バイオハザード:リサ・トレヴァー 〜怨霊と血濡れのトマホーク〜 作:ai試し
地図にない○○○○しないと出れない部屋
一行はレオンの案内で、警察署の奥深くにある所長室へと辿り着いた。
重厚なマホガニーのデスクと革張りの椅子が並ぶ部屋だが、今の彼らにとってそこは単なる「安全圏」に過ぎない。リサは引きずってきた所長を床に乱暴に放り出すと、その上にわざと足を踏みつけ、勝ち誇ったように鼻を鳴らした。
レオンは、目の前の光景に激しい混乱を隠せずにいた。
縛られ口を塞がれた所長。そして、血塗れのトマホークを持ち、獣のような眼差しをした美少女。さらにその少女を必死に宥め、まるで母親のように抱きしめていたクレア。
「……まず、何が起きているのか説明してほしい」
レオンが溜息混じりに切り出した。
「その前に……」
レオンが眉をひそめ、指で二人を指した。
「君たち、その格好だ。まずは汚れを落とした方がいい。このままだと精神的に参ってしまう」
クレアは口を開こうとしたが、ふと自分たちの姿を観察した。リサは言うまでもなく、タイラントの黒い血とゾンビの血で全身がドロドロだった。そして、リサを制止するために抱きついていたクレア自身も、服にどす黒い血がべっとりと付着し、見るに堪えない惨状になっていた。
クレアは自分の服を見てわずかに悩み、そして深く頷いた。
「そうね……リサ。ここで一度綺麗にしましょう」
リサは唸ったが、ベタつく血の感触が不快だったためか、承諾した。
クレアはシャワー室へ向かう前に、レオンに隣で不安げに佇む少女を紹介した。
「この子はシェリー。地下で保護したばかりなの。名前以外はまだ何も分かっていないわ」
レオンはシェリーを見て、複雑な表情を浮かべたが、今は目の前の異常な状況を整理することを優先した。
クレアは所長室の備品棚から、幸いにも予備として保管されていた清潔なタオルと、簡単な着替え用の衣類を見つけ出した。彼女はリサの手を引き、所長室備え付けのシャワー室へと向かった。
リサはクレアに強く腕を引かれ、白いタイル張りの洗面所へと連れ込まれた。
そこには、若干古びてはいるが機能的なシャワーブースが備わっていた。
蒸気と共に温かい湯気が立ち込め、血の匂いだけが充満していた空間で、二人はゆっくりと服を脱ぎ始めた。
薄暗く湿ったシャワー室。古びた白いタイルに、天井からは時折ポタポタと水滴が滴り落ちている。今この空間に満ちているのは、死の匂いと血の凝固した不快な臭気だった。
二人は互いに視線を交わすと、ゆっくりとその身を包んでいた衣服を脱ぎ捨てた。
まずリサだ。服の下から現れたのは、14歳の少女らしい、華奢で白皙の肢体であった。しかし、その肌はただ白いだけではない。タイラントのどろりとした黒い血が全身にこびりつき、まるで不気味なタトゥーのように彼女の白い肌を汚している。だが、その細い肩や太もものラインには、生物兵器としての強化された筋肉密度が潜んでおり、しなやかでありながら鋼のような弾力を持って見えた。
続いてクレアも、返り血で汚れきった赤いベストとシャツを脱ぎ捨てた。
大人の女性らしい、成熟した健康的でしなやかな曲線美。激しい戦闘を潜り抜けてきたためか、その肢体には適度な緊張感があり、濡れたタイルに反射して真珠のような光沢を放っていた。豊かな胸の膨らみと、引き締まった腰からヒップにかけてのラインは、この地獄のような街にあって唯一の「生」の象徴のように輝いていた。
「さあ、リサ。じっとしていてね」
クレアはシャワーヘッドを手に取り、まずはリサの頭から温水を浴びせた。
ジョーッという激しい音と共に、熱い湯気が空間を白く染め上げる。お湯がリサの金色の髪を濡らし、黒い血が混じった泥のような液体が、彼女の白い背中を伝って足元へと流れ落ちていく。
クレアは石鹸をたっぷりと泡立てると、リサの小さな肩から腕、そして太ももにかけて丁寧に塗り込んでいった。
その時である。指先でリサの肌に触れたクレアは、言いようのない違和感を覚えた。
(……なに、これ)
見た目は柔らかい少女の肌だ。しかし、その下にある筋肉の質感が異常だった。
指先で軽く押しただけで、まるで高密度のゴムか、あるいは薄い皮膚の下に金属プレートが埋め込まれているかのような、強烈な弾力と硬度が伝わってくる。
クレアは疑問を深めるように、リサの二の腕やふくらはぎを、探るようにゆっくりとマッサージするように洗っていった。
普通の14歳の少女であれば、ここまでの筋密度を持つはずがない。タイラントを蹴り飛ばし、スーパータイラントを解体したあの絶大なパワーの源泉は、この華奢な身体に凝縮されているのだと理解した瞬間だった。
「……ウゥ」
リサは不機嫌そうに唸っていたが、クレアの指先がもたらす心地よい刺激に、次第に脱力し、子猫のように身を委ね始めた。狂気に支配された怪物としての顔ではなく、ただの「洗ってもらっている子供」の表情に変わっていく。
温かい湯気に包まれたシャワー室の中、心地よい静寂が流れていた。
クレアの手によって全身の汚れを落としきったリサは、ふと動きを止めた。
