バイオハザード:リサ・トレヴァー 〜怨霊と血濡れのトマホーク〜 作:ai試し
静まり返った警察署のホールに、重苦しい沈黙が流れていた。
足元には、先住民の子孫である男が冷たくなっている。彼は絶命の間際まで、リサという孤独な怪物に「誇り」と「祈り」を託した。
リサは感情の見えない瞳で彼を見つめていたが、ゆっくりとその遺体に手を伸ばした。彼女が回収したのは、男が最期まで握りしめていた大口径のマグナムだった。
リサはそれを無造作に持ち上げると、隣で肩を震わせていたクレアに突き出した。
「……っ! ありがとう」
クレアは丁寧に銃を受け取った。今の彼女にとって、この強力な武器は生存確率を上げる唯一の希望だったが、それ以上に、死者の遺志を継ぐという重みがその手に宿っていた。
ふと、クレアは何かを思い出したように、手帳の切れ端にペンを走らせた。
ここに来る目的であった兄の捜索、そしてこの街で出会ったはずの新人警官、レオン・S・ケネディへの伝言だ。もし自分がここで死ぬか、あるいは先に脱出することになったとき、彼が迷わないようにするための道標だった。
書き終えたメモを壁に貼り付けたクレアは、ふと不安に襲われ、リサの方を向いた。
「ねえ、リサ。お願いがあるの」
「……ウゥ?」
リサは不機嫌そうに喉を鳴らした。その瞳には、先ほどのタイラント戦で得た昂揚感と、先住民の子孫を失ったことへの静かな怒りが混在している。
「もし……もしあなただけでここを出て、途中でレオンという警官に出会ったら。彼を殺さないで。お願い、絶対に彼を傷つけないでちょうだい」
その瞬間、リサの表情が劇的に変わった。
彼女は眉をひそめ、口角を吊り上げると、「あ?(正気か?)」と言いたげな顔でクレアを凝視した。リサにとって、今この世界に存在する「法執行機関」や「政府関係者」、そしてそのルーツとなるアングロサクソン的な権力構造は、すべて復讐の対象である。
「……ヒスパニック!!」
彼女にとってレオンという男が誰であろうと、「ヒスパニック系」である以上、トマホークで真っ二つにするべき運命にある。
「お願い! 彼はいい人なのよ! 私の……私の大切な知り合いなの!」
「ウゥーーーーッ!!」
リサは激しく首を振り、わざとらしく耳を塞いで拒絶した。さらに、自分の骨の腕をガチガチと鳴らし、「今すぐにでも誰かを叩き潰したい」という衝動を隠そうともせずにアピールする。その態度は、まるで「お菓子をくれと言われたのに、野菜を食べろと命令された子供」のような強烈な拒絶反応だった。
「お願い! お願いだから!!」
「…………チッ」
クレアが半泣きになって懇願し続けると、リサはようやく、心底不満そうに、世界で一番不愉快な義務を押し付けられたという顔で、ゆっくりと一度だけ頷いた。
それは同意というよりも、「とりあえず今は黙らせるために合わせてやる」という妥協に近いものだった。
二人は、探索で手に入れたメダルを使い、警官から教わった秘密の脱出通路へと向かった。重い扉が開き、エレベーターで降りていく。
しばらく進んだ先、しっかりと作られた書斎のような、比較的安全と思われる小部屋に辿り着いた。
「……少し、休みましょう」
極限状態の中での休息。クレアはバッグから、備蓄していた保存食の缶詰を取り出した。
リサにそれを差し出す。14歳の少女の姿をした彼女が、もぐもぐと食事を摂る様子を想像し、クレアはかすかな微笑みを浮かべた。
(やっぱり、この子の中には普通の女の子の部分が残っているんだわ……)
そう思ったのも束の間だった。
リサは次の缶詰を受け取ったが、わざわざプルタブを開けるという手間さえも「面倒くさい」と感じたようだった。
ジュルッ!!
突然、リサの肩から、どす黒い粘液に覆われた触手が一本、電光石火の速さで突き出した。
触手は針のような鋭さで缶詰のアルミ蓋を貫通し、そのまま内部へと潜り込む。
ズズズズッ!!
