転生したらキングメーカーだった件   作:ヴァシレフスキー

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07.都市建設

「戻ったな!リムル!」

 

「おかえりなさいませ!リムル様!!」

「リムル様〜!」

「おかえりなさいー!!」

 

 

 ドワーフ王国からリムル達が帰って来た。村の住人達は皆リムルを出迎え、大騒ぎとなっていた。

 

「エリゾ、元気にしてたか? 留守中に敵が攻めてきたりは?」

「平和なもんだったよ、リムル」

 

 そういえばと、他の村から村長達が訪ねてきていることを伝える。

 ウチもまだ復興の真っ最中だし……とリムルは考え込んでいたが、自分がヴェルドラを『捕食』したことが森の情勢変化の原因とすると、放置するのも寝覚めが悪いんだろう。結局勢力に迎えることを決めた様だ。

 そして後日、村には移住希望のゴブリン達が五百人ほど到着し、それだけでもウチの数倍となる人数を前にして、リムルが途方に暮れたように俺を見た。

 

「エリゾ、名前を付けるのを手伝ってくれるなんてこt」

「無理」

 

 お断りさせていただいた。ただ名付けには俺も同席させてもらおう。

 500人の顔と名前を覚えるなんて芸当、俺には無理だ。

 

 それと最初パフォーマンスとは言え、随分脅してしまった村長の連中にはフォローを入れておいた。

 彼らは幹部となり長い付き合いになるんだし、何か不足はないか常に気遣いを続け、俺もいざという時は村を守ると言う事を大々的にアピールしておいた。

 とりあえず印象付けはできたのでは無いかと思う。

 

 今の村では全員が暮らすには狭すぎるため、封印の洞窟近くの土地へ移住を行いそこに新たな都市を作り上げることを決めた。

 背後に洞窟という、防衛や秘密研究にはうってつけの場所がある事が移転地決定の大きな理由と言えるのでは無いだろうか。

 

 リムルがドワルゴンから連れてきたドワーフの職人達、カイジンと、ガルム、ドルド、ミルドの三兄弟。彼らのうち、建築に明るい三男ミルドが数名のホブゴブリンと共に測量部隊として現地へ向かっている。開拓準備が終わるまでの間は、ガルム、ドルドが村の者達へ衣類製作や細工の技術指導を進める。

 

 

リムル視点

 

 

 新たな町の建設予定地へ移動してきてから、一ヶ月が過ぎた。

 近代都市への第一歩である上下水道整備を主にして、工事が進行している。住居などの基礎も段々と形になってきている

 今日は工事の様子をエリゾと俺で視察している。

 

「森を開拓し都市を作るなんて簡単な事じゃ無いが、みんなよく働いてくれているな」

「ドワルゴンから連れてきた彼らも本当に優秀だな。連れてきて良かった」

 

 それに俺が名付けたゴブリン達も順調な進化を果たし、知能も体力も進化前とは比べ物にならないほどだ。四つの村から来た族長達はそれぞれゴブリン・ロードに任命し、ゴブリン・キングへ格上げしたリグルドの下に就かせたので命令系統も整って、皆が一丸となって町作りに励んでいた。

 

 「カイジン、進捗はどうだい?」

 「エリゾの姉さん、工事は順調ですぜ」

 

 ...カイジン達からはエリゾは姉御扱いされている。まあ見た目はただの人間の女性だから仕方ないと言えば仕方ないのだが

 「そうか!何か不足があればすぐに言ってくれ」

 

 エリゾは親しげに会話した後、また俺と歩き出す。

 

 そうして視察をしながら歩いていると、リグルドが駆け寄ってきた。

 近くの森で冒険者らしき人間達が巨大妖蟻に襲われていたようだ。テンペストの警備部隊が彼らを保護し、この町へ連れて来ているらしい。

そいつらは森で何かの調査を行っているということだったので、俺に報告に来たようだ。

 人間とのファーストコンタクトだ。

 

「御苦労。よし、そいつらに会ってみよう」

「私も行こう」

「大丈夫だろう、私は見た目は人間だしな」

 

 二人が街のトップという事を示す為に、エリゾも一緒に行くことにした。ここで魔物の町が建設中ということは、もう誤魔化せない。

 この出会いが、のちの外交へと繋がるかもしれない、そう考えて人間たちの元へと急ぎ向かった。

 

 

 リグルドに案内されたテントの中では、四人の人間が焼肉を食べていた。なんで焼肉なんだ?と思いつつ人間たちを一瞥する。

 そのうち三人は、何とヴェルドラのいた洞窟で入れ違いになった冒険者達だった。エリゾも覚えていることだと思う。あと一人は長い黒髪の女性だが、仮面を着けており表情が全くわからない。しかも仮面のまま上品に焼肉を食べている。

 

「お客人方、寛いでくれておりますかな? こちらが我らの主、リムル様と、エリゾ様である!」

「えっ?この可愛い子とそのスライムが!?」

 

 主で悪いか、と思うものの、その反応も無理はない。

 仮面の人以外の三人は困惑しているようだし、ここは緊張をほぐす意味でも...

 

「初めまして! 俺はスライムのリムル、悪いスライムじゃないよ!」

 

 ぶっ、という声がサラウンドで聞こえた。

 冷静に食事を続けていた仮面の人が噴き出したのだ。通じたのか? 

 

「失礼...ごめんなさい、笑ったりして」

 

 仮面の人が片手を持ち上げ、顔を覆っていた仮面を外す。

 俺はその顔を知っていた。ドワルゴンの夜の店で占って貰った、俺の"運命の人"。まさかこんなところで出会えるとは

 あとエリゾ、お前がウケてどうすんだよ。『思念伝達』でつついてやると、ごめん思った以上に面白かったと意味不明な返答が来た。白けるよりは、笑ってくれた方が気は楽だが。

 

「初めまして、私はエリゾ。一応人間だよ」

「一応人間なんだ...」

 

 三人組は俺やエリゾに驚いているようだが、仮面の人は違うだろうな。エリゾと同じく今のネタが通じたのであれば、恐らくは日本人だ。よく見ると正座してるし。

 そいつらは元々三人組のパーティーで、リーダーの"重戦士"カバル、"法術師"エレン、"盗賊"ギド、冒険者ランクはB。そこへ臨時で加わっているのが仮面の人、シズさんという話だった。

 

 この森へ来た目的を尋ねると、カバル達はあっさりと全てを話してくれた。

 "暴風竜"ヴェルドラが消えたことを発端とし、ブルムンド王国のギルドマスターから、封印の洞窟やジュラの大森林の調査を請け負ったらしい。ああ、それで洞窟にも来ていたのか。

 こっちとしては情報を得られて大助かりだが、コイツらを雇ったギルドマスターには同情するな。

 

 ヴェルドラの消失は、周辺諸国に大きな衝撃を与えた。天災クラスの龍が消えたらしいのだ。

そんなヴェルドラが俺の中にいるだなんて、バレないようにしよう。

 

「わかった。今日はここに泊まっていくと良い、ゆっくりしていってくれ」

「ありがとうございます!」

 

 気の良い連中だ。魔物である俺達にも平然と接するし、礼も言える。

 世の中が皆こんな人間ばかりじゃないんだろうが、それでもうまくやれば、人間達と共存していくのも決して夢物語ではないような気がした。

 

 




エリゾは見た目が女性ですので、一応喋り方も中性になるよう意識して会話しています。私、という一人称も以前より多用する様になっています。
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