自分を洗ってくれたクレアの姿を見る。彼女もまた、返り血にまみれた状態で自分を助け、今はこの狭い空間で献身的に自分の世話を焼いてくれている。狂気の中で忘れかけていた「他者の温もり」が、皮膚を通じてじわりと心に染み込んできた。
リサは小さく唸ると、もぞもぞとクレアの方へ近づいた。
そして、あろうことか、クレアの手から石鹸をひょいと奪い取ったのだ。
「え……?」
戸惑うクレアだったが、リサは彼女の背後に回り込むと、小さな手を伸ばしてクレアの広い背中に石鹸を塗り始めた。
その手つきは不器用で、時折力が入りすぎていたが、そこには紛れもない「恩返し」の意思が込められていた。
リサの指先が、クレアの肩甲骨から腰にかけてゆっくりと滑る。
生物兵器としての強大な力を持つはずのリサだが、今はその力を極限まで抑え、壊れ物を扱うように丁寧に、慈しむように洗っていた。温かいお湯が二人の肌を濡らし、石鹸の白い泡がクレアの肌の上で弾ける。
(……この子は)
背中に触れる小さな手の感触に、クレアは胸が締め付けられるような思いだった。
アンブレラという巨大な悪意によって人生をめちゃくちゃにされ、怪物へと変えられた少女。それでも、心の奥底にはまだ、誰かに感謝し、誰かを想う人間としての心根が残っている。
リサが最後に、ポンと軽くクレアの肩を叩いて「終わった」という合図を送ったとき、クレアの堪えていた感情が決壊した。
「リサ……!!」
クレアは振り返ると同時に、濡れた身体のままリサを強く、激しく抱きしめた。
濡れた肌と肌がぴたりと密着し、お互いの心臓の鼓動が直接伝わってくる。リサは突然の出来事に驚き、「ウゥッ!?」と声を上げて身をよじらせたが、クレアは離さなかった。
「ありがとう……本当に、ありがとうね」
クレアの目から大粒の涙がこぼれ落ち、リサの肩を濡らした。
それは単なる感謝ではない。絶望的な地獄の中で、それでも失われなかった少女の純真さに触れたことへの感銘であり、彼女を必ず救い出したいという 決意の現れだった。
抱きしめられたリサは、最初は困惑して腕をバタつかせていたが、次第にその温もりに抗えなくなった。彼女はゆっくりと、本当にゆっくりと、自分の小さな腕をクレアの背中に回した。
言葉にはならない。だが、そのぎこちない抱擁こそが、二人の間に結ばれた血よりも濃い信頼の証だった。
湯気の中で、二人はしばらくの間、ただ静かに抱き合い合った。
そこには怪物も生存者もなく、ただ傷ついた二人の魂が寄り添い合っていた。
湯気の中で静かに肌と肌を重ね合わせた二人は、名残惜しそうに体を離すと、ゆっくりと水気を拭い始めた。
大きな白いタオルでリサの濡れた身体を包み込み、クレアは丁寧に水分を吸い取っていく。白磁のような肌から水滴が消え、ふんわりとした温もりが戻ってきた頃、二人は用意していた清潔な着替えに着手した。
まずリサだ。
彼女は床に広げられた真っ白なコットンの下着を手に取った。小さな指先で慎重に足を通し、ゆっくりと引き上げる。14歳の少女らしい華奢な腰のラインにぴたりとフィットする白い布地が、彼女の透明感のある肌をいっそう際立たせた。その上に、ゆったりとした白いTシャツを被る。頭からすっぽりと衣服に入り込み、裾を整える仕草は、先ほどまで怪物を解体していた姿とは到底思えないほどに可憐だった。最後に短いショートパンツを履き、ベルトをキュッと締めると、そこには完璧な「迷い込んだ美少女」が完成していた。
続いてクレアだ。
彼女はまず、吸水性の高いインナーを身に着けた。しっとりと肌に馴染む布地が、大人の女性らしい豊かな胸の曲線と引き締まったウエストラインを包み込む。その上に、汚れのない清潔なシャツを羽織り、ボタンを一つずつ丁寧に留めていった。
最後に、彼女のトレードマークである赤いベストを身に纏う。鏡の前で襟元を整え、濡れてしっとりと落ち着いた髪をかき上げた。服装こそ先ほどと変わらないが、血の匂いが消え、シャンプーの清潔な香りに包まれたことで、彼女の瞳には再び強い意志が宿っていた。
「よし……準備万端ね」
クレアは満足げに頷くと、リサの手を優しく握った。
リサは新しい服の感触が心地よいのか、裾をいじりながら小さく「ウゥ」と喉を鳴らした。その表情には、先ほどまでの狂気ではなく、どこか安心しきった子供のような穏やかさが漂っていた。
二人は洗面所のドアを開け、所長室に戻る。
そこには相変わらず床に転がったままの所長と、彼を警戒しながらも考え込んでいる表情で待っていたレオン、そして不安げに二人を見つめるシェリーがいた。
「……戻ったか」
レオンが声をかける。その視線は、先ほどまでの血塗れの姿から一変し、汚れひとつない美少女へと変わったリサに向けられた。あまりのギャップに、レオンは一瞬だけ言葉を失い、呆気に取られたようにまばたきをした。
リサはそんなレオンの視線に気づくと、わざとらしく不機嫌そうに鼻を鳴らし、再び所長の腹部に向けてゆっくりと足を上げた。
「あーっ! リサ、もうやめて!!」
クレアの悲鳴に近い制止が響き渡る中、一行はついにこの街の闇に隠された真相を暴くための、本格的な対話へと移ることになった。