真空掃除機のような凄まじい吸引音と共に、缶の中身が液体ごと一気に吸い上げられていく。数秒後、そこには中身が完全に空になった「圧縮され潰れた缶詰」だけが残されていた。
リサは満足げに触手を体内に戻すと、何事もなかったかのように口を拭った。
クレアは呆然と、空っぽの缶を見つめた。
(……なんだか、すごく損した気分だわ)
可憐な少女としての幻想は、一瞬で消し飛んだ。目の前にいるのは、ただ効率的に栄養を摂取する、底なしの胃袋を持った怪物だった。
休息を終え、二人は再び地下の暗闇へと足を踏み出した。
さらに深く降りた先は、警察署の心臓部とも言える設備エリアだった。巨大な配管が血管のように壁を這い、電力設備であろう不気味な低周波の唸りを上げている。湿ったコンクリートの匂いと、機械油の混じった重苦しい空気が充満していた。
特に異常はなく、二人は静かに通路を進んでいた。しかし、前方を歩いていたクレアが突然、足を止めた。
「……っ! 今、誰かいたわ!」
「ウゥ?」
リサが不審そうに首を傾げたが、クレアはすでに確信していた。
「子供の声よ! ここに子供がいるわ!!」
クレアは迷わず走り出した。この地獄のような街で、自分以外の生存者、しかも子供という最弱の存在が取り残されていることを知った彼女にとって、救出は最優先事項だった。
リサもそれに続いた。だが、リサの感覚はクレアとは全く異なる次元にあった。
彼女は走りながら、鼻腔を刺激する強烈な「死」と「変異」の臭いを感じ取っていた。そして、感じるのはは子供の気配だけではない。コンクリートを砕き、肉を蹂躙する重量感のある足音。
(……いる。)
リサの瞳に冷たい光が宿る。子供がいることは確かだ。だが、その子供を「獲物」として追い詰めようとしている、悍ましい気配が二つ。
クレアは狭い通路の先で、隠れるようにしていた小さな少女――シェリー・バーキンを発見した。
「大丈夫!? 今助けるわ!」
クレアは膝をつき、震えるシェリーを優しく抱きしめた。安堵に満ちたクレアの表情。しかし、その後ろから静かに近づいたリサが、無表情にその肩を掴み、強引に後ろへ押し戻した。
「ちょっと、リサ! 何す――」
クレアが言いかけた言葉は、絶望的な威圧感によって遮られた。
暗い通路の向こう側から、二つの影がゆっくりと姿を現した。
一方は、皮膚が裂け、眼球が不自然な位置に増殖した醜悪な怪物――G生物。
もう一方は、冷徹な殺意を体現したかのような巨躯を持つ、アンブレラの最高傑作――タイラント。
生物兵器たちが、今は互いに干渉せず、ただ目の前の獲物だけを見据えて歩み寄ってくる。その光景は、まさに悪夢の具現化だった。
「……っ!!」
クレアは本能的にシェリーを抱き寄せ、後退した。戦えるはずがない。相手は一人でも絶望的な怪物なのに、それが二体同時に現れたのだ。だが絶望を抱きながらマグナムを構える。
だが、リサはクレアを制止。
彼女はゆっくりと、だが確固たる意志を持って前に踏み出した。その足取りに迷いはない。むしろ、待ち望んでいたかのような愉悦さえ漂っていた。
リサは背後のクレアとシェリーに対し、短く、鋭い視線を送った。それは「下がっていろ」という明確な合図だった。
混乱するクレアを突き放すようにして、リサは二体の怪物のちょうど中間地点に立ち止まった。
左右から迫る、絶望的な破壊の権化たち。
そして中央に立つ、14歳の美少女の姿をした狂気の戦士。
生物兵器としての頂点を目指したG生物。
完璧な兵器として設計されたタイラント。
そして、怨霊とウイルスが融合し、憎悪のみで突き抜けたリサ・トレヴァー。
静寂に包まれた地下設備エリアで、最悪の怪物三体が揃った。
地下設備エリアの静寂は、三つの絶望が激突した瞬間に粉砕された。
「……アンッ!! アンブレラァーーーッ!!」
リサの声はもはや少女のものではなく、数千の怨念を凝縮させた地鳴りのようだった。彼女が咆哮と共に地面を蹴った瞬間、コンクリートの床に深い亀裂が走る。
対するG生物――ウィリアム・バーキンは、肥大化した右腕の巨大な爪を振り下ろした。「シェリー……!」という濁った呻き声と共に放たれた一撃は、リサが立っていた場所を文字通り粉砕し、深さ数十センチのクレーターを作った。
そこへ、無機質な殺意を持ってタイラントが介入する。
タイラントの巨大な拳が、横からリサの側頭部を狙って飛んできた。だがリサは、物理法則を無視したような瞬発力で身を翻し、空中で体を捻りながらタイラントの腕に足を掛けた。
シュバッ!!
