バイオハザード:リサ・トレヴァー 〜怨霊と血濡れのトマホーク〜 作:ai試し
幕間
ラクーンシティという街が地図から消滅した。
空から降り注いだのは正義の名を借りた「浄化」という名の絶滅。核ミサイルによる熱線は、B.O.W.(生物兵器)も罪なき市民もそしてアンブレラ社が築き上げた傲慢な帝国の一部をも等しく焼き尽くした。
しかし、地表が灼熱の地獄と化したその真下——地下深くには、核の炎さえ届かない聖域があった。
そこはアンブレラ社の全機密情報を集約したデータセンターであり、同時に「ある組織」にとっての至宝であった。
合衆国の闇に根を張るその組織は、混乱に乗じて施設を制圧していた。彼らの目的はシンプルだ。アンブレラの研究成果を奪い取り、証拠を消し、すべての罪をオズウェル・E・スペンサーという一人の狂った男に押し付けること。
「作戦は上々」
指揮官は満足げにモニターを見つめていた。地上では核爆発が起こり、ラクーンシティは壊滅した。もはや合衆国において彼らを追う者は誰もいない。アンブレラは半身不随になるだろう、世界はこれを「制御不能になったウイルスの暴走による悲劇」として記憶し、責任の所在は死にゆく帝国へと向けられるだろう。
だが、1匹の怪物が最悪の誤算を招いた。
爆発から半日後。
施設内に不協和音が鳴り響いた。警報と物理的な「破壊音」である。
ズガガガッ!!
分厚いチ隔壁が、内側からではなく外側から、まるで紙のように引きちぎられた。
悲鳴を上げる間もなく警備兵たちが捕食される。彼らの視界に飛び込んできたのは、放射能に汚染されたどす黒く変色した、巨大な肉の触手だった。
「な……なんだこれは! 施設外は滅菌されたはずだぞ!、地下深くで生き残っていたのか!」
指揮官が叫ぶ。しかし、答えは返ってこなかった。
触手は獲物を探るようにうねり、そこにいた人間たちを次々と捕らえ、引きずり込んでいく。それは単なる捕食ではない。飢えと、そして底なしの「憎悪」に突き動かされた暴力だった。
核爆発という神の炎と衝撃に晒されながらも、死ねなかった怪物がいた。
インディアンの怨霊を宿し、人ならざる力を得た少女——リサ・トレヴァー。
彼女は地上の炎の中で放射能という名の新たな力をその身に刻み込み、本能的に「肉」と「敵」の気配がする地下施設へと辿り着いたのだ。
数十分後、生き残った少数の工作員たちが血相を変えて地上へ脱出した。
彼らが振り返るとそこには地獄の入り口が広がっていた。施設の通路は放射能を帯びた触手に占拠され、どす黒い粘液が壁を覆っている。強固な隔壁を閉じ入り口を閉鎖することはできた、だがもはや誰もあの中にあるデータとサンプルにアクセスすることはできない。
「どういうことだ! 説明しろ!」
上層部からの怒声が無線から飛ぶ。現場の指揮官は、震える声で答えるしかなかった。
「……不可能です。地下施設への道は完全に塞がれました。何かが……正体不明の『何か』が、あそこを巣にしたようです」
リサ・トレヴァー。
彼女にとって、これはただの復讐に過ぎなかった。
もはや彼女に止まる術はない。身体に宿った放射能の熱と、怨霊たちの復讐心、そして失った「ママ」への消えない思慕。
彼女はゆっくりと、しかし確実に、次なる標的を探る。
アンブレラ、アングロサクソン、ヒスパニック。
この世界の「征服者」たちに地獄の底から這い上がった少女の絶望を教えるために。
暗く静まり返ったどこかの城。豪奢な調度品に囲まれた部屋で、オズウェル・E・スペンサーは一杯の紅茶を口に運んでいた。
彼の前にあるモニターには極秘裏に送信されてきた「報告書」が映し出されている。
そこには自らの帝国の一部であった地下施設が正体不明の怪物によって蹂躙され制圧された様子が記されていた。
「……ふふっ。はははは!」
静寂を破る、乾いた笑い声。
スペンサーは愉悦に浸っていた。
彼にとっても合衆国のとある者たちが自らの研究成果をかすめ取ろうとしたことは業腹ならない。それに自分が築き上げた至高の財宝を盗もうとする卑小な「植民地人」たちの浅ましい欲望など許せるものではない。
報告書によれば彼らは絶望的な状況にあってもなお、諦めきれずに施設への電力供給を維持し続けていたという。地下に眠るデータやサンプル——スペンサーが遺した「あれ」への執着が捨てきれないのであろう。
