俺はエリゾと洞窟の外に出て、世界を見る事になるんだ。

 友であるヴェルドラからこいつを預かったわけだしな、俺がしっかり責任を持つとしよう。

 

 (そういえば、異世界から来たって話だけどどんな世界なんだ?)

 

 (俺の生まれた国は日本って名前でね、飯が美味い国だったんだよ)

 

 驚いた、どことなく親近感を抱く印象だったが同じ日本人だったとは

これから道中は楽しくなると、そんな予感がしてきた。

 

 (そうなのか! 実は俺も日本人なんだ!)

 

 (ええ! 日本人だったの!?)

 

エリゾ視点

 

 二人は洞窟を共に歩き、それぞれの生まれや思い出について話した。まるで昔から知っていたかの様な感覚に、リムルは違和感を覚えなかった

 

 (ヴェルドラから名前をもらったんだし、俺らは兄弟みたいなもんだな!)

 

 (リムルは兄貴って感じがするね)

 

 (じゃあ俺が兄貴で、エリゾが...妹って事でいいのか?)

 

 (出来れば弟がいいかな、)

 

 (よし!じゃあ弟だ!これからよろしくな、エリゾ!)

 

 

 やっぱりリムルは、人を惹きつける何かがある。この力で国を大きくしていったんだ。俺はどんな力を磨けばいいんだろうか。

 そんな事も考えながら、歩いていく。賑やかになった隣に微笑みながら

 

 

俺と言うイレギュラーが乱入したせいで、物語は少しずつ歪んでいく。

その歪みは、いつか解放され、取り返しの付かない事態を引き起こすのか。

今の俺には想像もつかなかった。




ステータス
名前:エリゾ (工藤 匠)
種族:人魔族
称号:なし
魔法:地属性魔法
加護:暴風の紋章
ユニークスキル:『万能物質』『抽出』『指導者シメスモノ』
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:『念話』『粘糸、鋼糸』『麻痺吐息』『超音波』『身体装甲』『熱源感知』
耐性:物理攻撃耐性、痛覚無効、捕食無効
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