TS転生者、魔法少女世界に転生するも洗脳悪堕ち魔法少女にされて妹と戦わされる。 作:辻契約マスコット
※直接的な自殺(未遂)の表現があります。
───〜♡〜───の視点切り替えの後、
───※の後に該当の描写があります。
苦手な方は読み飛ばすかブラウザバックしてください。
読み飛ばしても全く問題ありません!
魔法少女という存在をご存知だろうか。
いやご存知だろう。
なぜならこんな僕のモノローグというか頭の中を覗くような奴がいるとしたらそいつは上位存在か変態のどちらかである。
…ていうか魔法少女知らない人いる?普通に生きてたら知ってて当然だよね?だいたい──(中略)──まぁとにかく知っている前提で進めていく。
これだけ語ればもうわかるだろう。
僕は魔法少女というものに心を奪われている。
魔法少女が好きで好きでたまらなくて魔法少女になりたい!
と、思っていたら魔法少女がいる世界にTS転生したのである!
TS転生バンザイ! 上位存在バンザイ!
僕はこの世界で、仲間の魔法少女と絆を育み希望を胸に悪と戦う正義の魔法少女になる!
……なんてことにはならなかった。
結論から言うと、僕は魔法少女になれない。
この世界では少女が12歳になる頃、魔法の素質がある者とそうでない者とがハッキリ分かる。
魔法少女の素質がある者には、例外なくマスコットから勧誘がかかるのだ。
僕は今日で13歳になるが、勧誘は来なかった。
つまり、僕には魔法少女の素質が無かった。
まぁ素質があったとしても、勧誘などしなかったかもしれない。
なんせ僕は生まれた時から障害者。
下半身不随なのだ。
だからトイレも独りで出来ないし、動き回るなんて論外。
ついでに病弱でもある。
こんなヤツ魔法少女にしても戦えるか怪しい。
どころか、病気にかかって死ぬかもしれない。
実際、10歳の誕生日を過ぎてからよく熱を出すようになった。
魔法少女になれないという事実が心を弱めていったのだろう。
病は気からという言葉を、身に染みて感じた。
僕は、このまま死ぬのだろうか。
何も出来ず何も成せず、心に暗い絶望を抱えたまま、この白い病室で朽ちるように死ぬのだろうか。
「…それはいやだな。」
その願いが届いたのか、それとも本当に上位存在か変態が頭の中を覗いていたのか。
ソレは僕の前に現れた。
「こんばんはぁ〜♡」
夜の病室の隅、闇の中から姿を表したのはピエロ服を想起させる白黒のドレスを着た長身の女。
僕はこの女を見たことがある。
というのも、魔法少女の戦闘が時々テレビなどに映り込むことがあって、そういう映像は動画サイトによく投稿されるのだ。
そしてその動画でこいつは魔法少女と何度か交戦していた。
つまりこの女は魔法少女の敵。
「お初にお目にかかります。 ワタシは悪の組織『シン・アーク』幹部、パラドクスと申します。」
「…そんな大層な方が、こんなボクになんの用があるわけ?」
「話が早そうで嬉しいです。 賢い人は好きですよ♡ 愚かな人も好きですが。」
動画で見た悪の組織の幹部パラドクスは、慎重で用意周到な戦闘スタイルをしていたはず。
そんな合理性を重んじるような人間(?)は大抵なにか目的があって行動している。
ではなぜ僕の前に現れたのか。
……さっぱり分からないよ!(汗)
「ワタシはアナタにとても
「
取引、という訳ではなさそうだ。
パラドクスと僕が対等なハズ無いから当然ではある。
方や幹部怪人、方や一般人、それも下半身不随の病人。
彼我の戦力差が⋯⋯いや戦力差がどうとか以前の問題だ。
そもそも、僕と対等なのは虫の標本ぐらいだったかもしれない。
⋯⋯
パラドクスだ、悪の組織が持ってきた
一体何を──
「アナタ⋯⋯魔法少女になりたくはありませんか?」
──は?