「よほど欲しいらしいな。私の残した『あれ』が」
スペンサーは皮肉げに口角を上げた。
とある組織は何度も再突入を試みたようだがそのたびに凄惨な結果に終わっているようだった。放射能を帯びた触手が彼らを捕らえ生きたまま引き裂き肉塊へと変えていく。
自らの策謀で街一つを消し飛ばしたはずの者たちが今や自分が作り出した化け物に蹂躙されている。この皮肉な構図こそがスペンサーにとって最高の娯楽だった。
「実に愉快だ」
彼はふとかつての部下でありGウィルスを完成させた男——ウィリアム・バーキン博士のことを思い出した。
バーキンは狂気に取り憑かれ自らにGウィルスを投与し暴走したらしいが結果として彼が作り出した「G」という生命は、想定を超えた適応能力を持っていたのだろう。
今の地下施設で起きている惨劇。放射能まみれでも生存し環境に適応して最強の捕食者へと化した化け物の存在。それはバーキンの研究成果が予期せぬ方向へ進化を遂げた結果に他ならない。
「バーキン博士。君の執念と狂気には改めて感謝せねばなるまい」
スペンサーはもはや自意識などないであろう男へ向けて、ささやかなそして極めて残酷な感謝を捧げた
ラクーンシティの惨劇からしばらく時が経った。世界は依然としてアンブレラ社が仕掛けた巨大な嘘で揺れていた。真実を追う者たちだけは断片的な情報を繋ぎ合わせていた。
その1人レオン・S・ケネディはある筋から入手した不穏な報告書を手にしてシェリーの元を訪れた。
それは合衆国の南にある小さなアンブレラ社隠し研究所が正体不明のものから襲撃を受けたという記録だった。
警備員たちは壊滅し施設は放棄されていたという。特筆すべきはその現場を目撃した近隣住民たちの証言だ。
『血に汚れた、物騒な斧を構えた少女が歩いていた』
その記述を見た瞬間、レオンの脳裏にはあの狂気と悲哀を纏った美少女の姿が浮かんだ。
リサ・トレヴァー。
自分を殺さんばかりの眼差しで睨みつけながらもシェリーを守ろうとしていたあのアンブレラの悍ましき実験の被害者。
「……生きていたか」
レオンは小さく呟いた。正直なところ彼にとって彼女は「恐ろしい存在」であることに変わりはないが同時にあのような地獄を生き抜いた少女に同情せずにはいられなかった。
彼はシェリーにその情報を伝えた。同時にもう一人の大切な知らせも添えて。
クレア・レッドフィールドがようやく兄クリスの足取りを掴みヨーロッパへと向かったということだ。
報告を聞いたシェリーの顔にパッと明るい光が差した。
「リサ……! リサ、生きてたんだね!」
シェリーは弾けるような笑顔で声を上げた。
ラクーンシティを脱出する際リサが自分を守ってくれたこと、そして彼女がどれほどの苦しみを背負っていたか。シェリーはそれを誰よりも理解していた。
生きているという確信はあったが具体的な証言を聞いたことで胸のつかえが降りたようだった。
「よかった……本当によかった」
シェリーは小さく手を合わせ祈るように呟いた。
リサにとっての世界は今も憎しみに満ちた地獄かもしれない。けれど、いつかまた会えたときにはあの時のような不器用な抱擁を交わせるだろうか。
「今度は私が、リサのお姉ちゃんになってあげたいな」
幼い少女の純粋な願いは、空に溶けていった。
足元では静かに忠犬が寄り添っていた。
クレア・レッドフィールド
兄探しを継続するため一行と別れる、シェリーと再会を誓い合い笑顔で抱擁を交わした
後にリサと自分だけ会ったことで拗ねられるとはこの時思いもしなかった
レオン・S・ケネディ
アンブレラの闇を暴くため合衆国のエージェントとなる
この決断にはある少女の過酷な実験記録が関わっているとかいないとか
シェリー・バーキン
母であるアネット・バーキンとともに合衆国軍に保護された
いつかリサの力になれるように勉学に力を入れている
アネット・バーキン
夫とともに進めていた計画通り合衆国軍にGウィルスを提供し保護を願い出る
Gウィルスは危険すぎ兵器として使い物にならないことを強く警告する
実質シェリーを人質に取られながら自らの贖罪を果たそうと奮闘する
忠犬レッド
ご飯の質が上がってご満悦、番犬としていつもシェリーに張り付いて甘えている