TS転生者、魔法少女世界に転生するも洗脳悪堕ち魔法少女にされて妹と戦わされる   作:辻契約マスコット

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お待たせしました。ちょっと忙しかった。
タイトル詐欺を終わらせるって言ったばかりなのに、すまんありゃ嘘だった。
でも、戦いに入る前の必要な描写ってことで、許してくれ。

というか更新してないのにお気に入り登録増えすぎでは?ありがとう!
では失礼して、だぶんしつれいいたす(「・ω・)「


ハジマリ。はじまり。

 

───〜○。゚〜───

 

 闇を抜けるとそこには見覚えのある景色が広がっていた。

 

「病院の、屋上。」

 

 今世を過ごした病院。その屋上。もっと言えばその上空に来たらしい。

 

「……飛んでる。」

 

 いつだったか、妹とこの屋上で自分たちが魔法少女になる夢を語り合った。その時の約束を思い出した。

 

「ふたりで飛ぼうって約束したのに。」

 

 僕は抜け駆けした。でも不思議と罪悪感は感じなかった。

 とても晴れやかな気分だった。

 

 さて。感傷に浸るのもそこそこに、お仕事をしなければ。

 そういえば、侵略活動の手順とか聞いていない。

 

「...何をしたらいいのかな。」

 

 例によってぬいぐるみ──悪()・使い()からとって()ーちゃんと呼ぼう──が何かしてくれないか期待して呟いてみる。

 

「……。」

 

 反応ナシ。そう思ったその時、マーちゃんの目が赤く光った。

 

『ハァーイ♡ バブルちゃーん。聞こえてるかしら?』

 

 そしてパラドクスの声が聞こえてきた。

 

「聞こえる。」

 

『ワタシったらつい飛び出しちゃって説明を忘れてたわ。 これもアナタが可愛すぎるせいね♡』

 

「いや、あれは急にパラドクスが...─」

 

『自覚が無いのね。 イケナイ子だわ♡

 まぁそれは一旦横に置いて、お仕事の話をしましょう。』

 

 ─来たから。と抗議しようとしたら、話を横に置かれた。

 釈然としないが、大事なお仕事の話を聞こう。

 

『使い魔には怪人化のタネを持たせてるわ。 ソレを負の感情が強い人間にひっ付けて、負の感情を煽ってあげれば……あっという間に怪人の完成〜♡』

 

 怪人ってそういう作り方なのか。知らなかった。

 

『破壊活動は基本、怪人に任せておけばいいわ。』

 

「わかった。」

 

『負の感情が強い人間は、使い魔が教えてくれるわ。 それじゃあハジメテの侵略、頑張ってね〜♡』

 

 それだけ言うと、今度はマーちゃんの目が薄っすら緑に光り始めた。

 

「……いや、どうやって探すの。」

 

 僕はパラドクスの中途半端な新人教育に不満を感じていた。

 すると、向き合っていたマーちゃんの目の光が強くなった。

 

「……もしかして、マーちゃんが教えてくれるってこういうこと?」

 

 マーちゃんが見つめる人間の負の感情が強いほど、光が強く光るということだろうか。

 だとすると、パラドクスの説明不足が過ぎるのでは。

 僕は不満をさらに強くした。マーちゃんの光が強くなった。そういうことらしい。

 

 これには大きなため息が出た。まだ何もしていないのに疲れた気がしてくる。

 

「……お仕事って、大変。」

 

 一度深呼吸して、僕は負の感情が強い人間を探しにその場を飛び去った。

 

───○。゚

 

「見つけた。」

 

 しばらく飛び回って、マーちゃんの目が一層強く光る人間を見つけた。

 

 それは、道端でうずくまる魔法少女とマスコット。を物陰から覗き見る不審者。

 魔法少女も負の感情が強そうだが、ストーカー程ではない。

 という訳で、ストーカーのおじさんに背後から近づき怪人化のタネを付ける。

 あとは、負の感情を煽る。

 

「…ってどうするんだっけ。」

 

 つい呟いてしまった。今世の癖だ。

 