「はぁ??」
魔法少女? いやあんたら悪の組織だろ、なんでマスコットみたいなセリフ吐いてんだよ。
「モチロン、普通の魔法少女ではありませんよ♡ アナタは魔法少女を超え、貶め、その希望を撃ち砕く
「……ああ、そういうことね。 ならないよ、そういうことなら。」
僕は魔法少女を潰したい訳じゃないし、敵対したい訳でもない。
悪の魔法少女なんてゴメンだ。
「いいえ、アナタは選ばれたのです。悪の魔法少女となり我々の一員として『ダイ・アーク』様に忠誠を捧げ身を粉にして働く栄誉に!」
…拒否権とかない感じね、やっぱ。
僕は大きくため息をついてから、口を開いた。
「結構楽しかったんだけどな。この人生も。」
嫌な事、うんざりする事も沢山あったけど、それでも楽しかったと言える第二の生。
でも、もう諦めよう。
僕はこれまでの生で知っている。
僕は、信念の為なら自分の気持ちを蔑ろにできる人間であると。
僕は、誰かの希望の為なら自分を壊せる人間だと。
だから。
悪の魔法少女になるくらいなら、人の希望を撃ち砕く存在になるくらいなら。
「アナタ、なにを……?」
自分の命くらい、死に体の、幻のような二つ目の命など。
捨ててしまおう。
───〜♡~───
誰でもよかった。
心に歪みを持つ少女なら誰でも、悪の魔法少女に仕立て上げることができる。
歪みが大きく複雑であるほど、我々の使う闇の魔力は強くなるから、そういう子がいればいいと思って散歩のついでに探していた。
そして、その子を見つけた。
少女の身に余る程の心の器、大きさ。
そこに燻る小さな、されど難解で複雑な歪み。
こうゆう歪みのある子はあまり魔法少女に選ばれない。
「ちょうどいい子が居るじゃない♡」
私はすぐに声を掛ける…ことはせず、少し心の声を聞いてみることにした。
読心の魔法は神経を使うから普段はあまり使わないのだが、初対面で思考を言い当てて、その反応を見るのが好きだから。
(──僕は今日で11歳になるが、勧誘は来なかった。──)
「…なんか人生を振り返ってる!?」
なぜそんな事を考えているのかは分からないが、好都合だった。
彼女について色々なことが聞けたから。
「これだけ聞ければ、手荒な真似をしなくてもスムーズに事を進められそうね♡」
(──僕は、このまま死ぬのだろうか。)
「っと、そろそろ声を掛けましょうか。」
私は読心の魔法をやめ、闇魔法で足元の闇から彼女の病室の闇の中へに移動し、その姿を現した。
「こんばんはぁ〜♡」
───※
少女は思った以上に賢かったが、この世界の多くの少女と変わらず魔法少女に憧れを持っていた。
だから、簡単だと思っていた。
魔法少女になれると言えば心が大きく傾くはずだと、少し脅せばおとなしく従うはずだと。
「──アナタは魔法少女を超え、貶め、その希望を撃ち砕く
そして、相手の負の感情を増幅する魔法を使った。
しかし、彼女は拒絶した。
彼女の心をよく見れば、その大半を諦観が占めていた。
だが、彼女は魔法少女になりたいはずだ。
「いいえ、アナタは選ばれたのです。悪の魔法少女となり我々の一員として『ダイ・アーク』様に忠誠を捧げ身を粉にして働く栄誉に!」
彼女の心をさらに失望、絶望の負の感情が占めた。
想定以上に負の感情に支配されている。
負の感情を増幅する魔法は、心を操ることができる訳ではないということを実感した。
心を操るのは交渉など駆け引きの場でこそ有効だ。
今回はその練習のつもりだったのだが、少々失敗した。
しかし、この場は元より駆け引きなどする必要も無い。
少女を強引に『シン・アーク』本部に連れ帰り、用意してある洗脳装置に繋いでしまえば済むのだ。
そんな私の考えを知ってか知らずか、少女は全てを諦めたように大きなため息を吐いた。
「結構楽しかったんだけどな。この人生も。」
そう零すと、少女はその手を口元へ運び──
──口の中に入れ始めた。
「アナタ、なにを……?」
いや、手だけではない。
さらに深く、手首を、そして腕を飲み込んでいく。
「ゴッ゚…カッ゛…」
さらにもう片方の腕で飲み込んだ腕を押し込み始めた。
「……っ!」
動揺していた。少女が、ではなく私がだ。
私は悪の組織の幹部だが、別に人が苦しんで死ぬ様が好きな訳では無い。
いやまぁ嫌いでもないが。
死に方はなんでもいいが、そこに物語があればいい。
そういう劇的な死は見たいと思う。
そもそも、『シン・アーク』の目的は闇の魔力で世界を覆うことと首領ダイ・アーク様の完全顕現だ。
別に全人類を駆逐しようとかしないし、殺戮を好む訳でもない。
まぁつまり、あまり人が死ぬ様を眺める機会がない。
それもこんな少女が、こんな死に方を選ぶなんて、予想だにしなかった。
だから少し、対応が遅れた。
「コプッ……ゲエ゚エ゙エ……!」
病室に少女の嗚咽が響き、その瞳が濁っていく。
ついに泡を吹き始めたあたりで、少女は意識を失ったのか、腕を押し込むのをやめた。
「……ああもう!」
私は急いで、しかしゆっくりと少女の口から腕を引き抜き、脈を確かめた。
「…良かった、脈はあるわね。」
気を失っている少女を姫抱きに抱え、『シン・アーク』本部へと向かう。
「はぁぁ……」
思わずため息をつく。
「なんか、とんでもない子を拾っちゃったかも…。」
一応補足しておくと、自殺(未遂)は魔法で負の感情を増幅させられた結果です。
さすがに主人公も素面で自殺はしません。
こんな子見つけちゃうなんて、パラ姉さんも運がないね。
次話、洗脳回。ねてまて。(「・ω・)「