骨のトマホークがタイラントの肩口を深く切り裂く。同時に、背後からバーキンの触手がリサの足首を捉えようと伸びる。
「ウゥ……!」
リサは空中で体を反転させると、トマホークでその触手を叩き切った。
三者の戦いは、もはや格闘ではなく、高密度の暴力が交差する嵐のような混沌だった。
タイラントの直線的な破壊力、バーキンの予測不能な変異攻撃、そしてリサの超人的な身のこなしと殺意。
リサはあえて決定打を打たず、戦場を縦横無尽に跳ね回った。彼女にとってこの状況は、最高の「試験場」だった。
(……こっちは量産品。あっちは不安定な変異体。どっちが先に壊れるかしら)
リサはわざとタイラントの懐に潜り込み、その胸板に拳を叩き込んだ。ドゴォッ! という鈍い音が響き、タイラントの巨体が後退する。その反動を利用して跳躍したリサは、今度はバーキンの頭上に降り立ち、その醜悪な眼球へ向かってトマホークを振り下ろそうとした。
だが、バーキンは瞬時に皮膚を硬質化させ触手を伸ばし、リサの攻撃を逸らす。衝撃で弾かれたリサが着地した瞬間、待っていたと言わんばかりのタイラントの剛腕が彼女の脇腹を捉えた。
ドガァッ!!
後ろに飛んで軽減したとはいえ衝撃波と共に、リサの小さな体は壁まで吹き飛ばされ、コンクリートの壁に叩きつけられた。
普通なら即死する一撃。だが、リサはゆっくりと立ち上がった。口端からわずかに血を流しながら、彼女は狂気的な笑みを浮かべていた。
「……アンブレラァァァ……」
怒りと愉悦が混ざり合った呟き。
リサの中でインディアンの戦士たちの記憶が加速する。相手の呼吸、筋肉の弛緩、攻撃の間隔。すべてをデータとして吸収し、最適解を導き出す。
タイラントが追撃の手を伸ばした瞬間、リサは地面に手をついたまま、低空飛行のような超高速スライディングでその股下を潜り抜けた。そのまま跳ね上がり、タイラントの背中に飛び乗ると、トマホークをその頸椎に深く突き刺した。
タイラントが声なき絶叫をあげ、暴れ回る。その混乱に乗じ、リサはタイラントを「盾」にするようにして、突撃してくるバーキンの巨大な爪を受け止めさせた。
ガギィィン!!