「なっ! なんだキミは!」

 

 ストーカーのおじさんが背後の僕に気づいてしまった。

 

「しまった、どうしよう。」

 

 僕の脳内はハチャメチャに大慌てでありました。

 負の感情、負の感情。煽る?アオル?何しようどうしよう。泡って使えるかな。

 

なんだこの可愛っ僕の知らない魔法少女だと((※オタク特有の早口──))!?しかも2人目、今日はなんてツイてるんだぐへへ。ああいや、決してあの魔法少女をストーキングしていたんじゃないよ僕はただ見守っていただけで別に怪しい者じゃ...───」

 

 僕なんかよりもよっぽど慌てている不審者を前に、少し冷静さを取り戻した。

 

「...おじさんは、魔法少女が好きなの?」

 

 なんとなく気になったので聞いてみた。

 やっぱり冷静ではなかった。

 

「おじ!? うーん声も可愛いなぁ。 もちろん。 魔法少女は可愛いからね。」

 

「じゃあ、なんで物陰から覗き見る様な真似を?」

 

 ロリコンの変態不審者の賛辞は無視しつつ、質問を続ける。

 

「そ、それは...。」

 

「おじさんは、魔法少女をつけて何がしたかったの? やましいこと?」

 

 僕は覗き込むように質問した。

 

「うぐっ」

 

 すると、変態のおじさんは苦しそうな声を上げ始めた。

 

「そ、ソレは...。」

 

 おじさんが一歩、近付いてくる。

 

「それは?」

 

 おじさんがさらに一歩、近付いてくる。

 僕は後ずさる。

 

「魔法少女ヲぐちゃグチゃに犯シたかっタのサ!!」

 

 おじさんは怪人化しながら僕に飛びかかってきた。

 

「ひぇっ」

 

 僕は咄嗟に泡で弾き飛ばした。

 

「グアァ!」

 

 完全に怪人となった変態は、道路に吹き飛ばされた。

 そう。魔法少女がうずくまっていたあの道路に。

 

「か、怪人!? なんで急に!?」

 

 という声が聞こえてきた。

 

「アァーーァク!!!」

 

 怪人が魔法少女と戦い始めた。

 

 どんな人か確かめてから負の感情を煽る言葉をかけようと思ってたのに。まさか質問しただけで怪人化してしまうなんて、考えてなかった。

 

「...あわわわわ。」

 

 なんてことだ、魔法少女に見つからないうちに街を壊さなきゃいけなかったのに。完全に失敗した。

 

「...あわわわわわわわ。」

 

 あわれな僕を見つめるマーちゃんの目から光は消えていた。

 

 

 

───〜☆〜───

 

 

 あれから毎日、私は魔法少女に変身してお姉ちゃんを探して飛び回っていた。

 

「お姉ちゃん...!」

 

「ま、待ってクー!」

 

 クーはこれしか言わない。ので無視することにした。私はお姉ちゃんを取り戻さなくてはいけないのだ。

 

「だ、大事な話があるんだクー!」

 

 クーがようやく二言目を喋った。

 

「大事な話って何。」

 

 いつまでも付きまとわれるのも面倒なので、聞いてあげることにした。

 

「新人の魔法少女には、最初は先輩魔法少女に色んなことを教わることができるクー。」

 

「研修ってこと? そんな暇ないんだけど。」

 

 それに知りたいことは最初にクーに聞いたし。

 

「魔法のことだクー! 魔法少女は魔法が命クー。 扱い方を教えてもらえば役に立つクー!」

 

 魔法。確かに、魔法少女なのだから当然の話だ。

 

「...いいよ、どうせ使えないし。」

 

 でも私は魔法が使えない。0に何を掛けても0なのだ。

 今はそれよりお姉ちゃんが心配だ。

 

「そんなことないクー! 魔法のない魔法少女は存在しないクー! それに詳しい人が来てくれるんだクー。 絶対大丈夫クー!」

 

「......でも、お姉ちゃんをさがさないと。」

 

「スパークル…...。」

 