肉と骨がぶつかり合う凄まじい衝撃音が響く。タイラントの肩がバーキンの爪に深く突き刺さり、二体の怪物がもつれ合った。
その隙こそが、リサの狙っていたタイミングだった。
リサは空中で身をひねり、最大限に溜めた力を解放した。
標的は、先ほどの戦いで実力を確認し終えたタイラントだ。
「アンブレラァァ!!」
骨のトマホークが閃光となって振り下ろされ、タイラントの肩が断ち切られる。凄まじい衝撃と共にタイラントが地面に叩きつけられ、沈黙する。
リサは着地し、ゆっくりと視線をバーキンへと向けた。
相手は今、自分を攻撃していたタイラントの残骸を踏み越え、憎悪に満ちた眼球でリサを凝視している。
ここからが本番だ。
リサは喉を鳴らし、獲物を追い詰める猟犬のような足取りで、ゆっくりとバーキンへと歩み寄った。
タイラントという「量産品」を排除し、戦場に残されたのはリサとG生物――ウィリアム・バーキンのみとなった。
バーキンの姿は見るに耐えないほどに変貌していた。体に眼球が突き出し、皮膚はどろどろとした粘液で覆われている。彼はもはや人間としての形を捨て、ただ「娘」という遺伝子を追い求める肉の塊と化していた。
「……シェリー!! シェリーイ!!」
絶叫と共に、バーキンの背中から巨大な触手状の腕が鞭のようにしなり、リサへと襲いかかる。
リサはそれを紙一重で回避し、同時に骨のトマホークをバーキンの腿に深く突き立てた。
ガシュッ!!
「ウゥ……!」
リサは冷徹だった。彼女はわざと致命傷を避け、相手の再生能力を試すように攻撃を繰り返す。
斬っては再生し、砕いては盛り上がる。その絶望的なまでの再生力を見たリサの瞳に、深い軽蔑が宿った。
(……不気味な化け物。死ぬことさえ許されないなんて、最高の地獄、私と一緒じゃない)
リサは狂気に満ちた笑みを浮かべ、さらに速度を上げた。
彼女にとってバーキンとの戦いは、もはや格闘ではなく「解体作業」に近かった。骨のトマホークが空を切り、バーキンの肉片が飛び散る。バーキンがどれほど猛攻を仕掛けようとも、リサの超人的な生物兵器と怨霊の力の前ではすべてがスローモーションに見えていた。
ついにリサは、バーキンの心臓と思われる部位にトマホークを深く突き立て、そのまま地面へと押し付けた。
とどめの一撃。これでこの醜悪な変異体は終わる――そう確信した瞬間だった。
「リサ!! 後ろよ!! 逃げて!!」
背後からクレアの悲鳴に近い叫びが響き渡った。
同時に、鼓膜を震わせるような爆音と強烈な衝撃波が地下室を揺らす。
ドォォォン!!
マグナムの銃声だった。
リサが反射的に振り返ると、そこには信じられない光景が広がっていた。
先ほどリサが撃破し、事切れていたはずのタイラントが、再び立ち上がっていた。いや、「立ち上がった」のではない。「脱皮」したのだ。
肥大化した筋肉が皮膚を突き破り、爪はさらに長く鋭く、その眼光には先ほどにはなかった強烈な殺意が宿っている。
タイラントの暴走だった。
バーキンにとどめを刺そうとしたリサの意識が一瞬だけ逸れた。その隙こそが、生物兵器としての頂点に立つスーパータイラントにとって唯一にして最大の好機となった。
超速の爪が、リサの視界を真っ白に染めるほどの速度で振り下ろされる。
だが、そこへクレアの放ったマグナム弾がスーパータイラントの肩口に直撃した。
ズガァン!!
「……っ!」
衝撃で巨体がわずかによろめいた。そのコンマ数秒の隙が、リサを死の淵から救い出した。
リサは空中で体を捻り、間一髪で爪を回避して後方へ跳躍した。
着地と同時に、リサは目の前で呻いていたバーキンへと視線を戻す。
スーパータイラントの攻撃に意識を割いたため、バーキンの拘束が緩んでいた。リサは逃さず、足でバーキンの腹部を強く蹴り飛ばした。
ドシュウッ!!