「今、お姉ちゃんが何をされてるか……前にSNSで見たの、悪の組織に攫われた子が怪人に...とても酷い目にあわされた話を。」

 

 お姉ちゃんがあんな目にあってるかもしれない。

 そう思うだけで居てもたってもいられなくなる。

 

「そ、それは極端な例だクー。」

 

「...。」

 

 そんなことはわかっている。

 でもその可能性があるだけでダメなんだ。

 

「ハッキリ言って、今のスパークルは視野が狭くなり過ぎてるクー。」

 

 ...わかってる。うるさいな。

 

「街を探し回っても悪の組織の拠点がそう見つかるわけも無いクー。」

 

「うるさい! じぁあどうしろっていうの!?  家で引きこもってればいいの? 何事も無かったように過ごせばいいの? そんなの無理だよ! 何かしてないと気がおかしくなりそうなの! もうなってるのかもしれないけどとにかく無理なの!」

 

 一気に全部、ギリギリで押し留めていた心の黒いモノが溢れ出した。

 張り詰めていた心が萎んで、ギリギリで踏ん張っていた足に力が入らなくなった。

 私はそのまま道路にうずくまった。

 

「……。」

 

 クーは何も言わない。

 

「お姉ちゃん......どこ……?」

 

 こんな時、お姉ちゃんが居たら慰めてくれるのに。

 そんな益体も無いことを考えてしまう。

 そう考えてしまうことが私をさらに惨めしたように思えた。

 

「うぅぅ。」

 

 同時に、お姉ちゃんが居ない悲しみが振り返してきた。

 

「うわぁぁあん!」

 

 …私は迷子みたいに泣きじゃくった。

 

───☆

 

「うぅ………ぐすっ……。」

 

 そのまましばらく泣いていた。

 

「……力を付けるしかないクー。」

 

 涙が枯れて落ち着いてきた頃、クーが話しかけてきた。

 まだ何かあるのだろうか。

 

「お姉さんを悪の組織から取り返すには、どうしても力が必要になるクー。」

 

「………うん。」

 

 それは、そうだろう。

 

「だから、先ずは魔法を使えるようにするクー。」

 

「......うん。」

 

 確かに、必要なことだ。

 

「その為に、魔法少女に詳しい先輩魔法少女に研修をお願いしたクー。」

 

「…………ありがと。」

 

 正直、すごく助かる。

 

「魔法少女を支えるのが、マスコットのお役目だクー!」

 

 クーは、ずっと私を支えようとしてくれていたのか。

 

「……無視してごめん。」

 

 クーを見ようとしなかった自分が嫌になる。

 本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 

「前の子は一度も返事してくれなかったクー。 だから全然平気だクー!」

 

「えぇ……。」

 

 そ、その「平気」は素直に受け取れないなぁ。

 そういえばお姉ちゃんも、よくそんなダークなジョークを言っていたな、と思い出した。

 

「ふふ、あはは……っ。」

 

「きゅ、急にどうしたクー?」

 

「……なんだか、毒気を抜かれちゃって。」

 

 いけないいけない、落ち着いてまずは深呼吸。

 ……いや、やっぱりやめよう。

 お姉ちゃんに頼ってばかりじゃ、お姉ちゃんを助けられるハズもない。

 

 私は、パチン!と勢いよく両頬を叩いた。

 

「……よし!」

 

 思ったより痛い。ヒリヒリする。

 

「「よし!」じゃないクー! 元気になったと思ったら今度はおかしくなっちゃったクー!」

 

 お姉ちゃんは居ない。でも、クーが支えてくれる。

 お姉ちゃんと一緒に見た、私の夢。最高にキラキラな魔法少女になる夢。

 お姉ちゃんを助けたいという、私の願い。

 それ以外にも、なんだって。

 

「全部叶える! だって私は、不可能を可能にするキラキラな魔法少女、アブソードスパークルなんだから!」

 

 決めポーズもキメて、宣言した。

 ここから、私の物語が始まるのだと。

 

 




夢中なキラキラ。

皆さんも、変態に声をかけるのはやめましょう。

次話、ごめんすぐ書く爆速であげる。
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