凄まじい衝撃を受けたバーキンは、後方にあった下水施設へと転落していった。
暗い穴の底へ消えていく肉塊を見つめながら、リサは小さく舌打ちをした。獲物を逃したことへの苛立ちだ。
スーパータイラント。
先ほどの個体とはまた違う圧力。空気が震えるほどの威圧感。
リサはゆっくりと、自分の骨のトマホークを握り直した。
(……いいわ。最高よ)
彼女の瞳に、狂気に満ちた歓喜が宿る。
アンブレラが作り出した最高の傑作。それを完全に破壊し、その絶望に染まった顔を見る。それこそが今のリサにとって唯一の至上の喜びだった。
リサは低く構え、獲物を定める猟犬のような眼差しでスーパータイラントを凝視した。
ここからは、さらなる進化を遂げたの「怪物同士」の殺し合いが始まる。
スーパータイラントの巨体が、地響きと共に再び動き出した。先ほどの個体とは比較にならない威圧感。爪の一撃が空を切るだけで真空波が走り、リサの頬に薄い赤い線を描いた。
だが、リサの瞳に宿っていたのは恐怖ではなく、底なしの憎悪だった。
目の前に立つこの怪物は、自分を地獄へ突き落としたアンブレラの技術の結晶であり、彼女にとってはこの世で最も価値のない「ゴミ」に過ぎない。
(……どれだけ強くなろうと、お前はただの肉人形よ)
脳裏に響くインディアンの戦士たちの助言に従い、リサは低く身構えた。
スーパータイラントが咆哮し、右腕の巨大な爪を垂直に振り下ろす。コンクリートの床が爆ぜて砕け散るが、リサはその衝撃波さえ利用し、軽やかに後方へ跳躍した。
そこから、リサによる一方的な「処刑」への導線が始まった。
彼女は弾丸のような速さでタイラントの周囲を旋回し始めた。
シュバッ! シュバッ!
骨のトマホークが、タイラントの太い腕や脚に浅く、だが正確な切り傷を刻んでいく。決定打を打たず、あえて相手を苛立たせる。怒りに任せて振り回される爪は、精度を失い、ただ虚空を切るだけだった。
(力はある。けれど、魂がない。戦士としての誇りも、意志もない。ただの肉塊ね)
リサはわざとタイラントの懐へと飛び込み、その胸板に掌底を叩き込んだ。
ドゴォッ!
衝撃でリサ自身も大きく弾かれたが、彼女は空中で身を捻り、壁を蹴って再び加速する。スーパータイラントにとって、目の前の少女は捉えどころのない死神だった。全力で殴りかかっても、そこにはもう誰もいない。代わりに背後から、あるいは足元から、鋭いトマホークが肉を削ぎ落としていく。
「アン……ブレ……ラ!!」
リサの咆哮と共に、彼女はタイラントの肩に飛び乗った。
絶叫する怪物の首筋に、骨のトマホークを深く突き立てる。ガキィィン! という鈍い音と共に、スーパータイラントの太い首が半ばまで切り裂かれた。
巨体が激しくよろめき、喉から血と粘液が噴き出す。リサはそのままもつれ込む怪物の胸元に飛び降り、露出している心臓を凝視した。そこにはアンブレラの傲慢さが詰まっているように見える。
「アンブレラァァァァ!!」
骨のトマホークが閃光となって振り下ろされた。
ドシュッ!!
脈打つ醜悪な心臓を粉砕され、スーパータイラントの生命活動は風前の灯火だ。
だが、リサの憎しみはそれで止まらなかった。
膝をつき、絶望に染まった瞳で自分を見上げる「最高傑作」に対し、彼女は冷徹な微笑みを浮かべた。その首をがっしりと掴み、全身のバネを凝縮させた爆発的な力を込める。
「グチャアッ!!」
凄まじい音と共に、リサはスーパータイラントの頭部を引き抜いた。
頸椎から中枢神経に至るまでを一本の紐のようにまとめ、脊髄ごと根こそぎ引っこ抜いたのだ。
スーパータイラントの巨体が、糸を切られた人形のように崩れ落ちた。
リサの手には、血と粘液にまみれた首と長い脊椎が握られていた。
彼女はそれを引きちぎりゴミを捨てるように放り捨てると、ゆっくりと自分の腕を見た。
最高傑作を文字通り「解体」し、その尊厳を完全に破壊した快感。だがそれ以上に、アンブレラの象徴の一つを地獄へ送ったという事実が、彼女の乾いた心に深い充足感を与えていた。